米インドネシア軍事演習に陸自参加 10カ国超で信頼築く

米インドネシア軍事演習に陸自参加 10カ国超で信頼築く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM040W40U2A800C2000000/

『米国とインドネシアの両陸軍はこのほど、定期合同演習「ガルーダ・シールド」を記者団に公開した。現場で訓練を目の当たりにすると、米国と中国が覇権を争うインド太平洋地域で、同盟国やパートナー国同士が実戦を想定した意思疎通を深める重要性を実感した。
【関連記事】米国・インドネシア、軍事演習開始 日豪英仏など参加

インドネシアのスマトラ島南西部にある沿岸の地、バトゥラジャ。同島南部の都市パレンバンの空港から車で6時間半かけてたどりついた演習場で3日、米インドネシア両陸軍と、ガルーダ・シールド初参加の日本の陸上自衛隊が訓練を実施した。

午前10時ごろ、小雨の空に米軍のC130輸送機がごう音とともに姿をあらわした。地上300メートルの低空から3カ国の隊員が次々とパラシュートで降下した。隊員は地上に降り立つとそのまま銃を構え、言葉を掛け合いながら目的地まで歩みを進めていった。

米国、インドネシア、日本の3カ国は合同で空挺訓練を実施した(3日、バトゥラジャ)

輸送機は米領グアムのアンダーセン空軍基地を出発しバトゥラジャまで約3800キロメートルの長距離を航行して来た。陸自がインドネシアで空挺(くうてい)訓練を実施するのは初めてだった。

「空挺訓練は非常に危険を伴う。3カ国がそれぞれの国のやり方、違いを理解しながら、安全に実行できたのは価値あることだ」。牛嶋築陸上総隊司令部幕僚長は終了後、記者団に成果を強調した。

ガルーダ・シールドは07年に始まった。今回は陸自のほか、オーストラリアやシンガポールが部隊を派遣した。英国やフランス、カナダをはじめ米国の主要同盟国もオブザーバー参加するなど過去最大規模で10カ国超が名を連ね「スーパー・ガルーダ・シールド」と称した。

隊員はパラシュートから降下後、言葉を掛け合いながら目的地に進んだ(3日、バトゥラジャ)=インドネシア陸軍提供

インドネシア国軍制服組トップのアンディカ司令官は「訓練は特定の国を想定したものではない」と訴える。しかし、言葉を額面通りに受けとめる者はいない。同国にとって中国は最大の貿易相手国だが、南シナ海の自国領ナトゥナ諸島の周辺で権益争いを抱えている。

声高に「対中国」を叫べば、中国に気兼ねして参加への意欲をそぐ可能性がある。演習には中国との経済的結びつきが強い一方、南シナ海で領有権を争うマレーシアも加わった。インドネシアと事情が似る。

この静かな連携こそが中国の抑止になる。中国は太平洋地域に限ってみれば軍事力で米国をしのぎつつあるとされる。だが同盟国やパートナー国との軍事上のネットワークに乏しい。インド太平洋地域で中国への立場を乗り越えて各国から約5000人が演習に参加した意義は大きい。

演習の現場では、米国、インドネシア、日本の3カ国の隊員が、時に立ち止まって、作戦を確認するような場面をしばしば見かけた。牛嶋氏は実戦を想定した現場で、組織文化、装備などの違いを理解し、意思を共有することの重要性を指摘する。

演習に臨んだインドネシアのアンディカ国軍司令官㊧とフリン米太平洋陸軍司令官(3日、バトゥラジャ)=インドネシア陸軍提供

今回のガルーダ・シールドではナトゥナ諸島と同じインドネシアのリアウ諸島州に属するシンケプ島で水陸両用の演習も実施する。ナトゥナ諸島を意識した離島防衛訓練であることは明らかだ。

米太平洋陸軍のフリン司令官は3日の演習をこう締めくくった。「懸命に訓練にはげみ、信頼関係を構築し、来年また会おう。もっとスーパーな形で」。ガルーダ・シールドはインド太平洋の安全保障上の主要な演習に育ちつつある。

(ジャカルタ=ボビー・ヌグロホ、根本涼)

ニューズレター https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM040W40U2A800C2000000/ 』

カンボジア外相、民主化進展まで「ミャンマー国軍排除」

カンボジア外相、民主化進展まで「ミャンマー国軍排除」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0627R0W2A800C2000000/

『【プノンペン=大西智也】カンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相は6日、首都のプノンペン市内で会見し、クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍について、東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳間で合意した5項目の進展を含めた民主化が進まない限り、主要会議への出席を認めない考えを示した。

ASEANは、2021年4月に決めた暴力の即時停止など5項目の履行を国軍に求めている。プラク・ソコン氏は、国軍がASEAN関連の会議に復帰する条件として「5項目で目に見える進展を確認する必要がある」と指摘した。国軍は首脳会議や外相会議など主要会議から締め出されており、3日に開かれたASEAN外相会議でも代表者を送らなかった。

プラク・ソコン氏は会見で、ASEANの特使として9月にも3度目となるミャンマー訪問を計画しているとも表明。国軍幹部と改めて会談する方針を明らかにした。「私はミャンマー問題をあきらめない」などと述べ、事態打開に向けて今後も努力する考えを示した。

ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議などASEAN関連の外相会議は5日に主要日程を終え、閉幕した。議長国として一連の会議を主催したプラク・ソコン氏は「ウクライナや台湾情勢など多くの問題について議論したが、各国の立場の違いがあっても、互いが話をすることが最も重要である」と会議の意義を強調した。』

