東証大引け 3日ぶり反発、7カ月ぶり高値

東証大引け 3日ぶり反発、7カ月ぶり高値 米大幅利上げ観測後退
https://www.nikkei.com/article/DGXZASS0ISS16_S2A810C2000000/

『祝日明け12日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、前営業日比727円65銭(2.62%)高の2万8546円98銭とこの日の高値で終えた。1月12日以来7カ月ぶりの高値水準。米市場でインフレ鈍化を背景に大幅利上げの観測が後退し、運用リスクをとる動きが東京市場にも波及した。

米労働省が10日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇したが、伸び率は前月(9.1%)から縮小し、市場予想(8.7%)も下回った。物価の伸びが鈍ったのを受けて米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げへの観測が後退し、米株式市場では10~11日にダウ工業株30種平均が1.7%上昇。東京市場でも投資家心理が上向き、グロース(成長)株を中心に幅広い銘柄に買いが入った。

国内では主要企業の4~6月期の決算発表がほぼ一巡した。ホンダや日揮HDなど、市場予想に比べて堅調な決算や業績見通しを手掛かりにした個別銘柄の物色も相場の支えになった。

短期筋のショートカバー(売り方の買い戻し)が中心で長期資金の流入は乏しいとの声が聞かれるなか、2万8500円近辺では利益確定や戻り待ちの売りも出た。

東証株価指数(TOPIX)は3営業日ぶりに反発し、終値は前営業日比39.53ポイント(2.04%)高の1973.18で終えた。

東証プライムの売買代金は概算で3兆7126億円と、約1カ月半ぶりの高水準。株価指数オプションとミニ日経平均先物8月物のSQ算出に絡む売買があった。売買高は14億5793万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1607と、全体の9割近くを占めた。値下がりは192銘柄、変わらずは39銘柄だった。

DOWAや大平金が上昇。ファナックや安川電も買われた。ソフトバンクグループ(SBG)、楽天グループも高い。半面、OKIや富士フイルムが下げた。川重も安い。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZASS0ISS16_S2A810C2000000&n_cid=DSPRM1AR08

国内株概況

東証大引け 3日ぶり反発、7カ月ぶり高値 米大幅利上げ観測後退(15:30)
JPX日経400大引け 3日ぶり反発 』

中国はなぜ台湾包囲実弾軍事演習を延長したのか?中国政府元高官を単独取材

中国はなぜ台湾包囲実弾軍事演習を延長したのか?中国政府元高官を単独取材
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220811-00309847

 ※ 今日は、こんなところで…。

『本来8月3日から7日までとした台湾包囲実弾軍事演習を、中国軍は8月9日まで継続して行った。なぜ延長したのかを中国政府元高官に単独取材して、中国の本音を引き出した。
◆8月10日に東部戦区連合軍事演習完了を宣言

 8月10日、中国人民解放軍東部戦区のスポークスマンである施毅陸軍上級大佐は<東部戦区が台湾島周辺海空域で組織した連合軍事行動は、成功裡に各任務を完了した>と宣言した。

 施毅は「最近、台湾島周辺海空域で行ったさまざまな種類の部隊が系列的に連合した軍事行動は、成功裡に各項目にわたる任務を完了し、部隊が一体化して連合同時作戦を断行する能力を、非常に効果的に検証することができた。今後、東部戦区部隊は、台湾海峡情勢の変化を常に緊張して注視し、引き続き軍事訓練と戦闘準備を展開し、台湾海峡の戦闘準備警巡(警戒パトロール)を常態化させ、国家の主権と領土保全を断固として守る」と語った。

◆なぜ延長したか:中国政府元高官を単独取材

 10日に軍事行動完了の宣言をしたのだから、8日と9日の二日間、本来の実弾軍事演習の日程終了を延長して継続的に軍事演習を行なったことになる。

 実弾軍事演習を実行している限り、その海空域への立ち入りが禁止されるのだから、台湾だけでなく、台湾と交易を行う他の関係国への被害は甚大だ。

 特に今回の包囲網の一部は日本のEEZ(排他的経済水域)をも含んでいるので、日本の漁業関係者にとっては、とんでもない損害を与えられる結果を招いた。

 この2日間の延長に関して、中国政府は理由を公表していない。

 そこで中国政府元高官を単独取材して聞き出した。以下、Qは筆者、Aは中国政府元高官である。

 Q:なぜ、初期の予定を変更して延長したのですか?

 A:そりゃ、当然だ。中国が軍事演習を始めた3日の後になって、アメリカの国家安全保障会議の(戦略通信コーディネーターである)ジョン・カービーというヤツが4日、「ワシントンは今後数週間で台湾海峡を通過する標準的な空と海の横断作戦も実施する」と言っただろう?

 Q:そうですね。たしかにそう言っていました。彼は当時、国防長官のオースティンがレーガン号とその攻撃グループの軍艦に「状況を監視する」ために近くに留まるよう指示したと述べていますね。

 A:ほら、そうだろう?アメリカの国防総省は、8日、「米軍は今後数週間で台湾海峡を通過する」と主張しただけでなく、「同盟国とパートナーへの支援」を示すために他の地域でも「航行の自由作戦」を実施すると発表してるんだよ。アメリカは1972年の時点では、自国の都合から「一つの中国」を認めて、いわゆる「中華民国」と国交断絶をしながら、今になって中国がアメリカを超えるほど強くなるのを恐れて、中国に対して内政干渉をしてくる。

 Q:たしかに積極的に毛沢東の中国に接近してきたのはアメリカですから、あのときアメリカこそが自然な流れの国際秩序を乱したと私は思っています。

 A:おまけにだね、あの生意気なコリン・カール国防次官は8日、「アメリカ政府は中国が台湾を軍事的に占領する可能性に関する見通しを変えていない」と言いながら、「中国が向こう2年以内に台湾占領を試みることはない」という見解を示している。それでいながら「米軍が向こう数週間以内に台湾海峡通過を実施する」と言ってるだろ?それを阻止しないわけにはいかないのさ。

 Q:だから軍事演習を延長したのですか?

 A:そうだ。それが最も大きな原因だ。

 Q:では、アメリカの空母レーガン号が台湾海峡を通過することに対抗するためということになりますか?

 A:対抗ではない!阻止だ!アメリカの他国への内政干渉を阻止するためだ。そもそも台湾海峡の「中間線」など中国は認めていない。そんなものは存在しない。台湾は「一つの中国」の中の領土の一つで、アメリカは「中国を代表する国としては唯一、中華人民共和国しかない」と認めて「中華民国」と国交断絶しておきながら、中国の領土主権を脅かす行為など、絶対に中国人民は許さない!

◆ペロシ訪台により中国人民の愛国心は一つになり、習近平の求心力は高まった

 Q:「14億の中国人民は許さない」という言葉は、習近平がバイデンとの電話会談の時にも使った言葉ですが、このたびのペロシ下院議長の訪台によって、中国人民は結束を強めたと思いますか?

