北朝鮮、韓国と対決姿勢 金正恩氏「尹政権は最も非道」

北朝鮮、韓国と対決姿勢 金正恩氏「尹政権は最も非道」
しぼむ対話、南北緊張へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM283G60Y2A720C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『【ソウル=甲原潤之介】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が韓国との対決姿勢を鮮明にした。朝鮮中央通信によると、27日に朝鮮戦争休戦69年の記念行事で演説し、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の防衛政策を名指しで非難した。韓国は米国と8月の合同軍事演習を通じて抑止力強化を打ち出す方針だ。南北の緊張が一段と高まるのは確実だ。

韓国大統領府国家安保室は28日、金正恩氏の演説について「大統領の実名をあげて韓国政府を威嚇する発言をしたことに深い遺憾の意を表明する」というコメントを発表した。そのうえで「いかなる挑発にも強力に対応する態勢を整える。北朝鮮が対話の道に出るよう促す」と表明した。

大統領に5月就任した尹氏を金正恩氏が名指しで批判したのは初めて。演説で「尹錫悦が政権をとる前後に言い放った妄言を正確に記憶している。歴代のどの保守政権をもしのぐ極悪非道な同族対決政策に執着し、朝鮮半島を戦争の境目に導いている」と述べた。

尹氏は文在寅(ムン・ジェイン)前政権の南北融和路線を転換し、米韓同盟による北朝鮮の抑止を重視する政策を採用する。米国の核兵器で相手の核使用を抑える「拡大抑止」の拡充も掲げる。8月下旬には4年ぶりに野外訓練を交えた米韓合同軍事演習を計画する。

金正恩氏はこうした尹政権の方針に反発した。相手による攻撃の兆候を捉えて基地などを先に攻撃する「先制打撃」や、米国の戦略爆撃機を韓国に展開する議論などを具体的に取り上げた。先制打撃、ミサイル防衛、相手への報復という3段階で防衛する韓国の「3軸体系」にも触れ、「危険な試みだ」と強調した。

そのうえで自らを「核保有国」と明示し、「絶対兵器(核兵器)を保有するわが国を相手に軍事行動をあれこれ言うのは危険な自滅的行為だ」と述べた。韓国が先制打撃に出るならば「尹政権と彼の軍隊は全滅するだろう」と警告した。

金正恩氏は尹政権発足後、南北関係に言及していなかった。だが、27日の演説で立場を鮮明にしたことで、南北間の対立は決定的になった。

韓国・慶南大の林乙出(イム・ウルチュル)教授は「韓国と米国が軍事演習を頻繁に実施すればするほど、北朝鮮はより深刻なレベルの安全保障の危機をもたらすだろう」と指摘する。「韓米両国が強硬姿勢のほかに明確な解決策を提示できておらず、朝鮮半島情勢はさらに悪化せざるを得ない」との見方を示す。

過去の例を見ても、韓国の保守政権下では南北の緊張が高まりやすい。李明博(イ・ミョンバク)政権だった2010年には北朝鮮が韓国の延坪島(ヨンピョンド)を砲撃する事件が発生した。韓国の兵士2人と民間人2人が死亡した。

韓国の政治情勢も朝鮮半島の緊張を高める要素になる。尹政権の支持率は発足時の50%台から30%台に下落した。支持率の低迷が続く場合、保守層の関心を維持するうえで北朝鮮との対決姿勢を緩めるのは困難になる。

金正恩氏は「最も大きな危険の前に立たされた政権と言われるのを避けたければ、最初から我々を相手にしないことが得策だ」と述べた。尹政権を対話の相手とみなしていない事実は、こうした発言からもうかがえる。

北朝鮮による7回目の核実験に向けた布石との見方もある。日米韓はすでに、北朝鮮が準備を終えたとの認識を共有している。

金正恩氏は演説で、朝鮮戦争を「民主主義陣営と帝国主義陣営の対決」と表現した。北朝鮮を「民主主義」、米国を「帝国主義」と位置づけたうえで「米国とのいかなる軍事的衝突にも対処する用意ができている」と語った。

韓国・漢拏(ハンラ)大の鄭大珍教授は、金正恩氏が演説を通じて「北朝鮮の観点による国際認識を強調し、自らの軍事活動の正当性を確保しようと努めた。追加の核実験を控え、米国と対決する局面だという見方について、中国とロシアにも共感してもらう狙いがある」と解説する。 』

台湾と協力「安倍氏後」探る 議員外交の動き相次ぐ

台湾と協力「安倍氏後」探る 議員外交の動き相次ぐ
安全保障軸にパイプ構築
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25A4V0V20C22A7000000/

『日本の国会議員が台湾を訪問する動きが活発になってきた。台湾は安全保障上の重みが増す半面、政府間の外交関係がないため、議員外交がパイプの役割を持つ。日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響も踏まえ、新たな軸を探る。

自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」のメンバーが27日から台湾を訪れた。同党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員も加わる。

台湾の外交部(外務省)は同日に「訪問を心から歓迎する」との声明を発表した。

蔡英文(ツァイ・インウェン)総統や頼清徳副総統との会談のほか、国防部(国防省)も訪れる。軍関係者と台湾海峡での中国軍の動きや台湾の防衛体制など巡り意見を交わす見通しだ。総統府直轄の国家安全会議(NSC)の幹部とも会う。

石破氏は「安全保障を目的とした議員の台湾訪問は珍しい。実地で知識を得たい」と話す。議員の会に所属する国民民主党の前原誠司元外相は「安保に関しては与野党関係ない。現実的な安保政策はどの立場であっても必須だ」と語る。

自民党の鈴木馨祐衆院議員も25日から訪問した。現地の会合に出席し、日本側の台湾を巡る動きなどを説明した。5月には自民党青年局の議員団が台湾を訪ねた。

相次ぐ日本の議員訪問に台湾側も蔡総統をはじめ政府高官が積極的に対応している。

超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の古屋圭司会長は27日の取材に「8月に事務局長の木原稔衆院議員と台湾を訪問し、政府関係者と会談する」と明かした。日華懇はかねて国交のない台湾との関係構築を進めてきた組織だ。

21年夏には自民党と台湾の与党、民主進歩党(民進党)の外交・防衛政策の責任者が協議した。日本側は外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の「与党版」と位置づける。

台湾は沖縄県与那国島からおよそ110キロと近い。仮に中国が台湾に侵攻すれば日本も無縁ではいられない。日本にとっても台湾有事を念頭に置いたパイプづくりや情報収集は不可欠だ。

米バイデン政権は非公式の代表団を台湾に頻繁に送る。最近は国防部幹部とも面会する例がある。日本の議員の動きも米国と歩調をあわせる一環になる。

ペロシ米下院議長は8月に台湾を訪問する計画を立てる。現職の米下院議長の訪台が実現すれば1997年以来となる。

日本政府は1972年の日中共同声明を経て中国を「中国唯一の合法政府」と認定した。台湾との関係は「非政府間の実務関係として維持している」との立場をとる。政府高官らの公的な会談はなく、国会議員らが要人との交流を担ってきた。

近年の台湾との関係構築を中心的に進めたのが安倍氏だった。首相退任後に顧問を務めた日華懇を軸に活動した。生前には参院選後に台湾へ訪問する意欲も示していた。

日本と米国、台湾の議員の連帯も探った。2021年夏には日米台の議員有志による「戦略対話」を実現した。21年12月に台湾で開かれたシンポジウムにオンライン参加し「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と訴えた。

蔡総統とも親交があり、今年3月にはオンラインでウクライナ情勢や日台関係について話しあった。安倍氏の葬儀には頼副総統が私人の立場で来日して参列した。

台湾との関係は歴史的に自民党の清和政策研究会(現安倍派)に所属した議員との関わりが深い。2000年に台湾の李登輝元総統の来日問題が浮上した際は当時の森喜朗首相の働きかけで01年に実現した。

安倍氏の祖父、岸信介氏は1957年に首相に就任すると初の海外訪問先に東南アジアと台湾を選んだ。

高市早苗政調会長は24日、日台関係を巡り講演し「安倍氏の遺志を同志議員と引き継いで台湾と一層強固な関係を構築したい」と語った。自民党には安倍氏の死去の影響を危惧する声もある。

長島氏は「安倍氏が象徴的に引っ張る姿でなくなるかもしれないが、より裾野を広げるため各議員が強い絆を台湾と築くのが大事だ」と話す。

【関連記事】台湾との関係「安保協力が重要」 日華懇・古屋圭司会長

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第1列島線とは 米中が対峙する軍事ライン きょうのことば

第1列島線とは 米中が対峙する軍事ライン きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB276740X20C22A7000000/

『▼第1列島線 中国が勢力圏を確保するため、海洋上に独自に設定した軍事的防衛ラインの一つ。九州沖から沖縄、台湾、フィリピンを結び南シナ海に至る。中国が台湾有事を想定し、米軍の侵入を防ぐ自国防衛の最低ラインとしている。

米国は第1列島線を安全保障上の脅威と捉え、対抗軸の構築を進めている。米インド太平洋軍は第1列島線に沿って、ミサイル網などを整備することを視野に入れる。台湾海峡の安定は地域の安全と平和に深くかかわることから、日本も射程1000キロメートル超の巡航ミサイルを配備することを目指す。

中国がさらに外洋に設定したのが「第2列島線」だ。小笠原諸島や米領グアムを経由してパプアニューギニアに至る防衛ラインで、海洋安全保障を巡り、米国との対立が激しくなっている。

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・米軍、対中国へ分散戦略加速 補給体制と連動カギ
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米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化

米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN243EO0U2A720C2000000/

『【ワシントン=中村亮】米陸軍がミサイルや電子、サイバーといった能力を一体的に扱う作戦部隊をアジアに配置する案を検討していることが分かった。電子やサイバー領域の能力を生かし、効果的な作戦を迅速に実行する。台湾海峡や南シナ海をめぐり中国の抑止を目指す。

アジア配置を検討しているのは「マルチドメイン・タスクフォース(多領域部隊)」と呼ばれる陸軍部隊。

2017年に創設され、一般的に①ミサイル②防空③電磁波・サイバー・情報収集④後方支援――の能力を持つ4つのグループで編成する。合計で数千人で構成し、現在は米西部ワシントン州とドイツの基地にそれぞれ配置している。

陸軍は23年以降に正式に立ち上げる3つ目の多領域部隊をハワイにまず置く見通しを示している。

日本経済新聞の取材に応じた、チャールズ・フリン太平洋陸軍司令官は日本やフィリピンなど、より中国に近いインド太平洋地域の同盟国に配置する可能性について、「選択肢として議論の俎上(そじょう)にある」と検討を認めた。

多領域部隊は平時に電子やサイバー、宇宙能力を使って情報収集を実施。敵国の行動パターンや弱点を把握して有事に備える。

戦闘が始まった場合には電子やサイバー攻撃で通信網を無力化して敵国の指揮統制をかく乱。事前に得た情報も使い、敵の艦船や施設をミサイルで攻撃する。多彩な攻撃を同時に実施して敵国を追い詰めていく。

米陸軍は複数のミサイル開発を進めるが射程は数千キロメートルとみられ、ハワイからは中国や中国近海に届かない。米軍は沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線にミサイル地上部隊を分散配置する構想を掲げており、その一部に多領域部隊をあてる考えだ。

地上部隊は小回りがきき、中国のミサイル攻撃を回避しやすい。米軍の艦船や戦闘機が第1列島線に近づく環境を整える役割を担う。

焦点はアジア諸国が多領域部隊の配置を受け入れるかどうかだ。部隊が配置される地域は中国軍の標的になるリスクが高まる。中国が配置を認めた国や自治体が攻撃対象になると警告し、各国に部隊を受け入れないように強く促す可能性がある。
米軍との実動訓練を行う陸自の水陸機動団(2020年2月、沖縄県金武町の米軍ブルービーチ訓練場)=共同

陸上自衛隊は8月中旬から9月上旬に、九州で米陸軍との実動訓練「オリエント・シールド22」を2100人規模で実施する。目玉は米本土から第1多領域部隊が初参加することだ。

奄美大島(鹿児島県)で同部隊と陸自が連携して電子戦を展開し、日米の他の砲兵部隊とともに対処する対艦戦闘訓練を開く。陸海空だけでなくサイバーや電磁波などへの戦闘領域の広がりに対応し、日米の島しょ防衛能力を磨く。

妨害電波を発して敵の指揮系統を混乱させ、陸自の「12式地対艦誘導弾」や米軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」などで直接的な攻撃を加えるといった想定がある。今回の訓練で実弾は発射しないが、作戦の手順などを確かめる。

中国への対処が念頭にある。岸信夫防衛相は2022年版防衛白書の巻頭で中国が台湾統一に武力行使も辞さない構えを見せ「地域の緊張が高まりつつある」と指摘した。

多領域部隊は中東での対テロ戦から中国との競争にシフトする米軍を象徴する。米軍はテロ組織との戦いで陸海空の全領域で圧倒的に優位だったが、中国とは戦力が拮抗する。西太平洋ではサイバーや電子、宇宙の新領域の能力を組み合わせて情報収集から作戦実行を迅速に進め、中国による作戦目標の早期達成を防ぐ必要がある。

多領域作戦を最初に実践したのはロシアとされる。14年以降のウクライナとの戦闘では電子戦能力を使ってウクライナ軍による全地球測位システム(GPS)の通信を遮断したり、サイバー部隊はインフラをまひさせたりしたとされる。地上侵攻に合わせて新領域での能力を発揮し、戦闘を優位に運んだとの見方が多い。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/U.S.-weighs-deployment-of-multidomain-force-to-Asia-commander

【関連記事】台湾の有事想定初記載、防衛白書「中国の圧力一段と」

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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
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ひとこと解説

ウクライナ情勢を受け、米陸軍は、サイバー・電磁波を含めたハイブリッド戦能力向上のための演習、改革案を最近矢継ぎ早に発表している。まず、4月16日付のAP通信の報道によると、米陸軍は、ロケット砲やミサイルでの都市の制圧を厭わず、ジャミングも行い、ソーシャルメディアで相手国のせいにした不正確な非難を拡散する敵国との対峙状況を想定した演習をカリフォルニア州フォート・アーウィンで行った。また、6月10日の米陸軍広報担当のFedScoopへのメール回答によると、2030年までに米陸軍サイバー部隊の規模を現在の3000人強から6000人強まで増やし、米陸軍州兵の電子戦部隊も拡大するとのことである。
https://apnews.com/article/russia-ukraine-war-us-army-training-54e76eba46f9bf79542dd3f872456e67
https://www.fedscoop.com/army-to-double-size-of-active-duty-cyber-corps/
2022年7月28日 10:56
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説

マルチドメイン・タスクフォース(MTDF)は2017年頃から米陸軍が、A2/AD(接近阻止・領域拒否)環境下でどう戦うかという観点から発展させてきた概念で、その意味では、アジアでも大きな意味があるのですが、詳細は不明なところが多いです。ドイツ、ヴィースバーデンにあると言っても、もともと米陸軍基地があったところに機能が付与されたので、現状は情報、サイバー、電子、宇宙関係の人員が強化されつつあるようですが、すべては発展途上という印象です。他軍との統合作戦や、同盟国との連携もこれからの印象で、日米間でしっかり意思疎通をし、厳しい状況下での戦い方と、必要なアセット配備を考えていく必要があります。
2022年7月28日 1:34 』

台湾・蔡総統、石破氏らと会談 安保巡り意見交換

台湾・蔡総統、石破氏らと会談 安保巡り意見交換
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM283A10Y2A720C2000000/

『【台北=龍元秀明】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は28日、総統府で自民党の石破茂元幹事長ら超党派の「日本の安全保障を考える議員の会」の国会議員団と会談した。中国が統一圧力を強めるなか、安全保障面の連携について意見交換した。

議員団の訪問は、日台協力を重視した安倍晋三元首相が亡くなった影響を踏まえ、新たな協力軸を探る狙いがある。蔡氏は安倍氏が示していた「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」との見方に触れ、「地域の安全保障に重要な意義がある」と指摘した。

中国の軍事圧力を念頭に「台湾は(沖縄からフィリピンを結ぶ)第1列島線の防衛線上にある。民主主義国のパートナーと協力し合い、地域の平和と安定に取り組んでいく」とも強調した。

石破氏は「有事にならないために、我々は備えておかねばならない」と応じた。抑止力を高めるため、有事の際に想定される事態などについて日台で具体的な協議を進めたいとの認識を示した。

議員団は石破氏のほか、自民党の浜田靖一元防衛相、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員で構成され、27~30日の日程で訪台している。国防部(国防省)の訪問や、2020年に死去した李登輝・元総統の墓参りも予定する。』

中国、工業・情報化相を調査 現職閣僚が失脚か

中国、工業・情報化相を調査 現職閣僚が失脚か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM289V40Y2A720C2000000/

『【北京=羽田野主】中国で汚職を摘発する共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は28日、肖亜慶・工業情報化相を規律に違反した疑いで調べていると発表した。現職閣僚の調査は異例だ。党の幹部人事を決める5年に1度の党大会が秋に迫り、習近平(シー・ジンピン)指導部が反腐敗運動を加速させている可能性がある。

工業情報化省は産業育成を担う官庁で、肖氏は人工知能(AI)産業の振興や産業サプライチェーン(供給網)の構築、高速通信規格「5G」の基地局整備などに向けて旗を振っていた。規律違反の内容などは明かしていない。

習氏は党が27日まで開いた重要会議で「根気よく綱紀粛正を続ける」と表明。党トップとして異例の3期目入りに意欲をみせたうえで、習氏続投への異論を封じ込める姿勢をみせていた。』

ペリェシャツ半島

ペリェシャツ半島
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%82%A7%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84%E5%8D%8A%E5%B3%B6

 ※ やっと、探していた情報に当たった…。

 ※ 赤い線が、今回中国企業が完成させた橋の位置だ…。

 ※ 「半島」なんで、「大陸(と言っても、バルカン半島本体)」とつながっているわけだが、その「つながっている陸地」は、クロアチアではなく、ボスニアヘルツェゴビナの領土となっている…。

 ※ それで、相当不便を感じていたんだが、今般、「クロアチア領」から架橋したんで、他国の領土を通らずとも、アクセスが可能になった…、という話しだ…。

『ペリェシャツ半島(ペリェシャツはんとう、Pelješac クロアチア語の発音:[pɛ̌ʎɛʃats])(地元のChakavian方言:Pelišac;イタリア語:Sabbioncello)は、クロアチアのダルマチア南部にある半島。ドゥブロヴニク=ネレトヴァ郡の一部であり、クロアチアで二番目に大きい半島である。ストンから始まる峡谷からロビスタ岬まで、長さは65 kmに及ぶ。』

クロアチア

クロアチア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%81%E3%82%A2

『クロアチア共和国(クロアチアきょうわこく、Republika Hrvatska)、通称クロアチアは、南ヨーロッパ、バルカン半島に位置する共和制国家である。首都はザグレブ。旧ユーゴスラビア構成国で、国民はローマ・カトリック教徒の南スラヴ系のクロアチア人が占める[3]。

本土では西にスロベニア、北にハンガリー、東にボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアと国境を接している。南はアドリア海に面し対岸はイタリア、飛び地のドゥブロヴニクでは東にモンテネグロと接している。 』

クロアチアで巨大橋が開通、中国企業が建設

クロアチアで巨大橋が開通、中国企業が建設
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26AEB0W2A720C2000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】クロアチア南部で中国企業が建設を請け負った巨大な橋が開通した。ボスニア・ヘルツェゴビナを通過せずに、北部や中部から観光都市ドブロブニクなどに行くことができるようになる。

橋は本土とペリエシャツ半島を結び、全長は約2400メートル。地元メディアによると、総工費は5億2600万ユーロ(約730億円)で、欧州連合(EU)が3億5700万ユーロを拠出した。中国国有の道路建設大手、中国路橋工程(CRBC)などのコンソーシアム(共同事業体)が建設した。

クロアチアのプレンコビッチ首相は26日の開通式で「クロアチアにとって歴史的な日で、誇りのプロジェクトだ」と強調した。

クロアチアは南部が飛び地で、北部や中部から向かうにはボスニアを通らなければならない。ボスニアを経由しなくてもいいようにクロアチアは橋の建設に乗り出そうとしたが、ボスニアは貨物船の出入りが妨げられるなどの懸念から難色を示した。最初の計画が発表されてから、2018年に着工するまで20年以上を要した。

