米中間選挙、上院は中西部で接戦 下院は野党・共和優勢

米中間選挙、上院は中西部で接戦 下院は野党・共和優勢
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『【ワシントン=坂口幸裕】11月8日投票の米中間選挙が3カ月後に迫った。記録的な物価高などでバイデン大統領の支持率は低迷が続き、連邦議会下院は野党・共和党が多数派を奪還する勢いだ。政府高官人事の承認権などを持つ上院は選挙ごとに勝利政党が変わりやすい中西部などの8州で接戦が予想され、与党・民主党が多数派を維持できるかが焦点になる。

バイデン氏は3日、中西部カンザス州の2日の住民投票で人工妊娠中絶の権利を維持する結果になったことについて「決定的な勝利だ。政治家が女性の基本的な権利に干渉すべきでないと明確にした」と述べた。

連邦最高裁が6月に中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェード判決」を覆す判断をしたのをきっかけに、中絶問題は米国世論を二分するテーマになった。

各州による中絶規制を認めたのを受け、テキサス州などで中絶を禁止したり規制したりする法整備の動きが出ている。住民投票を踏まえ、共和が多数派のカンザス州議会は規制できなくなった。

「連邦法を法制化しなければならない。議会が動かないなら米国民は自由、平等の権利を守る議員を選ぶ必要がある」。バイデン氏は議会で多数派を維持できれば中絶の権利を守る道が開けると訴え、支持層に中間選挙での投票を呼びかけた。

中間選挙は任期6年の上院(定数100)の3分の1(35議席)と任期2年の下院の全435議席を争う。歴史的に政権を握る与党が劣勢のケースが目立つ。戦後にあった19回の中間選挙のうち17回で、大統領が所属する与党が下院で議席を減らした。

与党が議席を増やした2回のうち1998年は、好調な経済が民主のクリントン政権を後押しした。2002年は米同時テロの翌年で、共和のブッシュ大統領(第43代)が戦時のリーダーとして高い支持を得ていた。

40年ぶりの高インフレに伴う有権者の不満が募り、支持率が4割を割り込むバイデン政権は、いずれの要素も欠く。

米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスの4日時点の分析によると、下院では共和が過半数(218議席)を超える222、民主が181の選挙区で優勢になっている。残り32で拮抗する。

予断を許さないのが上院だ。改選35議席のうち、現有は民主が14、共和が21で、現時点で民主が10、共和が17の選挙区で勝利する可能性が高まっている。激戦州で知られる東部ペンシルベニア州や中西部ウィスコンシン州など8州で与野党が競る。

いまのところ、非改選を含む上院の勢力は民主、共和ともに46議席で過半数に届いていない。上院は予算案や法案の採決に加え、下院にはない条約の批准、閣僚や大使を含む政府高官、裁判官などの人事承認の権限を握る。多数派の行方は選挙後の政権運営を左右する。

20年の大統領選で、民主は大統領と上下両院の多数派をいずれも占める「トリプルブルー」を実現した。だが、与野党の数が拮抗する上院で与党議員の造反が相次ぎ、バイデン氏が推進する法案は滞りがちだ。民主が両院で多数派の地位を失えば、政権の政策実行力はいっそう弱まる。

バイデン政権は挽回へ実績づくりを急ぐ。7月下旬、議会は半導体産業から要望が強かった527億ドル(約7兆円)の補助金を投じる法案を可決。有権者の支持を得やすい法人増税や薬価引き下げを盛り込んだ法案も成立へ前進している。

1日には国際テロ組織アルカイダの指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者を無人機攻撃で殺害したと発表した。米軍撤収を巡る迷走が支持率急落の契機になったアフガニスタンでの対テロ作戦の成果を誇示した。

中間選挙では共和のトランプ前大統領が推薦する候補がどこまで伸長するかも関心事だ。20年大統領選で敗れたトランプ氏は24年の大統領選への出馬を探っており、党内で足場を固めるために自身が推す候補を大量に送り込もうと狙う。

2日の中西部ミシガン州の下院選の予備選では、21年1月の米連邦議会占拠事件を巡ってトランプ氏の弾劾訴追に賛成した共和の現職をトランプ氏の推薦候補が破った。南部アリゾナ州上院選の予備選などでもトランプ派の候補が指名を獲得した。

民主党主導の下院特別委員会は、議会占拠事件でトランプ氏が暴力の扇動などに関与した疑いを調査し、司法省に起訴を促す。トランプ氏と同氏が推す候補に打撃を与える思惑がある。

米ニュースサイト「アクシオス」によると、7月下旬時点でトランプ氏が推薦する候補の予備選での勝率は9割を超える。11月の中間選挙の本選で推薦候補をどこまで当選させられるかが、トランプ氏の勢いを見定める試金石になる。』