沖縄・与那国島、爆発音届く緊迫の海 台湾から111キロ

沖縄・与那国島、爆発音届く緊迫の海 台湾から111キロ
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『台湾周辺での中国の軍事演習は日本が有事に巻き込まれるリスクを再認識させた。日本最西端、台湾から最短で111キロメートルの与那国島(沖縄県与那国町)では漁船が操業を一時自粛するなど生活への影響も出た。住民の避難計画など有事への備えには穴も多く自治体は危機感を強めている。

「ゴーッ」「ドドーン」。7日午前1時45分の与那国島の岬。中国が演習エリアと公表した台湾側の方向から、戦闘機のエンジン音や爆発音のような音が数分おきに聞こえた。別の方向の空には飛行機の点滅光もみえた。

前の日の未明にも同様の音を聞いた住民がいた。島の北側で釣りをしていた長浜諭さんは「最初は波が岩に強くぶつかる音かと思ったが、ふだん聞かない音を何回も聞くうちに『これが演習か』とピンときた」と明かす。

「ミサイルが漁船に落ちる可能性もある。漁に出られなくなれば死活問題だ」。演習開始の3日前、与那国島の沖合で漁に出ていた玉城正太郎さんは不安を口にする。

中国軍のミサイルは演習初日の4日、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。海上保安庁は同日午後9時ごろ、注意を喚起するファクスを与那国町漁業協同組合に送った。EEZには漁場も一部含まれ、漁協は5~8日の操業自粛を決めた。お盆前のかき入れ時に苦渋の決断だった。
漁場とミサイル落下地点を指さす与那国島の漁師(8日)

8日午前11時に自粛を解除した直後、中国軍の演習継続の情報が伝わった。嵩西茂則組合長は「先が見えない。このままでは漁場が狭まるどころか、なくなる恐れもある」と頭を抱える。

島に暮らす30代女性は「いつまで続くか分からない不安はある」と胸中を明かす。30代男性は緊迫感は感じていないとしつつ「何かあったら逃げ場がなくなる可能性がある」と話す。

観光船やダイビング船はほぼ通常運航で、島には観光客の姿も目立つ。千葉県から観光で訪れた30代の女性は「町も平穏で特に心配していない」と語った。

演習中に島でも聞こえた爆発音は「中国軍による台湾襲撃か米海軍艦艇への夜間爆撃の訓練の可能性が高い」(元海将で金沢工業大学大学院教授の伊藤俊幸氏)。緊張の高まりで自治体は有事への備えに不安を強める。
与那国島の暮らしは演習中も平穏を保っている(9日)

与那国町は有事の際に国民保護法に基づき町民を島外に避難させる計画だが、輸送手段を確保する具体的な方法は未定だ。糸数健一町長は「町は住民を集合させるところまでしかできない」と国や沖縄県と連携した避難訓練の実施を訴える。

沖縄県は2022年度中に、日本への武力攻撃に至る前段階を想定した図上訓練の実施を予定する。元内閣官房副長官補の兼原信克氏は「攻撃が始まってから住民を守るのは難しい。始まる前に島外へ避難できるよう備えるべきだ」と指摘する。(児玉章吾)

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

領土問題はしょせん縄張りの問題である。人間の歴史を振り返れば、縄張りを広げようとする闘いの歴史である。科学技術が進歩して、縄張りの広がりを助ける役割を果たしている。縄張りを広げる際、理論武装しないといけないが、台湾に中華料理店があるから、中国の固有の領土といわれている。SNSでみたジョークだが、中国に8000店以上のケンタッキー・フライド・チキンの店があり、中国はケンタッキー州のもの。それはジョーク。でも、ジョークでないのは、台湾を統一したければ、台湾の人の人心を収めないといけない。この点を忘れてはならない
2022年8月10日 7:18 』