中国は広域経済圏構想「一帯一路」のもと、インフラ整備などで欧州で影響力の拡大をめざすが、近年、中・東欧では中国と距離を置く国が増えている。中国の人権問題への懸念や、中国からの投資がさほど進んでいないためだ。バルト3国の一つ、リトアニアは21年、中国と中・東欧の経済協力の枠組み「17+1」から離脱を宣言した。

一方、クロアチアは中国に接近している。プレンコビッチ氏は5月、中国メディアのインタビューで「中国との政治、経済の関係の深化を楽しみにしている」と語った。クロアチアは23年1月から通貨ユーロを導入することが決まり、中国からの投資と合わせ経済発展に弾みをつけたい狙いがある。

バルカン半島の小国モンテネグロでは、中国が融資し大規模な高速道路の建設が進んでいる。ただ、工事は大幅に遅れ、コストが増大し、モンテネグロは21年4月にEUに債務の肩代わりを求めた。今回のクロアチアの橋はEUが主な資金の出し手のため、債務危機に陥るようなことはないとみられている。』

アジア最大REITも香港離れ リンクリート、投資分散急ぐ

アジア最大REITも香港離れ リンクリート、投資分散急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM01ARL0R00C22A6000000/

『【香港=木原雄士】アジア最大の不動産投資信託(REIT)、香港の領展房地産投資信託基金(リンクリート)が投資先の分散を急ぐ。中国本土やオーストラリアで資産取得を重ねており、ビジネスハブとして香港の魅力が低下するなか、投資先の香港比率を足元の75%から2025年に60%台に下げる。同社の戦略転換によって、香港以外で優良物件の獲得をめぐる競争が激しくなりそうだ。

中国本土や豪州にシフト

リンクは5月、中国の浙江省嘉興市と江蘇省常熟市にある3つの物流施設の取得を決めた。投資額は9億4700万元(約190億円)。21年10月にも上海周辺と並ぶ中国の物流ハブである広東省の2つの物流施設に投資したばかりだ。

同社の王国龍・最高経営責任者(CEO)は「電子商取引(EC)で拡大する物流産業の力強い成長を取り込める」と説明する。この1年余りで上海や広州、豪シドニーの商業施設やオフィスに立て続けに投資した。

さらに米ブルームバーグ通信は最近、リンクがシンガポールの商業施設への投資を検討していると報じた。投資見込み額は約3900億円と、実現すれば同社にとって最大の海外案件になる。

同社は日本経済新聞の取材に「豪州や英国、シンガポール、日本などで投資機会を探っている」と回答した。円安で割安感が強まる日本の物件取得も視野に入れる。

香港市場6割占める「巨人」

リンクは時価総額が170億ドル(約2兆3000億円)に上るアジア最大の上場REIT。1社で香港のREIT市場の6割強を占める「巨人」だ。これまで香港の老朽化した商業施設を改良して賃料を上げたり、テナントを入れ替えたりする手法を強みにしていた。
リンクリートのニコラス・アレン会長は資産の多様化を進める方針を示す(6月の決算会見)

初めて香港外の投資に踏み切ったのは15年。北京の商業施設だった。22年3月末時点の運用資産の内訳は香港75%、中国本土17%、豪州や英国が8%。25年には香港を60~70%に下げ、中国本土を20~25%、その他を10~15%にする計画だ。

投資分散に動く背景には、香港に特化した成長モデルに陰りが見えてきた事情がある。

国安法と「ゼロコロナ」で地盤沈下

05年の上場以来、16年連続で増配を達成したリンクだが、当初10%を超えていた分配金の伸び率は低下傾向が鮮明だ。上場以来ほぼ右肩上がりで一時は約10倍になった投資口価格(株価)も19年の大規模デモをきっかけに低迷が続く。

リンクは既存施設の改装や店舗入れ替えが一巡し、伸びしろが限られる香港の物件を売却し、海外資産に入れ替える戦略を採る。光大証券国際の伍礼賢ストラテジストは「新型コロナウイルスの感染拡大で商業施設が打撃を受けても、オフィスでカバーするなど、資産の多様化によって一極集中リスクを回避できる」と指摘する。

香港の不動産市場を取り巻く環境は厳しい。20年の香港国家安全維持法(国安法)施行後に子育て世帯の海外移住が増え、中国式の「ゼロコロナ政策」で金融やIT(情報技術)を中心に外資系企業の香港離れが始まった。

不動産コンサルタントのコリアーズ・インターナショナルによると、22年上期の香港の不動産投資額は289億香港ドル(約5000億円)と、前年同期比15%減った。直近ピークの18年上期のわずか2割程度。不動産サービス大手CBREのまとめでは、上位「グレードA」オフィスの6月の空室率は11.9%と、03年以来最悪の水準だ。

企業イメージもリスクに

リンクが保有する小売物件の収益性を示す期待利回り(キャップレート)にも影響が出ており、香港の3.1~4.5%に対して、中国本土は4.25~4.75%。オフィスも香港の3%に対して豪州は4.4%、英国は5.19%と相対的に魅力が大きい。

さらにリンク固有の域外シフトの事情として「リンクは香港で染みついた悪い企業イメージを変えたいのだろう」(不動産関係者)という見方もある。同社は香港社会で「地産覇権(不動産支配)」の代表格として知られ、零細企業に冷たいとの印象を持たれているためだ。

地元マーケットの運営を監視する非政府組織(NGO)によると、ある地域でリンクが運営するマーケットの食品価格は他に比べて平均23%高かった。高い賃料が消費者の負担増につながっていると批判する。

別のNGOの領匯監察も19日、商業施設の転売禁止やREIT規制の強化を求める提言を発表した。習近平(シー・ジンピン)指導部は香港の民生改善を重要課題にあげており、リンクへの政治的な批判が強まるリスクもゼロではない。

中国本土も競争激しく

もっとも、中国本土では優良物件の取得をめぐる競争が激しくなっている。リンクで最高財務責任者(CFO)を務めた経験がある翟迪強・順豊房地産投資信託基金(SFリート)CEOは「ECが急速に浸透し、ここ3、4年は物流関連の不動産への関心が急速に高まっている」と話す。

リンクリートが取得した中国の物流施設(江蘇省常熟市)

SFリートは6月に主要スポンサーの中国の宅配物流大手、順豊控股(SFホールディング)から中国内陸部・湖南省長沙の大型物流施設を4億9320万元で購入した。翟氏は「多くのファンドや投資家が物流関連に参入し、優良物件の価格が上がっている」と強調する。

三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗リートグループヘッドはリンクの戦略転換について「成長期から成熟期に入り、投資先の分散によって安定志向に傾いている」と指摘。ただ「分散はどのREITもやっているので、中国本土で成長機会をつかめるかが重要だ」と話す。

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米国、半導体補助金7兆円の法案成立へ 下院も可決

米国、半導体補助金7兆円の法案成立へ 下院も可決
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28EH50Y2A720C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米議会下院は28日、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約7兆1000億円)の補助金を投じる法案を可決した。バイデン大統領の署名で成立する。米国での工場新設を後押しして、半導体を安定して調達できる体制をめざす。

下院(定数435)が243対187の賛成多数で半導体法案を可決した。与党・民主党に加え、野党・共和党の一部議員も賛成した。法案は27日、上院を通過していた。

法案は2022会計年度(21年10月~22年9月)から5年間、国内に半導体工場を誘致するための補助金として390億ドルを投じる。米国内で新工場の建設を表明している米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子に配る見通しだ。

半導体とは別に、科学分野に1020億ドルをあてる。人工知能(AI)や量子コンピューター、次世代通信規格「6G」など先端技術や基礎研究を政府が支援する。

与野党は半導体メーカーに補助金を配ることで1割強に落ち込んだ米国の世界生産シェアを再び引き上げたい考えだ。日本や中国、韓国、欧州など各国・地域が補助金を呼び水に工場誘致を急いでいる。世界で半導体が不足するなか、米国でも有事や災害に備えて国産化を進めるべきだとの声が高まった。

与野党は21年、半導体補助金を含む包括的な「中国対抗法案」の成立をめざしていた。上院は同年6月、下院は22年2月に類似の法案を可決した。

上下院の法案には米企業の対中投資審査など強硬策を盛ったが、与野党の審議が難航して一本化できなかった。緊急度の高い補助金を切り出し、別の法案として採決することで、ようやく決着した。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/U.S.-Congress-passes-CHIPS-Act-to-boost-semiconductor-sector 

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南川明
インフォーマインテリジェンス シニアコンサルティングディレクタ
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分析・考察

時間は掛かりましたが、米国が本気で半導体育成に取り組んでいる事が現れている法案可決だと思います。米国は出来るだけ自国で研究開発から製造まで行おうとしています。日本はこの流れに乗るのではなく、日本での研究開発を行う様に誘導する必要があります。
特に装置、材料開発は日本中心に行うように誘導したいものです。それが日本の安全保障上最も重要な武器になります。そのためには日本に多くの海外研究者を受入れる体制を整える必要があります。残された時間はあまり多くないはずです。
2022年7月29日 8:28 (2022年7月29日 8:34更新)

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

「バイデン政権と民主党の点数稼ぎ」では全くなく、超党派の対中国対策、競争力強化の動きであることを見失ってはいけないと思います。こちらの方はそもそも上院で共和党のマコーネル院内総務のちゃぶ台返しの動きがあったため、上下両院版をすり合わせできず半導体支援に切り替えましたが、上院が通れば下院は簡単に通ります。もともとの上院版も下院版も全米科学財団の新部門創設やSTEM (Science, Technology, Engineering, and Mathematics) 研究・教育の拡大などによる米国の競争力強化など、かなり重なっていました。そのためいずれ進んでいきます。
2022年7月29日 7:53

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

バイデン政権は中間選挙を目前にして、支持率が大きく下がり、混乱しているが、半導体や6Gなど次世代ハイテク技術の覇権を握ることに向けて大きく動き出している。日本、韓国、台湾を巻き込んで、テクノロジーゲームをはじめている。習政権は自力更生で生き残りを図るが、外から取り入れられる技術が少なく、米中の技術格差はますます開いていくと思われる
2022年7月29日 7:09』

中国人民解放軍に募る焦燥 共産党大会前に「手柄争い」

中国人民解放軍に募る焦燥 共産党大会前に「手柄争い」
迫る中国共産党大会(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM018JA0R00C22A6000000/

『7月8日、中国人民解放軍機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」を越えて台湾側に侵入した。台湾軍の地対空ミサイルシステムが異常を察知し、偵察機がただちに現場へ向かった。

中国軍が台湾への圧力を強めている。2022年版防衛白書によると、中国の台湾も射程に入れる中距離・準中距離弾道ミサイルの保有数は21年に278基と前年より24基増えた。弾頭部分を極超音速滑空体にした新型ミサイルも含まれる。

米中央情報局(CIA)長官のバーンズは5月、ワシントン市内で開かれた英紙フィナンシャル・タイムズ主催の会合に出席し、ウクライナ侵攻でのロシアの苦戦を目の当たりにした総書記の習近平(シー・ジンピン)が「動揺している印象を受ける」と指摘した。習指導部の台湾統一計画が遠のく可能性にも言及した。

米国はハイテク兵器を売却し、台湾の「軍事要塞化」を進める。要人の訪問も増やし米台の結束を深めようとしている。

5月、1人の中国軍人を糾弾する文書が中国共産党内で出回った。名指しされたのは階級最高位の上将で、国防大学政治委員を務めた劉亜洲だ。

「政治的投降の思考の軌跡」と題する文書は、劉がかつて米国を「唯一無二の超大国」と評価し、台湾の武力統一に反対したことを責め立てた。「必ず批判を加え、粛清すべきだ」と結んだ。著者は退役軍人だ。

習と劉はかつて親しい間柄で知られた。なのに非難文書が出回るのはなぜか。内情に詳しい関係者は「台湾問題の解決が遠のきかねない状況に、軍内で不満が募っている」と話す。

軍のいらだちを示す動きはあちこちで起きている。5月に南シナ海上空でオーストラリア軍の哨戒機の前を中国軍の「殲16」が横切り飛行を妨害した。6月には同海上で米軍の輸送機に中国の「スホイ30」が異常接近した。朝鮮半島の近くでカナダ軍の哨戒機が中国軍機から威嚇される事態も起きた。

安全保障を担う日本政府関係者は「このタイミングで軍事的緊張を高めることは必ずしも最高指導部の意向と一致しない。党と軍の人事を決める党大会が迫り、軍が手柄争いをしているのではないか」と分析する。

習政権の3期目をにらんだ思惑が交錯するなか、党幹部や長老らが集まる夏の北戴河会議が始まる。(敬称略)

中国総局の桃井裕理、川手伊織、多部田俊輔、羽田野主が担当しました。

【ルポ迫真「迫る中国共産党大会」記事一覧】

・習近平氏「刃を内にむけよ」 3期目へ異分子をけん制
・中国「対米休戦を急げ」 景気浮揚へ制裁関税撤廃狙う
・ジャック・マー氏、つかの間の安息 ネット統制に恭順

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

ロシアの対ウクライナ軍事作戦の長期化を見て、中国の習近平国家主席は憂慮しているだろう。武器を含むロシアへの積極的支援は見送っているようであり、自国に火の粉が飛んでくるのを回避したい様子がうかがえる。一方で、「一つの中国」原則は絶対に譲れない一線。米国が台湾に武器を売却するなど肩入れしている状況は座視し得ず、厳しいコメントが中国から出ている。そうした中、記事によれば、中国人民解放軍の一部は指導部の舵取りに不満を抱いているようであり、独断専行的な行動に出ているという。以前に北朝鮮の軍部隊についても同様の話が出ていたが、現場の跳ね上がり的な行動は、不測の事態につながりかねないリスク要因である。
2022年7月29日 7:42 (2022年7月29日 7:43更新) 』

中国国策半導体ファンド、トップが身柄拘束

中国国策半導体ファンド、トップが身柄拘束
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM293GI0Z20C22A7000000/

『【北京=多部田俊輔】中国の国策半導体ファンド、国家集成電路産業投資基金(国家大基金)の経営トップ、丁文武総裁が身柄を拘束されたことが29日までに明らかになった。中国メディアの財新が伝えた。中国政府が補助金を投じる中で「半導体バブル」が起きており、資金の流用などの不正が相次ぎ摘発されている。

国家大基金は2014年に設立。第1期は約1400億元(約2兆8000億円)を半導体企業の育成に投じ、19年からは約2000億元規模の第2期の投資も行っている。丁氏は工業情報化省出身。国家大基金の設立を受け、同基金で陣頭指揮してきた。

中国メディアによると、丁氏は16日の半導体業界の会議に参加したのを最後に姿を現しておらず、当局の調査を受けているとみられる。国家大基金を巡っては、ファンドの資金を管理する企業の前トップも、7月中旬に身柄を拘束され調査を受けている。

国家大基金の投資先には、中国の半導体大手である紫光集団の傘下企業も含まれる。財新によると、紫光集団の前トップ、趙偉国氏も7月上旬に身柄を拘束された。同氏の経営する企業と紫光集団の傘下企業の間で不適切な利益移転があった疑いが浮上している。』

NPT「失敗に終わる」 核軍縮専門家のシリンシオーネ氏

NPT「失敗に終わる」 核軍縮専門家のシリンシオーネ氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14F280U2A710C2000000/

 ※ ロシアの振る舞いが、核軍縮問題に与えた影響も、大きい…。

 ※ 核保有国が、「核で恫喝して」、「核非保有国に軍事侵攻した」からだ…。

 ※ そういう「非道・不正義」に対して、「国際社会」なるものは、「手も足も、出せない」でいる…。

 ※ この専門家が言っている、『「日本は核兵器を絶対に持たないと宣言してほしい。中国が攻撃的な行動を繰り返しているなかでも、日本は核兵器を保有しない。そう宣言すれば力強いメッセージになる」』という言に、どれだけの日本国民が賛同するのか…。

 ※ 「核軍縮」よりも、「核で攻撃される可能性を、できる限り引き下げて欲しい。」というのが、大方の日本国民の「民意」じゃないのか…。

『8月1日から米ニューヨークの国連本部で核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が始まる。米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)で核軍縮の専門家を務めるジョー・シリンシオーネ氏に、会議の焦点や今後の見通しを聞いた。

――NPT再検討会議は7年ぶりの開催です。

「世界は核軍備競争のさなかにある。核保有国は核兵器を増強し、核軍縮や核不拡散の枠組みが崩れるリスクは高い。世界の指導者らが集まって、こうした流れを止めようとする試みは重要だ。だが核なき世界は現実的でなく、この再検討会議は失敗に終わるだろう」
「最大の焦点はロシアによる核兵器使用の脅威だ。現在は1962年のキューバ危機よりも核戦争に近づいている。2022年1月に米国、英国、フランス、ロシア、中国の核保有五大国は、核戦争を起こしてはならないとする共同声明を発表した。だがその数週間後、ロシアはウクライナで核戦争を始める用意があると明言した」

「再検討会議では行動をとるべきだ。しかし中ロやインドが各種議案で反対に回り、結果として合意が取れず、身動きが取れないだろう。核戦争は起きてはならないという基本的な方針すら再確認できない恐れがあり、それはNPTそのものの弱体化を表す」

――バイデン米大統領は長年、核なき世界を呼びかけてきました。バイデン政権の取り組みをどう見ていますか。

「完全に失敗だ。バイデン氏は核軍縮に向けた具体的な行動をとっていない。自分の信念に従うのは、政治的コストが高すぎると計算したのだ。ウクライナ危機や中国の台頭に直面し、核兵器については予算を削れないと判断した」

「バイデン氏はケネディ大統領以来、最も軍縮に詳しい大統領だ。バイデン氏は数十年にわたり、上院で軍縮問題に取り組んできた。条約制定の仕組みなど詳細まで理解していながら、一切行動はとっていない。むしろ軍縮に向けた米国の取り組みは彼が就任してから後退した」

――中国も核増強に動いているとされます。再検討会議でどのような立場を取るでしょうか。

「中国はこのような国際会議で表に出ないようにし、当たり障りのない声明を出すはずだ。核戦力で米ロに出遅れるなか、核軍備に向けた話し合いに参加する理由はないと感じている」

「まずは米ロ両国が核弾頭を1000発ずつ減らし、その後にやっと中国やインド、パキスタンなども含めた多国間の交渉を始める機会ができる。だが米ロが応じないため、軍縮プロセスは停止している」

――中ロやイランは米国と英国、オーストラリアの安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」はNPTの脅威だと主張しています。

「米英が豪州向けに原子力潜水艦の配備を後押しすることで、核を持たない豪州がウラン濃縮技術を得ることになる。これを批判しているのがイランだ。AUKUSはアジア・太平洋における軍拡競争のあらわれでもあり、中国は当然警戒する」

――日本の岸田文雄首相が会議で演説します。どのような期待がありますか。

「日本は核兵器を絶対に持たないと宣言してほしい。中国が攻撃的な行動を繰り返しているなかでも、日本は核兵器を保有しない。そう宣言すれば力強いメッセージになる」

――北朝鮮が核実験の準備を進めているとの指摘があります。

「NPTなどの国際的枠組みは核開発をタブーとし、北朝鮮をある程度は抑制する力がある。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は理由もなく米国を挑発しているのではない。米国が北朝鮮を無視していると感じているのだ。米国に振り返ってもらうために、行動を起こしている」

(聞き手はニューヨーク=吉田圭織)』

NPT「非保有国の声聞け」 核禁条約会議のクメント元議長

NPT「非保有国の声聞け」 核禁条約会議のクメント元議長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN280F50Y2A720C2000000/

『8月1日から米ニューヨークの国連本部で核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が始まる。6月に開いた核兵器禁止条約の第1回締約国会議で議長を務めたオーストリア外務省のクメント軍縮局長にNPTに期待することを聞いた。