中国をけん制、日米激戦から80年迎える記念式典に出席へ

中国をけん制、日米激戦から80年迎える記念式典に出席へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM04BHR0U2A800C2000000/

『【シドニー=松本史】米国のシャーマン国務副長官は6日、キャロライン・ケネディ駐オーストラリア大使と共にソロモン諸島を訪問する。8日まで滞在し同国のソガバレ首相らと会談する。米国は、4月に中国と安全保障協定を締結したソロモンに高官を派遣し、中国をけん制する。

シャーマン氏は5日、ソロモンに先立ち訪問したサモアで記者会見し「太平洋の兄弟姉妹の話に耳を傾け学ぶためにサモア、そしてこの地域にいる」と島しょ国との連携強化に意欲をみせた。また米国と島しょ国は「歴史や価値観、共通の優先事項によって結ばれた一つの『パシフィックファミリー』だ」とも述べ結束を強調した。同氏はサモアの後、トンガを経てソロモンに向かう。

ソロモンのガダルカナル島は、太平洋戦争で日米が激しく争ったことで知られる。今年は激戦から80年を迎え7日に記念式典が開催予定だ。シャーマン氏はケネディ氏と式典に出席するほか、同日にソガバレ氏を含む政府高官らと会談する。

ソロモンは2019年、それまで外交関係を持っていた台湾と断交し、中国と国交を樹立した。その後21年末に中国から警察関係者の受け入れを決めるなど中国寄りの姿勢を強めてきた。

中国のこうした動きを受けてバイデン米政権は地域への関与を深めている。ブリンケン米国務長官は22年2月、ソロモンに大使館を設置する方針を表明した。ソロモンと中国の安保協定締結直後の4月下旬には、米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官がソロモンを訪問し、両国の間で戦略対話を立ち上げることを決めた。

シャーマン氏はソロモンの後、豪州とニュージーランド(NZ)も訪問する。豪州ではウォン豪外相らと島しょ国も含めた地域における米豪の協力関係について議論する。アーダーン首相と会うNZでは、2国間関係の強化や気候変動問題なども議題となる見通しだ。』

イスラエル軍、ガザ空爆 90人超死傷、衝突激化懸念

イスラエル軍、ガザ空爆 90人超死傷、衝突激化懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB063JE0W2A800C2000000/

『【カイロ=共同】イスラエル軍は5~6日、パレスチナ自治区ガザで過激派「イスラム聖戦」を標的に空爆を行った。ガザ保健当局によると、5歳女児を含む12人が死亡し84人が負傷。イスラム聖戦は司令官が死亡した報復として、ガザからイスラエルに向けてロケット弾を多数発射した。イスラエル軍は対空防衛システム「アイアンドーム」で撃墜するなどした。

イスラエルメディアによると、ガザ境界近くでロケット弾が爆発、イスラエル人2人が軽傷を負った。昨年5月にはガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の大規模戦闘が起き、ガザでは空爆で約250人が死亡。今回も衝突激化や市民の犠牲が懸念される。

イスラエル軍が今月1日、占領するヨルダン川西岸北部ジェニンでイスラム聖戦の幹部を拘束し、緊張が高まっていた。

現地映像には、空爆で建物が一部崩れて煙が上がり、負傷者が搬送される様子が写っている。空爆は5日夜も行われ、暗闇の中で炎が上がった。

イスラエルメディアによると、イスラム聖戦は6日までに約180発のロケット弾を発射した。ハマスの報道官は、イスラエルが代償を払うことになると述べた。ハマスはイスラム聖戦の反撃に加わっていないもよう。

イスラエルのラピド首相は「ガザのテロ組織がイスラエル市民を脅すことは許さない」との声明を出した。イスラエル軍は6日、ヨルダン川西岸でイスラム聖戦のメンバー19人を拘束。事態沈静化のためエジプトが仲介に乗り出した。

イスラム聖戦はハマスより小規模で過激なイスラム組織。イランに近いとされ、ハマスとの協力を強めているという。昨年5月の大規模戦闘ではイスラエル、ハマス双方にパイプを持つエジプトが仲介を主導して停戦が発効したが、ガザの復興は進んでいない。』

ロシアが戦略的企業の株式取引禁止、非友好国に強制

ロシアが戦略的企業の株式取引禁止、非友好国に強制
日本参加の資源開発「サハリン1」も対象
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05CD80V00C22A8000000/

『ロシアのプーチン大統領は5日、戦略的に重要な企業や資源開発事業の株式について、対ロシア制裁を発動している「非友好国」の企業に、売買や譲渡などの資本取引を禁じる大統領令に署名した。日本が参画する極東サハリン沖の資源開発事業「サハリン1」も対象となり、今後の株式取引が制約を受ける可能性がある。

大統領令で資本取引を禁じたのは、ロシアが国家戦略上、重要だとみなす石油・天然ガス開発の関連事業や金融機関だ。禁止期間は2022年末までと定め、必要に応じて延長できるとした。「ロシアの国家的利益を守る」のが目的だと指摘した。

対象となる資源開発の合弁事業として、米エクソンモービルや日本政府系のサハリン石油ガス開発(SODECO)、ロシア石油大手ロスネフチ、インド企業が参画する「サハリン1」や、北極圏の「ハリャガ油田」を挙げた。

「サハリン1」を巡っては、開発主体で、SODECOと同じ30%の権益を持つエクソンが3月に撤退を表明し、操業停止状態になっている。ロイター通信によると、8月に入り、エクソンによる権益譲渡の手続きが進んでいることが明らかになった。

