中国の軍事演習、台湾封鎖へ布石 中間線無効化狙う

中国の軍事演習、台湾封鎖へ布石 中間線無効化狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0647E0W2A800C2000000/

『【北京=羽田野主】中国の人民解放軍が4日から始めた台湾周辺での大規模演習が7日、終了する。ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発して始めたが、演習内容は練り込まれており、以前から周到に準備していた可能性が高い。「台湾封鎖」シナリオが現実味を増した。

中国が台湾周辺で大規模に演習をするのは1996年の台湾海峡危機以来。当時と決定的に違うのは、台湾の東方と南東に演習エリアを設定し、6カ所から包囲する形を築いたことだ。台湾海峡もエリアに指定しており、台湾の封鎖を想定したのは間違いない。

台湾の国防部(国防省)によると、演習期間中に中国が発射した弾道ミサイルは11発。防衛省は9発の行方を公表している。そのうち5発が台湾東方に着弾しており、重視した演習エリアであることがわかる。米第七艦隊など米軍の救援を阻むことを想定した訓練とみられる。

台湾南西のバシー海峡に近い演習エリアにも2発落とした。バシー海峡は中国軍が台湾東方に回り込んだり、西太平洋に進出したりするうえでの要路にある。

国防大学の孟祥青教授も中国国営中央テレビ(CCTV)で「南の演習エリアはバシー海峡に近い」と指摘し、有事に「封鎖」も視野に入ると指摘した。南シナ海から米空母が北上してくるのを防ぐ目的もありそうだ。

演習には最新型のステルス戦闘機「J20」や「J16」、「スホイ30」などが投入された。あまり目立たないが安全保障関係者が注目するのは中国が開発した新型の給油機「運油20」の存在だ。

戦闘機や爆撃機の作戦範囲を約3割アップさせる能力を持つとみられており、中国軍は台湾のはるか東方に展開し、米軍を待ち構えることも可能になる。中国は台湾海峡にも演習エリアを設け、有事の封鎖の可能性を印象づけた。

96年の台湾海峡危機で台湾東方などに演習エリアがなかったのは、中国側にカバーするだけの能力が不足し、台湾海峡側に注力をせざるを得なかった事情もある。中国は当時と比べ国防費を約20倍に増やし、軍事技術も飛躍的に向上させた。

中国大陸からの正面侵攻作戦も強化した。中国軍は6日まで4日間連続で台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を越えた。

中間線は米国と台湾が防衛条約を締結した1950年代に米軍が台湾防衛のために引いたラインに由来する。中国側は公式に認めていないものの、中台間の「暗黙の了解」として運用されてきた。今回の演習をきっかけに「無効化」を試みているとの指摘がでている。

中国軍で台湾方面を担当する東部戦区は6日、台湾周辺の空・海域で「陸地攻撃」を重点においた演習をしたと発表した。台湾の国防部も同日、中国軍が台湾本島への侵攻を想定した模擬演習を実施したと明らかにした。

台湾侵攻に際して中国軍が上陸しやすいポイントは台湾西部など一部に限られる。中間線突破の訓練には戦闘機だけでなく艦船も参加しており、上陸作戦と連動している可能性が高い。中国の初の空母「遼寧」と初の国産空母「山東」を動かし、台湾海峡側と東側の両サイドから挟み撃ちする姿勢もちらつかせた。

演習中の4日間は船舶や飛行機の進入を禁止し、台湾は封鎖状態に陥った。なぜ4日間だったのか。中国軍の内情に詳しい関係者は「米軍が国内手続きを終えて台湾に到着するまで7日間程度と見積もっている」と話したことがある。米軍の介入までに一気に制圧する短期決戦を見込んで演習計画を立てた可能性がある。

【関連記事】

・中国軍事演習、台湾本島侵攻を想定か 「陸地攻撃」重点
・中国に軍事演習の即時中止要求、日米豪外相が声明
・ミサイル落下「近くて遠い」 台湾望む国境の島ルポ
・台湾有事で机上演習、元防衛相ら グレーゾーン事態など
・中国軍、4日連続で中間線越え 台湾「本島攻撃の訓練」

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

米中衝突
中国の軍事演習、台湾封鎖へ布石 中間線無効化狙う(7:31)
ミサイル落下「近くて遠い」 台湾望む国境の島ルポ(6日 20:49)』