ザポロジエ原発砲撃「安全への影響なし」 IAEA声明

ザポロジエ原発砲撃「安全への影響なし」 IAEA声明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR104WT0Q2A810C2000000/

『【ドバイ=福冨隼太郎】ウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所が砲撃された問題で、国際原子力機関(IAEA)は9日、原子力の安全への直接的な影響はないとする声明を発表した。原発への攻撃は原子力災害を招きかねず、グロッシ事務局長は「原子力の安全を脅かすいかなる軍事行動も停止しなければならない」と訴えた。

IAEAは声明で、同原発への6日の攻撃についてウクライナ側から「若干の被害があったが、放射線量は通常レベルを示している」との報告を受けたと明らかにした。砲弾の一部が使用済み核燃料の貯蔵施設近くに着弾したが、核燃料が保存されているコンテナなどへの目に見える損傷はなかったとしている。

同原発は3月にロシア軍が制圧し、ウクライナ側の職員によって稼働している。8月5日と6日に立て続けに砲撃を受けた。ロシアとウクライナは互いに相手側の攻撃だと非難している。IAEAは現地調査を進めたい考えだが、めどが立っていない。グロッシ氏は「調査団ができるだけ早く原発に向かう必要がある」として、両国に自制と調査の受け入れを要求した。

主要7カ国(G7)外相は10日、同原発をウクライナの管理下に戻すよう求める共同声明を発表した。

ロシア軍はウクライナへの攻撃を続けている。同国中部ドニプロペトロフスク州のレズニチェンコ知事は10日、同州ニコポリへのロシア軍の攻撃で少なくとも13人が死亡したとSNS(交流サイト)テレグラムで明らかにした。住宅地に向けて80発の砲撃があったとしている。英国防省は同日、「侵攻の支援のため、ロシア軍が新たな地上部隊を新設したことはほぼ間違いない」との分析を公表した。

ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島のロシア空軍基地では9日に複数回の爆発があった。ロイター通信によると、ウクライナ政府高官は爆発への同国の関与を否定した。ウクライナ国防省はフェイスブックに「原因を特定できないが、情報戦に利用される恐れがある」と投稿した。

欧州へのエネルギー供給にも影響が出た。ロシア国営パイプライン会社トランスネフチは9日、ウクライナを経由する欧州への原油輸送が4日に停止したと明らかにした。ロシアメディアは10日、同日中に輸送が復旧すると報じたが、チェコなど東欧3カ国が影響を受けた。

トランスネフチによると、ウクライナを経由するロシア産原油の8月分の通過料をウクライナのパイプライン運営会社に7月22日に支払ったものの、28日に返金されたという。同社はロシアへの制裁が影響したとの見方を示している。』