NPT会議で中ロに非難続出 岸田首相「米中対話促す」

NPT会議で中ロに非難続出 岸田首相「米中対話促す」
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『【ニューヨーク=白岩ひおな、奥山美希】核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が1日、米ニューヨークの国連本部で7年ぶりに開幕し、各国代表が演説した。ウクライナ侵攻での核使用をほのめかすロシアや、核戦力増強を進める中国への非難が相次いだ。日本の首相として初めて演説した岸田文雄首相は「核軍縮・軍備管理で米中間の対話を後押しする」との考えを示した。

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NPT再検討会議は26日まで開く。1~4日に各国が演説した後、3本柱である①核軍縮②核不拡散③原子力の平和利用――の各テーマに分かれて議論する。核弾頭の削減や保有数の透明性確保に向けた目標と行動計画で合意をめざすが、欧州などで核による抑止力を求める声が高まるなかで進展のハードルは高い。

各国代表による演説では、ロシアに対する批判の声が続出した。6日に広島県を訪問するグテレス国連事務総長は「人々は広島と長崎の惨禍から得た教訓を忘れようとしている」と強調した。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮などに言及し「核の潜在的な危機が膿(うみ)を生んでいる」と述べ、締約国に核兵器の不使用と核軍縮交渉へ貢献するよう求めた。

米国のブリンケン国務長官は「われわれの世界には強制や威嚇、恐喝に基づく核抑止の居場所はない」と述べ、ロシアによる核使用の示唆やウクライナでの原子力発電所の占拠を批判した。バイデン大統領は会議にあわせて声明を出し、2026年に期限切れを迎える米ロの新戦略兵器削減条約(新START)をめぐって「新たな交渉の用意があるが、交渉には積極的で誠実なパートナーが必要だ」とクギを刺した。

会合に先立ち、米国、英国、フランスの核保有国3カ国は「ロシアは無責任で危険な核のレトリックや行動をやめ、国際的な約束を守るべきだ」との共同声明を出した。米英仏中ロの核保有五大国は1月に核戦争の回避に向けた共同宣言をまとめたが、その直後の2月にロシアがウクライナに侵攻し、核軍縮をめぐる5カ国の対話は停滞している。ロシアの代表は2日以降、演説をする予定だ。

各国からは、中国の核戦力増強を懸念する声も上がった。デンマークのイェッペ・コフォズ外相は「中国の核兵器が増え続けている」と指摘。「中国は責任ある核保有国として、軍備管理プロセスに積極的に関与すべきだ」と語った。

岸田首相は演説で、中国を念頭に透明性の向上などを盛り込んだ行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を示した。柱の1つとして、米中双方の核軍縮に関わる対話の橋渡しを担うと主張した。記者団に「来年の広島サミットにつなげるためにも、まずは今回の会議で具体的な成果を出すために努力していきたい」と述べた。

中国の張軍国連大使は1日の記者会見で、世界の核弾頭数の9割を占める米ロを念頭に「最大の保有国が独自の特別な責任を負っており、核軍縮、核不拡散、平和利用の推進において、真っ先にその役割を果たすべきだ」と述べた。

岸田首相は1日午後(日本時間2日未明)には国連のグテレス事務総長と会談し、NPT再検討会議の成果を緊密に連携していく方針を確認した。非核保有国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」ハイレベル会合にも、日本の首相として初めて出席した。「分断が深まる国際社会で立場の異なる国々が共通の利益のために糾合するNPDIの役割が重要だ」と述べた。』