中国、改正独占禁止法が施行 ネット大手の統制狙う

中国、改正独占禁止法が施行 ネット大手の統制狙う
取り締まりの矛先、外資系企業から「プラットフォーマー」へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2845Q0Y2A720C2000000/

『中国政府は8月1日、改正独占禁止法を施行した。改正の狙いはネット大手に対する統制の強化だ。2021年の独禁法違反の罰金(没収を含む)総額に占めるネット業界の比率は9割を超え、民営企業が中心のネット大手が標的となった。エネルギーや通信業界などでは国有企業の寡占が続いており、消費者の利益を損ねる恐れを指摘する声も出ている。

独禁法は08年8月1日に施行された。今回は初めての改正で、ライバルとの取引を事実上禁じるルールなどの乱用による競争制限の禁止を明記した。実はネット大手の摘発は昨年から相次いでおり、ネット大手に対する取り締まりの実態に独禁法が追いついた格好だ。

中国で独禁法は政府の思惑を実現する手段として利用されてきた。施行当初は外国企業の中国事業を抑制するための法運用が目立った。当局は09年に米コカ・コーラによる中国飲料大手の買収を承認せず、15年には米半導体大手クアルコムに優越的地位を利用した不正行為があったとして60億元(約1200億円)の罰金を科した。

ネットの台頭に伴って「プラットフォーマー」と呼ばれる企業が出現すると、政府の矛先は変わる。政府は19年に独禁政策を担う国家市場監督管理総局に対してネット大手を厳しく取り締まるよう指導し、独禁法改正の検討を進めた。

具体的には、当局は20年11月にライバル企業と取引しないように「二者択一」を求めることは独禁法違反にあたるとして摘発に乗り出す。21年4月にネット通販最大手のアリババ集団に182億元に達する過去最大の罰金を科し、10月には食品宅配最大手の美団に34億元の罰金を科した。アリババは当局の指導に従うと表明し、美団も「二者択一」を断ち切ると発表した。

中国の独占禁止法の標的となる美団の出前サービス(AP)

21年の独禁法違反の没収を含む罰金額は235億元で、20年の約50倍に急増した。中国メディアによると、このうちネット大手が市場での支配的な地位を乱用した案件などの罰金が217億元にのぼり、罰金全体の92%に達したという。

一方、国有企業の寡占や独占には切り込まない。習氏は「国有企業は国民経済の重要な柱だ」と発言しているためだ。実際、国有石油大手3社が牛耳る地域のガソリン価格は高止まりし、北京―上海間の高速鉄道の料金は値上げが続く。

中国メディアによると、政府系シンクタンク、中国経済改革研究基金会国民経済研究所の王小魯副所長は7月の会合で「(当局は)長期にわたって国有企業の独占や寡占の問題に触れておらず、鉄道、石油や通信、航空、金融など多くの領域で様々な形で独占や寡占が存在する」と指摘した。(北京=多部田俊輔)』