台湾周辺高まる緊張、中国演習に米軍厳戒 ペロシ氏訪台日本も監視強化

台湾周辺高まる緊張、中国演習に米軍厳戒 ペロシ氏訪台
日本も監視強化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA033AV0T00C22A8000000/

『ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて、周辺地域の軍事的緊張が高まってきた。中国軍は台湾周辺で演習を始めた。沖縄の在日米軍嘉手納基地には外部から多数の給油機が集結した。台湾から地理的に近い日本も不測の事態に備えて自衛隊が監視を強める。

台湾メディアによると中国軍はペロシ氏の訪台を前に、空母「遼寧」と「山東」をそれぞれ山東省青島と海南省三亜の基地から出航させた。南北から挟み込むように台湾へ向かう構図になる。2日夜からは台湾周辺で合同演習を始めた。

【関連記事】中国、台湾取り囲む軍事演習 実弾使い大規模に

松野博一官房長官は3日の記者会見で、中国が4日から予定する演習地域に日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれると指摘した。「実弾射撃訓練という内容も踏まえ中国側に懸念を表明した」と明らかにした。

「防衛省・自衛隊は平素より日本周辺の海空域で警戒監視、情報収集活動をしている」とも強調し、中国軍の動向を注視する姿勢を示した。

中国外務省の華春瑩報道局長は3日の記者会見で「中日は関係する海域でまだ境界線を画定していない。日本のいうEEZの見解を中国は受け入れない」と反論した。

中国軍はペロシ氏の訪台前から活発な動きをみせていた。防衛省によるとフリゲート艦1隻が7月27~31日の5日間にわたり沖縄県・尖閣諸島沖を動き回っていた。台湾の北東に位置する海域でもあった。

30日にはミサイル駆逐艦が沖縄本島と宮古島の間、31日には別のフリゲート艦が与那国島と台湾の間を南へ航行した。

元海自幹部は「中国の軍事演習が激しくなれば護衛艦や警戒機などを展開して情報収集に努めるだろう」とみる。小野寺五典元防衛相は8月3日、ツイッターに「しっかり備えるよう政府に要請した」と投稿した。

米軍にも通常とは異なる動きがある。沖縄防衛局によると嘉手納基地に2日午後4時時点で同基地所属ではない空中給油機「KC135」22機が駐機し、3日午後4時時点でも21機が確認された。

同基地では戦闘機「F15」も離着陸を繰り返しているもようだ。空中給油機は戦闘機が長距離を飛行しながら、長時間の戦闘ができるよう支援する役割を持つ。燃料消費が激しい空中戦の際、給油機の有無が戦況を左右する。

ペロシ氏が搭乗したとみられる米軍機はクアラルンプールを2日午後に離陸し、同日夜に台湾へ着陸した。嘉手納基地の動きはペロシ氏が乗った飛行機の警戒にあたった可能性もある。

ペロシ氏の米軍機はインドネシアのカリマンタン島付近やフィリピン東方の海上を通って台湾に向かった。中国が軍事拠点化を進める南シナ海上空は迂回した。不測の事態を避ける思惑があったとみられる。

嘉手納基地には7月30日に空母艦載輸送機「C2」も飛来した。

沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の近くに米原子力空母ロナルド・レーガンが展開する。強襲揚陸艦トリポリ、強襲揚陸艦アメリカも配置しており、厳戒態勢をとっている。

中国外務省はペロシ氏の台湾訪問前から「必ず報復措置をとる」と強調していた。

激しい反発をみせる背景にはペロシ氏の米大統領の継承順位2位という立場がある。これまでに米国の閣僚が台湾に入った際も不満の表明はあったが、今回ほどではなかった。

中国は相手国の序列を重視する。日本の政府関係者の靖国神社参拝についても首相や外相らとそれ以外を分けていたとの分析がある。

習近平(シー・ジンピン)国家主席が先の米中首脳電話協議でペロシ氏の訪台に「火遊びは身を焦がす」と強い表現で警告を発したゆえんでもある。(根本涼、北京=羽田野主)

【関連記事】

・ペロシ氏、蔡総統と会談「米台は団結」 台湾離れ韓国へ
・岸田首相、ペロシ米下院議長と5日に会談 台湾巡り協議
・挑発いなせぬ「脆き大国」 中国、ペロシ氏訪台に猛反発
・ペロシ氏訪台、台湾経済に逆風も 強まる中国依存
・台湾問題「中日の政治的根幹」 中国大使館が談話発表 』