 A:もちろんだ!国内における、どんなスローガンよりも中国人民の心を一つにさせて、熱く燃え上がらせた。台湾島における軍事演習の模様は、多くの中国人民の眼球を惹きつけ、仕事にならないほどレーガン号の航路を追い続けて、それは凄かった。誰もが自然に「中国軍、頑張れ!」という気持ちになる。

 Q:では、習近平の求心力は高まったということになりますか?

 A:もちろんだ!一気に高まった。習近平のもとで心を一つにしていないと中国はアメリカにやられるという気持ちが高まって、軍の最高指導者としての習近平への声援が高まるのは当然だろう。

◆台湾国軍の反上陸射撃訓練と中国人民解放軍の上陸軍事演習

 Q:中国人民は台湾が嫌いですか?

 A:嫌いなわけがないだろう。台湾人は我が同胞だ。しかし蔡英文がいけない。彼女はアメリカに追随して、台湾人民の経済を圧迫するだけでなく、危険にさらしている。現に、台湾の国軍は9日から中国人民解放軍に対する「反上陸射撃訓練」を始めている。

 Q:だから山東省の連雲港や大連などで、浜辺に近いところで上陸実弾軍事演習をしたと考えていいですか?

 A:そう解釈しても構わない。

 Q:実は私は日本語のコラムで、あれは台湾包囲実弾軍事演習の「上陸部分」を補うための軍事演習だと書いたのですが、それで正しかったかしら?(参照:8月9日のコラム<中国軍は台湾包囲実弾軍事演習と同時に「上陸演習」も実施していた>)

 A:ほう、それは珍しい。外国人で、それを読み解いている人はいないんじゃないかな?

 Q:まちがってはいなかったようで、安心しました。

 中国政府元高官との話は延々と続き、このあとは、台湾の半導体の問題とアメリカの半導体同盟形成や台湾政策など、種々のテーマに関して、中国側の考えを引き出した。それらに関しては、追って一つずつご紹介したいと思っている。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

8月の米国のCPIの結果は? : 机上空間

8月の米国のCPIの結果は? : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29397324.html

『前年同月比で、8.5%でした。相変わらずの高インフレでしたが、前月が9.1%で、今月の予想も8.7%だったので、無理矢理解釈すると「アメリカのインフレは鈍化している」と言う事もできるので、昨日はアメリカのニューヨーク・ダウが500ドル以上上昇し、ドル円は2円ほど円高に動きました。NASDAQも3%上昇したので、なんとなくアメリカの経済の底堅さを感じる結果です。

ただし、予想より0.2%程度、前年同月のインフレ率が低かったからと言って、相変わらず高レベルのインフレなのは変わりません。8月の市場というのは、このブログでも何回か書きましたが、枯れ相場で、市場参加者が減るので、外部要因に影響されて、大きく変動します。これで、アメリカの経済は底を打ったとは、到底言えない話ですね。

インフレというのは、慣性のついた巨大な鉄球のようなもので、止めようとしても、簡単には止まりません。過去の例を上げると、FRBの議長であったポール・ボルカー氏は、景気を犠牲にしてインフレを退治しました。14.8%のインフレを20%の政策金利で抑え込んだのです。今回のインフレは、前年同月比で、二桁には乗っていませんが、2.25%という現在の政策金利が、今のインフレを抑え込むのに十分だとは、到底思えません。つまり、今年一杯くらいは、政策金利の引き上げは、断続的に起きるという事です。

そして、今回のインフレの厄介なところは、主な原因が、武漢肺炎による世界的なサプライ・チェーンの混乱による、原料不足による材料費の高騰、ロシアのウクライナ侵攻で起きたエネルギー不足なので、いくら政策金利でインフレを抑制しようしても、効果が限定的な事です。政策的に何をしても、量や数が足りなくて値段が高騰している商品の値段を下げる事はできません。そして、米ドルの政策金利の引き上げは、アメリカ一国の問題では済みません。米ドルが基軸通貨なので、国家の借金というのは、ドル建てで行います。つまり、外債を抱える国の借金が、自動的に金利上昇分の額が増えます。国単位の借金ですから、元の額がでかいので、0.1%の上昇でも額で換算すれば、すごい金額です。

つまり、発展途上国の経済を悪化させるわけです。また、金利の高い米ドルに資金の還流が起きる事で、発展途上国の資金調達が難しくなります。世界の経済にとっても、米ドルの金利が大きく上昇する事は、マイナスなんですね。

長い間、デフレの日本では、なかなかインフレの怖さというのは、実感しにくいのですが、身近な生活に落とし込むと、その恐ろしさが判ります。今、アメリカでは、日本の100円ショップに当たる1ドル・ショップで売っている、最安値の缶詰で食事を済ます人が増えています。生鮮食料品を買う事などは、とっくに諦めて、夜は照明を点ける時間を短縮する為に蓄光機能のある器具を選ぶようになっています。

まぁ、こういう事を書くと、「私の知り合いは、アメリカで暮らしているけど、そんな事は言っていない」という反論がきそうですが、貴方の知り合いは、アメリカの極一部を代表しているに過ぎません。日本人がアメリカを語る時、沿岸部の経済やインフラの整った大都会という、アメリカ全体から見れば、一部の地域をイメージするのと同じです。内陸部の事は、殆ど知らないでしょう。

実際、一度に一週間分の買い物をするのでお馴染みのアメリカの消費行動ですが、その大手スーパーへ行く交通費の捻出が難しくなっている人が増えています。多くは自家用車で向かうわけですが、ガソリンが、週単位で値上がりしているので、必要なだけ補給するのが難しくなっています。なので、自分で運搬費用を負担する必要が無い、周囲の世帯と共同でまとまった量を買う、まとめ買いが人気です。これだと、配達は業者がしてくれるので、ガソリン代が浮くんですね。日本の生協みたいなシステムです。

世論調査によると、多くのアメリカ人が、生活の質の低下を感じていて、健康を犠牲にして、倹約し、生活を支えていると感じている人も増加しています。また、兼業で複数の仕事を抱える人も増えていて、労働時間にすると、14時間/日の労働者も増えています。以前の収入だと物価の上昇に対応できないからです。特に、便利な地域の家賃の上昇は凄まじく、何十年も賃貸で暮らしていた住人が、ホームレスになり、車上生活をしながら通勤する姿も珍しくなくなりました。

で、低いアメリカの失業率なんですが、実態を正確に反映できていないとする説もあるんですよね。例えば、兼業で複数箇所から給料が発生している場合、その事業所単位でカウントされるので、1人の人が3箇所で働くと、就業者が3人と勘定されます。なので、低い失業率って、実態を現していないのではないかという議論があります。それは、雇用統計の非農業分野就業者数についても同じで、この前の数字は、予想の2倍近い良い結果だったわけですが、「この数字って正しいの?」という疑問が、最近では出ています。

それと、良く言われる「アメリカは、インフレだけど、給料も上がっているから、経済は問題無い」説なのですが、ここまでの話で、まったく給料の上昇がインフレに追いついていない事もお解りでしょうし、実は給料がインフレに追随して上がると、インフレは収まらないのです。

