コロンビア、ペトロ大統領就任 中南米は左派で連携も

コロンビア、ペトロ大統領就任 中南米は左派で連携も
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『【サンパウロ=宮本英威】南米コロンビアで7日、グスタボ・ペトロ氏(62)が大統領に就任し、同国で初の左派政権が発足した。貧富の格差是正に力点を置き、隣国の反米左派ベネズエラと国交を回復する方針だ。中南米で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活苦で勢いを増す左派政権が連携すれば、米国は関係構築が難しくなる。

「変化の時だ。我々の未来はまだ書かれていない。可能性の詰まったコロンビアがきょうから始まる」。ペトロ氏は7日、首都ボゴタでの宣誓式後の演説で力説した。

ペトロ氏は上院や下院の議員、ボゴタ市長を長年務めた経験豊富な政治家だ。もともとは左翼ゲリラ「M19」に所属しており、監獄生活を送った経験もある。3度目の大統領選出馬で、6月の決選投票を制した。

国際通貨基金(IMF)によると、コロンビアは2022年見通しで中南米で4番目の経済規模を持つ。もともと保守的な国柄で知られ、右派や中道右派が政権を担ってきた。

ペトロ氏は米国との関係や自由貿易、市場経済を重視してきた歴代政権からの政策を修正する可能性がある。

注目されるのは隣国ベネズエラとの関係だ。経済苦境にあるベネズエラからは17~19年を中心に180万人の移民がコロンビアに流入した。右派のドゥケ前政権とベネズエラの左派マドゥロ政権は支援物資の搬入を巡って対立し、19年2月から断交状態にある。

レイバ外相は就任前の7月下旬、ベネズエラ西部サンクリストバルを訪問して、同国のファリア外相と会談した。「大使任命などによって段階的な正常化に向けて動いていく」と述べており、国交回復を目指していく。

中南米に大きな影響力を維持してきた米国は、ベネズエラのマドゥロ政権の正統性を認めていない。18年の大統領選で主要野党を排除して大統領に当選したと判断しているためだ。コロンビアとベネズエラの関係改善は、国際的な包囲網を敷きたい米国にとって悩ましい問題となる。

ペトロ氏は各国と結んだ自由貿易協定(FTA)を巡っても再交渉を求めていく可能性がある。米国ともFTAを結んでいるが、農業分野などではコロンビアが不利な状況に置かれているとの不満が国内にはある。ペトロ氏に近いルイスフェルナンド・ベラスコ前上院議員は「協定の再交渉は急務だ」と指摘する。

コロンビアでの左派政権の発足によって、中南米の国内総生産(GDP)の上位6カ国のうち、トップのブラジル以外は左派政権となった。ブラジルは10月に大統領選を控えており、左派のルラ元大統領が優位に選挙戦を進めている。

域内の左派政権は一般的にキューバやベネズエラという反米国家の指導者との関係を重視している。2000年代以降、貿易や融資で関係が深まっている中国やロシアとの関係に重きを置く傾向があり、米国との距離も広がりやすい。

ペトロ氏は7日の演説で「税制改革を予定している。公平になる」と述べた。貧困層向けの社会保障を拡充するための財源として富裕層への課税を強化する方針を示している。

財務・公債相に就いたホセアントニオ・オカンポ氏が実務を担う。国際経験豊かなエコノミストで、2012年には世界銀行の総裁選に立候補した経験がある。

オカンポ氏は、ペトロ氏と同様に低所得者向け政策を重視する一方で、35%の法人所得税については段階的に30%に引き下げる考えも示している。市場経済や自由貿易を重視していた過去の政権での閣僚経験もあり、ペトロ大統領と経済界の意向を調整する役割を担うとみられている。

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