――今回のNPT再検討会議の意義をどのように見ていますか。

「ロシアの行動を受け、核兵器に再び焦点を当てる国が出てきた。欧州では核軍縮を話し合う時期ではないとの声があがり、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が増えて核の傘への注目も高まっている。制限のない軍備競争の道を進むか、それともこの機会を生かして方向を転換できるか。分かれ目にあるが、後者の可能性を信じたい」

――前回2015年のNPT再検討会議では合意文書を採択できませんでした。

「今回は特に難しい状況に直面している。ロシアのウクライナ侵攻に伴う核使用の脅威、米中の対立といった核保有国間の分断が悪影響を及ぼしかねない。だが、できることはすべてやる必要がある」

――日本の岸田文雄首相が会議で演説します。

「日本は核禁条約の第1回会議には参加しなかったが、将来はもっと関わってくれると期待している。核禁条約ができたことで、各国は核兵器をめぐる立場を問われるようになった。特に橋渡し役を担える国々には、議論に積極的に加わってほしい」

――核禁条約の締約国はNPTにどのような期待がありますか。

「締約各国はNPTを最も強く支持している。6月に採択した合意文書では、核兵器に対する強い懸念と、抑止力として核を支持する政策への反対を明記した。NPT会議でも同様の発言が相次ぐはずだ」

――核保有国と非保有国との間で分断が深まっています。

「非保有国の安全保障問題を取り上げ、彼らの声を聞く必要がある。核の傘の下にある国々ではなく、核兵器に頼らない150カ国が70年以上持ち続けてきた懸念に真剣に取り組まなければいけない。核保有国が非保有国としっかり議論し、核軍縮に取り組めば分断は解消できる」

――イラン核合意をめぐる交渉が停滞しています。

「イラン核合意そのものが素晴らしい成果だったため、現在の状況は悲劇的だ。米国が議論に復帰し、最終合意に至れば、核不拡散に向けて多国間が協力する重要性を示すことにもなる。核不拡散は可能であるとの証明にもあり、NPTに貢献できる。交渉が続くことが非常に大事だ」

――北朝鮮が核開発を進めています。

「大きな課題であり、国際社会はうまく対応できていない。制裁などの圧力や交渉はあまり効果的でなかった。実際、核保有国が核兵器を持つことの重要性を強調しているなかで、北朝鮮にそれをしないよう強いるのは難しい。まずは核兵器がない世界に向けて進む必要がある」

――中国も核増強に動いているとされます。

「最大の核戦力を持つロシアと米国が弾頭数を削減すれば、中国は多国間の軍縮枠組みのプロセスに加わると説明している。全ての核保有国に包括的な核軍縮プロセスに加わってほしい。だが現状、中国が自主的に加わるとは思えない」

(聞き手はニューヨーク=吉田圭織)』

日米経済版2プラス2の目的は 経済安全保障の閣僚協議

日米経済版2プラス2の目的は 経済安全保障の閣僚協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA26EF30W2A720C2000000/

『日米両政府は29日、ワシントンで経済版の閣僚協議「2プラス2」の初会合を開く。中国を念頭に、半導体をはじめ重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化などについて議論する。なぜ今、何のために経済安全保障を議論するのか。3つのポイントにまとめた。

・どのような枠組みか?
・何を議論するのか?
・意義と目的は?

(1)どのような枠組みか?

日本側は林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米国側はブリンケン国務長官とレモンド商務長官が参加する。2022年1月に岸田文雄首相とバイデン米大統領がオンライン協議した際に新たに設けると合意した。

これまで「2プラス2」と言えば、一般的に外務、防衛担当の閣僚協議を指してきた。日米の場合、日本は外相、防衛相、米国は国務長官、国防長官が出席者だった。

経済閣僚が参加する新たな枠組みを設けたのは、軍事力を土台とした従来の安全保障の考え方が変化してきたためだ。

半導体や人工知能(AI)といった技術の進展で、民生品のドローンやカメラなども軍事転用できるようになった。経済と安全保障は以前より密接に結びついており、同盟国の日米間で連携する重要性が高まっているとの問題意識がある。

(2)何を議論するのか?

半導体など重要物資のサプライチェーンの強化が主要議題の一つとなる。

車や家電など様々な電子機器に使う半導体は、調達が滞れば産業に大きな影響が出る。新型コロナウイルスの感染拡大以降、世界的に半導体が不足し、日米両国の企業も自動車など幅広い製品で減産を迫られた。代替が難しい部品を安定的に調達する重要性が改めて浮き彫りになった。

世界の先端半導体の生産能力の9割は台湾に集中する。中国は台湾の武力統一も辞さない構えを見せている。仮に台湾有事になれば半導体の安定的な確保は難しくなる。

供給網の分散や多様化は喫緊の課題といえる。日米両政府は次世代半導体の設計と量産化に向けた共同研究を始める方針で、具体的な道筋を議論する。

量子暗号やAIなどの新興技術の流出を食い止め、保護する方針も確認する。顔認証や監視カメラなど、人権侵害につながりかねない技術の輸出管理についても話し合う見通しだ。
新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族の人権抑圧の問題が念頭にある。中国が少数民族の行動の監視に、日米両国の技術を組み込んだ製品を使っているとの見方がある。

ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、エネルギー安全保障についても意見を交わす。日本は液化天然ガス(LNG)のロシア依存度を引き下げるため、米国にLNGの増産を働きかけてきた。ウクライナ危機で揺らいだ小麦など食料の安定供給に向けた課題についても議論する。

(3)意義と目的は?

自由や民主主義、人権や法の支配といった共通の価値観を共有し、インド太平洋地域で国際秩序づくりを主導する思惑がある。経済的にも軍事的にも地域で影響力を高める中国を念頭に対抗軸をつくる。日本にとっては経済、安全保障の両面で米国によるアジアへの関与をつなぎ留める意義もある。

米国はインド太平洋経済枠組み(IPEF)も主導し、経済面でのアジア各国との連携強化を模索する。中国との経済的な結びつきが強いアジアには米中との間合いの取り方に苦慮する国も多い。つなぎ役としての日本の役割は大きい。

戦後、日米両国は日米安全保障条約にもとづいて同盟関係を築きながらも、日本の経済成長にともなって自動車や繊維、半導体などの分野で摩擦も繰り返してきた。経済、安保の両面で協力を深める経済版「2プラス2」の発足は、新たな日米同盟の一歩とも言える。

(ワシントン=新井惇太郎、加藤晶也)

【関連記事】

・日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点
・経済版2プラス2、国際基準づくり議論 29日に初会合

よくわかる解説コンテンツはこちら
https://r.nikkei.com/topics/topic_column_21100500/?n_cid=MCH997 』

海自最大の護衛艦「いずも」型が能力向上! いま空母化が求められるわけ

海自最大の護衛艦「いずも」型が能力向上! いま空母化が求められるわけ – 自動車情報誌「ベストカー」
https://bestcarweb.jp/feature/column/417063

『海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦の「いずも」型。その1番艦「いずも」と2番艦「かが」に、固定翼機のF-35Bが搭載できるよう改修が進められている。1番艦「いずも」のほうは、2021年6月までに改修の第一弾を終え、10月には米海兵隊のF-35Bを発着艦させる検証を行っている。改修されることで、「いずも」型はどう生まれ変わるのか。また空母化が求められるわけについてを検証する。

文・イラスト/坂本 明、写真/海上自衛隊、防衛省
【画像ギャラリー】改修がすすむ「いずも」型のディテールを見る(5枚)

■「いずも」型は洋上の基地となる

 近年、東シナ海、太平洋、日本海への中国海軍の進出が著しい。そうした中で日本にとって最も懸念されるのが台湾有事である。中国は以前から1つの中国と称し台湾併合を試みており、昨今では軍事力の行使もちらつかせている。もし中国軍が台湾に進行すれば、日本も無関係ではいられなくなる。台湾と日本領土の南西諸島(特に先島諸島)は極めて近く、台湾侵攻に合わせて中国海軍がこれらの島を占拠する可能性が高いからだ。

 また現在ウクライナとロシアの間で行われている戦争の勝敗は、中国の台湾侵攻に大きく影響するだろう。

 いっぽう、日本では中国軍の脅威に対して陸上自衛隊の地対艦・地対空ミサイル部隊を石垣島や宮古島へと配備を進めたり、有事に対応する水陸機動団を新編するなど南西諸島方面の防衛力整備を図っている。ヘリコプター護衛艦「いずも型」の空母化もこうした動きの中で浮上してきたものだ。

 中国海軍が空母から艦載機を発進させて南西諸島に攻撃を行った場合、航空自衛隊の那覇基地(沖縄)や新田原基地(宮崎)から戦闘機を発進させても往路に要する時間のロスや燃料消費が大きく、十分な迎撃が行えない。それに対してF-35Bを搭載した空母ならば危険が予測される地域に配備しておくことで素早い対応が可能になり、抑止力にもなるからだ。

 また中国軍の脅威に対抗するだけでなく、周囲を広大な太平洋に囲まれた日本にとって洋上にF-35Bやオスプレイ、哨戒ヘリコプターなどを運用できる移動基地を保有することは大きなメリットとなる。

 こうした理由から海上自衛隊の保有する最大のヘリコプター搭載護衛艦である「いずも型」を空母化することになったのである。海上自衛隊が保有する「いずも型」を改修して空母化するという方法は、新しく空母を建造するよりも費用がかからず現実的な対応策ともいえる。

いずもへ着艦する米海兵隊のF-35B(写真/防衛省)

■「いずも型」空母化への改修

 「いずも型」を空母化するといってもアメリカ海軍の保有するような本格的な空母ではなく、F-35Bを運用できる軽空母への改修である。そもそも「いずも型」は全長は248m、満載排水量が2万6000トンなので、アメリカ海軍の保有する空母どころか強襲揚陸艦よりも小さい。

 「いずも型」を空母化する改修は5年に1度実施される大規模定期検査を利用して2回にわたって行われる。改修はジャパンマリンユナイテッド株式会社が担当する。

 1番艦の「いずも」の第1回目の改修は2019年度末から2021年6月まで行われた。F-35Bを運用するための基礎工事で、改修費用は意外と安く31億円という。

 当初「いずも型」を空母化するにあたってスキージャンプ勾配の導入などが検討されていたが、実際には飛行甲板の耐熱性の強化と着艦誘導システムなどの装置の導入という必要最低限の改修となった。

 ちなみに「いずも型」は設計段階から将来のF-35Bの搭載の可能性を考え、エレベーターのサイズなどを決定したという。そのためエレベーターの改修のような大工事は必要ない。

 第2回目の改修は2024年度末から始まる予定で、F-35Bの本格的運用のために艦首部の飛行甲板の形状を四角形に変更する。現在の形状は艦首方向に向かって先細りの台形になっており、航空機の発着には左舷側の飛行甲板を当てている。

 ヘリコプター運用のみに限定すれば現行の形状でもかまわないが、STOVL(短距離離陸/垂直着陸)機とはいえF-35Bを発艦させるための滑走路として使用するには少しでも飛行甲板が長いほうがいい。これにより飛行甲板はアメリカ海軍の強襲揚陸艦と同じような矩形型の形状となる。

 「かが」の改修に関しては第1回目が2021年度から2023年度に渡って、第2回目が2026年度から2027年度に渡って行われ、「いずも」と同様な改修に加えて、航空管制室の改装(視認性を高めるための工事として13億円の工事費を確保)、艦内もF-35Bの運用に合わせて動線などを考慮した改装が予定されている。』

『■F-35Bを運用するための飛行甲板の改修

 「いずも」の空母化に当たって一番大きな工事になるのが飛行甲板の耐熱性の強化だ。運用する予定のF-35BはSTOVL機なので、発着艦、特に垂直着陸を行う際の高温の排気ガスが問題になる。発着艦にはリフトファンの推力とF135-PW-600エンジンの排気ガスが使用されるが、垂直着陸で着艦する場合は飛行甲板の特定の場所に高温の排気ガスが当たり続けることになる。F-35Bのエンジンの排気ガスはAV-8B+のエンジンよりも高温(1000度近い)であるといわれ、ヘリコプターの運用しか行っていなかった「いずも」飛行甲板では保たない。当然、耐熱処理を施す必要がある。

 通常、空母や強襲揚陸艦の飛行甲板は高張力鋼の上にノンスキッドと呼ばれる研磨グリッドと合成ゴム、エポキシ樹脂を混合させた塗料を塗って、ざらざらした硬い飛行甲板表面を造り、耐摩耗性や耐熱性、耐滑り止め性を高めている。しかしF-35Bの排気ガスには通常のエポキシ系のノンスキッド処理を施した飛行甲板では耐えられないため、より高度な耐熱処理が必要になる。

 そのためF-35Bを運用するアメリカ海軍の艦艇では、セラミック酸化物とアルミを混ぜたSafTrax TH604という塗料を吹き付けて耐熱性を高めているのである(実際にはこの塗料の利点は、耐熱性もさることながら耐摩耗性、耐腐食性が高く、衝撃で剥離し難い上、従来の塗料よりも塗布後の重量が軽いことにある)。ちなみにイギリス海軍のクイーンエリザベス級ではアルミとチタンの混合物を吹き付けているという。

 「いずも」ではどのような塗料が使用されているかは明らかではないが、おそらくSafTrax TH604と同様のものと思われる。また「いずも」の飛行甲板の耐熱性の強化は飛行甲板全体に施されているわけではなく、着艦エリアとして使用される甲板後部(4番、5番のヘリスポット周囲)に限定されているようだ。

 飛行甲板の改修では耐熱性の強化とともに標識線(トラムライン)にも変更が加えられている。

いずものディテールを確認する(拡大部は画像ギャラリーへ)

■艦載機の安全な運用を可能にする着艦誘導システム「JPALS」

 F-35Bを「いずも」で運用するにあたって着艦時の誘導システムも必要になる。中でも導入が注目されるのがJPALS(Joint Precision Approach and Landing System:統合精密アプローチ・着艦システム)。これはGPSとUHF波を使用してF-35やF/A-18、MV-22などの航空機を悪天候下でも自動的に空母や強襲揚陸艦に誘導して着艦させるシステムとしてアメリカ海軍とレイセオン社が共同開発したもの。このシステムによりシー・ステート5の海面状態まで対応できるという。

 シー・ステートとは海上の波浪状況を0~10段階で示すもので、シー・ステート5は波がやや高く、波高が4mまでの状況を指す。

 JPALSのシステムは航空機に搭載する受信装置とGPSセンサー、艦艇に搭載する機器とマストに取り付けるアンテナで構成されている。
航空機の安全な運用を実現するJPALSのしくみ

 艦載機の搭載する受信装置が、GPSセンサーでGPS衛星から得られた現在の自機の位置情報と母艦からUHFデータリンクで発信されるより精度の高いGPSの補正情報とを比較し計器情報に反映することで、より高い精度で母艦への誘導を行う(自動誘導も可能)。さらに着艦進入する艦載機に対して母艦から指向性誘導電波を発射し、視界不良時でも安全に飛行甲板上まで誘導する計器進入システムを組み合わせることで、艦載機は空母に正確かつ安全に着艦できるというもの。

 2018年夏にF-35BがJPALSを使用してUSSワスプへの着艦に初めて成功しており、2019年にはJPALSの製造が開始され、アメリカ海軍では一部の艦では導入が始まっている。

 海上自衛隊では2022年度予算で「いずも」へのJPALS搭載の費用を取得している。1回目の改修を終了した「いずも」では2021年10月にアメリカ海兵隊のF-35Bの2機が初めての発着艦試験を行っているが、四国沖で昼間に行われたこの試験ではJPALSは使用されなかった。』

『■艦載するF-35Bは航空自衛隊が運用

 さて、肝心のF-35Bをどうするのかというと、2024年度末までに6機を調達、配備する予定になっている。最終的には42機のF-35Bを導入することになっており、運用する航空自衛隊では宮崎県の新田原基地に配備する計画である。

 新田原基地をベースとして「いずも」や「かが」にF-35Bの飛行隊を派遣させることになる。海上自衛隊の護衛艦に航空自衛隊の航空機とともに操縦士や整備員が派遣飛行隊として乗り込み、作戦運用は艦内に設置される統合作戦司令部が行う。

 とはいっても防衛省によれば「F-35Bの部隊を艦に常時搭載するわけではない」という。

 ちなみに空母化した「いずも」や「かが」を最初に利用するのはアメリカ海兵隊のF-35Bである。これまで固定翼機を艦上で運用した経験のない海上自衛隊では空母や強襲揚陸艦で豊富は運用経験を持つアメリカ海軍や海兵隊から様々なことを学び、支援を受けなければならないからだ。そのための予算も計上されている。

 また初めてSTOVL機を保有・運用する航空自衛隊でも同様だ。航空自衛隊のパイロットにとっても、STOVL機を操縦したり、艦上で発着を行うのは初めてのことである。F-35Bの保有・運用に当たっては学ばねばならないことが多い。

 こうしたことからF-35Bを搭載した「いずも」や「かが」を自衛隊が本格的に運用できるようになるにはもう少し時間がかかると思われる。

 最後にF-35Bとはどのような航空機なのかを簡単に説明しておこう。第五世代の戦闘機F-35の派生型で、F-35はレーダーに映りにくいステルス性を持ち、また空中におけるリアルタイムの情報収集能力が高く、ネットワークを介して組織的な戦闘力を発揮できるといわれている。これからの戦争には欠かせない能力を持っているということだ。F-35にはA、B、Cの派生型がある。

 F-35BはF135-PW-600エンジンに推力変更方式の3ベアリング回転ノズルを取り付け、リフトファンを装備することで極く短い距離で離陸が行なえ、垂直着陸できる航空機である。他の派生型に比べ機体重力が重く航続距離は短いが、STOVL機であることが最大の特徴で、固定翼機の離着陸設備を持たない軽空母や強襲揚陸艦にはぴったりの機体だ。前線に狭い平坦地があれば運用できるので作戦運用能力も広がるという利点もある


いずも型へは垂直着陸が可能なF-35Bが搭載される 』

F-35 (戦闘機)

F-35 (戦闘機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)

『F-35 ライトニング II(英: F-35 Lightning II)は、アメリカ空軍の統合打撃戦闘機(JSF)計画に基づく、単発単座のステルス多用途戦闘機。アメリカ合衆国の航空機メーカー、ロッキード・マーティンを中心とする複数の企業によって開発された。

コンピュータによる情報統合を推し進めており、ヘルメットディスプレイによる全周囲視界まで実現している。最初から多用途戦闘機として開発されたため、対地攻撃能力や電子装備の充実度はF-22を超える。また、ほぼ同一の機体構造を有する通常離着陸機型・垂直/短距離離着陸機型・艦載機型の3タイプが存在する野心的な機体でもあり、開発計画時の名称である統合打撃戦闘機(英: Joint Strike Fighter)の略称JSFで呼ばれる事も多い。 』

『概要

統合打撃戦闘機計画(JSF)に基づいて開発された第5世代ジェット戦闘機に分類されるステルス機。ロッキード・マーティン社はF-35を輸出可能な最初の第5世代ジェット戦闘機とする(過去にはF-22の輸出も検討されたが、許可が下りなかった)。

概念実証機のX-35は2000年に初飛行を行い、競作機となったX-32との比較の結果、X-35がJSFに選定される。量産機のF-35は2006年に初飛行し、アメリカ空軍への納入は2011年5月から開始され、初期作戦能力(IOC:Initial operational capability)獲得は2015年7月31日のアメリカ海兵隊のF-35Bが初となった。2015年内には一年間で45機としていた量産目標を初めて達成した。2018年4月13日には、SDD(システム開発実証)飛行試験が全て完了したと発表された[3][4]。

JSFの名の通り、ほぼ同一の機体構造を用いながら、基本型の通常離着陸機(CTOL)であるF-35A、短距離離陸垂直着陸機(STOVL)のF-35B、艦載機(CV)型のF-35Cという3つの派生型を製造する野心的なプロジェクトである。現代の戦闘機開発において、戦闘機のマルチロール機化は主流となっているが、必ずしも成功するとは限らない。例えば1960年代、空軍の戦闘爆撃機と海軍の艦隊防空戦闘機を兼務する機体として開発されたF-111は、空海軍間で異なる要求を同時に満たそうとした結果、機体の大型化と重量増加を招いたため、海軍は調達をキャンセルして空軍のみの採用となり、期待された「空海軍での運用機体の共通化」は果たせずに失敗している。対してF-35は、比較的小型の機体で多任務とステルス能力の付加、さらには基本設計が同一の機体でCTOLとSTOVLを派生させるという前例の無い多任務能力を達成することに成功し、採用予定国も複数に上る。また、F-35Bは世界初の実用超音速STOVL戦闘機となる。

