「ロシア、文化財を意図的に攻撃」 ウクライナ文化情報相

「ロシア、文化財を意図的に攻撃」 ウクライナ文化情報相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB3117S0R30C22A7000000/

『ウクライナのオレクサンドル・トカチェンコ文化情報相は日本経済新聞のオンライン取材で、ロシアが侵攻で「文化財を意図的に攻撃している」と批判した。ロシアがウクライナ人の民族意識を崩すために情報操作を展開しているとも主張した。文化の保護やプロパガンダ対策で国際的な連携を呼びかけた。

トカチェンコ氏はロシア軍の侵攻で、全壊や損傷した文化財・施設が420にのぼると説明した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)も7月下旬までに168の損壊を確認しており、4割を教会などの宗教施設が占める。同氏は軍事インフラが周辺にない文化財の被害が大半だとして「ロシアが領土の略奪だけでなく、文化の破壊も狙っているのは明らかだ」と非難した。

ロシアのプーチン大統領は一方的にウクライナがロシアと歴史的に一体だと論じてきた。これに対し、トカチェンコ氏はプーチン政権が「ウクライナのアイデンティティーに闘いを挑んでいる」と語った。「ウクライナで培われてきた自由の尊重などの価値観を国民が再認識している」と述べ、ロシアの思惑は裏目に出ていると強調した。

ウクライナではロシアの影響力を排除しようとする動きも目立つ。最高会議(議会)はロシアの音楽をメディアや公共の場で流すことを禁じる法案を6月に可決した。トカチェンコ氏はロシアのプロパガンダに対抗する狙いだと説明した。ウクライナが加盟をめざす欧州連合(EU)のルールに沿ったメディア規制の整備を急ぐ考えを示した。

トカチェンコ氏は国際社会が連携して情報操作に対抗する重要性も訴えた。ロシアが巨額を投じて国内外でプロパガンダの拡散を試みているとして、ウクライナへの兵器供与と同様に対策を調整する国際的な枠組みづくりを米国などに呼びかけていると明かした。欧州の関係閣僚とも協議し、近く具体策を打ち出す意向を表明した。

ウクライナ文化をめぐってはユネスコが7月に同国の伝統的なスープ「ボルシチ」を緊急保護が必要な無形文化遺産に登録した。ロシアでも広く食べられているが、ウクライナ発祥とされ同国が登録を求めていた。トカチェンコ氏は「侵攻前にロシアはボルシチも自分たちのものだと主張していた」と述べ、無形文化遺産への登録は「ひとつの勝利だ」との見方を示した。

Oleksandr Tkachenko ウクライナでテレビ番組や映画の制作に携わり、主要民放テレビ局幹部を経て2020年から現職。同国が旧ソ連から独立した直後の1990年代にはロイター通信のキーウ(キエフ)特派員も務めた。』