米政権、中国のミサイル発射非難 緊張拡大望まず

米政権、中国のミサイル発射非難 緊張拡大望まず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN050070V00C22A8000000/

『【ワシントン=中村亮、北京=羽田野主】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は4日の記者会見で、中国による台湾周辺での弾道ミサイル発射を伴う軍事演習について「無責任だ」と非難した。米軍が予定していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を延期し、中国と緊張拡大を望まない考えも示した。

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米国のペロシ下院議長は3日、訪問先の台湾で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。カービー氏は「中国は過剰反応し、下院議長の訪問を台湾海峡やその周辺で攻撃的な軍事活動を増やす口実に使うことを選んだ」と断じた。中国軍が台湾周辺に11発の弾道ミサイルを発射したと指摘し「こうした行動が数日は続く」と話した。

カービー氏は「我々が国際法に沿った西太平洋の海や空での活動を自制することはなく、台湾を支持して自由で開かれたインド太平洋を守る」と言及した。米軍が数週間以内に台湾海峡を航行したり、上空を飛行したりすると明らかにした。

オースティン国防長官が原子力空母ロナルド・レーガンを中心とする打撃群についてインド太平洋地域での任務を継続するよう指示したとも説明した。米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とするロナルド・レーガンは現時点でフィリピン海の周辺に展開しているとみられ、当面は同海域にとどまるよう指示したもようだ。

カービー氏は日本を含む同盟国への防衛に関与する姿勢を示すために追加措置をとるとも言明したが、具体策には触れなかった。

カービー氏は「我々も危機を模索したり、望んだりしない」とも訴えた。具体策として米軍が今週予定していたICBMの発射実験は延期したと指摘した。中国との対話ルートを維持していくと述べた。

米国で下院議長は、大統領継承順位で副大統領に次ぐ立場にある。ペロシ氏の台湾訪問は米国の強い支持を示すものだ。中国は激しく反発し、台湾を取り囲むように6カ所の地域を指定して軍事演習を実施している。

中国外務省の華春瑩報道局長は4日の記者会見で軍事演習について「中国の国家主権と領土を守るためであり、台湾独立の分裂勢力と外部干渉勢力に対抗するためだ」と強調した。「台湾海峡の緊張は米国側の手によってもたらされた。ペロシ米下院議長の台湾訪問がなかったら、今日のような状況にはならなかった」との見解を示した。

華氏は日本の排他的経済水域(EEZ)内へのミサイル落下に関しては「日中は関係海域の境界線を画定していないため、中国側の軍事行動が日本のEEZ内に入っているという話はない」と主張した。

中国の孔鉉佑駐日大使も、4日のオンライン会見で軍事演習は「完全に正当で合法的であり、慣例に基づいて(日本を含めて)事前に警告を出している」と述べた。
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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 准教授
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別の視点

中国は昨日発射したミサイルに、極超音速の東風17号が含まれていたとしています。米国もまだ開発しきれていない技術とのことです。
今回の中国の軍事演習区域は3ヶ所で台湾の領海に大きく食い込んでいます。台湾の「主権」に実際に手をつけ始めたということです。演習区域を台湾海峡に限定せず、台湾を包囲し、台湾島を飛び越えてミサイルを飛ばすという演習は、中国側も「初めて」と喜びを込めて伝えていますが、逆に言えば明らかな現状変更です。
米国の下院議長の訪台でエスカレートした緊張。米国はその結果に責任を持って対処するのでしょうか。それとも座視するだけでしょうか。それによって日本がとりうる政策も大きく変わります。
2022年8月5日 8:30 (2022年8月5日 12:44更新)

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

すぐに戦争になるとは思えない。吠える犬は人を咬まない。黙っている犬のほうが怖い。ただし、米中の対立が先鋭化して、東アジアの地政学リスクは一段と高まっていく可能性が高い。とくに企業にとってこれからのグローバルビジネスを展開するうえで、これまで以上に地政学リスクをきちんと管理しないといけない。
2022年8月5日 9:43 』