フィリピンPLDT、太平洋横断の光海底ケーブル開通

フィリピンPLDT、太平洋横断の光海底ケーブル開通
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM298U10Z20C22A7000000/

『【マニラ=志賀優一】フィリピンの通信大手PLDTは29日、同国と米西海岸を結ぶ太平洋横断の光海底ケーブル「ジュピター」が開通したと発表した。ソフトバンクや米アマゾンなどと連携して建設を進めてきた。インターネット利用時間の長さが世界有数のフィリピンでデジタルサービスの利用が拡大するなか、高速で安定的な通信環境を整える。

PLDTのアル・パンリリオ社長兼最高経営責任者(CEO)は同日マニラで開いた記者会見で「ジュピターはデジタル経済を推進するため、フィリピンの通信容量を急激に高める」と語った。

ジュピターは米西海岸と日本、フィリピンを結び、長さは約1万4000キロメートルに及ぶ。同ケーブルの全面開通で、同社の海外との通信容量は従来の3倍となる毎秒60テラ(テラは1兆)ビットになるという。

ジュピターは2017年にPLDTとソフトバンク、アマゾンのほかNTTコミュニケーションズ、米フェイスブック(現メタ)、香港のPCCWグローバルの計6社が共同で協定を結び、建設を進めてきた。PLDTは70億ペソ(約170億円)を投資した。PLDTは高速通信規格「5G」やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など、デジタルサービスの利用拡大に必要な高速・低遅延の通信環境を整備する。

英調査会社ウィー・アー・ソーシャルがまとめた「デジタル2022」によると、フィリピンでは16~64歳のネット利用者の1日あたり利用時間は約10時間半と、世界平均より5割程度多い。世界でも有数のネット大国で、アジアでは最も長い。

PLDTは安定的な通信環境を整備することで、データセンター事業の拡大も狙う。アジアのデータハブの一つである香港では反体制活動を禁じる香港国家安全維持法が施行された。同社は欧米の大手企業などが香港以外に拠点を構えようとした場合、フィリピンが受け皿国の一つになるとみている。

すでにハイパースケーラーと呼ばれる世界的大手の誘致に向けて交渉が進んでいるという。

同国では米起業家イーロン・マスク氏率いるスペースXが22年内に衛星通信を活用したネットサービス「スターリンク」を始めることを表明するなど、通信環境の整備が急速に進んでいる。』