中国政府、台湾への武力行使「最後の手段」

中国政府、台湾への武力行使「最後の手段」
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『【北京=羽田野主】中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は10日、「台湾問題と新時代中国統一事業」と題する白書を発表した。台湾統一に向けて「武力行使を放棄しない」との従来方針を示したうえで「やむを得ない状況で行われる最後の選択だ」と明記した。対中強硬派には毅然とした態度で臨む一方、台湾の民心が離れないように区別して対応する姿勢も明らかにした。

今回の白書は習近平(シー・ジンピン)指導部による台湾政策の変更ではないが、武力行使はあくまで最後の手段との位置づけを明確にした。武力行使は「外部勢力の干渉とごく少数の台湾独立分裂分子に対するものだ」として、「決して台湾同胞に対するものではない」と続けた。

さらに「(台湾与党の)民主進歩党(民進党)当局の独立を図る行為は両岸(中台)関係の緊張を招き、台湾海峡の平和と安定を害し、平和統一の見通しを破壊する」と主張。蔡英文(ツァイ・インウェン)政権について「平和統一を勝ち取るプロセスにおいて必ず取り除かなければならない障害だ」と断じた。

習指導部の念頭にあるとみられるのが2024年の台湾総統選だ。独立志向を持つ蔡総統以上の強硬派が登場する事態を警戒している。

白書では「平和統一のため最大限の誠意と努力を尽くしたい」とも指摘した。台湾周辺の大規模な軍事演習で蔡政権の対米接近を威嚇しつつ、台湾内で中国警戒論が強まることも避けたい意向とみられる。

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このタイミングで白書を発表したのは、米国との偶発的な軍事衝突リスクを回避する思惑もありそうだ。武力行使を最後の手段と位置づけることで、中台統一まで時間をかけるとも示唆した。

台湾で対中国政策を所管する大陸委員会は10日、白書について「台湾海峡と地域の平和を破壊する乱暴な考え方をあらわにした」との声明を発表し、強く非難した。

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