資本取引を禁じた今回の大統領令には、「非友好国」の企業がロシアから撤退し、戦略的企業や資源開発事業から技術が流出するのを防ぐ狙いがあるとみられる。戦略的企業の株式が、ロシア以外の企業に自由に売却されることも阻止できる。

「サハリン1」に近接し、英シェルや三井物産、三菱商事が出資する資源開発事業「サハリン2」でも、プーチン氏は6月30日、ロシア側が新たに設立する会社に事業を移管する大統領令を出した。新会社は8月5日に設立された。

2月24日に開始したウクライナ軍事侵攻以降、ロシアは欧米や日本などから厳しい制裁を科された。「国益を守る」との理由で、欧米日などの「非友好国」の企業に対する規制を相次ぎ強化してきた。』

ドイツ議員団、10月に台湾訪問へ メディア報道

ドイツ議員団、10月に台湾訪問へ メディア報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DNU0V00C22A8000000/

『【ベルリン=南毅郎】ドイツ連邦議会(下院)の人権委員会の議員らが10月下旬に台湾を訪問する計画を進めている。独DPA通信など複数の独メディアが伝えた。当初はメルケル政権だった2020年に視察を予定していたが、新型コロナウイルス禍で中止したという。ペロシ米下院議長の訪問で台湾情勢を巡る緊張が高まるなか、中国側が反発を強めるか注目されそうだ。

計8人の議員が台湾を訪問する見通しという。ドイツ社会民主党(SPD)のほか、キリスト教民主同盟(CDU)など与野党の議員が参加する方向だ。10月22~30日の日程で、台湾のほか日本も訪れる予定という。香港に立ち寄ることも検討中だ。ベルリン・台北友好議員連盟の議員団も10月初旬に台湾訪問を計画している。

ドイツなど主要7カ国(G7)外相は3日の共同声明で、軍事圧力を強める中国に対して国際秩序を維持するよう求めた。中国側は声明に反発しており、台湾沖に複数のミサイルを発射するなど緊張が高まっている。ドイツは貿易相手国である中国と結びつきが強いものの、新疆ウイグル自治区を巡る人権問題に懸念を強めている。』

ウクライナ南部原発に砲撃、互いに非難 放射能漏れなし

ウクライナ南部原発に砲撃、互いに非難 放射能漏れなし
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05E4N0V00C22A8000000/

『【カイロ=久門武史】ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは5日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所に砲撃があり、高圧線が損傷したと表明した。ロシア軍の攻撃だとし、放射能漏れはないと指摘している。ロシア側はウクライナの砲撃だと主張し、両国が互いの攻撃と非難している。

エネルゴアトムは高圧線が損傷したものの、原発は稼働し電力供給を続けていると説明した。他方、タス通信によると、ロシア側が一方的に設置した「軍民行政府」は同日、ウクライナ軍の砲撃のため原発の敷地内で火災が発生したと主張した。

ザポロジエ原発は2月にウクライナに侵攻したロシア軍が支配下に置いている。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は今月2日、同原発について「原発の安全に関する原則が破られており、看過できない。状況は極めて不安定だ」と警告していた。』

主要戦線、ウクライナ南部に移動か 外出禁止や原発砲撃

主要戦線、ウクライナ南部に移動か 外出禁止や原発砲撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR062O90W2A800C2000000/

『【パリ=白石透冴】ウクライナ南部ミコライウ州のキム知事は5日、州都ミコライウで同日夜から8日朝までの外出禁止令を出したと発表した。ロシア軍による攻撃が続くなか、内通者をあぶり出すのが目的だとしている。南部では原発も砲撃を受けるなど交戦が激化しており、戦線の中心が、膠着状態の東部から移りつつある。

キム氏はSNS(交流サイト)で市民に対し、「落ち着いて、週末用の買い物を済ませてほしい」などと呼びかけた。ロシア軍による包囲などの差し迫った危険はないとしている。
ただ、ウクライナ軍の位置情報などをロシア軍に漏らす人物がいるとみている。キム氏は7月に内通者特定につながる情報に報奨金100ドル(約1万3千円)を出すと発表している。
英国防省は6日、戦況について「(南部の)ザポロジエからヘルソンにかけての前線で戦いが激しくなっている」と分析。「戦争は新たな局面に入ろうとしている」として、南部が主要戦地になっていることを指摘した。

ロシア軍がへルソンの占領を維持すべく部隊を集める一方、ウクライナ軍は橋や弾薬庫などを攻撃し、補給経路を乱す作戦を取っているという。

ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは6日、南部ザポロジエ原子力発電所が5日に砲撃を受けたことで「安全な操業に重大な危険が出ている」と発表した。発電は続いているものの、火災や水漏れ、放射性物質の拡散の恐れがあるという。

同社はロシア軍のロケットシステムによる砲撃だったと主張し、同原発を占拠するロシア軍に撤退を求めた。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問はツイッターで6日「欧州が今日朝を迎えられたのは、同原発が奇跡的にも爆発しなかったからだ。ロシアは危険な挑発を繰り広げている」と批判した。ロシア側はウクライナが砲撃したと訴えている。

米シンクタンクの戦争研究所は5日、ウクライナ政府の情報として、ロシアがイランから受け取ったドローン46機を既に戦線で使っていることを明らかにした。旧式の攻撃型ドローンも含まれており、ウクライナ軍が使用する米軍提供の高機動ロケット砲「ハイマース」の破壊を狙う可能性があるとしている。』

中国外貨準備2カ月ぶり増加 7月末、債券価格上昇で

中国外貨準備2カ月ぶり増加 7月末、債券価格上昇で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM070TK0X00C22A8000000/