アメリカ空軍・海軍・海兵隊、イギリス空軍・海軍、航空自衛隊、ノルウェー空軍などが採用を決定している。アメリカ軍はF-35を2,443機配備することを予定しており、さらに現在F-16などの旧世代戦闘機を使用している国でも採用される可能性が高いため、最終的な製造数は5,000機以上にのぼることも予測されている。しかし、開発の遅延や当初予定より大幅なコスト高などの課題も抱え、2014年3月時点で2,443機を調達する計画は3,912億ドル(約40兆円)に達すると判明している[5]。一方で今後半世紀程は世界中の空軍や海軍で各仕様が運用されることが決まっている。

調達価格は、国内・海外向け仕様や契約の違いにより横並びで比較することは難しいが、1億ドルを超える価格とされてきた[6]。こうした高コスト体質は、アメリカ国内ですら批判の対象となっており、コストの削減が進められている。2022年のアメリカ国防省の調達価格は8,000万ドルに低下する[7]。

運用期間については、2070年までの使用が計画されている[8]。
開発の経緯
SDD(システム開発実証)機であるAA-1
約100回の飛行後に退役し、その役目を終えた[9]

アメリカのF-16、A-10、F/A-18、AV-8B、およびイギリスのシーハリアー、ハリアー GR.7/GR.9、カナダのCF-18などを含む、多種類な戦術航空機を同じ原型の機体により代替する新型機の開発を目的とした「統合打撃戦闘機計画」に基づき、ボーイング社のX-32とロッキード・マーティン社のX-35の2種の概念実証(CDP)機が開発された。

開発競争の結果、全体としての完成度が高く、目標性能に合致またはそれを超えた性能を持ち、計画の次の段階に入るための基準と技術的熟成を達成しており、STOVL型でリフトファンを採用した、X-35がシステム開発実証(SDD)の段階へ進む機体として2001年10月26日に選定された。その後、X-35にはF-35の制式名称が与えられた。SDDの段階では飛行試験機を製作し、最初に完成した機体は、さまざまな基本的要素を試験・検証するCTOL仕様のAA-1となった。それ以降は実用機に近い形で製作し、CTOL型のF-35AのSDD機であるAF-1〜4の4機、STOVL型のF-35BのSDD機であるBF-1〜5の5機、CV型のF-35CのSDD機であるCF-1〜3・5(CF-4はキャンセル)の4機の合計して14機が試験された。また、飛行試験を行わないSDD機を8機製作しており、その中には、レーダー断面積やレーダー波反射特性を調べる「シグネチャー・ポール」機が1機含まれている。
詳細は「統合打撃戦闘機計画」を参照

KC-135から空中給油を受けるX-35A

KC-135から空中給油を受けるX-35A
CATOBAR型のX-35C

CATOBAR型のX-35C

開発パートナー
SDD(システム開発実証)段階でのプログラム参加国
主開発国:アメリカ合衆国
レベル1:イギリス
レベル2:オランダ イタリア
レベル3:カナダ トルコ オーストラリア ノルウェー デンマーク
保全協力パートナー(SCP):イスラエル シンガポール

F-35の主契約社は開発元のロッキード・マーティンであるが、ノースロップ・グラマンとイギリスのBAEシステムズが主要製造パートナーとして計画に参加しており、製造においてロッキード・マーティンと共に機体・操縦システム・アビオニクスなどで作業を分担している[注 1]。航空システムの実証・システム統合・機体の最終組み立て・軍への引き渡しは、ロッキード・マーティンが行っている。

また、SDD段階でのプログラムでは国際パートナーの参画も可能としており、アメリカ以外の8カ国(イギリス・イタリア・オランダ・トルコ・カナダ・デンマーク・ノルウェー・オーストラリア)が加わり、レベル1からレベル3までの3段階で区分されている。その後、イスラエル・シンガポールが保全協力パートナー(SCP)としてSDDのプログラムに参加している。
量産計画

量産型の生産計画についてアメリカ軍では、2006会計年度に第1期低率初期生産(LRIP(Low Rate Initial Production)1)の長期先付け(LL)品の購入が認められ、また、2007会計年度には完全な予算が承認されたことで、2機のF-35Aの製造が開始された。

2010会計年度のLRIP5からは対外有償軍事援助(FMS)機の製造を組み込むことも可能とされた。このLRIPは2013会計年度のLRIP7まで続けられる予定で、その後の2014会計年度より多年度調達(MYP)計画に移行するとされていた[10]。

しかし開発の遅れに伴い現在もLRIPは続いており、2016会計年度のLRIP10以降も続けられる見込み。第1期全規模生産(FRP1)は2026会計年度を予定している[11]。
生産・維持体制
海外での生産・整備施設

大量の製造が見込まれるため、米本国のテキサス州フォートワース工場以外ではイタリアのカーメリと日本の名古屋近郊にFACO(最終組立・検査:Final Assembly & Check Out)施設が設置されている。また、ステルスを始めとした各種性能の維持やブラックボックス等のロッキード・マーティンしか触ることのできない部分のメンテナンス・修理、オーバーホール、今後のアップグレード作業を目的とした国際整備拠点MRO&U(Maintenance Repair Overhaul and Upgrade)の設置が予定されており、米本国、欧州ではイタリア、アジア圏では北半球に日本、南半球にオーストラリアが検討されている。運用機数の多い欧州では、これらのMRO&U拠点で十分な運用体制が確立できない場合、追加でイギリス、オランダ、ノルウェーにもMRO&U拠点を設置することになっている。一方でF-35を導入予定の韓国では日本での整備を感情的理由から拒否しており、ロッキード・マーティン社から重整備を国内のみでできるとの説明を受けたとしていたが、韓国内での整備は技術的理由からできない[12]。そこで2014年に韓国向けの整備をオーストラリアで行うことが報じられた[13]。

2013年7月17日にはイタリアのカーメリ工場のFACOが米本国に次いで稼働。このFACOは、イタリア国防省が保有しており、アレーニア・アエルマッキとロッキード・マーティンが運営する。今後イタリア空軍及び海軍が運用するすべてのF-35A/Bをノックダウン生産(契約条件で順次ライセンス生産に移行する場合もある)する能力を持ち、オランダ軍向けの機体等の海外へ販売される機体の製造も行う。また、アメリカ国防総省から欧州地域におけるMRO&U拠点にも指定されている。他にも、翼の生産も行っており、完成品はロッキード・マーティンのフォートワース工場に納品されている。

2015年12月15日には日本の三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場(愛知県西春日井郡豊山町)のFACOが稼働。ノースロップ・グラマン製の中央部胴体、ロッキード・マーティン製の前部胴体・コックピット・主翼、BAEシステムズ製の後部胴体、IHIのノックダウン生産したエンジンを組み上げ、エレクトリック・メイト&アッセンブリー・ステーション(EMAS)での工程を経て機体をロールアウトする。また、2014年にアメリカ国防総省からアジア地域の北半球を担当するMRO&U拠点をここに設置することが発表された。2017年時点で生産されているのはA型のみで、初期に後部胴体を含む4割近いライセンス生産も検討されたが、三菱重工業側が採算性の問題から拒否しており、国内生産は部分的なパーツに留まっている[14]。

搭載されるF135ターボファンエンジンは、米本国のコネチカット州ミドルタウン工場とフロリダ州ウエスト・パームビーチ工場で製造されているが、日本のFACOでの使用分はプラット・アンド・ホイットニーからIHIが請け負っており、2017年3月28日にF135専用施設が瑞穂工場(東京都瑞穂町)内で稼働。この施設では組立と試運転が可能で、防衛省はF-35を年に6機程導入する計画のため、これに合わせて年間6基前後の生産能力を持っており、一部部品は相馬工場(福島県相馬市)と呉第二工場(広島県呉市)等で生産される。これらの工場は将来MRO&U拠点が設置される際のエンジンの担当も期待されている。エンジン組み立て工場は他にもMRO&U拠点が設置予定のイタリアにも建設が検討されている。
部品供給

機体の維持については、ALGS(英: Autonomic Logistics Global Sustainment)と呼ばれる国際的な後方支援システムが導入される。これはアメリカ政府の管理の下、全ての運用国が共通の在庫プールを通じて交換部品の融通を行うもので、各国は保有する部品の在庫を最小限に抑制できる。ただし部品はF-35運用国以外への移転が厳しく制限され、また移転は国連憲章の目的と原則に従うF-35運用国に対するもののみに限定される[15]。
特徴
外形
F-35B 内部の様子

F-35はF-22と同様に機体形状と縁の角度の統一が図られており、ステルス性に優れた主翼の菱形翼と水平尾翼は、前縁に33度の後退角と後縁に14度の前進角を有しており、主翼には操縦翼面として、前縁に前縁フラップ、後縁にフラッペロンが装備されているほか、F-35Cでは後縁外側に補助翼が装備されている。水平尾翼はF-22と同じく全遊動式であり、2枚の垂直尾翼は42度の前縁後退角を有しており、機体中心線から外側へ25度傾けられている。

主翼付け根前縁から機首先端まで続くチャインは機体の上面と下面を明確に分けており、エアインテーク(エアインレット)はチャインの下、コックピット後方の左右にある。従来の超音速ジェット機にあったような境界層分離板[16] が無く、胴体側面の出っ張りによって境界層を押しやる仕組みになっており、ダイバータレス超音速インレット(DSI)と呼ばれるこの構造はステルス性の向上に一役買っている。

空中給油受油装置として、A型は背部に空軍式(フライング・ブーム方式)のリセプタクル、B/C型は機首右側に海軍式(プローブ・アンド・ドローグ方式)のプローブを装備する。

コックピットには前方ヒンジ方式の一体型キャノピーを採用した。これによりアクチュエーターの小型化と重量の軽減が可能となり、合わせて整備の際のアクセスも容易となった。電気システムのユニットや整備アクセス関連のユニットを、それぞれ胴体側面に配置したことにより、今までと比べて少ないアクセスパネルで対応できるようになっている[17]。
垂直着陸するF-35Bの映像(ワスプへの着艦)
F-35Cの着艦

一つの基本設計を基に、通常離着陸(CTOL)型、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型、艦載機(CV)型と3タイプの開発・製造を目指すものの、設計の共通性は高い。各タイプの設計に占める独自設計部分はA型が19.8%、B型が32.6%、C型が43.1%と、艦載機用の追加パーツが多く最も共通性の低いC型においてすら50%以上の完全な共通設計、もしくは同類設計が用いられている[18]。複座の練習機型は存在せずフライトシミュレーターを使って行われる(後述)。

ステルス性については詳細が公表されていないものの、正面からのレーダー反射断面積は約0.00143m2とF-22より7~9倍大きくF/A-18Eやラファールの1/35~1/70とされている[18]。機体表面のほとんどに用いられるカーボン複合材には、カーボン素材の段階からレーダー波吸収材(RAM)が混合されているという新しい手法が用いられており、その上で要求されたステルス性を満たすべくRAM塗料による塗装を行っている[19]。これには、従来のステルス機より維持や管理が低コストで済むという利点がある[20]。機体の製造においては、外部シールドライン制御と呼ばれる工法を使用しており、機体各部の繋ぎ目をほとんど無くして、そこにRAMでシールすることにより、繋ぎ目での段差や溝を無くすことでレーダー反射を防いでいる。機内には大容量の燃料タンクが搭載されており、F-22と同様にアンテナやセンサー類の張り出しを極力設けない設計を採用して、内蔵アンテナとセンサーを一体化させ、それを機体フレーム内に埋め込むことで、その効果を高めている。F-35は単発機であり、機体サイズ自体がF-22と比べて小型化したことで、目視での発見をより困難としている(低視認性)[21]。

ドラッグシュートはオプションとして設定されており、ノルウェー空軍などが選択している[22]。

なお、機体形状についてX-35から変更された点は以下の通り。

電子機器の搭載スペース確保のため前部胴体を12.7cm延長
胴体延長に伴う安定性と操縦性の維持のため水平安定板を5.1cm後方へ移動
機内燃料搭載量増加のため胴体背部を2.5cm上昇
胴体内兵器庫のスペース確保のため主脚の取り付け位置を胴体から主翼付け根へ変更

製造途中の胴体後方部分

製造途中の胴体後方部分
製造途中の翼の一部

製造途中の翼の一部
B/C型の降着装置

B/C型の降着装置
塗装前の機体

塗装前の機体
一体型設計のキャノピー

一体型設計のキャノピー
A型の空中給油リセプタクル

A型の空中給油リセプタクル
空中給油プローブを展開したB型

空中給油プローブを展開したB型

エンジン
リフトファン使用時には機体上下のドアが開いて空気が下方へ噴射される
機体後部のエンジン排気も機体下部のドアが開き、ノズルが回転しながら下がることにより下方へ曲げられる
エンジンの排気の一部が抽出された後、ロールポストを介して左右の主翼に導かれて下方へ噴射される
P&W F135ジェットエンジン(V/STOL用)の3ベアリング回転ノズルの偏向動作モデル
上図:水平飛行時 下図:V/STOL飛行時
回転面がずれた3つの筒部を互い違いに回転させることで、真後ろ方向から垂直下方までジェット排気の推力を偏向させる

F-35は単発機であるが、その開発に際し各軍からの要求をより多く実現しようとしたため、小型ながら重量級の機体となった。これに対応する形でエンジンも、F-22向けのF119から派生した強力なF135を搭載している。その推力はドライ出力でも125kN、アフターバーナー使用時には191kNにも達する。

この強力なエンジンの搭載によりF-35は形式を問わずおよそ150マイル(241km)をマッハ1.2で飛行可能なスーパークルーズ能力を有しているとされている[23]。 プラット・アンド・ホイットニーはさらなるエンジンの性能向上と改良に取り組んでおり、推力が増加し燃費も改善した改良型のF135 Growth Option 1.0を明らかにしている。

このアップグレードは、2020年代初めに既存の生産ラインに入る可能性があるという。PW社は燃料の燃焼低減デモンストレータエンジンと呼ばれるこのシステムの初期バージョンの性能テストを完了し、これにより、推力が最大10%向上し、燃料消費量を最大6%削減できることが証明されたとしている。その後、先進的なプログラムおよび技術担当チーフエンジニアであるSteve Burdは、同社が海軍の燃料削減努力と空軍のコンポーネント/エンジン構造評価研究プログラムの2つの技術開発プログラムの能力をGrowth Option 1.0構成に振り向けたと説明し、アップグレードにはパワーモジュール(システム冷却の変更を含むより効率的な圧縮機と改良されたタービン、燃焼器)のみを交換するだけでよいと述べた。この改良モデルは資金供給が行われていないが、JPOが承認した場合ブロック4の近代化に組み込まれる可能性がある。実現すれば推力と熱管理能力の大幅な向上が期待される[24][25][26]。

このほか、F-16と同様にエンジンの複ソース化が検討されGEアビエーションおよびロールス・ロイスそれぞれがF136を開発していたが[27]、かかる経費や必要性を吟味した結果2011年12月2日に開発は中止された[28]。代替エンジン自体は、1996年11月より検討作業が行われていた[27]。

STOVL機であるF-35BではV/STOL能力のために軸駆動式リフトファン方式とジェット推力を下方に偏向させる特殊な排気ノズル”3BSM”を併用するF135-PW-600を搭載する[29]。この”3BSM”は真下方向を越えて中心軸方向に対して最大95度まで2.5秒で角度変換できるが、この機構の作動中はアフターバーナーは使用できない[29]。V/STOL時に発揮されるすべての推力を合計した最大垂直推力は180.8kNであり、その内訳は、ノズルを90度下方に偏向させた場合のエンジン推力最大値である83.1kN、リフトファンの最大83.1kN、左右それぞれのロールポストからの最大14.6kN(2基計)、である[30]。 ちなみに、V/STOL時の姿勢制御は、機体のローリング制御をロールポストからの吹き出し量により、また、ヨーイング制御をエンジン排気ノズルの角度調節により、それぞれ行う[31]。リフトファンユニットはロールスロイスが開発したものであり、ファンは二重反転となっている。リフトファンはエンジンの低圧タービン・クラッチ・減速機を介して接続されたドライブシャフト[32][33] で駆動される。ドライブシャフトの出力は最大29,000馬力である[34][35][36]。リフトファンの吸気口と排気口に加えて左右のロールポストにも蓋[注 2]が備わっており、リフトシステムの不使用時にはステルス性を保つために閉じられる[29]。

F135エンジン

F135エンジン
アフターバーナーを使用するF-35A

アフターバーナーを使用するF-35A
F135-PW-600エンジンとドライブシャフトで繋がったリフトファン

F135-PW-600エンジンとドライブシャフトで繋がったリフトファン
垂直着陸を行うF-35B

垂直着陸を行うF-35B

騒音

この大型・高推力エンジンと固定エアインテークの取り合わせにより、騒音が大きくなってしまった[37] とされ、120デシベルを超える騒音が記録されている[38] という主張もあるが、アメリカ国防総省が2014年に公開した調査報告書によると

F-35Aの離陸時の騒音は111デシベルと、F100-PW-220エンジン装備のF-16と比較するとすべての条件で大きくなるが、F100-PW-229装備のF-16の110デシベルとはほぼ同等の騒音レベルで、低高度での3種類の飛行状態のうち2つで最低でも10デシベルは下回る。
F-35Bの着陸時の騒音はAV-8Bに匹敵し、離陸時には5デシベル大きくなる。F-35Bは、すべての着陸時にF/A-18C/Dよりも静かであるが、離陸時はF/A-18C/Dよりわずかに2デシベル大きい。
F-35C(試験ではF-35Aを代わりに使用した)の離陸時の騒音はF/A-18C/Dよりもわずかに大きく(3デシベル)なるが、アプローチ時の騒音レベルは低い。離陸時はF/A-18E/Fよりもわずかに静か(2デシベル)で、3つの接近プロファイルすべてでより静か(10デシベル)であった。

としている[39]。またオランダが実施した試験ではF-35がF-16を約3デシベル上回る程度の小さな違いしか示されていないと述べられている[40]。

その一方で海軍はF/A-18E/Fに匹敵する騒音レベルを出したことなどから、飛行甲板要員の聴力損失のリスクを引き起こす可能性がありノイズレベルを30デシベル以上低減できるヘッドセットへ更新するという[41]。
アビオニクス

操縦系統にはパワー・バイ・ワイヤを導入している。これは従来のフライ・バイ・ワイヤで使われていた油圧アクチュエータを極力廃止し電気系統に置き換えることで軽量化・整備性の向上を図ったもので、F-35では冗長化のため電気と油圧のどちらでも駆動するEHA(英: Electro Hydrostatic Actuator:電気油圧アクチュエータ)を採用している。これにより従来の油圧系統が使用されているのは、降着装置、ウェポンベイ扉、A型の固定機関砲駆動システム、B型のロールポスト、C型の主翼折り畳み機構のみとなった[42]。

全型ともコックピットの基本設計は共通であり、コックピットの正面は幅50.8cm、高さ20.3cm、上部高さ2.5cmのタッチパネル式大型液晶カラーディスプレイ、その下に無線機の操作パネルや独立した液晶の姿勢指示器が配置されたシンプルな設計である。主表示装置となる大型ディスプレイは、画面を2分割・4分割・8分割の3つの大きさのウィンドウで区切って分割して各種の情報が表示されるようになっている。画面分割数やウィンドウのサイズ、表示する情報などはパイロットが変更できるため、ミッションに重要な情報は大きく、重要度が低い情報は小さく、不必要な情報は表示しないことも可能である。従来のグラスコックピットは、多数の小型操作スイッチが画面の周囲に並び画面レイアウトも固定されていたため、パイロットは飛行中に小さなスイッチで画面切り替えを繰り返して必要な表示を探すなど負担が大きかったが、ロッキード・マーティンの主任テストパイロットは従来型に比べパイロットの負担は大幅に減っていると語っている[43]。

