中国国有5社、米上場廃止申請 ペトロチャイナなど

中国国有5社、米上場廃止申請 ペトロチャイナなど
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1296X0S2A810C2000000/

『【上海=土居倫之】中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国人寿保険など中国の国有企業5社は12日、米国株式市場の上場廃止を申請すると発表した。米国に上場する中国企業については、監査情報を巡って米中証券当局の交渉が難航していた。

上場廃止計画を発表したのはペトロチャイナ、中国人寿保険、中国石油化工(シノペック)、中国アルミ業、中国石化上海石油化工の5社。米国に上場する米預託証券(ADR)の廃止を自主的に申請する。いずれも香港取引所や上海証券取引所に株式を上場しており、今後の資金調達や海外での業務展開には大きな影響は生じない見通しだ。

中国企業の米上場問題を巡っては、2020年12月に米国で「外国企業説明責任法」が成立した。これに基づき米証券取引委員会(SEC)が、適切な会計監査が行われているかについて確認を求めている。一方、中国当局は国家安全保障に関わる情報が流出しかねないとして拒否していた。

今回の5社が上場廃止になれば、米国に上場する主要な中国国有企業で残るのは中国南方航空、中国東方航空となる。中国は重要な国有企業を先行して上場廃止とし、中国の国家安全保障に関わる機密情報の流出を防ぐ。同時に米国との監査を巡る交渉を前進させたい狙いがあるとみられる。

中国は4月に外国当局による中国企業の監査内容の立ち入り検査を認めると発表した。外国当局が中国で行う調査・検査には、中国が必要な援助を提供するとした。一方、SECは監査情報への「完全なアクセス」を求めて譲歩しない姿勢を示している。

中国証券監督管理委員会は同日、「米国上場の証券の(売買の)割合は小さく、各社の上場廃止計画は、企業の内外の資本市場を利用した資金調達に影響しない。海外の規制当局との交渉を続け、企業と投資家の合法的な利益を守る」とのコメントを発表した。

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桃井裕理
日本経済新聞社 中国総局長
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ひとこと解説

米トランプ政権下で成立した外国企業説明責任法は「上場する外国企業の監査法人が検査を3年連続で受けなければ米市場での証券取引を禁止する」ほか「外国政府の支配下にない証明」や「取締役会の中国共産党員の氏名開示」などを求めていました。中国共産党傘下にある中国企業が満たすことは不可能といえます。5月に劉鶴副首相が中国のネット関連企業の「国内外での上場」を支持すると言及しましたが、中国のIT企業は政府・党関係者の個人情報も含めた様々な「機密情報」をもっています。米国市場への回帰はないでしょう。今回のことは米中間におけるデータやファイナンス分野のデカップリングが一層加速する1つのマイルストーンといえます。
2022年8月12日 22:35』