パウエル議長の一言の破壊力 : 机上空間

パウエル議長の一言の破壊力 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29298299.html

『日本時間で昨日の早朝に、FRB議長であるパウエル議長の米国政策金利についての発言があったのですが、これが、ものすごい破壊力で、市場の流れを変えています。政策金利自体の発表は、日本時間で明朝の3時にありました。ポイントは、0.75の利上げ。これは、市場が予想している範囲を出ていなかったので、円安は進行するどころか、少し後退しました。とは言え、日本円との金利差は開くので、円高に動いたと言っても30pipsくらいです。

問題は、その30分後に話された、パウエル議長の発言です。基本的には、各種経済指標を検討して、慎重に事を進める。予め方針を決めて、その通りに動くような事はしない。その時々の情勢で、どんな選択肢も取りうるという、何とも慎重な展開だったのですが、最後に付け加えた一言で、世界のマーケットが動きました。「今後、インフレが落ち着けば、利上げのペースを落とす。アメリカ経済は、依然として頑強であり、失業率も低い。まだ、利上げには耐えうる」という「見解」を示しただけなのですが、これで、ニューヨーク・ダウは、500ドル以上跳ね上がり、円高が2円進行しました。今現在では、4円も円高ドル安になっています。債券市場も活況を呈して、断続的に買いが入り、海外ヘッジファンドと日銀の間で繰り広げられていた戦いは、逆回転が入って、ほぼ海外ヘッジファンドの負けが確定しました。

日本国債の金利は、0.175%と、防衛ラインの0.25%を大きく割り込み、恐らく日本国債に売り圧力をかけていた海外ヘッジファンドは、神風に翻弄されたモンゴル帝国の侵略軍並にパニック状態になっていると思われます。いや、実際、個人で日本国債の売りに張っていた投資家は、屍累々だと思います。既に、発表前で、ほぼ決着が着いていた日銀と海外ヘッジファンドとの戦いですが、完全にトドメを刺しにきてますね。海外ヘッジファンドは、ものすごい損失を出したと予想されます。

この動きを、どう解釈するかは、人それぞれでしょうが、現代の世界経済が、いかに実態とかけ離れて、感情で動いているかを示す好例と思われます。米ドルは基軸通貨ではありますが、その金利に対して、政策金利の責任者が「見解」を述べただけで、債権・株・通貨レートで、合わせて何十兆円の資金が、動くのです。

具体的にアメリカのインフレが鈍化しているという経済指標は、何ひとつ出ていないので、今後もドルの政策金利は上がり続ける可能性が高いのですが、まるで年初からのサイクルが逆転したかのような動きです。言ってしまえば、今の株高は、フェイクになるかも知れないという事です。次回のFRBの政策金利の発表は、9月になるのですが、ここで0.75ポイントの金利引き上げが続くようならば、更に逆回転して、今度は株安に転換する可能性もあります。つまり、相場が不安定で危険な状態です。

うまく乗れた人は、この数日で、大儲けしたでしょうが、逆に大損した人も出ているでしょう。経済を取り巻く客観的な環境から見て、この相場の動きは、余りにもイレギュラーです。いやぁー、怖い。怖い。今の円高基調は、単なる短期のトレンドで終わるかも知れませんが、この勢いだと、130円/ドルを切って、125円辺りまで円高が進むかも知れません。しかし、冷静な目で環境を見ると、その後にまた円安に進むでしょうねぇ。だって、何一つインフレ解消の具体的な根拠が出ていないのですから。』