『【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)は7日、7月末の外貨準備が3兆1041億ドル(約419兆円)で、前月末より328億ドル増えたと発表した。2カ月ぶりに増加した。景気の先行き不安から主要国の長期金利が低下(債券価格が上昇)し、外貨準備を押し上げた。

米連邦準備理事会(FRB)によると、7月末時点のドルの主要通貨に対する指数は6月末から0.6%上昇した。ドル換算での外貨準備の評価額を下げるドル高は小幅にとどまり、債券価格の上昇という押し上げ要因が目立った。

中国国家外貨管理局の王春英報道官は「グローバル経済は不安定かつ不確実な要素が明らかに増えており、国際金融市場の振れは大きい」と指摘した。』

北朝鮮、地方経済の苦境深まる 中国との境界ルポ

北朝鮮、地方経済の苦境深まる 中国との境界ルポ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM164U00W2A710C2000000/

『【長白(中国吉林省)=渡辺伸】北朝鮮が続ける新型コロナウイルス禍の境界封鎖を受け、中国に隣接する地方経済の苦境がさらに深まっている。衛星写真のデータによると、市民生活に不可欠な市場の新設はほぼストップしている。中朝境界の中国側から北朝鮮の街の様子を観察してみた。

7月末、中国東北部にある吉林省の長白朝鮮族自治県から鴨緑江をはさんだ北朝鮮北部にある両江道の中心都市、恵山市。マンションや平屋の住宅が並ぶが、夜でもともる照明は少ない。夕方には複数の民家から煙がのぼった。

北朝鮮・恵山市の野外市場で、頭に荷物を載せて歩く住民(7月下旬)=中国吉林省長白から関係者が撮影

「電気やガスが足りないため、薪や練炭を炊事に使っている」。北朝鮮を40回以上訪れた環日本海経済研究所の三村光弘・主任研究員はこう話す。

米中央情報局(CIA)によると北朝鮮で電気を使用できるのはコロナ禍前の2019年時点で総人口の26%のみ。都市部で36%、地方は11%にとどまる。

中国で新型コロナが広がった20年1月下旬、北朝鮮は貿易額の9割以上を占める中国との境界を封鎖した。ウイルスの流入を恐れたとみられるが、境界封鎖による貿易の途絶も追い打ちとなり、電力事情はさらに悪化しているとみられている。

「チャンマダン」と呼ばれる野外市場も厳しい状況に置かれている。日本経済新聞が入手した7月下旬に撮影された写真によると、恵山の中心部ではビルや住宅に囲まれた空き地に市場がある。路上にスイカや野菜が並ぶが、冷蔵設備などは確認できない。住民らはいずれもマスクを着用している。

北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)政権下で闇市場の合法化が進み、事実上の市場経済化の動きが加速したとされる。衛星画像で北朝鮮を分析する米国の専門家、ジェイコブ・ボーグル氏によると、北朝鮮には政府公認と非公式の運営を含め、少なくとも477の市場がある。

北朝鮮・恵山市の街並み(7月下旬)=中国吉林省長白から関係者が撮影

新設された市場は16~19年は毎年4~6カ所だが、20~21年は1~2カ所に減った。増えた市場の面積(既存施設の拡張分を含む)は20年が19年比で68%減の7450平方メートル、21年は同97%減の630平方メートルだった。ボーグル氏は「これらの減少は境界封鎖の影響だろう」と分析する。

船舶による貨物輸送は行われているが、貨物列車の運行停止は続く。長白の貿易関係者は取材に「運行再開がいつになるかは全くわからない」と語った。

共産党の幹部人事を決める党大会を秋に控える中国。当局は北朝鮮からのコロナの流入を警戒しており、早期に陸路貿易が再開するとみる向きは少ない。

【関連記事】

・北朝鮮、コロナ禍で経済苦境 コメ価格2倍・市場閉鎖
・北朝鮮、資金調達・洗浄にNFT利用 規制の抜け穴突く
・「北朝鮮で核爆発装置の実験確認」 国連報告書案 』

中国に軍事演習の即時中止要求、日米豪外相が声明

中国に軍事演習の即時中止要求、日米豪外相が声明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA062IK0W2A800C2000000/

『【プノンペン=朝比奈宏】外務省は6日、林芳正外相と米国のブリンケン国務長官、オーストラリアのウォン外相による声明を発表した。中国に台湾周辺での軍事演習を即刻中止するよう要求した。

日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した中国の弾道ミサイル発射についても「緊張を高め地域を不安定化させている」と非難した。

日米豪各国の「一つの中国政策」と台湾に関する基本的立場に変更はないとも盛り込んだ。3氏は4日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連外相会議を開いたカンボジアで会談した。』

中国軍ミサイル駆逐艦、尖閣諸島周辺を航行 防衛省発表

中国軍ミサイル駆逐艦、尖閣諸島周辺を航行 防衛省発表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA05D000V00C22A8000000/

『防衛省は5日、4日午前から同日夜にかけて中国海軍のミサイル駆逐艦1隻が沖縄県・尖閣諸島の西側の海域を航行したのを確認したと発表した。中国が台湾周辺で4日から開いた軍事演習に参加した可能性があるとみて分析を進める。海上自衛隊の護衛艦が情報収集と警戒監視にあたった。

中国軍は4日に弾道ミサイルを相次いで発射した。防衛省によると5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したもようだ。 』

[FT]遅い米国のハイマース供与 ウクライナは反攻に限界

[FT]遅い米国のハイマース供与 ウクライナは反攻に限界
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0530M0V00C22A8000000/

