スリランカ大統領、IMFとの支援交渉「8月中に再開」
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『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのウィクラマシンハ大統領は3日の議会演説で、経済再建に向けた国際通貨基金(IMF)との協議について「8月中に再開する」との見通しを明らかにした。対外債務の返済に行き詰まっている同国はIMFに金融支援を要請しているが、政府に対する抗議活動の激化で7月にラジャパクサ前大統領が辞任に追い込まれるなど混乱が続いていた。
かねて経常収支の赤字に直面してきたスリランカは、4月に経済再建のメドがつくまで対外債務の返済を一時停止すると発表した。6月にはIMFの代表団が同国を訪れ、金融支援について政府関係者らと協議を実施していた。
ロイター通信によると、ウィクラマシンハ氏は3日の演説で「近くIMFに債務再編計画を提出する」と表明した。「大統領は王や神である必要はない」とも述べ、大統領権限を縮小する憲法改正に前向きな姿勢も示した。
スリランカでは経済危機をきっかけに、政府の要職を一族で占めてきたラジャパクサ前政権に対する不満が高まった。7月には抗議デモ隊が大統領公邸などを一時占拠し、ラジャパクサ氏は国外に脱出して大統領を辞任した。首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が、同月20日に議会投票で新大統領に選出されていた。
同国では新型コロナウイルスにより観光業が低迷し、外国人観光客の減少で外貨準備高が急減した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の悪化なども重なり、輸入品を中心とした生活必需品の不足や高騰が続いている。主な指標であるコロンボ消費者物価指数の7月の上昇率は、前年同月比で60.8%を記録していた。
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