インフレで、政府が政策金利を上げるのは、資金調達や借金をしづらくして、景気を冷やし、それによって、需要を抑えて、物価を抑制するというテクニカルな方法でインフレ抑制するのが狙いです。そこで、インフレ連動で賃金が上がると、「需要を抑えて」という部分が発動しなくなるので、少なくても政策金利の利上げでは、インフレ抑制が利かなくなります。金融政策というテクニカルで、経済がコントロールできないという事は、物価の制御ができないという事です。

経済はあらゆる要素を内包するので、その中には矛盾する概念が、いくつもあります。例えば、FRBが強気で政策金利を上げるのは、低い失業率や、順調な雇用、賃金の上昇率が根拠になっています。しかし、それによって、需要が抑制されないのであれば、政策金利を上げる事で、物価の抑制ができない事を意味するのです。とどのつまり、経済は匙加減の問題であり、万能な解決策は無いという事で、根拠と結果が互いに対立する事も、珍しくありません。

そして、アメリカのインフレ問題は、今年に入って始まったばかりであり、過去の例を見るならば、落ち着くまで、数年単位で時間がかかっても、別に珍しい事じゃないし、今よりも政策金利が何倍も上がった例など、探せばいくらでも出てくるという事です。つまり、「始まり」に過ぎない可能性も高いという事です。来年ぐらいには、落ち着くというのは、「希望的観測」に過ぎません。』

時間泥棒の話・・・「モモ」 : 机上空間

時間泥棒の話・・・「モモ」 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29390985.html

『ドイツ人作家のミヒャエル・エンデ氏の書いた「モモ」という児童書を、ご存知だろうか。1973年に発刊され、翌年にドイツ児童文学賞を受賞しています。私が、この本を買ったのは、学生の時でした。「ネバー・エンディング・ストーリー」(原作・はてしない物語)の映画が公開されて、ストーリーは、ともかくとして、その絵本の挿絵のようなビジュアルを、そのまま映像化した、映像としての完成度に当時、やられてしまいまして、その原作者の作品という事で購入しました。書評も高評価で、大人が読んでも面白い作品として紹介されていたのですね。当時は、ハードカバー版しか販売されてなくて、そこそこ高かった記憶があります。

人々から時間を奪う「時間泥棒」というキャラクターを設定して、主人公のモモとの対決を描いた物語で、かなり寓話的な物語です。モモというのは、まるで当時、世界的に流行していた、怒れる若者を代表するような浮浪者の少女です。従来からの価値観や大人の言う事に対して、それが真実なのか、正しいのかという疑問を持つ若者が、アメリカでも、ヨーロッパでも誕生して、彼らはお仕着せの価値観を否定し、いわゆる「ヒッピー」という自由主義者的なライフ・スタイルを啓蒙します。ウーマン・リブとか、フリー・セックスとか、マリファナとか、サイケデリックとか、精神の開放とか、型にはまらないのが新しいスタイルだとして、実際に、そういう生き方をした世代が誕生した時期ですね。

彼女は、今は廃墟と化した円形劇場に住み着いていて、見た目は小学生くらい。生まれてから、一度もクシを通した事も無いような真っ黒な巻き毛で、裸足で歩くせいで、足の裏は真っ黒。服のサイズも、まったく合っておらず、ツギハギだらけという風体です。モモという名前は、自分で付けたと言い、その他の事は、判らず、ただ、ここに住みたいと言います。周囲の住民たちは、相談して、モモの面倒を見る事にしました。

正体不明の風来坊の彼女ですが、モモは人の話を聞く才能に優れていて、心の問題を抱えた人が、彼女と会話をすると、その負担が軽くなるという極めて優れた特性を持っていました。こうして、心の安定でお返しする事で、モモは無くてはならない存在になって行きます。

しかし、そこへ「灰色の男たち」と呼ばれる存在が介入してきます。鉛のような灰色の書類カバンを持ち、灰色の煙の出る葉巻をくゆらせる、紳士のような出で立ちの男たちです。彼らは、人生に不満を抱える人間と会い、いかに時間を無駄にしているかを秒単位で説きます。そして、節約した時間を、彼らの運営する「時間貯蓄銀行」に預ければ、利子を乗せて支払うと営業を仕掛けます。

その話に乗った人々は、一秒たりとも無駄にできないと、イライラしながら働くようになり、それでも、時間はあっという間に経過してしまうので、もっと倹約しなくてはと、怒りっぽくなっていきます。こうして、灰色の男たちは、人々から時間という財産を奪って、世界を侵食していきます。

やがて、モモの元には、人々が寄り付かなくなるようになりました。時間を倹約する事に価値を見出すようになった親達が、モモが、ぐうたらの怠け者で、時間を無駄に浪費させる人間だと、会う事を禁止するようになったのです。やがて、灰色の男の一人が、モモのところにもやってきて、成功する事が大事であり、その他の事は価値が無いし、役に立たないと説得しに来ます。しかし、モモは屈する事無く、反論し、やがて、議論に詰まった灰色の男は、平常心を無くして、自分達が、人間から時間を奪う事を目的にしていて、その正体を秘密にしている事などをバラしてしまいます。

この後も、物語は続いて、時間の国の長老であるマイスター・ホラなど、キャラクターも出てきて、話は、より観念的になり、結構、子供が読むにはハードルが高い展開になっていきます。また、灰色の男たちが、人々から奪った時間は、時間の花を育成する養分になっていて、その花びらを乾燥させて巻いた葉巻が、彼らが普段から吸っているものなのでした。この辺りは、いかにもマリファナ的で、時代を感じさせます。葉巻から出る煙は、死んだ時間で、生きている人間が、この煙を吸うと、やがて灰色の男たちになってしまいます。この病気の名前が、致死的退屈症です。

この物語は、当時の風俗を取り入れながら、資本家と労働者という関係を寓話的に示しています。一般的に、資本家VS労働者というと、賃金の話になりがちですが、実は資本家が買い取っているのは、労働者という契約で縛りを課した他人の時間です。個人が持っている時間は、有限ですが、報酬を支払って、仕事として他人に任せる事で、成果は何百倍にも増やす事ができるのです。規模を大きくすれば、買い取った時間で成し遂げる成果も大きくなりますから、資本家の元には大きな対価が入ってきます。それを効率的に労働者に割り振る事で、更に事業は拡大するわけです。時間というのは、それを増やしたり減らしたりできませんが、他人の時間を報酬と引き換える事で、時間あたりの成果を増やす事はできるのです。

つまり、この物語は、チャップリンの「モダン・タイムス」と同じで、機械的に効率化の進んだ工場労働などの非人間性に対する寓話的な批判です。そして、労働の本質が、賃金の問題ではなく、時間の拘束である事に着目した、初期の作品の一つです。

この作品の時代では、労働集約化と、そこで推進させる極限までの効率化を、余りにも非人間的なモノとして批判しているわけです。しかし、今は、それよりも、たちの悪い形で、「時間泥棒」達は、我々の生活に入り込んでいます。

