「米中に地政学的対立」 国連事務総長、台湾めぐり懸念

「米中に地政学的対立」 国連事務総長、台湾めぐり懸念
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『【ニューヨーク=白岩ひおな】グテレス国連事務総長は3日、日本経済新聞などの取材に応じ、米中関係について「地政学的な問題など立場が大きく異なる領域がある」と述べ、ペロシ米下院議長の台湾訪問をめぐる緊張が高まっていることに懸念をにじませた。「利害が一致する問題では、世界環境に大きな影響を与える両国が共に交渉すべきだ」と述べ、気候変動対策など国際社会が直面する課題での協力を呼びかけた。

一方、ペロシ氏の台湾訪問自体については「国連の立場は非常に明確だ」と述べ、国連が中華民国(台湾)に代わり中華人民共和国の代表権を認めた1971年の「アルバニア決議」を確認するにとどめた。

グテレス氏は広島市で6日に開く原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)への出席を前に、日本メディアのインタビューに答えた。「核兵器の使用は全く容認できず、核兵器を保有する国はいかなる(行使の)可能性も認めない明確な責任を負っている」と指摘し、ウクライナ侵攻で核兵器の使用を示唆するロシアをけん制した。

「20世紀に大きく進んだ核軍縮が現在は逆戻りしている」との認識を示した上で、1日に開幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議では「核軍縮のためのダイナミズムを再構築することが絶対に必要だ」と決意を語った。「広島と長崎の悲劇を経験した道徳的立場から、核兵器の使用は絶対に容認できないということを伝えるのに日本ほど適した国はない」と述べ、唯一の戦争被爆国である日本の役割に期待を示した。

5月には中ロの拒否権発動で、安全保障理事会で対北朝鮮の新たな制裁決議案が初の廃案となった。「安保理がさまざまな問題をめぐる合意に難航しているのは事実だが、そのことが(既存の)決議の性質や、北朝鮮やいかなる国による核実験も容認できないという方針を変えるものではない」と説明した。北朝鮮は今年、弾道ミサイルの発射による挑発を繰り返しており、核実験に再び踏み切るリスクも指摘されている。

日本は2023年1月から12回目となる非常任理事国も務める。グテレス氏は「日本は平和と安全保障に関連して非常に明確な視点を持っており、多国間主義の支柱として日本の知恵が困難な状況で役に立つと確信している」と期待を示した。

NPT再検討会議でとりまとめをめざす最終文書では、核リスクの低減や原子力に関する国際協力なども盛り込みたい考えを示した。イラン核合意については「現代における最も重要な民主主義の成果のひとつだ」として再建交渉の進展を求めた。

グテレス氏は5~8日に来日し、広島市で6日に開く平和記念式典に出席するほか、岸田文雄首相とも会談する。国連の事務総長が広島の式典に出るのは10年に潘基文前事務総長が参加して以来12年ぶり。グテレス氏は18年に長崎市の式典に出席した。 』