ガダルカナル島で住民が自衛隊員の首をハサミで刺す

ガダルカナル島で住民が自衛隊員の首をハサミで刺す…事件の裏に複雑な背景
文=Business Journal編集部

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『太平洋戦争中、日米の激戦地となった「ガダルカナル島の戦い」から80年の節目で開かれた慰霊式で、衝撃的な事件が起きた。時事通信が8日に配信した記事『海上自衛隊員1人襲われる 慰霊式に出席中―ソロモン諸島』によると、南太平洋の島国ソロモン諸島(首都:ガダルカナル州ホニアラ市)で、同式典に出席していた海上自衛隊員1人(護衛艦「きりさめ」所属)が、現地在住の男に、はさみで首を刺され軽症を負ったという。男は精神的に不安定で、現場で取り押さえられたという。在ソロモン日本大使館が発表した。

 ガダルカナル島を含めたソロモン諸島は、美しい海で知られる国際的な観光地だ。また、日本との関係も深い。日本政府と太平洋諸国政府の機関が立ち上げた「国際機関太平洋諸島センター」の公式サイトには、ソロモン諸島と日本との“縁”を以下のように解説している。

「太平洋戦争の激戦地となったことにより日本との歴史的関係は深く、1980年には太平洋島しょ国ではパプアニューギニア、フィジーに続く3番目の日本大使館が開設されている。戦後日本から訪れる慰霊団や遺骨収集団による地元住民との交流は深く、また経済協力活動などを通じて日本に対して親近感を持っている住民も多い。その一方で、日本から訪れる訪問客は年間1000人以下、うち観光客は300人以下である」(原文ママ)
新型コロナウイルス感染症と政情不安

 そんな親日国で何があったのか。外務省関係者は次のように語る。

「海外安全情報にある通りです。同国では国政選挙などがある際、暴動が発生しており、社会情勢が不安定になる傾向が続いています。失業率の高さから、首都ホニアラの治安は良いとは言えません。あくまで一般論ですが、生活に困窮する人も多く、精神的に追い詰められている方も多いのかもしれません。

 コロナ禍による海外から訪問する観光客の減少も大きいでしょう。ソロモン諸島政府は“ロックダウン”を頻発する対策を取っています。同国の主産業のひとつである観光への影響は避けられず、雇用や経済に影を落としています。また歴史的にガダルカナル島の中央政府と、人口が最も多いマライタ島の住民との対立があり、それが国政選挙時などの暴動に起因しているようです。

 政情不安と治安維持の観点から、2003年~17年までオーストラリア軍を中心とするRAMSI(多国籍治安維持部隊『ソロモン諸島地域支援ミッション』)が派遣されていました。そして昨年11月24日には、ソガバレ首相の退陣を求める大規模な反政府デモが発生し、再びオーストラリア軍の治安維持部隊が派遣されています」

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『“チャイナタウン商店に放火”昨年11月には大規模反政府暴動

 在ソロモン日本大使館が昨年11月24日、在留邦人向けに配信したメールマガジンには、刻一刻と暴動が深刻化していく様子が記されていた。

「本日、マライタ州出身者を中心としたと思われる人々による抗議活動が予定されており、一部抗議活動が行われたとの情報も入っています。みなさまにおかれましては、抗議活動に関する情報にご留意いただき身の安全にご注意下さい。新しい情報が入りましたらお知らせします」(24日付メルマガ、原文ママ以下同)

「国会議事堂付近に集合した群衆が警察に投石し、警官が負傷。

 国会議事堂周辺で火災が発生、国会議事堂に一部抗議活動者が侵入し、警察が催涙弾を発射。

 ホニアラ市内の幼稚園や高校は全館休校となっています。

 チャイナタウンの商店、ヒュンダイモール等も閉鎖しています。

 大変危険ですので周辺には近づかないようにお願いします。新しい情報が入りましたらお知らせします」

「・ククム警察署放火被害

・チャイナタウン商店が強盗・放火の被害にあっています。

・複数のグループが現在は1つに集約され、まとまって行動している模様」

「24日から続いております反政府抗議活動ですが、25日深夜も放火・略奪が続きました。本日も暴動は収まっておらず、放火等が起こっており予断を許さない状況が続いています。引き続き、身の安全確保にご留意下さい。安否確認を行う予定でおりますので、その際はご協力をお願いします」

 そして26日、夜間外出禁止令とオーストラリア軍の展開を伝える内容のメールが配信された。

「本日より、夜7時~翌朝6時の間、夜間外出禁止令が発令されましたのでご注意下さい。なお、同令の期間は未定となっています。

 暴動化している抗議活動ですが、空港方面・首相公邸を含むいくつかの建物の炎上が続いております。

 オーストラリア政府が本日約40名の国防軍と50名の警察を派遣、パプアニューギニア政府が警察・軍の派遣を検討しているとの報道情報があります」

 同年12月、同国議会野党はソガバレ首相の不信任決議案が提出したが、否決された。
ソガバレ政権は中国と安全保障協定を締結

 ソロモン諸島政府と中国は4月、安全保障協定を締結した。その際、米国、日本、オーストラリアなどの安全保障当局が懸念したのが、“同協定に基づいてソロモン諸島領内に中国軍の基地を建設するのか否か”だった。

 各社報道によれば同国のソガバレ首相は基地建設をたびたび否定している。今年6月にはオーストラリア外相と会談した際、「(ソガバレ首相が同外相に)外国の軍事基地建設や永続的な軍駐留はないことを確約した」などと大きく報じられた。しかし同協定が、現在緊迫している台湾情勢を含め、アジア・太平洋地域に対する中国の緊張感を高めたことは否めない。

 美しい南洋の島々にも、コロナ禍と国際政治の覇権をめぐる争いが大きな影を落としている。

(文=Business Journal編集部)

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