現在のアメリカは、GDPが世界一の最も豊かな国家のはずです。しかし、アンケート調査によると、世界平均よりも、日々、常に心配事を抱え、多くのストレス持ち、決して幸福とは言えない環境にあります。物質的には豊かになり、多くの作業が自動化されて、開放された代わりに、自分で時間をコントロールできなくなったのです。

資本主義を代表する工場労働を考えてみましょう。確かに、工場で労働している時間、最大の作業効率を求められ、しばしば、その労働は非人間的です。前述の「モモ」が寓話としていたのは、まさに、その時代の労働と時間の関係です。しかし、終業時間になれば、労働から開放され、プライベートと労働の区別は、はっきりと分かれていました。しかし、1950年代と違って、労働の主軸は、よりクリエティブな頭脳労働に移行しています。

製造ラインに、いない時には、労働の事を考える必要が一切無い、工場労働と違って、プロジェクトやマーケティング、クリエイターの仕事は、労働と時間の明確な区切りがありません。今は、スマホやタブレットなど、事務所の外でも仕事をサポートし、成果を送信したり、情報を得るツールが豊富にありますから、どこで何をしていても、仕事ができないという言い訳がたちません。つまり、フリーランスなど、場所や時間に縛られない働き方が増えたのですが、時間を自分でコントロールする事が、生産性の向上という呪文の前では、難しくなったという事です。

時間に縛られないというのは、労働をする時間が決まっていないというだけで、自炊で調理中でも、深夜に目が覚めてしまった時でも、入浴中でも、トレーニング中でも、頭で常に仕事の事を考える事は可能ですし、それをサポートするツールもあります。つまり、取り組んでいる問題を解決できない限り、我々は時間をコントロールするのが難しくなっているのです。まさに、時間泥棒に取り憑かれている状態と言って良いでしょう。

我々にとって、リラックスして、目標を持たない時間というのは、「幸福な経験・体験」に繋がる重要なものです。実際、幸福というものを、可視化するなら、過去に起きた幸せな体験の記憶であり、それは、多くの場合、自分のコントロール下にある時間において起きた事でもあるはずです。それが、仕切りの無い労働と、それを可能にするツールの発達によって、自分の制御に置けなくなってきています。

つまり、豊かさとは、高価なモノに取り囲まれる事ではなく、自分でコントロールできる時間の多さであり、その環境を作る為には、資産形成が必要だという事なのです。もし、幸福を基準に人生を過ごしたいのであれば、労働を賃金で計るのではなく、自分で時間を制御する為の手段として捉え、何者にも介入されない、自分の思い通りの時間を作る事こそが、精神的な幸せに繋がると認識するのが重要です。そして、労働における搾取とは、自分の時間を、格安で他人に売り渡す事に他ならないのだと認識するのが重要です。』

北朝鮮が露に協力で建設業者、戦闘部隊を供給?とウクライナ

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:北朝鮮が露に協力で建設業者、戦闘部隊を供給?とウクライナ
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5362769.html

『2022年8月10日:ウクライナと戦うプーチン大統領の軍隊を強化するために、最大10万人の北朝鮮兵士が送られる可能性がある。モスクワの主要な防衛専門家であるイゴール・コロチェンコ予備大佐は、国営テレビにこう語った。「金正恩から差し伸べられた手を恥ずかしがらずに受け入れるべきだ」。映像ニュース

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レグナム通信によれば、北朝鮮は「外交チャンネル」を通じて、戦争被害を修復するための用意があることを明らかにした。彼らは、金正恩が最近独立国として認めた分離主義者の親プーチン派ドネツク人民共和国(DPR)とルハンスク人民共和国(LPR)の軍隊に配備されることになるだろう。今もドンバス地域と呼ばれるドネツクとルハンスクの南東地域は、モスクワに支援された分離主義者によって8年近く支配されている。

その見返りとして北朝鮮は、穀物やエネルギーが金正恩の苦しい経済状況に供給されることになる。この主張は、ロシヤ1チャンネルのロシア国防専門誌の編集長コロチェンコが取り上げたもので、彼はこう言った。”10万人の北朝鮮人ボランティアが参戦する用意があるとの情報もある。”

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一方ロシアは、各国は金正恩政権に対する国際的な制裁に参加することをやめるべきだと主張し、北朝鮮人をめぐる主張は、ロシアが懲役刑の免除と引き換えに囚人を採用し、前線部隊を増強しようと躍起になっているときに出てきたものだ。「悪の枢軸」が誕生するのか・・

ウクライナ情勢では、ロシアによる、ウクライナの世界地図からの抹殺が現実味を帯び、新たな反ロシアのプロジェクトを挫折させようと動きが活発になっている。ウクライナはすでに、北朝鮮との外交関係を遮断した。 英文記事

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プーチンは、北大西洋条約機構(NATO)を旧ワルシャワ条約機構加盟国(旧ソ連衛星国)から追い出し、米国を欧州から追い出したいと話している。その目的を達成する手段も忌まわしく、また、プーチン氏はロシアの真の国益など考えず、そのための手段を選ばない。

欧州最大のザポリージャ原子力発電所Zaporizhzhya Nuclear Power Plantへの攻撃も続いていると言う。 中国とインドは今のところ、プーチン氏を非難することを拒んでいるが、プーチンのエスカレーション次第で、亀裂の入る可能性も言われている。

過去ブログ:2022年8月ウクライナ現地2022年8月4日の戦況~露は原発を軍事基地化?

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ウクライナの国内問題:あまり表面化しないが、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が2022年6月27日に公表した薬物に関する年次報告書によると、ウクライナで撤去された合成麻薬アンフェタミン amphetamine製造拠点の数は2019年の17か所から20年には79か所に増加した。20年に摘発された拠点数としては世界最多だった。

侵攻が続けば、同国における合成麻薬の製造能力は拡大する可能性があるとしている。世界最大のアフガンのヘロインの欧州へのルートは、トルコを経由するバルカンルートが有名だが、ウクライナもそのルート上に在り、政情の混乱で取り締まりが手薄になった事と、欧州への難民急増で合成麻薬製造が盛んになったようだ。 参照記事 英文記事

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ウクライナ政府の収入の大部分を占める関税収入はロシアによる侵攻前の4分の1に落ち込んでいる。関税の対象である輸入が大幅に減少しているからだ。  

一方、支出は青天井で増えている。軍人の給与負担が大きく、毎月50億ドルの資金不足が生じている。

海外からの資金援助に頼ることができず、その穴を埋めるために中央銀行は紙幣を増刷する状況が続いている。  軍事作戦から年金に至るまであらゆる支出を捻出するため、ウクライナの中央銀行は国債の買い入れを続けてきたが、「既に限界だ」との悲鳴が聞こえてくる。  

ロシア国債が債務不履行(デフォルト)となったことが話題になったが、ウクライナの国債がデフォルトになるのも時間の問題だ。

穀物輸出は図の赤い印の港から再開し始めた。 過去ブログ:2022年8月ウクライナ現地2022年8月4日の戦況~露は原発を軍事基地化?