操縦桿は大型ディスプレイを妨げないジョイスティック方式[注 3]のサイド・スティック(座席右側)が採用された。左側のスロットル・レバーは従来の棒型ではなく多数のスイッチが押しやすいように人間工学的に最適化された新規設計となっている。B/C型は「HOOK/STOVL」スイッチを押すことで固有の機能を使用でき、F-35Bでは操縦系統がSTOVLモードになり、F-35Cではアレスティング・フックが下がる。F-35BにはハリアーにあったV/STOL操作用のノズル偏向レバーがないが、これはSTOVLモード時のノズル操作などがスロットル操作や飛行状態によって自動的に行われるようになったためで、操作性が向上している[44]。

ヘッドアップディスプレイ(HUD)に代わってヘッドマウントディスプレイシステム(HMDS)が採用された。これは、ストライク・アイと呼ばれるHMDで、JHMCSを更に発展させたものであり、ヘルメットに情報を投射するLEDやコンデンサー・レンズで構成されたイルミネーター(画像生成装置)とバイザーに特殊なコーティングを施した画像投影装置で構成されたシステムによるディスプレイ装置が組込まれており、HUDの情報のみならず飛行情報の基本ディスプレイや、コックピットのMFDにしか表示できなかったFLIRの画像などの戦術データもバイザーに投影できるようにしたものであり、バイザーに投影される情報は、操縦桿やスロットル・レバーに装備されているHOTASにより選択が可能である。また、EOTSやEO-DASによって捕らえられた画像を視界に重なる形でバイザーへ投影でき、全周360度をカバーできる。これにより、従来コックピットの前方に装備されていたHUDは、本機では無くなっている。ディスプレイの重量はバイザーに情報を投影するイルミネーターが2基あるにもかかわらず、全体が炭素繊維でできているため、従来の汎用ヘルメットよりも軽量である。開発メーカーはイスラエルのビジョン・システム・インターナショナル社(VSI)で、VSIはJHMCSの開発も行なっている[45]。当初このHMDは”Gen 2″と呼ばれるタイプが運用されていたが、強度の衝撃を伴う運用の際に電気信号の変調が発生するという問題や搭載するISIE[注 4]-10暗視カメラの能力不足などが指摘され、”Gen 3″が開発された。”Gen 3″は改良型のISIE-11暗視カメラ、制御ソフトウェアを搭載し完全な能力を備えるもので2014年1月28日に飛行試験が行われ[46]、同年7月21日に納入された[47]。このHMDは、LRIP7の生産機体から提供されている。なお、”Gen 3″の開発に遅れが生じる可能性もあるため、BAEシステムズによって民生暗視ゴーグルを使用した代替簡易版が並行開発されていた[48] が、2013年10月に製造企業のVSI社から、開発についての目星が付きかつ12%のコスト削減保証が得られたため、この簡易型HMDの開発は中止された[49]。

F-35の電子機器の基幹となるのが『ICP(Integrated Core Processor:統合型コアプロセッサー)』でレーダーや各種センサーの情報を統合・処理する。ICPは民生品であるモトローラ社のPowerPC G4マイクロプロセッサをベースとして開発することでコストダウンを図っている[50]。このICPは1秒間に1兆回以上の演算処理が可能な性能を有しているとされる[51]。2018年9月27日には次世代のICPを供給する企業としてハリス・コーポレーション(英語版)が選定されたと発表された。ハリス・コーポレーション(英語版)が生産した次世代ICPは、単価の75%削減、処理能力の25倍への増強、ソフトウェアの安定性の向上、信頼性の向上、診断の向上による維持費の削減、将来の機能の追加、アップグレード、更新の柔軟性を可能にするオープンシステムアーキテクチャなどの改善が行われ、2023年から納入が開始される予定[52]。

内部システムネットワークには低レイテンシーが評価されIEEE1394bが採用されている[53]。

"Gen 1"のHMDS

"Gen 1"のHMDS
"Gen 3"のHMDS

"Gen 3"のHMDS
カナダ航空宇宙博物館に展示されているコックピットのモックアップ。

カナダ航空宇宙博物館に展示されているコックピットのモックアップ。
アメリカ海軍仕様のコックピット。

アメリカ海軍仕様のコックピット。

フライトシミュレータ

複座型を開発しなかったため、パイロットの教育はフルミッション・シミュレータ(FMS)で行われる。FMSは実機と同じ操縦席を動揺装置に乗せており、360度のドーム型スクリーンを備えたフル・フライトシミュレータ(FFS)である。飛行だけでなくミッションソフトウェアも実機と同等であるため、作戦行動の訓練も可能である。FMSは制御ソフトの設定により、A/B/Cの3タイプいずれにも対応している。

操縦訓練用の他、整備士の教育用として兵装搭載トレーナー(WLT)、射出システム整備トレーナー(ESMT)と呼ばれる実物大モックアップが用意されており、前者は胴体と主翼を再現した兵器類の搭載訓練用、後者は機首とコックピットを再現した射出座席・キャノピー投棄システム整備訓練用となっている。これらもパーツの組み換えなどで3タイプ全てに対応可能である[54]。

動揺装置を廃し、ドーム型スクリーンをパネル型ディスプレイに変更することでコストを抑えたフライトトレーニングデバイス(FTD)も用意されており、イスラエルなどが導入している。

設備の解説を受けるレオン・パネッタ(2012年)

設備の解説を受けるレオン・パネッタ(2012年)
FMSによる訓練(2015年)

FMSによる訓練(2015年)
イスラエル向けのFTDの外形(2015年)

イスラエル向けのFTDの外形(2015年)
イスラエル向けのFTDの操縦席から見た様子(2015年)

イスラエル向けのFTDの操縦席から見た様子(2015年)

センサー
AN/APG-81 レーダー

AN/APG-81
機首には、米ノースロップ・グラマン社製のAN/APG-81 AESAレーダーが搭載される。
AN/APG-81 レーダーはアクティブ電子走査アレイ(AESA)によるアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーであり、F-22Aに搭載されているAN/APG-77の技術を元に開発されたもので、基本的な機能はほぼ同じである。これには、さまざまな空対地・空対空モードを持つとともに、電子戦能力も付与されている[55]。
また、F-35の機首に合わせるため、AN/APG-77と比べて送受信モジュールの削減と小型・軽量化が図られており、最大探知距離はF-35テストパイロット「ビリー・フリン」へのインタビューにて200海里(370km)離れた敵を見つけたという発言から370km以上あるのではないかと推測されている。
また2017年のギリシャの報道によると「F-35のAPG-81は、ラファールとユーロファイターを230km以上の距離で追跡し、150kmの距離からロックオンしていた」とありレーダー性能の高さをうかがわせる内容だった。

AN/AAQ-40 EOTS
ロッキード・マーティン社とBAEシステムズ社共同開発の電子・光学式照準システムEOTS(英: Electro-Optical Targeting System:電子式光学照準システム)は、赤外線とレーザーを使用した目標捕捉・照準装置で、カヌー型のハウジングに収容されて機首下面に設置されている。この装置はAN/AAQ-33 スナイパーXRをベースにいくつかの部品を共用しており、ほぼ同等の性能・機能を備えている。長距離の空対空目標または空対地目標の探知やレーザーによる測距と目標指示を行い、これによりGPS・レーザー誘導兵器の運用が可能である。
また、IRSTのような赤外線による目標探知機能を持ち、運用法の一つとして、地上目標に対する戦術偵察任務などの付与が検討されている[56]。

EOTS

EOTS
EOTSの映像(空対空モード)

EOTSの映像(空対空モード)
EOTSの映像(空対地モード)

EOTSの映像(空対地モード)

AN/AAQ-37 EO-DAS
防御用のセンサーには、ノースロップ・グラマン社製の画像配信システムEO-DAS(英: Electro-Optical Distrubuted Aperture System:電子式光学画像配信システム)が採用されている。
DASはパッシブ式の赤外線画像センサーであり、機体各部の6ヶ所にEO-DASのセンサーが埋め込まれており、機体全周の警戒探知を可能としている。パイロットはビジュアル・モードによりHMDで機体全周の高画質の赤外線画像が得られることで状況認識能力が高められ、完全オフボアサイトによるミサイルへの目標指示も可能になっている[31]。そのためF-35ではパイロットに暗視ゴーグルを装着する必要がなくなっている。
AN/ASQ-239 バラクーダ
防御用の電子戦装置には、BAEシステムズ社が開発したAN/ASQ-239 バラクーダ(英: Barracuda)統合型防御電子戦装置が採用されている。これは、F-22に搭載されているAN/ALR-94に改良・能力向上を施したとされるデジタル式赤外線/無線周波(レーダー)受信システムであり、主翼前縁と水平尾翼後縁にそのアンテナが装備されている。詳細は不明だが従来型や同世代型の数倍の感度を持ち、脅威電波発信源のより正確な位置特定が可能とされる。また、AGM-88 HARM/AARGMへの目標指示も可能になっている[57]。ロッキード・マーティンの資料によると、この能力によってF-35はEA-6BやRC-135V/Wの任務も遂行可能としている[58]。
センサー・フュージョン
日本語で「センサー融合」とも呼ばれる能力。
これまでは別々に表示されていたレーダーや電子光学装置などの各種センサーの情報を一体化し、統合化された情報としてコックピットに表示することで、パイロットの状況認識能力を高めている。また統合できる情報には、自機のセンサーだけでなく味方のF-35や早期警戒管制機、地上のレーダーサイトや防空指揮システム、艦艇からのものも含まれており、これらの情報をデータリンクで共有することで、戦場内の情報ネットワークの一環となって戦闘を行う「ネットワーク型戦闘」という戦力構築が可能となる。このため、F-35ではネットワーク接続性も機体システムの設計段階から考慮されている[59]。

武装
ウェポンベイを開いた状態
ウェポンベイ内のAIM-120(左)とGBU-31(右)
B型の機体中央下部に搭載された機関砲ポッド

本機の高ステルス性能を維持するためには、ミサイルや爆弾類の機外搭載は避けて胴体内兵器倉(ウェポンベイ)の中に隠し持つようにして搭載する必要がある。隠密性より兵器の搭載能力が優先される場合には、機外に7ヶ所あるハードポイントにパイロンを装着し、合計で約8tの重さの兵器が搭載できる[60]。

ウェポンベイは内部天井と内側扉裏側に1ヶ所ずつ、左右合わせて4ヶ所のハードポイントを備え、空対空ミッションでは左右で最大4発のミサイルを、空対地ミッションでは2,000lb JDAM 2発と中距離空対空ミサイル2発を搭載可能である[61]。空対艦ミッションでは、ウェポンベイには搭載できないハープーンなどの対艦ミサイルを主翼下に搭載して運用するが、これではステルス性を損ねるため、代わりにF-35に搭載するためにノルウェーのコングスヴェルグ社がロッキード・マーティンと共同開発している、JSM(Joint Strike Missile)と呼ばれるステルス性のある形状の空対艦ミサイルをウェポンベイに搭載することとなる[62]。また、F-35Bではホバリング時に内側扉を開き揚力増強装置としても使用する[63]。

ロッキード・マーティンは、ウェポンベイ内部のハードポイントを現状より増やす研究を行っており、ブロック3以降の機体からそれが可能になるとしている。ステーション数は、内部天井ステーションは1つもしくは2つを交換式で選択できるようにし、外側扉の内側に2ヶ所増設することで、最大5ヶ所、左右合わせて10ヶ所となる。また、内側扉内部ステーションにAIM-9を搭載する際には専用の2連装ランチャーを用いるとしており、この場合だとAIM-9を2発搭載しつつ4ヶ所のステーションが使用可能となる[64]。

なお、F-35は日本の次期戦闘機に選定されたが、AAM-4(日本独自の中距離空対空ミサイル)の運用に関する問題があった。兵器システムの大部分を担任しAIM-120のメーカーでもあるレイセオンは「F-35のウェポンベイへの装着は極めて困難で、機体側の改修は可能だろうが、加えて兵器システム用ソフトウェアの書き換えなどの手間と費用を考慮すれば、実績のあるAIM-120をF-35と共に導入することが合理的」との見解を示している[65]。それに対して、ロッキード・マーティンのスティーブ・オブライアン副社長は「長さがほぼ同じであればスペース的な問題は生じず、太さ1インチ(=2.54cm)の差というのは大した差ではなく、装着用アタッチメントを変更するだけで済むので、このことが大きな問題になることはない」との見解を示した[66](ただし、指令誘導装置J/ARG-1の搭載が必要であるという点や大型の制御翼については触れていない)。これに関してはMBDAのミーティアを共同で改良の上搭載するという案が挙がっている[67][68]。その後、AIM-120C-7の輸入が行われている。また、AAM-4以外の各種日本製誘導弾にも対応していない。

主翼にある翼下パイロンは左右に3ヶ所ずつあり(一番外側は空対空ミサイル専用)各種ミサイル・爆弾が搭載可能である[61]。胴体の下にも1ヶ所あり、ステルス性を犠牲にする代わりに機関砲ポッドまたはドロップタンクが搭載可能である。

固有武装は、F-35A型のみが GAU-22/A 25mm機関砲を機内に固定装備しており、B型とC型では機外搭載オプションの1つとしてステルス性を備えた25mm機関砲ポッドが用意される[69][70]。

SDB
小直径爆弾と呼ばれる「SDB」[71] は、開発段階から第五世代戦闘機のウェポンベイに合わせて小径に設計された爆弾である。戦闘機としての空戦能力と高いステルス性能を維持したまま、A-10の後継機として爆撃任務にも対応する必要から、ウェポンベイ内に制限された狭い爆弾槽をより有効に活用する要請に応えて開発されている。

ミッションソフトウェア

本機のミッションソフトウェアは800万行を超える膨大なソースコードを有するため、SDD作業において3つのブロックに区分して製造され、完成度を段階的に高めていくことが計画されている。またSDD作業以降の発展版も計画されている。

ブロック0
初期のSDD機には、基本的な機体管理ソフトウェアしか搭載されておらず、ブロック0とも呼ばれるが正式なバージョンとして存在するものではない[72]。
ブロック1

ブロック1A
    限定的ながらセンサーの動作が可能[73]。基本的な戦闘能力を持ち、兵装はAIM-120 AMRAAM・JDAM GPS誘導爆弾の搭載能力を持つ。専らボーイング737を改造したアビオニクスのテストベッド機「CATバード(英語版)」にて使用され、F-35ではオランダ向けの初号機「AN-1」のみが搭載[74]。
ブロック1B
    EOTSのサポート機能[74] や兵装シミュレーション機能の導入、レーダーモードの追加により、空対空・空対地戦闘訓練が可能なようにされた[73]。

ブロック2

ブロック2A
    初期的なデータリンクシステムが導入され、EOTSやEO-DASの操作が可能となった。LRIP4の生産機体から搭載[74]。
ブロック2B
    阻止攻撃能力・限定的な空対空能力・近接航空支援能力・敵防空網制圧能力を持ち、JDAM以外の空対地攻撃兵器の搭載も可能となる。F-35Bはこのバージョンで初期作戦能力を獲得した。

ブロック3

ブロック3I
    ブロック3の初期版。ハードウェアの更新[75] に伴い、ブロック2Bの演算能力を強化[76]。LRIP6~8の生産機体がこのバージョンにアップグレードされるが、ハードウェアが旧型のLRIP2~5の生産機体については、代わりに同等の機能を持つ新バージョンのブロック2Bが搭載される[77]。F-35Aはこのバージョンで初期作戦能力を獲得した。
ブロック3F
    ブロック3の完全版にしてSDD作業での最終仕様。G制限が9Gにまで拡張され[78]、完全な戦闘能力を持ち、あらゆるミッションをこなすJSFとなり、機関砲の射撃機能とAIM-9の運用能力追加[79] によって計画されているあらゆる兵装の搭載を可能としている。また、ネットワークを利用した情報共有などを行う、ネットワーク・セントリック・オペレーション(NCO)構想に完全に適合する機能を有する予定である。F-35Cはこのバージョンで初期作戦能力を獲得した。

ブロック4
ブロック3の機能強化版。JSMやB61核爆弾の運用能力付加、データリンクシステムの強化が行われる予定[74]。ブロック4Aとブロック4Bの二段階に分けてリリース予定。
ブロック5
AN/APG-81レーダーへの海洋モードの追加、電子戦システムのアップグレード、AIM-120の6発同時携行能力の付加などを予定[80]。
ブロック6
推進システムの管理機能、電子攻撃機能、友軍の追跡能力、全方位での脅威のパッシブ探知/反応機能を強化する予定[81]。
ブロック7
生物/化学戦環境下での防護機能強化などを予定[81]。

愛称

本機につけられている愛称である「ライトニング II(英: Lightning II)」は、かつてロッキード社によって開発され、第二次世界大戦で活躍したP-38 ライトニングに因んだものである。また、共同開発の最大のパートナーであるイギリスが、自国で開発した唯一の超音速戦闘機イングリッシュ・エレクトリック ライトニングに因む愛称でもある[82]。なお、YF-22がF-15の後継機の座をYF-23と争った際、この愛称を名乗っていた時期もあった[83]。

非公式な愛称として、1950年代に開発されたF-104と同じく、「最後の有人戦闘機」と呼ばれることがある。F-104は機体形状とミサイル万能論の影響で有人機は地対空ミサイルに置き換えられる予想からだが、F-35の場合は無人航空機の発達により、将来は戦闘機も無人化されるという予測が背景にある。
派生型

以下に各タイプの概要を挙げる。 当初より多数の国に配備されることもあり、型式番号やシリアルナンバーとは別に販売先ごとの固有のナンバーが設定されており、派生型アルファベット+販売先アルファベット+生産順番で表されている(例:アメリカ空軍向けF-35A初号機ならば「AF-1」)。下記が判明している。

AA:F-35開発実証機
AG:F-35A地上試験機
BG:F-35B地上試験機
CG:F-35C地上試験機・落下試験機
AJ:F-35A耐久試験機
BH:F-35B耐久試験機
CJ:F-35C耐久試験機
AF:アメリカ空軍向けF-35A(AF-1〜4はSDD機)
BF:アメリカ海兵隊向けF-35B(BF-1〜5はSDD機)
CF:アメリカ海軍向けF-35C(CF-1〜3・5はSDD機 CF-4はキャンセル)
BK:イギリス空軍・海軍向けF-35B
AN:オランダ空軍向けF-35A
AU:オーストラリア空軍向けF-35A
AM:ノルウェー空軍向けF-35A
AS:イスラエル空軍仕様F-35I
AL:イタリア空軍向けF-35A
BL:イタリア海軍向けF-35B
AX:航空自衛隊向けF-35A
AW:韓国空軍向けF-35A
AT:トルコ空軍向けF-35A
AP:デンマーク空軍向けF-35A

X-35
X-35A
詳細は「X-35 (航空機)」を参照

JSF計画に基づいてX-32と競合開発されたF-35のステルス概念実証機。あくまで実証機であるため、F-35と異なる点もある。2機3タイプが製造された。

X-35A
CTOL型
X-35B
X-35Aを改造したSTOVL型
X-35C
CATOBAR型

F-35A
F-35A
ウィキメディア・コモンズには、F-35Aに関連するカテゴリがあります。

F-35Aは、F-35シリーズの基本型であり、アメリカ空軍での使用が考慮されたオーソドックスなCTOL[84] タイプ(通常離着陸)である。2006年12月15日初飛行。2011年5月9日にロッキード・マーティン社からアメリカ空軍へ本機の納入がされた事が発表された[85]。初期作戦能力は2016年8月2日に獲得[86]。当初の予定では2016年12月までに獲得するとされていた。

3タイプの中では最も簡素で軽量な構造であるが、機体の大きさは、全長15.40m、全幅10.67mで、F-16の全長15.03m、全幅9.45mと比べて主翼が大きく、主翼面積は47.74m2で、F-16の27.87m2と比べて1.5倍となっている。上述の通り単発機としては大型であるため、ユーロファイターやF/A-18などといった双発機と同等以上の空虚重量を有しており、機内の燃料搭載重量は8,278kgとし、単発機のF-16の3,985kgと比べて2.5倍、双発機のF-22の9.979kgに匹敵する燃料を搭載できる。また、A型は唯一、外付けのガンポッドに頼らない固定武装として機関砲GAU-12 イコライザーの軽量発展型のGAU-22/Aを搭載している。また、胴体後部下面に収納式のアレスティングフックを装備している。