『ウクライナ侵攻を続けるロシアの部隊は前線から遠く離れた地域に陣取る。そのロシア軍と戦うウクライナ軍に供与された米国製の長距離ロケット砲は命中精度が高く、ひと月足らずでいくつかの大きな戦果につながった。

高機動ロケット砲システム「ハイマース」(6月、千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で撮影)=共同

ウクライナ軍は先週、待ち望んでいた高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使い、ロシア軍が制圧したウクライナ南部ヘルソンの東方、ドニエプル川にかかる1.4キロメートルの長さのアントノフ大橋を攻撃した。ウクライナの当局者が「宝石ほどの価値がある」と評したこの攻撃で、ロシア軍の大型軍用トラックがこの橋を通行するのは不可能になり、同国が2014年に併合を宣言したクリミア半島からヘルソンへの補給路は断たれた。

ハイマースは先週末、補給物資と兵員をクリミアからヘルソン地域へ運ぶ列車を破壊した。ウクライナ内務省の顧問、アントン・ゲラシュチェンコ氏によると、この攻撃でロシア軍兵士のうち80人が死亡、200人が負傷した。英政府当局者は、鉄道の修復に数週間が必要になる可能性があると明らかにした。

100カ所を超えるロシア軍の標的を破壊

自走式で射程が約80キロメートルに及ぶハイマースは、ウクライナの戦場でロシア軍にこのような損害をもたらしている。米国防総省高官によると、ウクライナはハイマースでロシア軍の司令所、弾薬庫、防空拠点、レーダー・通信基地、長距離砲の配備拠点など100カ所を超える重要なターゲットを破壊した。

「『ハイマース』はウクライナにとって、『正義』とほぼ同義語になった。ウクライナ軍は、この極めて効果的なシステムで占領者(ロシア)に毎週、手痛い敗北を経験させるよう、あらゆる手を尽くす」。ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、定例の夜の演説でこのように表明した。

ハイマースは追加の4基が今週、ウクライナに到着し、同国は計20基を保有することになった。米政府は1日、ハイマース用のロケット弾の追加供与を承認した。ドイツは射程約70キロメートルの同種のロケット砲システムを3基、ウクライナに提供した。

ウクライナ側は満足していない。同国政府は、追加のハイマースと、そのためのロケット弾の速やかな供給を求めている。事情を知る関係者によると、ウクライナ政府は3月、少なくとも50基のハイマースの提供を求めていた。

南部ヘルソンの奪還を優先

作戦について説明を受けた3人の当局者によると、ハイマースの供与が十分でないなかで、ウクライナ軍は、兵力と火力の両面でロシア軍に劣る東部のドンバス地域での反攻でなく、3月上旬にロシア軍が制圧したヘルソンの奪還を優先する方針だ。

ウクライナ軍はハイマースでロシア軍の兵器庫を破壊するとともに、ヘルソンにおける補給を妨げ、ウクライナ東部におけるロシア軍の前進を支えた火力の優位を失わせようとした。

「補給路を遮断すれば、(ロシア軍は)砲撃を維持できなくなる。ロシア軍はすでに極めて多量の弾薬を使用している」と、ウクライナ当局者の一人は話した。「ロシア軍は歩兵や威力の弱いマンパッド(携帯式ミサイルシステム)に頼ることになる」

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の軍事アナリスト、サミュエル・クラニーエバンス氏は「ロシア軍がそのような状態に追い込まれれば、ヘルソンの奪還作戦はウクライナ軍の反転攻勢を可能にする重要な機会になる」と指摘する。

ヘルソンは、東部を除けばロシア軍が制圧したウクライナで唯一の大都市だ。ドニエプル川の西岸という地理と、補給路から離れているという点で、余力が十分でないウクライナ軍にとっては格好の攻撃対象になる。

この地域の戦線は穴だらけで、ドニエプル川西岸に陣取るロシア南部軍管区第49軍は包囲されやすい状態にあると英国防省が7月28日、明らかにしている。ヘルソンは「ロシアの支配地域のなかで最も政治的に重要な人口密集地であり、現在は実質的に他の支配地域と切り離されている」と同省は説明した。

ウクライナ南部の当局者は、同国軍がヘルソン周辺で50弱の集落をすでに奪還したと明らかにした。

ウクライナ政府の複数の当局者は、冬がくる前に実行できるロシア軍への本格的な作戦は、ヘルソン奪還だけにとどまるかもしれないと考えている。

ウクライナ軍、領外を攻撃できる兵器の供与期待

ハイマースの供与について、ウクライナ側はペースが遅いだけでなく、発射したロケット砲弾が同国領外に出ないように使用上の制約を受けている事実に不満を募らせている。ウクライナ政府の当局者の一人は、この制約のためロシアの重要インフラの機能を止められないと指摘する。一例として、ケルチ海峡の上にかかるクリミアとロシア本土を結ぶ全長19キロメートルの橋をあげた。

ハイマースを提供する米国が使用を制限するのは、紛争の激化を抑えるためだ。ウクライナ側は、ロシア領内の攻撃が可能な長射程のロケット砲を求めているが、米国は応じていない。

ウクライナの複数の当局者は、1日あたりの攻撃の機会が、弾薬不足で数回に抑えられているともらす。

「ロシア側のすべての位置座標、補給施設や指揮統制拠点の位置を把握しているが、(弾薬不足で)戦況を一変させることができない」という当局者もいる。

ほかの当局者はこう話した。「(ハイマースのような兵器が)ウクライナに供与されるたびに大きく騒がれるが、冷静に計算し、戦略上の必要な水準と比べなければならない。その視点でいえば、私たちが保有する兵器は、その水準の3割に満たない。年内に決定的な反攻作戦を立案できるだけの能力の増強は見込めない。(ロシアに対抗するための)本格的な計画は(兵器の備蓄が整うと思われる)来年に持ち越さざるを得ない」