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財政がパンク状態にあるウクライナ政府は苦肉の策を講じ始めている。  ウクライナ政府は2022年6月30日「欧州連合(EU)向けの電力輸出を開始した」と発表した。当初の輸出量は10万kWで、輸出先はルーマニアだ。ウクライナはスロバキアとハンガリーにも電力を輸出する計画を有しており、最終的な輸出量は400~500万kWになると見込んでいる。

 400~500万kWという規模は原子力発電所4~5基分に相当する。電力インフラが毀損しているはずなのに、ウクライナはなぜ電力を大量に輸出できるのだろうか?

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その理由はウクライナ国内の電力需要が急減していることにある。国連によれば、ロシアのウクライナ侵攻後、近隣諸国に逃れたウクライナ国民は500万人を超えている(総人口の12%超)。ウクライナで生活する国民が急減したことで電力供給に大幅な余裕ができたというわけだ。

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現在ロシア軍支配地域の南部ヘルソン州khersonのドニエプル川 Dnieper River には、ノーバ・カホフカ水力発電所 Nova Kakhovka Hydroelectric Power Plant(Kakhovka Dam)もある。 英文記事 参照記事 参照記事2022年8月10日:ウクライナ軍が水力発電所の損傷を確認、ヘルソンへの補給路遮断に成功 基地爆発後にロシア人がクリミアから逃げ出す、クリミア大橋(ケルチ大橋)は大渋滞か

またウクライナ軍は10日、ロシア軍が制圧する南部ヘルソン州内を流れるドニエプル川ダム近くに架かるカホフカ橋 Kakhovka Bridgeを攻撃し、通行不能にしたと発表した。橋は州都ヘルソンに向けた重要補給路の一つで、遮断してロシア軍を混乱させる狙いがある。映像 』

米国で一斉「中国スパイ狩り」

米国で一斉「中国スパイ狩り」 FRBも標的、工作員とつながる13人を特定 「対日諜報活動も高まる可能性」石平氏
https://news.yahoo.co.jp/articles/85d510ce1f7057b9fe9e7f23771fe874ce98f01a

『米国が「中国スパイ狩り」に本腰を入れている。中国の諜報活動は中央銀行や連邦政府など政策中枢から、州・地方当局にまで侵食しており、米国の情報当局や捜査当局の危機感も強い。バイデン大統領は中間選挙、習近平国家主席は共産党大会などそれぞれの国内事情を抱え、米中は対立姿勢を強めるばかりだ。

米共和党のロブ・ポートマン上院議員は7月26日、中国が米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)の内部情報獲得のため、中国が広く工作活動をしているとの報告書を公表した。中国の工作員とつながる13人を特定、8地区の連銀関係者が含まれていたという。内部文書のダウンロードや、中国政府関係者との接触などがあったとしている。

ブルームバーグによると、FRBのパウエル議長は同議員宛書簡で、機微に触れる情報にアクセス可能な職員の包括的な身辺調査を行うと約束したという。

治安維持を担う機関でもスパイの摘発例が出ている。米検察当局は7月、米国土安全保障省に勤務した工作員2人を起訴した。ロイター通信が伝えた。在米の中国反体制派に対するスパイ活動や嫌がらせ行為に関与したという。

また、米国家防諜安全保障センター(NCSC)は州や地方当局者に文書を送り、中国が自国の政策に有利になるような工作をエスカレートさせると警告したという。ウォールストリート・ジャーナルは、当局者の個人情報を収集したり、将来的に中国の利益を代弁してくれるようにキャリアの浅い当局者に接近するといった手口を報じた。

米連邦捜査局(FBI)と英情報局保安部(MI5)のトップがロンドンで演説し、中国による知的財産のスパイ行為や西側への政治介入に危機感を表明した。FBIのレイ長官は「われわれの経済や安全保障にとって長期的な最大の脅威」と警告した。

現代米国政治に詳しい上智大の前嶋和弘教授は「人権問題や、新型コロナの影響で米国内の対中感情は過去最悪といってもいい。11月の米中間選挙もあって、中国を〝叩きがい〟のあるタイミングともいえるが、バイデン政権でも、対中政策ではトランプ前政権の路線を継承する大きな流れにある。今後も次々に同様の事例が出てくるとみるべきだ」と語った。

中国では習近平国家主席が異例の「3選」を決めるとされる秋の共産党大会を前に、党長老が集う北戴河会議など重要な政治日程が続く。

評論家の石平氏は「西側の対中包囲網が強まる中で、米国の反中感情を内部から瓦解(がかい)させ、親中世論を形成したり、台湾有事に米国がどう出るか探る狙いもあるだろう。

習氏は秋の党大会を前に、対米工作で成果を挙げたい思惑もあるとみられるが、今後は対日諜報活動も高まる可能性がある」と見据えた。』

内閣改造でなぜロシア協力相を続ける必要があるのか

内閣改造でなぜロシア協力相を続ける必要があるのか
樫山幸夫 (元産經新聞論説委員長)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27569

『侵略国との経済協力をまだ継続するのか。

 10日に行われた内閣改造で、「ロシア経済分野協力担当相」ポストの存続が明らかになった。日本はロシアのウクライナ侵入を受けて強い制裁を課し、共同経済活動も見合わせている。その一方で、「協力」を推進するというのだから、矛盾はなはだしいというほかはない。
内閣改造でも「ロシア経済分野協力担当相」ポストが存続した(代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアからは足元を見られ、 連携してきた主要7カ国(G7)からは疑念の目を向けられるだろう。 懸念されていた対露制裁からの日本の落伍が現実になるのだろうか。
ロシアを刺激したくなかった?

 松野博一官房長官が10日午後、新しい閣僚名簿を読み上げた。西村康稔経済産業相のくだりで、他の兼任ポストとともに、「ロシア経済分野協力担当」と明確に述べた。過去の資料でも誤って読み上げたのかとも思ったが、訂正されることはなかった。

 同日午後にアップされた時事ドットコムは、サハリン2からの日本向け天然ガス供給をめぐって、「ロシアが日本に揺さぶりをかけており、先方を刺激するのは得策ではないと判断した」と報じた。

 この方針について、同日夕に記者会見した岸田文雄首相の口から何の説明もなく、メディア側から質問もでなかった。官邸詰めの記者は不思議に感じなかったようだ。

 同日夜、就任会見した西村新経産相は、冒頭発言でこのポストに触れ「ウクライナ情勢を踏まえた日露経済分野における協力プランに参加した企業への対応」と述べたにとどまった。

経済協力見合わせなのに何を担当?

