OPECプラス、追加増産で閣僚協議 バイデン氏訪問後初

OPECプラス、追加増産で閣僚協議 バイデン氏訪問後初
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『石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は3日、9月の原油増産ペースを議論する。バイデン米大統領が7月のサウジアラビア訪問で増産を求めてから初の協議となる。世界の景気減速で原油は供給過剰感が強まる。中東産油国はロシアとの協調も重視しており、市場では大幅増産に慎重との見方がある。

OPECプラスは7、8月の増産幅を日量64万8千バレルとしている。今回議論する9月の増産幅について、ロイター通信は7月28日、据え置きか小幅な拡大にとどめるというOPECプラス関係者の見方を伝えた。9月以降の生産計画は中長期の目標を定めず、ロシアなどと協調を保ちながら翌月分を小刻みに調整するとの観測も出ている。

今回の協議が注目されるのは、バイデン氏が7月にOPECを主導するサウジを訪問し、サルマン国王、ムハンマド皇太子に原油増産を求めてから初の会合になるためだ。ロシアのウクライナ侵攻などでWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は1バレル90ドル台半ばと1年前より3割高い。11月の米中間選挙を前にガソリン高対策を急ぐバイデン氏にとって追加増産を引き出せるかどうかは重要なテーマだ。

7月の首脳会談後、サウジは具体的な増産の言質を公には与えていない。サウジのファイサル外相は「OPECプラスが市場の状況を注視し必要に応じて供給する」と述べ、増産の判断は「市場次第」との予防線を張った。

米政府高官は7月末にも重ねて、追加増産に期待を表明した。サウジも黙殺しづらく、3日のOPECプラス閣僚協議でもう一段の増産を唱えるとの観測がある。しかし、ウクライナ侵攻で米欧の制裁を受け生産を減らしたロシアにとって、一部の国の増産加速は抜け駆けの利敵行為に映る。サウジはロシアとの結束を重視する姿勢を変えてはいない。

サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は7月29日、首都リヤドでロシアのノワク副首相と会談し、緊密な連携を印象づけた。ロシア政府の発表によると、両国は「市場の安定維持と需給バランスの回復というOPECプラスの目標に断固として取り組む」と確認した。

米ロの間でバランスをとりながら原油安を避けたい中東産油国にとって、世界的な景気減速懸念も追加増産に二の足を踏む背景だ。国際通貨基金(IMF)は7月、世界の2022年の実質成長率見通しを前回見通しの3.6%から3.2%に下方修正した。インフレやそれに対応する米欧の利上げが逆風となる。中国の新型コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)も原油需要に影を落とす。

国際エネルギー機関(IEA)は7月の月報で、世界の原油需給は22年4~6月に日量110万バレルの供給過剰に転じたと指摘した。22、23年の需要予測を下方修正し、供給過剰が当面続くとの見方を示した。原油相場はWTIが120ドル台をつけた6月に比べると安く、産油国が増産を急ぐ理由は乏しい。

OPECプラスで増産余力を持つのはサウジとアラブ首長国連邦(UAE)だけで、能力の上限に近づいている事情もある。ナイジェリアなどアフリカの産油国は投資不足がたたり生産目標割れが続く。

原油の需給が足元で供給過剰なのは、ロシアの生産が想定より減っていないことも一因だ。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは「暫定的な集計値だが7月のロシアの生産量は日量1082万バレルと、ウクライナ侵攻開始前の2月時点の1106万バレルに比べ24万バレルの減少にとどまった」と指摘する。

IEAは侵攻直後の3月、7月時点のロシアの生産は日量828万バレルと侵攻前比で300万バレル近く落ち込むと予想していた。中国やインドがロシア産原油を輸入しており、「現実の生産は当初の想定に比べて大幅に上振れしている」(野神氏)。

一方、23年以降は禁輸の効果などでロシア産の供給が落ち込むとの見方もある。需給の先行きが不透明のなか、米国とロシアの間に立つOPECプラスは難しいかじ取りを迫られている。

(カイロ=久門武史、コモディティーエディター 浜美佐)

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