英国情報機関が見るウクライナ戦争の行方

英国情報機関が見るウクライナ戦争の行方
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27499

 ※ 独ソ戦(大祖国戦争。ナチスドイツのバルバロッサ作戦に対しての防衛戦)の時とは異なる…、という視点は押さえておくべきだろうな…。

 ※ あの場合は、ドイツ側が兵站の問題を抱えていた…(ドイツ側が、侵攻する側)。
 ※ しかし、今般のウクライナ戦においては、ロシア側が兵站の問題抱えながらの戦いなわけだ…(ロシア側が、侵攻する側)。

 ※ しかも、ウクライナ側は「西側の支援」により、思いのほか善戦し、ロシア側に少なからぬ「兵員の損耗」が生じてしまっている…。

『7月22日付のワシントン・ポスト紙(WP)は、同紙インテリジェンス・国家安全保障担当リポーターであるシェーン・ハリスなどの「英情報トップが、ロシアはウクライナでまもなく〝勢いを失う〟と言う。MI6の長、リチャード・モアはまたロシアの侵攻を〝壮大な失敗〟と描写した」という記事を掲載した。
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 英国の情報機関MI6のモア長官は、ウクライナでのロシアの軍事作戦は物資と兵員の不足で、ここ数週間で勢いを失うことになりそうであると、アスペン安全保障会議において述べた。彼は控えめに見積もってもロシア軍は1万5000人くらいの兵士を失っており、これはアフガニスタンでの10年の戦争でロシア軍が被った損害とほぼ同数であると指摘した。

 このアスペン安全保障会議でのモアMI6長官の発言は注目に値する。英国の情報機関は情報の収集および分析において一般的に優れており、かつ外部に対する発言には慎重であるからである。もちろん情報源については明らかにしていないが、ロシア軍内の情報も勘案し、総合判断したものであろう。

 プーチンの病気については、パーキンソン病である、血液関係のガンであるなどのうわさがあるが、CIAもMI6も否定しているので、そういう噂は根拠がないと考えてよい。

 ウクライナに対するロシアの攻勢が「勢い」を失う可能性はモア長官の指摘通りあろう。特に兵員の補充が困難になっているのではないか。ウクライナに投入された兵力は通常のロシア軍の兵力の相当な部分であった。例えば、わが国の北方領土、択捉島よりもかなりの数の将校や兵士が行っている。』

『ロシアの兵力、世論の実態は?

 プーチンは当初から徴兵兵士はウクライナに送っていないと主張し、その真実性については疑問も提起されているが、契約軍人をふくめ職業軍人が主として派遣されているということであろう。戦争を宣言し、総動員令を発出すればこの問題は解決されるが、これまでの経緯に鑑みそうはできず、せいぜい予備役招集にとどまっている。

 武器の枯渇の問題も、イランからの無人機入手に見られるようにある。ウクライナ側がロシアの領土内攻撃を自制しているので、ロシアが戦闘で敗北することはないが、ロシア国内での戦争反対論は経済制裁に起因する困難もあり、徐々に強まっていくだろう。

 例えば、ロシアの大富豪、エリツィンの娘婿のデリパスカが経済的困難が大きすぎると戦争に反対している。世論調査会社レバダセンターの調査結果では、プーチン支持が80%くらいで非常に高いが、この結果に重きはおかない。何故なら、ロシアのような政治体制では世論調査に本音で答えることは、ロシア人はあまりしないからである。

 大祖国戦争で2600万人の犠牲を出しつつ、ナチスドイツに勝利したロシアの粘り強さは、防衛戦争ではなく、かつ兄弟殺しの面もあるウクライナ戦争においては発揮されないだろう。モア長官が言及しているアフガン戦争が先例としての価値が大きいと思われる。』