 ロシア経済分野協力担当相は2016年9月に新設された。この年5月、安倍晋三首相(当時)がプーチン大統領に、エネルギー開発、医療・など8項目の経済協力を提案、合意した経緯があり、これら事業を促進することが目的だった。

 同年12月には、安倍首相の地元、山口・長門で行われた日露首脳会談で、北方領土での風力発電、養殖漁業など5項目の共同経済活動開始でも合意した。安倍政権が、ロシアとの経済協力に前のめりになった年であり、北方領土交渉を促進するという思惑からだった。』

『しかし、ロシアとの経済協力に慎重な意見が国内にあり、北方領土での共同事業にしても、日本固有の領土であるにもかかわらず、いずれの法律を適用すべきかなどで対立、進展を見ていなかった。そうした中で、ことし2月、ロシアのウクライナ侵略が始まった。
 その直後、の3月2日、岸田首相が参院予算委で「ロシアとの経済分野の協力に関する政府事業は当面見合わせることを基本とする」と表明。松野官房長官も同月11日の衆院内閣委で、「幅広い分野で関係全体を発展させるよう粘り強く平和条約交渉を進めてきたが、ウクライナ情勢を踏まえれば、これまで通りはできない。8項目を含む協力事業は当面見合わせる」と説明した。

 見合わせている事業のために担当相を存続させて何をさせようというのだろう。兼任とはいえ理解不能だ。「見合わせ」は一時的であり、時機を見て復活させようという思惑なのか。

これまでは、強い制裁を課してきたが

 今回のロシアによるウクライナ侵略を受けて日本は当初から、対露制裁、ウクライナ支援でG7各国とよく協調してきた。

 ウクライナに対して、食糧、シェルターなど2億ドルにのぼる人道支援、3億ドルの円借款に加え、防衛装備品の供与を断行。防弾チョッキ、ドローン 防衛装備品にヘルメット、双眼鏡など攻撃用武器との境界が微妙な物品も含まれた。

 ロシアに対しては、最恵国待遇除外、プーチン大統領らロシア要人の資産凍結など矢継ぎ早に行い、もっとも強い手段として、東京のロシア大使館員8人を「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからぬ人物」として追放した。ロシア外交官を日本政府が一挙に8人もの多数を、しかも、制裁の一環として追放するのははじめてだった。 

 ロシアの侵略直後、日本はどの程度の制裁を打ち出せるか懸念する向きが少なくなかった。

 というのも、2014年、ロシアがクリミアを併合したときの日本の制裁は、ビザ発給緩和の停止、関係者23人へのビザ停止など軽微な内容だったからだ。しかし、日本がとった措置は、こうした懸念を払しょくするに十分だった。

 それだけに、今回の「ロシア経済分野協力担当相」の存続は、「やはり」という疑念を再び呼ぶことになるだろう。

サハリン1、2の権益維持も念頭か?

 日本政府は石油などロシア極東の資源開発事業「サハリン1」、天然ガス開発事業「サハリン2」について、従来通り堅持したい方針を示している。これに対し、プーチン大統領は制裁への報復として、サハリン1の株式取引を禁じ、サハリン2をロシアの新会社に譲渡するよう命じた。

 萩生田光一経産相(当時)は8月8日、サハリン1について、「われわれはいままでの方針を維持する」と述べ、サハリン2については、日本の商社に対して、ロシアが設立したあらたな運営会社に出資継続を求めた。』

『担当相ポストの継続は、こうした方針とも関係があるのかもしれない。西村経産相は就任会見で、同様に権益維持の方針を表明したが、冒頭に「参加した企業への対応」と述べたのは、商社への働きかけを指しているとみられる。

 しかし、日本が事業を継続した場合、各国からの非難は免れないだろう。ロシアのウクライナ侵略直後、米国のエクソンモービル、英国石油大手のシェルがそれぞれ「サハリン1」、「サハリン2」からの撤退を決めている経緯からだ。

 日本国内でも侵略開始の翌日の2月25日、自民党の佐藤正久外交部会長が党内の会合で「片方で制裁と言いながら、片方で共同経済活動を続けたら、各国は日本をもう信用しない」と強い調子で中止を主張、与党内で同調が広がっていた。

再び制裁の「弱い部分」になるのか

 1989年の中国の天安門事件をめぐって各国は強い制裁を課した。日本も同調したが、日中国交正常化20年の1992年、天皇(現上皇)の訪中を契機に制裁解除の先鞭をつけた。中国とは地政学的に各国と異なる立場にある日本独自の判断だった。

 当時、中国外相だった銭其?氏は回想録の中で、西側の制裁の輪の中でもっとも弱かったのは日本であり、そこに狙いをつけたと告白。結果的に利用された日本側は悔しさを隠せなかった。

 日本は今度は対露制裁で「もっとも弱い部分」になるのだろうか。銭其?氏の回想をよもや忘れまい。』

エネルギーから始まる米国とメキシコの貿易摩擦

エネルギーから始まる米国とメキシコの貿易摩擦
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27509

『米国通商代表部(USTR)がメキシコのエネルギー政策を米墨加協定違反であるとして紛争解決手続きを開始する旨発表した背景等について、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のワシントン特派員Yuka HayashiとメキシコシティのJuan Montes特派員が7月20日付の同紙で解説している。

metamorworks / wildpixel / iStock / Getty Images Plus

 7月20日、USTRは、メキシコ政府が米墨加協定に違反して国営電力会社(CFE)と国営石油会社(PEMEX)をさまざまな形で優遇しているとして、同協定の紛争解決手続きに基づきメキシコ政府に協議を要請した旨発表した。

 具体的には、昨年の電力産業法の改正により価格等に関わらずCFEが生産する電力を民間企業が風力や太陽光発電で生産する電力よりも優先して配電すること、エネルギー産業の分野で行われる様々な米国企業の事業についてメキシコ政府が許認可手続きにおいて遅延、拒否、取消しによって妨害すること等が問題とされている。化石燃料による発電をクリーンエネルギーよりも優先することは気候変動対策にも逆行する措置である。

 エネルギー産業の国家支配をいわば国家主権の柱として位置付けている左派民族主義者のロペス・オブラドール大統領にとって、前任のペニャ・ニエト政権が石油産業立て直しのために民間投資に石油分野を開放した憲法改正を廃止することが最重要課題であった。しかし、両院での3分の2の賛成は得られず、ロペス・オブラドールは、過半数の賛成により成立する法律の改正と最高裁への自らの息のかかった判事の送り込みにより、憲法改正によらずに同様の効果を実現した。

 しかし、そのような法律や運用は、米墨加協定に違反するものであり、米国が漸く同協定の紛争解決手続きに訴えて立ちはだかったわけである。協議が整わなければ専門家パネルの決定が出るまでに1年以上はかかり、仮にこれが協定違反であるとの裁定が出ても、おそらくメキシコ側は態度を変えず米墨間の貿易摩擦が長期的に継続することが予想される。

 また、電力産業法の改正は最高裁で違憲判断は出されなかったが、合憲と認めたわけでもなく、地方裁判所レベルでは、同改正や他の法律や措置について違憲差し止めの提訴が数多く出されている。更に国際仲裁に付されるケースも出てきているようである。』

『ロペス・オブラドールが、エネルギー産業の国家による独占を意図しているのであれば、これは米国のエネルギー製品や米国エネルギー投資への依存からの脱却を意味するものでもある。もともと同人は、農業分野をNAFTAの対象としていることに反対を唱えていたこともあり、究極的には、メキシコの米国への経済依存からの脱却、更には政治的に距離を置くことも望んでいるようである。