By Mehul Srivastava, Felicia Schwartz & John Paul Rathbone

(2022年8月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

イラン核合意 革命防衛隊のテロ指定解除、棚上げで一致

イラン核合意 革命防衛隊のテロ指定解除、棚上げで一致
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0584I0V00C22A8000000/

『【ドバイ=福冨隼太郎】イラン核合意の再建を巡り、間接協議をしていた米国とイランは4日、イラン最高指導者に直属する革命防衛隊のテロ組織指定取り消しをいったん棚上げすることで一致した。仲介する欧州連合(EU)の高官がウィーンでの同日の協議終了後に明らかにした。核合意の再建後に解決を図るという。

イランは合意再建の条件として革命防衛隊のテロ組織指定解除を求めていた。合意再建に向けて一歩前進したかたちだが、同高官はイランによる核開発などいくつかの点で隔たりがあるとも指摘。「(合意は)容易ではないだろう。大きな政治的な決断が必要だからだ」と語った。

米国はトランプ前政権時代の2019年、革命防衛隊が周辺国の武装勢力などに武器や資金を提供しているなどとしてテロ組織に指定していた。制裁は核合意とは無関係に導入されたもので、米国は制裁を継続する姿勢を示していた。』

米と中国・ロシア、台湾巡り非難応酬 ASEANは自制促す

米と中国・ロシア、台湾巡り非難応酬 ASEANは自制促す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM054MI0V00C22A8000000/

『【プノンペン=地曳航也】日米中ロと東南アジア諸国連合(ASEAN)など計18カ国は5日、カンボジアの首都プノンペンで東アジアサミット(EAS)の外相会議を開いた。ペロシ米下院議長の台湾訪問で強まる米国と中国の間の緊張が一連の会議に影を落とし、非難の応酬となった。

ブリンケン米国務長官は会議でペロシ氏の訪台後、中国が台湾周辺で実施している大規模な軍事演習について「台湾海峡の現状を変更しようとしている」と指摘。居合わせた中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相を批判した。

林芳正外相は「中国の行動は地域および国際社会の平和と安定に深刻な影響を与える」と演習の即時停止を求めた。複数の国から中国の行動を非難する声が上がった。日本外務省が明らかにした。

韓国の朴振(パク・ジン)外相は台湾海峡が「世界の大型船舶の80%以上が通過する海上交通路だ」と言及し、緊張の高まりに懸念を示した。台湾海峡での対立の深刻化が「朝鮮半島の平和と安定にも否定的な影響を及ぼす恐れがある」とも述べた。

インドネシアのルトノ外相は「インド太平洋地域の平和と安定が損なわれると、世界に連鎖反応を起こす」とにらみ合う大国に自制を促した。

AP通信によると、ブリンケン氏は会議が始まる前、最後に会場に入った。離れた席にいた王氏やウクライナ問題で対立するロシアのラブロフ外相と目を合わせることはなかった。

中ロ外相は会議後、個別に会談した。王氏は「(ペロシ氏の)性急な台湾訪問は『一つの中国』の原則の重大な違反だ」と指摘し、米側に代償を支払わせると警告した。タス通信が伝えた。

EAS外相会議や続いて開いたASEAN地域フォーラム(ARF)の閣僚級会議は日米や中ロ、北朝鮮など政治体制が違う国が集い、地域の安全保障などの課題を協議する枠組みだ。毎年ASEANの議長国で開催し信頼の醸成と紛争の未然の防止をめざしてきた。

今回はロシアのウクライナ侵攻に、台湾海峡での緊張が重なり、当事者間の非難合戦となった。対話を通じた安保環境の向上という本来の目的の達成は難しくなっている。』

中国、米軍幹部との対話停止 台湾「海上封鎖」演習続く

中国、米軍幹部との対話停止 台湾「海上封鎖」演習続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN051FA0V00C22A8000000/

『【北京=羽田野主、ワシントン=坂口幸裕】ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発する中国人民解放軍が、台湾海峡などの「海上封鎖」を念頭に軍事威嚇を強めている。中国外務省は5日、米中両軍幹部の電話協議の停止など8項目の米国への対抗措置を発表した。米中両軍のパイプが事実上とぎれ、偶発的な衝突リスクが高まる。

【関連記事】

・米高官、米軍幹部との対話停止「中国は無責任」
・中国、ペロシ氏訪台で対米制裁 軍幹部の協議取り消し

中国側の対抗措置には、国防当局の実務者会合の停止や、海上軍事安全協議の取り消しも含まれる。

米中は安全保障や経済分野で激しく対立しているが、両軍は複数のチャネルをもち、偶発的衝突を避けるため綿密に連絡を取り合ってきた。中国は今回、両軍幹部が非常時に連絡する「ホットライン」を停止する可能性に言及している。予期せぬ衝突により現場の収拾がつかなくなるリスクがある。

気候変動問題に関する話し合いの一時停止も対抗措置に加えた。中国側はバイデン政権との緊張緩和の糸口になるとみて、この分野では積極的に協議に応じてきた。国際犯罪取り締まり協力の一時停止なども含む。