LRIPによるアメリカ機以外の海外機生産も進んでいる。完成した機体の殆どは今の所、アメリカのアリゾナ州ルーク空軍基地にてパイロットの訓練プログラムに使用されている。2012年4月1日には、オランダ空軍向けのF-35A「AN-1」がロールアウト。7月24日にはオーストラリア空軍の2機のF-35A「AU-1」「AU-2」がロールアウト。2015年9月22日には、ノルウェー空軍向けF-35A「AM-1」、続く10月6日には「AM-2」がロールアウト。2016年6月22日には、イスラエル空軍向けのF-35I「AS-1」がロールアウト。イスラエル向けの機体は独自のアビオニクスを搭載するため、ハードウェアとソフトウェアが他国向けの機体と若干異なり、F-35I アディール(Adir)という独自の型番が与えられている。9月23日には、日本の航空自衛隊向けF-35A初号機「AX-1」がロールアウトし、式典はインターネットで生中継された。2018年3月28日には韓国空軍向けのF-35A「AW-1」[87]、6月21日にはトルコ空軍向けのF-35A「AT-1」[88] がロールアウトしている。

海外での生産は、2015年3月12日にカーメリのFACOでイタリア空軍用F-35A「AL-1」がロールアウト、本国以外での最初製造機となり、以降年間2機前後のペースで生産が進んでいる。また、2018年6月15日からはオランダ空軍向けのF-35A「AN-9」の生産も開始した[89]。2017年6月5日には三菱のFACOで航空自衛隊向け5号機「AX-5」、同年9月に6号機「AX-6」が相次いでロールアウト、以降は生産数を伸ばして年間6機前後の生産を目指している。

2019年4月30日、イラク上空に到達したアメリカ空軍所属のF-35AはISILの武器貯蔵地下トンネルがあるハムリン山地にJDAMを投下、F-35シリーズ最初の実戦攻撃任務の実施および任務達成に成功した[90][91]。

2019年5月24日、アメリカ空軍中央司令部はF-35Aが兵装を外部搭載した「ビーストモード」に換装する手順を撮影した動画を公開した[92]。

2020年1月30日、運用試験・評価局(英語版)は、(F-35BやF-35Cとは異なる仕様の)F-35Aは機関砲が本来の位置とは異なる位置に取り付けられていることが原因で、銃撃の精度が「弾がまっすぐ飛ばない許容できないレベル」であると指摘した[93]。
F-35B
スキージャンプを使って短距離離陸するF-35B

垂直着陸するF-35B
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F-35Bは、アメリカ海兵隊のハリアー IIの後継機として使用するためのSTOVL[94] タイプ(短距離離陸・垂直着陸)。2008年7月11日初飛行。2015年7月31日に初期作戦能力を獲得した[95]。2015年12月とされていた期限を前倒しで達成している。

エンジン後方にある排気ノズルを折り曲げて下方に向けることができ、その際には排気ノズル付近の機体後方下部に装備された二枚扉を開けてから行う。エンジンから伸びるシャフトはクラッチを介して前方のリフトファンを駆動する。機体前方下部にあるリフトファンの排気ダクト扉は二枚扉だが、機体前方上部にある吸気ダクト扉はX-35Bでの二枚扉から変更され後方ヒンジによる一枚扉となっている。コックピットのキャノピーの形状はA/Cと違い、その直後の胴体背部がリフトファンを装備している関係で盛り上がっているため、完全な水滴型(バブルキャノピー)にはなっていない。リフトファンの吸気ダクト扉後部には二枚扉のエンジンの補助インテークがあり、低速になるSTOVL飛行時でもエンジンへの充分な吸気を行えるようになっている。また、主翼内翼部中央下面には、エンジンの圧縮機からの抽出空気を利用して垂直離着陸時やホバリング時の姿勢安定に使用するロールポストが装備されている。リフトファンから噴出される空気は熱せられていないため、エンジンの後部排気口から発生する高温・酸素不足の空気流が前方に流れるのをせき止めて、エアインテークからエンジンに入り込むことを防いでおり、ホバリング時も高いエンジン運転効率を維持している。降着装置はA型と共通であるため、ハリアーシリーズにはできなかった通常滑走路でのCTOL運用も可能である。

F-35Bの複雑な構造は整備性を悪化させており、また航続距離はF-35A/Cに比べて約2/3〜3/4と、かなり短くなっている。これは、リフトファンとシャフトが垂直離着陸時や短距離離着陸時にのみ使用されるため、水平飛行の際には単なるデッドウェイトとなること、およびそれらを機体内部に収容する空間を燃料搭載量を削減して確保したことによる。また同様の理由で兵装搭載量も20%ほど低下している他、ウェポンベイの全長も短くなっており2,000lb級爆弾やJSMの機内搭載は不可能となっている。

アメリカ空軍は、攻撃機A-10の後継機にA型ではなく短距離離着陸型のB型を充当することを検討していたが、結局はA型に一本化された。

イギリス海軍、イギリス空軍もクイーン・エリザベス級STOVL空母の就役を前提に、シーハリアーやハリアー GR.5/7の後継機としてB型の配備を計画していたが、2010年10月25日のストラテジック・ディフェンス・アンド・セキュリティー・レビュー[注 5]に伴い、これをC型(CTOL艦載機向け仕様)に変更すると発表。しかし、2012年にはC型の開発の遅れや、空母に装備するカタパルトやアレスティング・ワイヤーの高価格などを理由に再びB型に変更した。イギリス側の要求で垂直ではなく斜方に降下して着艦するSRVL(英語版)(Shipboard Rolling Vertical Landing)方式にも対応している[96]。

2012年1月11日にF-35Bの完成機2機が、パイロット養成用として初めてアメリカ海兵隊に納入された[97]。同年8月8日には、F-35Bの試験機である「BF-3」が大西洋のテストレンジで、高度4,200フィート、速度400ノットで飛行しながら1,000ポンドのGBU-32(JDAM)を胴体内兵器倉から初の投下試験に成功した[98]。2013年5月10日には、メリーランド州パタクセント・リバー海軍航空基地で垂直離陸試験に成功した[99]。

2011年11月22日にはイギリス向けのF-35B「BK-1」がロールアウト、翌年4月16日に初飛行し、最初に完成した海外向けの機体となった。2017年5月5日には上述したイタリア国内のカーメリFACOでイタリア海軍向けF-35B「BL-1」がロールアウト、海外生産初のF-35Bとなり、8月頃の初飛行が予定されている。

2018年9月27日、アメリカ海兵隊に所属するF-35Bが初の実戦となる空爆作戦を実施。強襲揚陸艦「エセックス」から発艦、アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンを攻撃した[100]。

2018年9月28日、F-35Bがサウスカロライナ州ビューフォート郡で大破。幸いにもパイロットは無事、緊急脱出に成功。なお、F-35Bの事故はこれが初めてのケースとなった[101][102]。

2018年10月25日、エンジンの燃料管不良で飛行停止となったF-35Bは飛行を再開したが、燃料管の交換を要する機体が多数発見され、20機を超える機体が飛行停止となった[103]。

2019年1月29日、アメリカ国防省は初期生産型F-35Bの抱える根本的かつ重大な欠陥について報告した[104]。いわく「初期生産型F-35Bの飛行寿命は2100時間で設計寿命8000時間よりも大幅に短く、(信頼性・整備性に関しては)想定の8割で訓練等に利用できる機体も少なく、可動率も4割以下と悪い。また、サイバーセキュリティ・テストで露呈した弱点が未だに解決されていない」と述べた[105][106][107][108]。
F-35C
「ジョージ・ワシントン」から発艦するF-35C

F-35Cは、アメリカ海軍での使用を主とした通常離着陸型のCV[注 6]タイプ(艦載型)。2010年6月8日初飛行。2019年2月に初期作戦能力を獲得した。
ウィキメディア・コモンズには、F-35Cに関連するカテゴリがあります。

F/A-18A-Dの後継機であり、艦載機に要求される低速時での揚力の増加と安定性の強化のため、主翼・垂直尾翼・水平尾翼が大型化されている[注 7]。空母格納庫スペース節減のために主翼の外翼部に折り畳み機構が追加され、そこを境に内翼部はフラッペロン、外翼部は補助翼が装備されている[109]ほか、前縁フラップも分割されている。また、ニミッツ級/ジェラルド・R・フォード級原子力空母での発着艦時の運用のために、機体構造や降着装置の強化、前脚の二重車輪(ダブルタイヤ)化とカタパルト発進バーの装着、胴体後部下面に強度を増したA型と同様の収納式のアレスティングフックを装備している。

これらにより、機体重量はB型と同程度にまで増大しているが、主翼と尾翼の大型化および固定武装のオミットによって機体内部の余剰容積も拡張された。これにより、結果的に燃料タンクが増設された形になるため、最大で8,959kgの燃料を搭載できるように計画する予定であり、むしろ航続距離はA型よりも13〜14%ほど延伸されている。また、新機軸の着艦システムとして、オートスラスト機能が装備されている。着艦アプローチの際、現用のF/A-18E/Fのパイロットはフラップやエンジンパワーの制御も行う必要があるが、F-35Cではコントロール・スティックを操作するだけで着艦を行うことが可能になる。

当初、アレスティングフックが主脚に近すぎることやフックの設計上の問題で、適切なタイミングでアレスティング・ワイヤーを掛けることができない等の不具合が発生しており[110]、導入予定であったイギリスが抗議するという事態になった[111]。この不具合は、フックの位置を含め改善する再設計が施されて解消している。

2010年10月25日、イギリスはストラテジック・ディフェンス・アンド・セキュリティー・レビューにより、調達機をB型ではなくC型に切り替えると発表されたが、2012年に再度B型に変更しており、C型の使用が確定しているのはアメリカ軍のみとなった。

2012年に試験飛行を開始[112][113]。2014年11月14日、空母「ニミッツ」で実施していたF-35C初めての艦上開発試験フェーズ1(DT-I)を無事終了した[114][115]。続く試験フェーズ2(DT-II)は、2015年10月2日より、空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」で実施。試験フェーズ3(DT-III)は、2016年8月3日より、空母「ジョージ・ワシントン」で実施されており、デルタ・フライト・パスや高精度自動着陸技術を用いた統合精密アプローチ・着艦システム(JPALS)などの試験を様々な環境下で実施する。

2018年12月の米国会計検査院(英語版)(GAO)の議会証言によると、「アメリカ海軍はF-35Cを2019年に艦上運用開始予定だが、実際に艦上運用可能な機体は2017年度は15%(6機中1機)のみ。状況は2018年に入っても悪化したまま、2018年6月にもF-35Cの信頼性、整備性で改善の兆しが見られないと報告され、F-35Cは初期作戦能力(IOC)として必要な性能項目の半分で不満足な結果を出している」と証言された[116]。

2019年2月28日、アメリカ海軍は「F-35Cは初期作戦能力(IOC)として必要な性能を獲得した」と発表した[117]。
UAV化計画

2006年8月16日、ワシントン・ポストは、ロッキード・マーティンが同機の無人化バージョンを提案したと報じた [118]。
問題
技術面

開発の遅れ

2011年1月6日、海兵隊のF-35Bについてロバート・ゲーツ国防長官は、システム開発実証(SDD)が2016年まで遅れ、初期作戦能力獲得は2017年になる見込みと、2年以内に改修ができないあるいは計画通りに進展がない場合は、開発が中止になるだろうと発表した。アシュトン・カーター国防次官は、現在のアメリカの財政状況を鑑みて「高額になりすぎて負担しきれない」として、計画の見直しが必要だと指摘した[5]。実際には上述したように、F-35Bは2015年に初期作戦能力を獲得した。

性能面での問題

2011年12月16日付けの産経新聞はアメリカ国防総省内部資料を出所とした「ステルス性能に疑問」という記事を報じ、また、具体的問題点として、攻撃能力、被弾や事故時の生存可能性、旋回や上昇など飛行性能、空対空ミサイルの発射、電子戦能力がテストパイロットなどより運用上深刻な、または特別な懸念として挙がっている、としている。それによると、報告者は国防総省のアハーン次官補代理ら計5人で、報告書では「今後の生産を中止するような根本的なリスクは認められなかった」としながらも、上述の問題点より「設計の安定性で信頼に欠ける」と結論し、「調達・生産計画の真剣な再考」が求められている、としていた[119]。

2013年1月14日には、飛行領域の拡張作業で深刻な問題が発生したため、全型で維持旋回荷重[注 8]を引き下げ(A型5.3Gから4.6G、B型5.0Gから4.5G、C型5.1Gから5.0G)、マッハ0.8から1.2への加速時間も延長(A型8秒延長、B型16秒延長、C型43秒延長)することが報道された[120]。5.0G以下の維持旋回荷重は第3世代ジェット戦闘機であるF-4やF-5並の数値であり、地対空ミサイルなどに対しての脆弱性が危惧されている。C型の43秒もの加速時間延長は、燃料消費量の増大を招き、作戦遂行に支障をきたす場合も出てくると指摘されている。アメリカ国防総省は、これらの問題点については戦術や訓練を慎重に計画することで補える部分もあるとしている[72]。

2016年2月1日に公表された報告書では、精密技術試験の結果、依然として問題が複数残っていることが明らかになった。特に深刻なのが射出座席で、パイロットの体重が62kg未満だと射出時に座席が後方へ回転し、パイロットの首をのけぞらせて死に至らしめる可能性があるとしていた[121]。これは最終的に射出座席やHMDの改良で解決している[122][123]。

可動率

2019年3月19日、POGO(英語版)(POGO:Project On Government Oversight)は「(NAVAIRが2016年10月から2018年12月までに集計したデータに基づく)F-35BおよびC型の全任務可動率(英: Fully Mission Capable)は海兵隊のF-35B型で15パーセント、アメリカ海軍のF-35C型では2パーセントである」と公式に発表した[124]。

2019年4月25日、米国会計検査院(英語版)(GAO)は、アメリカ軍が保有するF-35の30%近くが、スペア部品不足のため数カ月間飛行不能状態に陥っていたことを報告書の中で指摘した[125]。

2019年11月13日、運用試験・評価局(DOT&E)のロバート・F・ベラー(英語版)局長はF-35が完全な戦闘準備目標に達しておらず、信頼性の問題は多少進歩しているにもかかわらず、3つの派生型はすべて計画よりも頻繁に故障していると指摘した[126]。

2019年の13件の問題についての報道

2019年6月13日に、ディフェンスニュースは13ものカテゴリ1の欠陥について独占報道を行った[127]。これに対しロッキードは多くが解決済みとする反論を掲載[128]。2020年4月24日には、これらのうち5つが修正され、5つはより低いレベルの欠陥に格下げ、3つの問題は未解決となり、新たに4つの問題がリストに追加され、合計が7つとなった。JPOによるとこれらの残る問題もソフトウェアの更新により、2020年末までにすべて解決される見込み[129]。
ALIS・ODIN

当初、整備用の情報システムとしてALIS(英: Autonomic Logistics Information System:自動兵站情報システム)が使用されていた。ALISは端末を機体に接続することで故障個所やその対処方法を診断し、さらに交換部品の在庫状況も把握することで維持・補修の効率を向上させるシステムであるが、2015年には機体に問題ありと警報を発したケースの8割が誤警報だったという報告があり[130]、2016年3月には国防総省運用試験・評価局(英語版)(DOT&E)から最新版のアップデートについて、十分な試験なしの適用は危険との報告も出されていた[131]。米国フロリダ州にあるエグリン空軍基地の第33戦闘航空団の指揮官はALISシステムの一部であるTMS(トレーニング管理システム)より、旧式のノースロップ・グラマン社製GTIMS(トレーニング統合管理システム)のほうが効率的な管理・運用の手助けになると指摘しており、既にGTIMS(トレーニング統合管理システム)を使用中であると述べている(TMSは訓練スケジュールの管理を行い、訓練に必要な工数とコストを削減するため、米国の陸海空軍で幅広く使用中)。ただし、旧式のGTIMSとALIS間ではデータの同期が出来ないため、データの二重入力を行わなければならないという問題も発生している[132][133]。

これらの要因により、ペンタゴンはALISの運用を停止、2020年度末までにODIN(英: Operational Data Integrated Network:運用情報統合ネットワーク)に切り替えると発表した[134]。
価格

ロッキード・マーティン社では当初、F-35はF-16やF/A-18と同等の価格で諸外国に提供でき、維持・整備費などの費用はより安価になるとしていた[10]。しかし度重なる開発の遅延により、フライアウェイ・ユニットコスト(FUC、純粋な機体1機あたり製造コスト)、ウェポンシステム・ユニットコスト(交換部品や兵装込みの調達コスト)、プログラム・ユニットコスト(開発総額も含めた金額を1機あたりで割ったコスト)、複雑化したソフトウェアの開発やアップデートなどの各種コストは当初の予定から大幅に上昇を続けている。また実機と同じソフトウェアを搭載したフライトシミュレータなど周辺機材の価格も減少しないため、導入を決定した国でも開発状況や価格を理由に調達数の削減や延期が表明され、販売数の減少や時期の先送りで量産効果が出にくくなる悪循環に陥っている。また実機と同じソフトウェアを搭載したフライトシミュレータにより高価なLIFT機が不要となり、高等練習機から直接移行できることをセールスポイントとしていたが、実際には操縦系統が高度にデジタル化されているためT-38など従来型の機体では訓練が不十分とされ、アメリカ空軍ではT-38よりF-35に近いアビオニクスを備えたLIFT機(ボーイング T-X)への更新を決定するなど、FMSを導入している国でも練習機の更新や追加導入などさらなる出費が必要とされる[135]

2002年時点のフライアウェイ・ユニットコストは5,000万ドル、2007年時点では1.5倍の7,500万ドルであったが、2010年3月11日に米国会計検査院(GAO)が上院軍事委員会(SASC)に報告したところによれば、F-35のフライアウェイ・ユニットコストは当初予定の約2倍の8,000-9,500万ドルとされている[136][137]。

アメリカ空軍によると、2011年度予算におけるF-35Aのフライアウェイ・ユニットコストが1億2,200万ドル、ウェポンシステム・ユニットコストが1億8,400万ドルである[138]。

2012年3月30日、アメリカ国防総省が議会に提出した報告書によると、開発、生産費が当初の見積もりより4.3%増加して総額約3,957億ドル(約32兆円)となり、本格生産に入る時期も2017年から2年遅れの2019年になるとしている。国防総省の報道官は、アメリカ軍が同機を約2,440機調達する計画に変更はないとしているが、配備後の運用・維持コストの総額は1兆1,000億ドル(約91兆円)となり、昨年の見積もりより1,000億ドル上昇するとしている[139]。

2013年4月14日、アメリカ国防総省が発表した2014年度に出した国防予算案で、1機当たりウェポンシステム・ユニットコストを1億9,000万ドルとすることを明らかにした[140]。引用元の記事では「航空自衛隊が調達を決めた最新鋭ステルス戦闘機F-35Aの価格が、1機当たり約1.9億ドル(約189億円)であることが明らかになった」と書かれているが、これは誤報であると考えられる[141]。

2011年末にA型の導入を決定した日本の防衛省は、1機あたりの調達価格を本体のみ約89億円(スペア部品などを含めた場合約99億円)としていた[142]。翌2012年6月29日に正式契約が交わされた際には、2016年度に導入する4機については1機当たりの価格が約96億円(交換部品を含め約102億円)と上昇[143]。毎日新聞は2012年9月4日の記事において、製造に習熟していない作業員が製造に関わっているためコストが上昇し、一機当たりの価格が当初の1.5倍の150億円に達する見通しとなったと報じている[144]。

上記課題について2013年5月23日に発表されたアメリカ国防総省の報告書によると、昨年のF-35計画は全体のコストが45億ドル下がっており、上昇傾向にあったコストが減少に転じた[145]。また、2013年5月31日には、2017年になる見込みだった空軍の初期作戦能力獲得も2016年へ前倒しされることが発表された[146]。