メキシコ経済悪化の懸念

 メキシコ経済は低迷を続け、治安状況も特段改善されていないにもかかわらず、ロペス・オブラドールの支持率はこの3月にもっとも下がっても58%であり、問題の責任を全て前の政権に転嫁し多国籍企業を敵視する同人のレトリックや、最低賃金の引き上げ、貧困層や若者層への経済支援により、政権に対する国民の支持率は依然として高い。

 また、このような投資環境の悪化にもかかわらず、メキシコを製造拠点として米国市場に輸出するビジネスモデルは、他の選択に対して依然として比較優位を保っている。しかし強引なエネルギー政策の転換は、投資環境の予測可能性を損ない、メキシコ経済にとっての多くの利益や機会が失われているように思える。

 米国にとっては、南部国境の移民問題や麻薬対策もあり、ことさら対墨関係を悪化させる必要はなく、バイデン政権も表面上は、貿易紛争と二国間関係全般は切り離して是々非々で対応するのであろう。

 ロペス・オブラドールの任期は後2年半で再選は禁止されている。従って、その任期中は、政権と民間企業、米国との間で裁判や紛争解決手続きを通じて、また、議会では新たな立法措置を巡っての押し問答が続くのであろうが、メキシコの投資環境についての信頼が揺らぐことは残念であり、また問題は、その後継者が同様の路線を引き継ぐのか否かであろう。』

【限定公開】戦後日本の「線引き」と「しばり」 今こそ夢から目覚める時 歪んだ戦後日本の安保観 改革するなら今しかない

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千々和泰明 (防衛省防衛研究所戦史研究センター安全保障政策史研究室 主任研究官)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27431

『今、北東アジアの国際政治は100年に1度の地殻変動に見舞われつつある。

 この地域の安全保障に関して懸念される事態は、台湾有事だ。5月のバイデン米大統領の訪日中の発言でもっとも注目されたのも、台湾有事における米国の軍事的関与についてであった。

 実は北東アジア(あるいは極東)の地域秩序は、1世紀単位で考えると驚くほど一貫性がある。それは、日本と朝鮮(少なくともその南部)、そして台湾が、同一陣営にグリップ(関係維持)されてきた、という点だ。

 このような極東の地域秩序は、日本が日清戦争の結果として台湾を獲得し、さらに日露戦争の講和条約であるポーツマス条約署名にいたる過程で、朝鮮での優越権保持が列強に承認されたことに起源を持つ。同条約が署名された年になぞらえて、このような地域秩序を「極東1905年体制」と呼ぶことができる。

 たしかに、このような地域秩序のパワーの面での担い手は、戦前の日本帝国から、戦後は米国に変わった。またここでのグリップは、日本帝国による植民地支配という「強制」から、日本、韓国、台湾が、それぞれ米国の防衛コミットメントを「同意」にもとづいて受け入れるものに変化した。

 それでも、これらの国や地域が、パワーの裏づけによって同一陣営にグリップされるという地域秩序の存在は変わらない。これにより、日本は自国の安全を確保することができた。また、極東に「力の空白」を生じさせたり、域内紛争を起こしたりしない意味もあった。

 この「極東1905年体制」の維持を戦後においても可能にしたのが、アジア太平洋地域における米国を中心とする「ハブ・アンド・スポークス」(中心の核と、そこから放射状に広がった線)型の同盟網だった。

日米同盟は米国を中心とする
「ハブ・アンド・スポークス」の一部だ
(出所)各種資料を基にウェッジ作成 』

『戦後なお引き続いたアジア太平洋諸国の対日不信から、同地域において北大西洋条約機構(NATO)型の多国間安全保障機構は創設されなかった。一方、このハブ・アンド・スポークス型の同盟網の中で、日米同盟はとりわけ米韓同盟と密接な関係にあった。
矛盾が覆い隠されてきた「一国平和主義」

 日米安全保障条約は、米軍は日本の基地を、日本防衛だけでなく、「極東」有事のためにも使用できるとしている。特に朝鮮有事においては、在日米軍は日本政府と事前に協議することなく直接紛争に軍事介入できるとする、日米両政府間の「密約」も存在した。日米同盟は、それだけで自己完結的に存在しているわけではなく、本来的に米国を中心とした極東における安全保障システムの一機能なのだ。そしてこのようなシステムが、「極東1905年体制」を事実上支えてきたのである。

 一方、戦後の日本では、自国を取り巻くこうした戦略的・地政学的現実にもかかわらず、いわゆる「一国平和主義」が定着した。安全保障をめぐって日本と日本以外のあいだで「線引き」ができる、との前提に立ち、日本の責任と関与は前者のみに限定すべきだ、とする独特の安全保障観である。

 米ソ冷戦、そして冷戦終結後の束の間の米国「一極支配」は、朝鮮戦争休戦以来、極東における戦争勃発を強く抑止してきた。それにより、「極東1905年体制」と日本の「一国平和主義」の矛盾は覆い隠されてきた。

 ところが今日では、大国化した中国が覇権主義的行動をとる一方、米国は「世界の警察官」としての立場から退きつつある。もし中国が台湾の武力統一に乗り出せば、それは単なる一時の局地戦争にとどまらない。20世紀初頭以来の極東地域秩序の崩壊を意味するだろう。

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クリミア半島のロシア軍基地に大きな被害 衛星写真で明らかに

クリミア半島のロシア軍基地に大きな被害 衛星写真で明らかに
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27565

『ウクライナ南部クリミア半島のロシア空軍基地で9日に起きた爆発は、被害が広範囲にわたり、複数の戦闘機が破壊されたことが、最新の人工衛星写真から明らかになった。

クリミア半島は、ロシアが2014年に一方的に併合。西岸のノヴォフェドロフカに近いサキ軍事基地では9日、複数の爆発があり、1人が死亡した。

ウクライナは、この爆発には関与していないとしている。しかし、今回の新たな証拠によって、この基地を標的に攻撃した可能性が出ている。

アメリカに本拠を置くプラネット・ラブスが発表した今回の衛星写真では、広範囲にわたって焦土と化した大地が見て取れる。

基地の主要滑走路は無事に見えるが、少なくとも8機の航空機が損壊したと思われる。また、複数のクレーターも確認できる。

被害を受けたとみられる航空機の多くは、基地内の格納庫から離れた、開けた場所に駐機してある。

爆発前後のサキ軍事基地の人工衛星写真

プラネット・ラブスは、ウクライナ全土をカバーする数百もの人工衛星写真をモニタリングしている。同社が発表した爆発前後の写真は、この基地の被害を示す初の独立した証拠となった。これまでは、爆発の影響の詳細は不明だった。