中国外務省は5日、ペロシ氏とその家族に制裁を科すとも発表した。制裁の具体内容は明らかにしていない。

ペロシ氏は同日、都内の米国大使館で記者会見し「中国が我々の台湾訪問を軍事挑発の口実に利用している可能性がある」と述べた。台湾を囲んで軍事演習を続ける中国を「台湾を孤立させることは許されない」とけん制した。

中国軍が4日に台湾周辺で開始した大規模演習は7日まで続く予定だ。台湾国防部(国防省)は5日、中国軍の航空機と艦船が台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を台湾側に越えたと発表した。ロイター通信によると、同日午前に艦船約10隻、航空機約20機が中間線を越えた。航空機の中間線越えは3日連続で、艦船を交えた連日の実施は極めて異例だ。

中国軍は今回、台湾の東や南東にも演習エリアを設けた。台湾島の東側は中央山脈に遮られ、中国から直接攻撃しにくい要衝とされてきた。だが、戦闘機や給油機の性能向上により、中国軍は台湾の東側や南側の空・海域にも広く展開することが可能になった。

台湾国防部の高官は、演習が「航空・海上封鎖に等しい」との見方を示す。中国軍の空母の2隻体制が確立し、有事の際は台湾東側と台湾海峡の両面で挟み撃ちにする海上封鎖のシナリオが現実味を帯びる。日本から救援に向かう米軍を迎撃し、遮断する態勢を整えつつある。

国防大学の孟祥青教授は中国国営中央テレビ(CCTV)で「南の演習エリアはバシー海峡に近い」と指摘し、中国軍が台湾東側に回り込む際に必要な海峡を押さえる狙いを指摘した。「北のエリアは沖縄に近い」とも話し、沖縄の駐留米軍も対象との見方を示した。

中国軍を監視する米海軍の第5空母打撃群のドネリー司令官は5日、原子力空母ロナルド・レーガン艦上で記者会見し、「我々の戦力を見せることがこの地域の抑止力になる」と述べた。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は4日、レーガンを中心とする打撃群が日本を含む周辺海域で安全任務を続けると発表した。数週間以内に米海軍の艦船が台湾海峡で「航行の自由作戦」を実施することも明かした。

一方、週内に計画していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験は延期する。カービー氏は「地域の緊張を考慮した。危機や紛争の口実を作ってはいけない」と説明した。

米ホワイトハウスは5日までに、秦剛中国駐米大使を呼び、台湾周辺の軍事活動に抗議した。「危機を求めていない」とも伝えた。

【関連記事】日本の対中国外交、岐路に 政経使い分け通じず

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
コメントメニュー

ひとこと解説

日経朝刊では「日本の備えは 」と題し、専門家の話を紹介しています。
①香田洋二・元自衛艦隊司令官は「存立危機事態や重要影響事態になる前の段階で、どう中国を警戒監視するか」を宿題とし、「ミサイル攻撃からの被害を小さくして反撃態勢を保つ必要」を指摘します。
②兼原信克・元官房副長官補は「台湾有事で米国は台湾に向かう。日本を全面的に守ってくれるわけではない」として、「いまのように弾薬がない、部品もないではとても耐えられない」と語ります。
③現状は兼原氏らが5月に出版した台湾有事のシミュレーション本(新潮新書)を、現実がなぞっているようです。日台間の連絡メカニズムの構築など、具体的な対応が急がれます。
2022年8月6日 8:07 (2022年8月6日 10:35更新) 』

米高官、米軍幹部との対話停止「中国は無責任」

米高官、米軍幹部との対話停止「中国は無責任」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05E760V00C22A8000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は5日、ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発する中国が米中両軍幹部の協議を停止するなどの対抗措置を発表したことを「無責任だ」と批判した。「誤算や誤解のリスクを減らすための意思疎通は重要だ」と述べた。記者団に語った。

中国が公表した8項目の対抗措置には、国防当局の実務者会合の停止や、海上軍事安全協議の取り消しも含む。カービー氏は「軍幹部間のすべての対話が遮断されるわけではない」との認識を示した。

米中両軍は複数のチャネルで偶発的衝突を避けるため綿密に連絡を取り合ってきた。中国は今回、両軍幹部が非常時に連絡する「ホットライン」を停止する可能性に言及している。予期せぬ衝突により事態の収拾が難しくなるおそれがある。

米高官は5日までに秦剛中国駐米大使をホワイトハウスに呼び、台湾周辺の軍事活動に抗議した。カービー氏は中国の行動は米国だけでなく、国際社会が反対していると伝えたと明らかにした。

主要7カ国(G7)外相は3日の共同声明で、中国が軍事圧力を強めていることに懸念を表明。東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日「隣接する地域での最近の出来事による国際的、地域的な不安定を懸念する」と記した外相声明を出した。

カービー氏は「米国は台湾海峡とその周辺の事態を注視し、監視を続ける。危機を望んでおらず、中国が挑発的な演習や発信をやめれば緊張緩和に向けて前進できる」と強調した。

8項目の対抗措置には気候変動問題に関する話し合いの一時停止も記した。中国は世界で温暖化ガスの最大の排出国で、カービー氏は「太平洋諸島の海面上昇から欧州の火災まで米国のパートナーに影響を及ぼす」と非難した。

台湾海峡での中国による挑発行為は日本の安全保障の脅威になる。中国軍は4日に始めた台湾周辺での演習で台湾東部沖へ複数のミサイルを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に複数落下した。

ブリンケン米国務長官は5日、訪問先のカンボジアで記者会見し「台湾海峡の平和と安定、自由で開かれたインド太平洋を支持する。 数日、数週間のうちにそのことが分かるだろう」と明言。「日本を含む地域の同盟国の安全保障に対する米国の関与を示すため、さらなる措置を講じる」と話した。

