岸田文雄首相、核戦力の情報開示を要請 NPT会議演説

岸田文雄首相、核戦力の情報開示を要請 NPT会議演説
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『【ニューヨーク=奥山美希】岸田文雄首相は1日(日本時間2日未明)、ニューヨークで開いた核拡散防止条約(NPT)再検討会議に出席して英語で演説した。核兵器数のさらなる削減などに向けて「全核兵器国に責任ある関与を求める」と述べ、各国に核戦力の情報開示を求めた。

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日本の首相が同会議に出席したのは初めて。首相は核兵器の危険性を世界に伝えるため各国の若年層に被爆地への訪問を呼びかけた。そのために国連へ1000万ドル(13.2億円)を拠出して基金を創設すると表明した。

包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指し、9月に初の首脳級会合を主催すると説いた。各国リーダーが核軍縮を議論する国際賢人会議を11月23日に広島で開くと明らかにした。

首相は「核兵器のない世界」という目標を掲げる一方で核の脅威が増す安全保障環境に対応した行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」に取り組むと訴えた。①核兵器不使用の継続②核戦力の透明性向上③核兵器数の削減傾向を維持④原子力の平和利用の促進⑤被爆地訪問の促進――が骨子だ。

「世界の核兵器数が冷戦期のピークから減少したが、いまなお1万数千発の核兵器が残されている」と指摘した。「減少傾向の継続は極めて重要」と話した。

核戦力の透明性に関しては特にプルトニウムなどの核分裂性物質の生産実態を示すよう唱えた。情報を明らかにしない中国が念頭にある。「核軍縮・軍備管理に関する米中間での対話を後押しする」とも主張した。

ロシアのウクライナ侵攻に触れ「核兵器による威嚇や使用はあってはならない。長崎を最後の被爆地にしなければならない」と語った。核兵器の不使用を続ける重要性を国際社会で共有すべきだと強調した。

核兵器の開発や使用、威嚇を全面的に禁じる核兵器禁止条約には言及しなかった。核兵器国と非核兵器国の双方が参加するNPTの下で核軍縮を進める方向性を示した。
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

NPT再検討会議に首脳レベルが出席するのは異例のことですが、それゆえに岸田首相のメッセージを世界に伝えるには、いい機会だったと思います。演説にもあるように、ウクライナ侵攻を行ったロシアが、核兵器の使用の可能性を排除せずに威嚇にも使っている中で、世界は核兵器が使用される懸念を持つようになっており、そのような中で、改めてNPTの意義を強調して賛同を求めることに意味があると思います。また核兵器禁止条約に言及せずに既存の核兵器による相互抑止体制を否定しない現状に即した姿勢は、自国の安全保障のためにも、空虚な理念先行に陥らずに核保有国の賛同を得るためにも、重要だと思います。
2022年8月2日 8:19

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