その後2014年10月30日、アメリカ国防総省は外国向けにF-35の複数年契約を提示し、米軍向けより価格を引き下げる予定であることを発表した[147]。

アメリカ第45代大統領のドナルド・トランプは大統領選挙中から、当初の予想を上回る予算が投じられているにも関わらず、後述する性能評価と計画そのものの遅延から、F-35開発計画を見直すことを公約に掲げていた[148]。2016年12月22日には、F-35について「莫大なコストで、費用が行き過ぎている」と批判し、より安価なF/A-18E/Fの調達を示唆した[149]。 大統領就任後は、ロッキード・マーティンのマリリン・ヒューソンCEOに直接価格交渉を行い、次の生産分からコスト削減に取り組むことを約束させた[150]。これにより価格は1機あたり9460万ドル(日本円換算で約106億円)となった[151]。この価格は海外向けの機体にも適用される[151]。

米ドルと導入国の通貨との為替レートの影響も受けている。2017年9月13日に日本の会計検査院が発表した「次期戦闘機(F-35A)の調達等の実施状況についての報告書[152]」では、2012年以降に航空自衛隊に納入されたF-35Aが為替レートの円安に伴い、日本円当たりの価格が増加傾向にあると指摘している。航空自衛隊のF-35Aについては、2013年度に日本国内の防衛産業の技術基盤を維持のため日本企業が製造に加わったことでさらに価格が上昇し、価格上昇の原因を定量的に把握できていないと指摘されている[153]。

2018年6月、アメリカ政府監査院(GAO)は解決されていない966件の技術的問題を修正しなければ導入後の維持コストが高騰するとして、本格量産前に問題を修正するよう国防総省に対処を要求した[154][155]。

2019年6月10日に結ばれたロット12~14までの478機の生産に関する契約では、ロット11に比べ各型の単価を15%削減するとし、A型の場合単価が8,000万ドルを切る見込みとなり、第4世代機と同等以下まで価格を下げることに成功したと発表された[156]。
情報流出と中華人民共和国製部品の使用

F-35は、中華人民共和国のクラッカーにより2009年にアメリカ国防総省から[157]、2012年にBAEシステムズから[158]、設計情報や性能、電気系統、レーダーなどのデータが盗まれており、将来的に中華人民共和国の人民解放軍のJ-20などに対して制空能力の優位性が損なわれることが危惧されている。また、中華人民共和国が開発中のJ-31は双発であることを除けば外見の形状がF-35に類似しており、盗まれたデータが開発に生かされた可能性がある。

2014年6月28日には、カナダ在住の中華人民共和国人実業家ス・ビンがF-35、C-17、F-22の秘密情報を合衆国内の国防産業のコンピュータから盗もうとし逮捕された[159][160]。

同年12月7日にはプラット・アンド・ホイットニーで働いていた中華人民共和国人技師であるユー・ロンが、F135エンジンの素材として使用されているチタン合金に関する情報を持ち出そうとした疑いで逮捕された[161][162][163]。

2015年1月19日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者が、デア・シュピーゲルに提供した資料からF-35のレーダーやエンジンの図式、噴出ガスの冷却方法、リーディングとトレイルエッジ処理、AFTデッキヒーティングコンツアーマップといったステルス技術の基幹部分に及ぶ情報に加え、B-2や原子力潜水艦、F-22の軍事情報が2007年に中国からのハッキングにより盗まれていたことを報じた[164][165]。

アメリカでは軍需産業が、仮想敵国の中華人民共和国などの外国の資材を使用することを規制しているが、2014年にF-35に中華人民共和国製部品が使われていた事実が発覚した際は大きな問題となった[166]。その後のアメリカ国防総省の調査でボーイングの爆撃機B-1やロッキード・マーティンの戦闘機F-16、レイセオンと日本が共同開発したスタンダードミサイルなどにも中華人民共和国産材料の使用が判明した[166]。アメリカ国防総省は軍需産業は中華人民共和国が生産の過半数を占めるていたレアアース[167] やプリント基板[168] など中華人民共和国製品に過度に依存かつ中華人民共和国からのハッキングに脆弱だと問題視しており[169][170]、F-35の回路基板はユーロファイター タイフーン、F-16、AH-64 アパッチ[171] の開発にも参加している中華人民共和国資本が製造していたことは物議を醸した[172]。

機体が墜落する事故が発生すると、機密保持の点から徹底した回収作業が行われる。2021年に青森県沖で墜落したF-35Aのエンジンや機体の一部は水深1500mの海底から[173]、2022年に南シナ海で空母カール・ビンソンへの着艦に失敗したF-35Cの機体は水深3780メートルの海底からサルベージが行われた[174]。
性能評価

2015年1月に行われた模擬空中戦演習ではF-35AがF-16に敗北し、テストパイロットは「F-35はF-16とエンゲージ(交戦)を行った際に、全ての状況下でパワー面で明らかに不利な条件に置かれた」と報告書にて述べた。これに対し開発責任者ジェフリー・ハリジャンは、この模擬空中戦演習に参加したF-35AはSDD機の「AF-2」で、空中戦用のソフトウェアやステルスコーティングが不完全であったため、この報告書をもってF-35が失敗機だと決めつけるのは時期尚早と反論している[175]。またアメリカ空軍も「完全な能力を発揮した場合のシミュレーションを何度も実施したが、F-16に対しては全て勝利している」と反論している[176]。実際に、2016年8月に実施した「ノーザン・ライトニング」演習では、F-35Aが1回の作戦で一度も発見されることなくF-16 27機の撃墜を記録している[177]。
事故
アメリカ合衆国

2018年9月28日、サウスカロライナ州で海兵隊所属のF-35Bが基地の近くで墜落(死亡者なし)。アメリカ国防総省はアメリカ軍が保有する計245機すべての運用を一時的に停止すると発表。調査によるとエンジン燃料管の不具合がある可能性があることが判明したため、国内外のすべての機体を検査することとなった[178]。

2020年5月19日、フロリダ州のエグリン空軍基地にてアメリカ空軍第58戦闘飛行隊のF-35Aが夜間訓練中に墜落した[179]。パイロットは無事脱出し、地上への被害もないとされる。A型の墜落は米軍として初めて、航空自衛隊に続く2件目となる。 同基地付近では、15日にもF-22が訓練中に墜落していた。

2020年9月29日、カリフォルニア州にて海兵隊所属のF-35Bが訓練中に空中給油機KC-130と接触事故を起こして墜落した。脱出したパイロット及び不時着した給油機の乗組員は全員無事であった[180]。

2022年1月24日、南シナ海でアメリカ海軍の空母「カール・ヴィンソン」所属のF-35Cが着艦に失敗、パイロット含む7人が負傷した。パイロットは緊急脱出し、ヘリコプターで救助された。負傷者のうち3人は治療のためフィリピンへ搬送、残る4人は艦内で治療を受けた。事故原因や事故機の状況には調査中として公表されなかった[181]。又、事故時の映像、画像が流出。米海軍は映像、画像を本物だと認め「大いに失望した」と発表した。
日本

2019年4月9日、航空自衛隊は、同日19時27分頃、青森県東方太平洋上(三沢基地の東約135キロ付近の洋上)で、第3航空団第302飛行隊に所属する3等空佐搭乗のF-35A[182]「79-8705(名古屋FACO製造一号機)」のレーダー航跡が消失、同日現在捜索中と発表していたが、機体の一部が海上で発見されたため、翌10日に墜落したと発表した[183][184]。F-35Aの墜落事故は本件が世界初である[185]。該当機は2017年6月に初めてその姿が関係者に披露され、同年11月にロッキード・マーティン社の完成検査を受け、2018年5月に三沢基地に配備された日本製造初号機であった[186]。

2019年6月7日に遺体の一部が発見されたと発表があり、当該機搭乗のパイロットは死亡と判断された[187]。防衛省は事故の原因はパイロットの空間識失調による可能性が高いとして、パイロットに対応訓練を実施し2019年8月1日に飛行を再開した。
イギリス

2021年11月17日、イギリス国防省は所有するF-35Bが空母「クイーン・エリザベス」を発艦した後、地中海に墜落したと発表した[188]。パイロットは無事脱出し、空母に回収されている。 イギリス所有及び艦載運用中のF-35喪失としては初となった。後日墜落した、F35Bの引き上げ後の画像が流出。他にも墜落時の映像が流出した。英海軍は「非常に残念だ」と、発表した。
韓国

2022年1月4日、韓国空軍のF35Aが着陸訓練中に降着装置の足がでない事故に襲われ胴体着陸を行い、パイロットは無事だった。韓国空軍は「事故原因については調査中だ」と発表。 後日、バードストライクが原因と発表した。
配備

海外へ輸出可能になった最初の第5世代ジェット戦闘機となったことで、当初からプログラム参加国以外への販売活動が積極的に行われている。ただし、機密情報の多い機種であることから、友好国であっても機密漏洩の恐れがある国には輸出に慎重な姿勢を取っている。特にトルコでの一件(後述)が起きて以来、イスラム系国家への輸出にはより慎重になっているとされる[189]。
採用国 レベル 軍隊 型式 購入機数 IOC 備考
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国[190] 主開発国 空軍 A型 1,763 2016年
海軍 C型 273 2019年 [191]
海兵隊 B/C型 353/67 2015年
イギリスの旗 イギリス レベル1 空軍 B型 48 2019年 [192]
海軍
イタリアの旗 イタリア レベル2 空軍 A/B型 60/15 2018年 政府による計90機への削減案に対し、議会は当初計画通り131機へ戻すことを要求
海軍 B型 15
オランダの旗 オランダ 空軍 A型 46 未定
ノルウェー レベル3 空軍 52 2019年
デンマーク 空軍 27 未定
オーストラリアの旗 オーストラリア 空軍 72 LRIP6にて2機調達、以降はLRIP-10より調達再開
トルコの旗 トルコ 空軍 30→凍結 [193]S-400導入を受け、米国が事業参画を凍結
カナダの旗 カナダ 空軍 65→0→未定 2012年12月14日導入を白紙撤回されるものの、2014年再検討
イスラエルの旗 イスラエル 保全協力パートナー 空軍 50 2017年 75機までの増加を予定
シンガポールの旗 シンガポール 空軍 B型 4 未定 オプション契約8機、F-35Aを予定していたがF-35Bに変更
日本の旗 日本 SDD未参加 航空自衛隊 A/B型 105/42 2019年 LRIP8から調達開始の見込み[194]
当初はA型42機であったが、2018年にA型63機・B型42機を追加
大韓民国の旗 韓国 空軍 A型 40 未定
ベルギーの旗 ベルギー 空軍 34
ポーランドの旗 ポーランド 空軍 32
スイスの旗 スイス 空軍 36
フィンランド 空軍 64
運用国

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

アメリカ空軍

F-35A

    F-15とF-16とのハイ&ローミックス運用をF-22(F-15)とF-35に更新する予定。同時にA-10の任務をF-35で置き換えるために約2,400機以上の配備を計画したものの、後にA型1,763機導入へと削減された。A-10後継としてB型の導入も検討されていたが、現在ではA型に一本化されている[195]。
    フロリダ州エグリン空軍基地第33戦闘航空団が、F-35Aを最初に装備する部隊となった。2011年夏には訓練用機の引き渡しが行われ、パイロット育成が開始された[195]。他の配備予定の基地はユタ州ヒル空軍基地、サウスカロライナ州ショウ空軍基地とマッキンタイヤ空軍州兵基地、沖縄県嘉手納基地が発表されている[196]。また、戦闘遂行能力を持たない初期生産分の機体を利用して世界初のステルス戦闘機によるアグレッサー部隊をネリス空軍基地に編成する計画も発表されている[197]。

アメリカ海軍

F-35CとF/A-18F

    F/A-18A-Dの後継としてF-35Cを約430機導入する計画であった。この計画通りに配備が完了すれば、空母航空団はF-35C 2個飛行隊、F/A-18E/F各1個飛行隊という構成になる[196] 予定であった。現在では273機に削減されており、海兵隊のF-35Cを空母航空団に受け入れる計画となっている[191]。
    最初にF-35Cが配備されるのは第101戦闘攻撃飛行隊(VFA-101)で、アメリカ3軍のF-35訓練基地を1か所に統合するため、エグリン空軍基地を拠点とする[196]。

アメリカ海兵隊

F-35B

    F/A-18とハリアーIIの後継機として、F-35B 353機に加えて、F-35Cを67機導入し海軍の空母航空団に派遣する計画となっている[198]。
    アメリカ海兵隊でF-35Bを最初に装備を予定しているのは、第501戦闘攻撃訓練飛行隊(VMFAT-501)である。この部隊もエグリン空軍基地を拠点とする[196]。
    また、アメリカ国防総省は、2012年12月に最新鋭のF-35を海外の基地としては初めて山口県の岩国基地に配備することを決定し、[199]、2017年1月18日に最初の2機が到着した[200]。

イギリスの旗 イギリス

「クイーン・エリザベス」に着艦するイギリス空軍のF-35B

イギリス空軍のハリアーGR.5/7/9、イギリス海軍のシーハリアーFA2の後継機としてJSFを導入する事を計画し、垂直離着陸機である改装されたB型の採用を計画した。当初の計画では空軍が90機、海軍が60機の計150機を2014年後半より実戦配備の開始を予定していた。2006年にシーハリアーFA2の退役、2010年の新しい国防計画に基づくハリアーGR.7/9の早期退役と飛行隊の解散によりハリアー・ファミリーは退役を迎えたが、B型の導入計画はそのまま維持された[9]。
その後、イギリス海軍のCATOBAR空母導入計画を受けて、導入をB型からC型へ切り替えるとし、空軍も共通性の確保からC型の導入を決める。この時の装備計画機数は138機と発表された。しかし、C型の開発が遅れていることと、B型の開発作業が計画通りに進んでいることから、2012年5月に再度エンジンを国産にしたB型の導入に変更している。LRIP機に対する発注を行っており、LRIP3で2機、LRIP4で1機がイギリス向けに製造されており、いずれもB型である[9]。戦略防衛・安全保障見直し2015(英語版)では138機の調達の方針が維持された。最初にF-35Bを配備する部隊は、イギリス空軍ではマーハム基地の第617飛行隊が指定されている。イギリス海軍では第809飛行隊が指定されているが、機材と人員は第617飛行隊と共有する予定である。2019年7月15日、転換飛行訓練を行う第207飛行隊に配備されるF-35B 6機がマーハム基地に到着し、イギリス本国での要員養成が本格化した[201]。
空軍では2019年1月10日に初期作戦能力を獲得した[202]。
2021年11月時点で購入契約が済んでいる48機のF-35Bのうち、計24機の配置が完了[192]。

イスラエルの旗 イスラエル

ネバティム空軍基地に到着し、式典でダビデの星を貼り付けられたF-35I Adir 902号機。2016年12月。
第140飛行隊のF-35I”מטוס” 913号機、インテーク横に飛行隊エンブレムの鷲が描かれている。2017年12月。

F-35のSDD作業に保全協力参加国として参加していたイスラエルは、イスラエル空軍のF-16A/Bの後継機としてA型をベースにしてイスラエル製の電子機器や兵装を搭載できるよう改修したF-35Iの購入を2010年8月に決定し、2010年10月に当初予定の20機を19機に削減した27億5000万ドルで調印した。
価格高騰を受けてレーダーなどを国内開発することも検討したが、逆に開発費がかかり過ぎる事が判明し、発注済みの19機についてはアメリカ空軍向けの機体と基本的に同じものになるという[203]。
2015年2月には追加の14機が、2016年11月には17機が契約されており、F-35Aの調達は合計で50機となった[204]。
2016年12月12日に最初の2機 "901号機" "902号機"がイスラエル南部のネバティム空軍基地に到着し[205]、16時間後には早くも初ソーティが行われた。2019年にはさらに2機のF-35Iがネバディム空軍基地に到着した[201]。
イスラエル空軍は2021年までに50機のF-35Aでネバティム空軍基地でF-16Aを運用している第140飛行隊、第116飛行隊の2個飛行隊を更新予定で[206]、2017年12月には作戦能力を獲得した[207][208]。
また、オプションを行使することで75機の購入が可能であることから、最終的には3個飛行隊75機のF-35Aで現在運用しているF-16A/B(現在88機/16機運用)を更新することになると見られている[203]。
更に将来必要となるF-16C/D(現在75機/54機運用)の後継として、可能であればF-35Aで代替をイスラエルは希望している。これが実現すれば、F-35保有数は200機近くに達すると見られている[203]。
イスラエル空軍は、ヒズボラやハマスの長射程ロケット弾や、イランの地対地ミサイルによって、イスラエル国内の空軍基地の滑走路が破壊される危険度が高まったため、短距離発進・垂直離陸型のF-35Bの導入も検討している[209]。ベンヤミン・ネタニヤフ首相(当時)もF-35Bの導入に関心を示しており[210]、2015年12月にはイスラエルはF-35Bの購入についてアメリカと協議している[211]。

イタリアの旗 イタリア

イタリア海軍向けのF-35B初号機(BL-1)

イタリアはイギリス、オランダと並んで積極的にF-35計画に参加し、イタリア空軍のカーメリ空軍基地内に欧州向けの機体製造・整備を行うFACO(最終組立・検査工場)がアレニア社によって建設されている。
配備についてはイタリア空軍がA型とB型、イタリア海軍がB型の導入を計画している。空軍はトーネード IDSとAMXの後継機として、軽空母を有する海軍はハリアーIIの後継機としての配備を予定している[9]。装備機数は空軍がA型69機とB型40機、海軍がB型62機の合計131機を調達する計画であったが、政府は経済悪化を理由に空軍A型60機・B型15機、海軍B型15機の合計90機に変更したが、議会は削減案に反対している[212]。
2015年12月、カーメリ空軍基地でFACOが行われたA型1機が空軍に配備、試験運用が開始された[213]。2020年までに30機以上の調達を決定しており[214]、また前述のようにA型60機B型30機の導入が計画されている[215]。
配備に先立って2名のイタリア空軍パイロットが渡米し、アリゾナ州にあるアメリカ空軍のルーク空軍基地でF-35の操縦訓練を修了している[213]。
2018年12月より、軽空母「カヴール」がF-35Bを搭載するための改修に入り、2019年5月には軽空母任務も請け負う強襲揚陸艦「トリエステ」が進水した。しかし、2018年に誕生したジュゼッペ・コンテ政権の政権与党の一つであり、左派政党の五つ星運動が国防予算の削減をかかげ、F-35のA/B両タイプの導入中止を打ち出した。これにより、当初は全ての機体をキャンセルする予定だったが、その場合、莫大な違約金が発生するため、調達ペースを年間10機から6~7機前後に落とすのが当面の方針である[216]。

オーストラリアの旗 オーストラリア

オーストラリア向けのF-35A
1995年にオーストラリアは、F-111とF/A-18A/Bの後継機の検討を開始し、「プロジェクト・エア6000」の名で調査を行った。その結果、JSFが最も高い評価を受けるが、F-111の退役には間に合わない事からF-111の後継にはF/A-18E/Fを充てることとなった。よって、F-35はF/A-18A/Bの後継としてのみの導入となり、予定数は100機となった[217]。
当初は広大な国土をカバーするために航続距離の長いC型の導入を検討したが、A型でも十分であるとしてA型の導入を決定した。2009年にオーストラリア政府は、14機分の第一次調達分の経費約32億オーストラリア・ドル(約2,590億円)の支出を承認している[217]。
計画では2012年に52機分の購入規約を交わし、先の14機を含めた66機で3個飛行隊、および1個訓練飛行隊を編成する計画である。残りの34機は追加編成もしくは予備機にするとされる[217]。
2014年4月23日、オーストラリアは追加調達分を58機と決定した。先に購入が決定していた14機と合わせて合計72機となる[218]。
2018年12月10日にオーストラリア空軍向けF-35A第一陣の2機がアリゾナ州ルーク空軍基地(英語版)からニューサウスウェールズ州ウィリアムタウン空軍基地(英語版)にフェリーフライトされた[219]