米軍は数週間以内に米海軍の艦船が台湾海峡で「航行の自由作戦」を実施する計画で、威圧的な軍事活動を強める中国軍に対抗する姿勢を示す狙いだ。

ブリンケン氏は現地での米政府系メディアのインタビューで、台湾海峡は多くの商業船舶が通過する海上交通路だと指摘し「不通になれば世界経済に重大な影響をおよぼす」と力説。「海を鎮めるべきだ」と表明した。

【関連記事】中国、米軍幹部との対話停止 台湾「海上封鎖」演習続く

米中Round Trip https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B001&n_cid=DSREA_roundtrip 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
コメントメニュー

ひとこと解説

米中の対話チャネルの途絶は天然災害ではなく人為の産物です。中国が揺さぶりのカードとして使っていることこそ最大の問題です。同様な揺さぶりは日本に対してもかけてきている。4日にカンボジアで予定していた日中外相会談を中国側から中止したのは、その典型です。日本のEEZへのミサイル着弾もしかり。河野太郎氏がいうように、「ミサイルはそこに『落下』したのではなく、そこを狙って撃たれた」のです。「中国は日米の分断をしかけてくる。単に(中国と)仲良くなろうという姿勢は禁物だ」――兼原信克・元官房副長官補はそう語ります(日経朝刊)。黙ってやり過ごし嵐が過ぎるのを待つといった対応は通用しないでしょう。
2022年8月6日 8:54 (2022年8月6日 11:44更新)

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

分析・考察

今回の台湾を包囲する中国の軍事演習という事態を受けて、最も懸念されていることの一つが、米中の軍事的なコミュニケーションチャンネルの断絶で、それにより偶発的な衝突のリスクが増えます。米ソ冷戦においても、いくつかの危機的な状況を経験して両国でコミュニケーションを確保して、全面核戦争を回避してきました。米中の間にはその関係が築かれていないことを今回の事態が再確認したと思います。今後、米中のチャンネル構築が地域の安定と世界の平和のための最重要課題の一つになるでしょう。日本がいざという時に機能するバックチャンネルを中国と作れるのかというのも重要な課題となるはずです。
2022年8月6日 8:16 』

フィリピン大統領「米比関係の強化継続」 米国務長官に

フィリピン大統領「米比関係の強化継続」 米国務長官に
マニラで会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0613V0W2A800C2000000/

『【マニラ=志賀優一】フィリピンのマルコス大統領は6日、マニラを訪問したブリンケン米国務長官と会談した。中国による台湾周辺での軍事演習やロシアのウクライナ侵攻などを受け「全ての変化に直面し、米国とフィリピンとの関係強化を継続する」と語った。6月末に就任したマルコス氏は前政権と比べ対米関係を重視する姿勢を鮮明にした。

ブリンケン氏は「我々は相互防衛条約を締結しており、共通の困難があっても連携していく」と語った。同氏が国務長官としてフィリピンを訪問するのは今回が初めてという。

フィリピンは米国と軍事同盟関係にあるが、ドゥテルテ前大統領は米国と距離を置いた。一時はフィリピンにおける米軍の活動を認める「訪問軍地位協定(VFA)」の存続も危ぶまれた。

マルコス氏は会談で「米比の特別な関係と両国の歴史から、我々はとても密接だ」と強調し、前政権の外交姿勢を修正している。マルコス氏は訪米とバイデン米大統領との会談も調整を進めているという。

マルコス氏は、ペロシ米下院議長の台湾訪問後に中国が台湾周辺で軍事演習を実施したことについて「訪台が対立の激しさを高めたとは思わない」と言及。米国が台湾海峡の緊張を高めたわけではないとする米側の主張に理解を示した。

ブリンケン氏は同日午後、フィリピンのマナロ外相との共同記者会見で「台湾海峡の平和と安定を維持することは台湾だけでなく、フィリピンやほかの国にとっても重要だ」と、中国による軍事演習を非難した。』

米インディアナで中絶制限州法 最高裁判断後で初めて

米インディアナで中絶制限州法 最高裁判断後で初めて
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB062M00W2A800C2000000/

『米中西部インディアナ州議会は5日、人工妊娠中絶を大幅に制限する州法案を可決した。共和党のホルコム州知事が署名して成立した。米メディアによると、米連邦最高裁判所が6月に中絶の禁止を認める判断を示して以降、新たに規制を強化した州法が成立するのは初めてという。

成立した州法は性的暴行によって妊娠した場合などを除き、中絶を厳しく制限する内容で、9月半ばに施行される。

保守派の判事が多数を占める連邦最高裁は6月、中絶を憲法上の権利と認めた1973年の判決を覆した。中絶の是非は米国内で論争の的になり、11月の中間選挙の争点のひとつに浮上しつつある。

中西部カンザス州で2日に実施した住民投票では、6割が中絶規制に反対した。バイデン大統領は、中絶を禁止または制限する州に住む女性が、他州で中絶手術を受けやすくするための大統領令に署名するなど、中絶の権利保護に向けた取り組みを急ぐ考えを示している。

中絶の是非をめぐる判断は各州に委ねられている。一部の州では最高裁が判断を下せば、自動的に発効する法律が事前に成立していたため、中絶を制限する州法がすでに発効している。全米50州の半数ほどが中絶の禁止・制限措置を講じる見込みとされ、インディアナ州と同様に、最高裁判断を受けて新たに規制強化に動く州が増える可能性がある。』