しかし、基地がどのように被害を受けたのかや、爆発の原因はまだ分かっていない。

ロシアは、防火規則の違反によって、倉庫の弾薬が爆発したと説明している。

一方のウクライナも、基地を攻撃したとは発表していない。同国のオレクシイ・レズニコフ国防相も、ロシア兵のたばこの不始末が原因だろうと示唆した。

ウクライナ空軍は、この爆発で複数のロシア戦闘機が破壊されたと述べたが、ロシアはこれを否定していた。しかし、人工衛星写真によって、ロシアの主張が間違っていることが確認された。

イギリスのベン・ウォレス国防相は、爆発が2回あったことから、事故ではなく攻撃ではないかと述べた。その上で、ウクライナがクリミア半島を攻撃する正当性を支持した。

クリミア半島をめぐって応酬

9日の爆発を受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、戦争が終わる前にクリミア半島を奪還すべきだと訴えた。

ウクライナによるクリミア半島への攻撃は、戦争の激化と見なされる。ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は7月、ウクライナが同半島を攻撃すれば「審判の日がすぐに訪れる」と警告した。

ロシアは2014年、ウクライナで親ロシア派の大統領が親欧派によって辞任に追い込まれた直後、クリミア半島に侵攻。いくつかの要衝を掌握し、早々に住民投票を行い、同年3月にロシアに併合した。国際社会はこの投票を違法だと判断している。

多くのウクライナ国民が、この時がロシアとの戦争の始まりだと認識している。

8年後の今年2月には、ロシアがウクライナ侵攻を開始。クリミア半島の軍事基地からも部隊を送り込んでいる。

ウクライナでの戦争の、その他の最新状況は以下の通り。

主要7カ国(G7)の外相はロシアに対し、同国が制圧したザポリッジャ原発を安全上の懸念からただちにウクライナに返還するよう求めた。同原発とその周辺では先週、爆撃が相次いでおり、ロシアとウクライナは互いを非難している

ウクライナ軍は、ロシアに制圧されたヘルソン地域の橋が攻撃され、使用不可能になったと発表した。ウクライナはこの地域で奪還戦を行っている

ロシアでは、今年3月にロシア国営テレビの看板ニュース番組で生放送中に「戦争反対」のプラカードを掲げて拘束されたニュース編集者マリナ・オフシャニコワさんについて、当局が刑事事件としての捜査を開始した

(英語記事 Satellite images show Crimea airbase badly damaged)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62501080 』

もし中共が台湾本島をブロケイドしようとすれば、台湾海峡は「ウォー・ゾーン」だと米国によって看做される。

もし中共が台湾本島をブロケイドしようとすれば、台湾海峡は「ウォー・ゾーン」だと米国によって看做される。
https://st2019.site/?p=20095

 ※ 元記事は、これか…。

 Why a Blockade of Taiwan Would be Disastrous for China
 https://maritime-executive.com/editorials/why-a-blockade-of-taiwan-would-be-disastrous-for-china

 ※ The Maritime Executiveというサイトのようだ…。

 ※ 『(※ 翻訳は、Google翻訳)

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c 著作権 2022 The Maritime Executive, LLC. 全著作権所有。』と言うことだ…。

『David Uren 記者による2022-8-7記事「Why a Blockade of Taiwan Would be Disastrous for China」。

   もし中共が台湾本島をブロケイドしようとすれば、台湾海峡は「ウォー・ゾーン」だと米国によって看做される。台湾の東沖近海も。

 マラッカ海峡や豪州から上海、大連、天津に向う貨物船と、その逆に、天津、大連、上海からマラッカ海峡へ向かう貨物船は、このウォーゾーンを避けないと、海上保険料の負担で足が出てしまう。

 南支の諸港から北米西海岸を目指すコンテナ船も、台湾近海を通らないわけにはいかない。

 ブルームバーグの分析。今年1月から7月まで、世界で動いたコンテナ船のおよそ半分弱が、台湾海峡を通航した。

 コンテナ船の中でも最大級サイズの上位10%について見ると、その88%がこの海峡を通航している。
 また台湾海峡を毎日通航している原油タンカーの輸送量は、100万バレルである。

 台湾と比島の間の「ルソン海峡」は、もし台風がやってくると商船はとても通航することはできない。

 今回の中共空軍の演習のあいだ、コリアン・エアーと、シンガポール・エアライン、アシアナ航空は、台北行きのフライトをすべて見合わせた。日本航空と、キャセイパシフックは、予告空域を避けて飛んだ。

 じつは台湾からの輸出品は、金額ベースで見ると、船便よりも航空便によって、多くが運搬されている。

 台湾は世界のマイクロチップ需要の63%を供給している。TSMC社は、アップルやインテル、クァルコム、Nヴィディアに対する一大供給工場である。線巾10ナノメーター未満の集積回路について見ると、世界のシェアの92%が台湾で製造されている。

 台湾は毎年1400億米ドルを、集積回路の輸出で稼いでいる。

 そして台湾製のチップの半量を輸入しているのが、他でもない中国なのだ。
 中共から輸出されるさまざまなエレクトロニクス商品の中には、台湾製のチップが、なくてはならない。

 中共といつ戦争になるかわからない台湾にチップの供給を頼りすぎているのは危険であるとさすがに米国指導層は認識したので、このたび米連邦議会の上院は、2800億ドルの、米国内製造拠点の新興助成予算を承認した。

 この助成金を得たいメーカーは、爾後、中共国内のプラントをアップグレードしてはならない。それが条件。
 TSMCは、アリゾナ州に120億ドルを投資して、工場を新設する。

 TSMCの会長のマーク・リューに言わせると、中共軍が軍隊を送って台湾のTSMC工場を占領したところで、何もできない。というのは、欧州、日本、米国から常時、原料や素材や化学薬品や、製造機械のスペアパーツやソフトウェアやらがおびただしく流れ込んでいることによって、これらの工場が機能している。ブロケイドや戦争でその流れが止まってしまえば、TSMC工場はチップを1個も製造することなどできなくなるのだ。

 香港に拠点がある「ハインリッヒ財団」は発見した。いまや、世界で四番目に広く取引されている商品は、集積回路である。ちなみに一位は原油、二位は石油製品、三位は自動車だ。それに次ぐ国際商品がチップ。

 豪州から見て台湾は、五番目に位置づけられる輸出市場(162億米ドル)である。中共、日本、韓国、インディアに次ぐ。
 豪州から台湾への輸出品目は、石炭、鉄鉱石、天然ガス。

 また豪州にとっての輸入元としての台湾は八番目の規模。品目としては、石油製品、携帯電話、コンピューター、タバコ。

 豪州国内には大きな電子産業がないため、集積回路はそんなに輸入されていない。
 しかし豪州に諸地域から輸入されてくる自動車、白物家電、電子製品の中には、台湾製のチップが組み込まれている。

 ロシアに対する経済制裁で理解されてきたこと。ロシアのような国にとって、輸出が禁じられることよりも、輸入が禁じられることの方が、国内経済へのダメージが大きい。いっけん、資源のアウタルキーがあるように見えている大国が、じつは、海外産の素材や技術に、川上から川下まで深く広範囲に依存していて、そうでありながら、そのことは国内的にはうやむやにされているからである。』