オランダの旗 オランダ
オランダ空軍が運用している、F-16AM/BMの後継としてA型を当時のF-16保有機を1対1で更新する数であった85機導入する計画であった。早期導入を必要としていることから、イギリスと同様にLRIP機での発注を行っている[9]。
LRIP3とLRIP4(オプション)でそれぞれ1機が製造されることになっているが、SDD作業の遅れで大幅に遅れることになった[9]。
予定では第一陣の2011年受領、第二陣の2012年の受領だった。また、2012年に量産機の調達についての方針が決められる予定だったが[9]、実際には2013年に2機の試験機に加え35機の購入を決定した[220]。その後計46機まで増加されている[221]。

ノルウェー
F-16AM/BMの後継機として将来戦闘航空機計画を立案、2008年1月に拘束情報要求を各メーカーに発出した。これについてサーブ社、ユーロファイター社、ロッキード・マーティン社が提案を行い、ロッキード・マーティン社の提案したF-35についてより確実な情報を取得するため、2002年6月にSDD作業レベル3で参加することとなった[203]。
選定の結果、2008年11月にF-35Aを後継機として決定する。ノルウェー政府は「運用要求を完全に満たす事が出来たのはF-35だけだった」とし、機体価格についても候補の一つだったサーブ 39 グリペンの約2倍であるものの、30年間使用し続けた全運用期間中のライフサイクルコストはF-35のほうが30億ドルほど安くなるとしている。2011年6月にはノルウェー議会が訓練使用機4機の購入経費の支出を承認している[203]。
これに加えて48機の導入を予定しており、合計で52機となる。導入決定時の配備予定は2016年-2020年にかけてとされていたが、開発の遅延などを受けて現時点では明確な時期は示されていない[203]。
凍結した滑走路での運用を想定し、ドラッグシュートを追加した機体を導入している[22]。
2015年11月、ノルウェー空軍はF-35Aの1、2号機(AM-01、AM-02)を転換訓練のためアリゾナ州ルーク空軍基地へフェリーした[222]。
2020年3月7日には、ロシア海軍のTu-142やロシア空軍のMiG-31、Il-76からなる編隊にF-35Aが初めてスクランブル発進を行った[223]。

日本の旗 日本

「日本における運用」も参照

2011年12月に航空自衛隊のF-4EJ改の後継としてA型を選定し、SDD未参加国として初の契約となった。更に、2018年12月にF-15Jの初期型(いわゆるPre-MSIP機)の後継としてA型とB型を追加している。

大韓民国の旗 韓国
F-4E後継機の第3次FXの60機において、F-15SE、ユーロファイターと並んでF-35AがRFPに応じた[224]。
2013年8月16日、韓国の防衛事業庁が示した入札基準予算(8兆3000億ウォン)に、ロッキード・マーティンは予算を超過する金額を示し、F-35は選定から事実上脱落したと報道された[225]。しかし、9月24日に防衛事業庁はF-15SE採用を否決し、入札を白紙からやり直す事を発表。韓国国防省は、新たな入札に1年程度の時間を要するとした[226]。続く11月23日、入札条件にステルス機能と電子戦能力を追加することを決定、購入機を60機から40機に減らしてF-35Aのみを検討対象とすることを事実上決定した[227]。残り20機分に関しては、2023年以降の調達として再検討を経て確保する予定である。
一方で、第3次FXで購入する機体は韓国国産戦闘機として計画されるKFXの基礎技術として採用することが検討されており、日本と異なり韓国は国内での生産が認められていないことから、技術移転の面で白紙撤回すべきとの国内意見もある[228]。
2018年3月28日にテキサス州フォート・ワースのロッキード・マーティン社の工場で1号機のロールアウト式典が行われた。式典には韓国の徐柱錫国防部次官、李成竜空軍参謀次長らが出席、米国からはエレン・ロード(英語版)国防総省次官、ロ社のマリリン・ヒューソン(英語版)会長らが出席した[229]。年内生産分の6機は、米国アリゾナ州ルーク空軍基地で韓国空軍パイロットの機種転換及び整備士の訓練に使用後、2019年頃に訓練を終えて韓国の清洲(チョンジュ)基地に到着する予定である。
2019年3月29日、昨年にアメリカ国内で引き渡された6機のうち1・2号機がハワイ経由で韓国空軍の中部忠清北道清州の空軍基地に到着した。同2機は4~5月ごろ実戦配備が予定されており、4月以降は2機ずつ韓国に到着して、年内に約10機が配備される見通である。発注機の40機がすべて実践配備されるのは2021年頃の見通し。しかし、到着式典には北朝鮮に配慮してか、空軍参謀総長ら軍の首脳部は出席しなかったとされる[230]。
また、韓国軍では、F-35Aに対し「フリーダム・ナイト」という独自の愛称を付けている[231]。
2020年8月には、A/B型各20機を追加調達することを決定した[232]との報道もあったが2022年現在も検討段階である[233]。
2022年1月、F-35Aの最後の4機が韓国に到着、計40機の配置が完了。2018年から3年10ヶ月続いた第1次事業が完了した[234]。

F-35Bの検討
    米外交専門誌によると、韓国軍は独島級揚陸艦(LPH)の次世代として3万トンクラスの大型輸送艦(LPH2)を2020年代後半までに建造するとしており、STOVL機の搭載能力を持つとの見方が濃厚としている。韓国が単独で新たにSTOVL戦闘機を開発出来るとは考えにくく、ロッキードマーティン社のF-35Bを艦載機として調達するのが有力視されている。
    搭載機数は16機程度で、韓国の研究機関ではF-35B調達に向けた先行調査を行っているとしており、第二ロットとして調達予定のF-35A20機をF-35Bに置き換えるなどの購入方法が検討されている[235]。

調達予定国

シンガポールの旗 シンガポール
イスラエル同様、保全協力参加国であり、アジアで最初に参加。
対外有償軍事援助によるシンガポール空軍への導入を予定していたが、開発遅延やF-15SGの導入により一旦撤回となる。しかし、その後も導入には意欲的で、3タイプ全ての情報収集を行い、最終的に2019年1月18日、F-16C/Dの後継機としてF-35Aの導入決定を発表した[236]。当初は4機を導入して評価を実施後、全規模調達に移行する計画[237][238]。
その後B型の取得に方針が変更され、2020年1月9日、米政府はシンガポールへのF-35B売却を承認し、議会に通知した。導入数は最大12機(4機+オプション8機)で、エンジン13基(予備1基)や訓練、サポートなど導入費用は約27億5,000万ドル(約3,000億円)にのぼる[239]。シンガポール国防相は同年3月の予算案審議で、契約は4機が確定注文で、8機がオプションを公開[240]。

デンマーク
デンマーク空軍のF-16AM/BMの後継機としてJSFの検討を行い、SDD作業にレベル3で参加している。F-35の開発の遅延と機体価格の上昇により、F-35以外にサーブ 39 グリペンやF/A-18E/Fを加えた3機種による評価作業を行った[217]。
導入機種の決定は、当初は2009年6月を予定していたが2010年3月に延長され、F-16AM/BMの延命が可能である事が判明したことで、決定は更に2014年に延長となった[217]。
F-16AM/BM後継機の導入機数は48機とされたが、2010年には24-36機と発表された[217]。2016年5月11日にはF-16後継としてF-35A 27機の調達を決定した[241]。

ベルギーの旗 ベルギー
ベルギー空軍が2018年10月25日にF-35の採用を決定しており、2023年から34機を調達する予定である[242]。

ポーランドの旗 ポーランド
2019年5月28日、ポーランドのブワシュチャク国防相はアメリカにF-35A戦闘機32機の購入見積り依頼を提出したことをTwitterで明らかにしており、[243] 旧ソビエト製Su-22とMiG-29の後継として置き換える予定としている。2020年1月31日には正式に契約を締結した[244]。契約したF-35Aは2024年から2030年にかけ配備される予定となっている。

スイスの旗 スイス
2021年6月30日にF-35A 36機の調達を決定[245]。

フィンランド
フィンランド空軍が運用するF/A-18C/Dの後継機を選定する『HX Fighter Program』において、2021年12月10日F-35Aを64機購入するとフィンランド国防省公式Twitterで発表した[246]。

採用検討国

カナダの旗 カナダ
カナダ空軍のCF-18A/Bの後継機として、2008年5月にA型の購入を制式決定した。予定では受領開始を2016年からとし、初期作戦能力達成を2018年としていた。購入数は65機で、CF-188を直接置き換える計画であった。配備はバゴビットビル基地の第3航空団とコールドレイク基地第4航空団の計3個飛行隊を予定していた[217]。
2012年4月、カナダ会計検査院(OAG)は、F-35調達計画に予算上の不備があったことを指摘しており、同国のメディアでは「スキャンダル」あるいは「失敗」として報じられるようになっている[247][248][249]。5月9日には、中華人民共和国国務院系のニュースサイトである中国網が調達の中止を報じた[250] が、5月24日にロッキード・マーティン社の副社長は、「カナダが依然としてF-35の導入方針を堅持している」と発表している[251]。だが、同年12月14日に調達の白紙撤回を正式決定している[252]。
2014年6月12日、F-35の再選定を検討中であることが報じられた[253]。2020年7月には戦闘機88機の購入についての提案書の提出が行われ、F-35Aの他、F/A-18スーパーホーネット・ブロックIII、グリペンEが応じた[254]。決定は2022年になる見込み。

スペインの旗 スペイン
スペイン空軍のF/A-18A/B、スペイン海軍のハリアーIIの後継機として導入を検討している[255]。なお、海軍が運用する強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」はF-35Bの搭載も想定した設計になっている。

ギリシャの旗 ギリシャ
24機の導入を検討している[256]。

ドイツの旗 ドイツ
F-15GA(F-15Eの派生型)やF/A-18E/Fと共にトーネード IDSの後継機候補となり、一時は最有力ともされていたが、次期ステルス戦闘機FCAS(英語版)開発への参加による欧州戦闘機産業維持の観点からタイフーンの追加購入が有力視されるようになった結果、最終候補から外された[257]。
しかしながら、2022年2月27日、ロシアがウクライナに侵攻し、欧州の安全保障が揺らいでいることに対する処置として、オーラフ・ショルツ首相が国防費をGDP比で2%以上へと大幅に引き上げる方針を表明[258]。これを受けて同年3月14日、クリスティーネ・ランブレヒト(ドイツ語版)国防相は老朽化しているトーネード IDSの後継機として、F-35Aを最大で35機調達する考えを表明した[259][260][261][262]。

採用凍結・不採用国

トルコの旗 トルコ
トルコ空軍のF-4E約40機、および改修機である54機のF-4E 2020の後継機としてA型の導入を計画している。100機の導入を予定しているが、2014年-2023年にかけての引き渡し予定は遅れた[203]。2013年1月12日に2012年に決定していた最初の2機の調達の延期を表明したが、全体で100機の調達に変更はないという[263]。2014年2月27日、トルコはF-35の調達を2015年に開始すると発表した[264]。
機体納入に先駆けて、2008年より国内のトルコ航空宇宙産業(TAI)のアンカラ工場にてF-35の中央胴体を含む部品製造を始めており、完成品はロッキード・マーチンのフォートワース工場やイタリアのFACOに400機分納品する予定である。2017年7月12日にはトルコ機となる中央胴体をフォートワース工場へ出荷した[265]。
2018年06月18日、ロシア製対空ミサイルシステムS-400など理由に、アメリカ上院はF-35製造におけるトルコの参加中止を規定した2019年国防予算案を承認した[266]。しかし、6月21日にはトルコ空軍の1号機のロールアウト式典が行われており、今後は米国アリゾナ州ルーク空軍基地での訓練を開始するとしていた。トルコのメンテナーは既にフロリダのエグリン空軍基地で訓練を開始しているという[267][268]。
7月13日、マティス国防長官はトルコへの参画中止は国際的なサプライチェーンの混乱を引き起こし遅れと1億ドルのコスト増を招くと主張し反対を表明した[269]。
8月13日にはトランプ大統領は、ペンタゴンが90日間でトルコ・アメリカ関係に関する報告を出すまで、F-35のトルコへの販売を禁止する内容を含んだ2019会計年度の国防権限法(NDAA)案に署名した。この報告にはトルコのF-35プログラムへの参加の評価、ロシアのS-400ミサイル防衛システムの購入によるリスクが含まれていると予想される[270]。他トルコが2016年10月からスパイ容疑で拘束されているアメリカ人のアンドリュー・ブランソン牧師のことも影響しているとされている[271]。
2019年4月1日、S-400防衛システムの調達を着々と進めるトルコに対して、米国防総省はF-35の維持・補修部品やマニュアル等の関連機器の出荷を停止したと発表した。さらに、トルコが担うF-35の中央胴体や着陸装置等の部品生産の代替供給元を探している事を明らかにし、トルコをF-35の生産網から排除する姿勢も見せた。実現した場合、F-35の生産が遅れるリスクは避けられず、50~75機の生産に影響を与え、部品調達の遅れを取り戻すには最大2年かかると指摘されている[272]。アリゾナ州空軍基地でのパイロット訓練は継続され、年中のトルコ本土配備は目指されていたが、6月10日にはパイロットへの訓練が打ち切られ、フロリダ州エグリン空軍基地で保守要員の一部訓練が行われるだけとなった。
2019年7月12日、トルコに配備される最初のS-400が搬入された[273]。これに対して、7月17日に米ホワイトハウスは、トルコへのF-35の売却を凍結(購入契約が済んでいる30機のF-35A[193])、多国間生産体制からトルコ企業を排除する方針を示した。訪米しているトルコ人パイロット20人は7月末までに国外退去。トルコ企業が生産してきた約900種類の部品は2020年3月末までに参画を打ち切るとしている[201][274]。
トルコは別途ステルス戦闘機TFXを開発中であり、F-35売却凍結を受けてこちらの開発に発破がかかる可能性がある。

中華民国の旗 中華民国
中華民国空軍では、有事の際に中華人民共和国の先制攻撃によって空軍基地が開戦数時間以内に無力化される可能性があるとして、一部高速道路を代替滑走路に指定し、定期的に訓練を実施しており、以前から内陸から滑走路なしでも航空戦力を展開できるV/STOL機の導入が望まれていた。このため、早い段階から統合打撃戦闘機計画のV/STOL能力を持つ最新の高性能ステルス機F-35Bに関心を示しており、導入に意欲的だった。
しかし、当時のアメリカ政府は中華人民共和国との軍事バランスを考慮して、F-16C/Dの販売やF-16A/Bの改修ですら躊躇しており、F-35の販売は実現困難であるとした。代案としてアメリカ海兵隊でF-35Bへの機種転換により余剰となった中古のハリアーIIを販売する案が出ているが、中華人民共和国がJ-20、J-31等の第5世代ジェット戦闘機や独自のV/STOL機を開発している現状で、空対空戦能力に劣り、機体寿命・改修コスト・部品調達に不安のあるハリアーIIに中華民国側は否定的である[275]。また、アメリカは中華人民共和国のスパイに対する懸念から、スパイ対処法律の強化を交渉の条件に求めていた[276]。
結局、2019年8月に中華民国はF-16Vの導入を行うこととなりF-35の導入断念された[277]。ただし、中華人民共和国への対抗上将来F-35を持つ必要性はあるとしており、期間は10~15年は必要として、依然強い購入意思を示している[278]。

アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
導入を希望しており、2017年のドバイ航空ショーでは採用が確定的と噂されていたこともあった[189] が、中国製のUAVを導入していることや、プログラム参加国であるイスラエルの懸念などから、当時のアメリカ側は交渉の実施を否定していた[279]。その後、2020年にUAEとイスラエルが国交正常化したことで、アメリカ合衆国の態度が軟化、国務省はUAEへF-35を含む各種兵器を販売する意向を議会へ通知し、2021年1月20日に正式に契約を行った[280]。FMSによる契約で、F-35Aを最大50機を調達する予定。この契約は、2020年アメリカ合衆国大統領選挙において敗北したドナルド・トランプ大統領(当時)が大統領任期を満了する1時間前に行われた。
アメリカ国内では、UAEが行ったイエメンとリビアに対する違法な空爆を黙認するという懸念から反対する意見もある[281]。2020年アメリカ合衆国大統領選挙において反対の立場を明らかにしたジョー・バイデン候補(当時)は、大統領就任後、自身の大統領就任前に行われたFMS契約による兵器売却を一時停止することを決定しており、契約の見直しの可能性が懸念されている[282]。
2021年12月14日、UAEはF-35取得のための協議を中断したと発表した[283]。

実戦投入

2018年5月22日 – イスラエル空軍幹部が、F-35A(イスラエル空軍呼称F-35I)がこれまでに2カ所の異なる前線で2度攻撃していることを明らかにした[284][285]。

2018年9月27日 – アメリカ軍のアフガニスタンのターリバーン勢力への攻撃において強襲揚陸艦「エセックス」から発艦した複数のF-35Bが参加。初の実戦投入となった[286]。
日本における運用
航空自衛隊のF-35A
次期主力戦闘機導入計画

2011年12月に航空自衛隊のF-4EJ改の後継としてA型を選定する[287]。導入予定機数は42機とされた。その後、F-4だけでなく、F-15Jの初期型(Pre-MSIP)分の代替する案も2018年12月に閣議了承され、購入数はB型を含めて合計で147機予定[288]。防衛省は2011年度の概算要求で最大10億円をFMS契約による「米政府への情報開示請求費用」として計上[289]。また、武器輸出三原則の緩和によって、日本企業が他国の企業が行うF-35の部品製造へ参加が可能となる見通しが出ている[290]。
詳細は「F-X (航空自衛隊)#第4次F-X」を参照
F-35Bの検討
「いずも」に着艦するアメリカ海兵隊のF-35B

2013年7月14日、「F-35B」の導入を検討していることが、日米防衛当局への取材で新たにわかったと報じられた[291]。しかし同月16日の会見においてこれは否定された[292]。

2017年12月25日、防衛省が、アメリカ海兵隊のF-35Bがいずも型護衛艦に着艦できる様に、「いずも」を改造する事を検討していると報じられた。離島防衛用の補給拠点など防御目的で活用し、有事の際などにF-35Bを発着させ、戦闘に発進する際の給油などの支援も行う。日米連携を強化することで北朝鮮や中国の脅威に備える狙いがあるという。航空自衛隊も独自にF-35Bを購入する計画があり、F-35A計42機の内一部をB型に変更する案、別に追加購入する案を検討している。導入後は海上自衛隊と統合的に運用することも検討しており、来年後半に見直す「防衛計画の大綱」に盛り込むことも想定している[293][294][295][296][297]。しかし翌日26日の記者会見において、小野寺五典防衛相は「F-35Bの導入や、いずも型の改修に向けた具体的な検討は、現在行っていない」と述べ、これを否定したものの「防衛力のあり方は不断にさまざまな検討をしている」として将来的な可能性については否定しなかった[298][299]。

2018年2月12日、読売新聞はF-35Bの導入を検討し2026年度頃の運用開始を目指すと報じた。年末にまとめる次期中期防衛力整備計画(中期防)に調達する機数を盛り込み、早ければ2019年度予算案に関連経費を計上し、2024年度頃からの納入を想定しているという。同報道によると、F-15の未改修機の一部の後継としてF-35Bを導入するという[300]。2018年3月2日、小野寺防衛大臣は自衛隊の護衛艦「いずも」の拡張性を確認するために行っている離着陸できる航空機の調査対象に、F-35Bなどが含まれていることを明らかにした[301]。2018年11月28日、政府がF-35Bを約20機程導入することを検討していると報じられ[302]、同年12月18日、政府がF-35Bを42機程導入することが閣議了解された[288]。
詳細は「海上自衛隊の航空母艦建造構想#F-35B搭載計画」を参照
導入経過

当初は、2016年度期限内に1号機の納入をアメリカが確約した旨が伝えられた。だが、その直後に機体強度に関する不具合が確認されたため、アメリカ政府高官や軍関係者からは2年程度の配備の遅れを容認する声が上がり始めた。これを受けて、2016年度中の取得は難しくなる見方が強まっていた[287]。2014年10月27日、アメリカ国防総省とロッキード・マーティン社は43機分のF-35の契約を結んだと発表。この内の4機が2017年3月までに航空自衛隊へ引き渡される予定である[303]。

防衛省は、F-35Aの調達価格は2012年度予算ベースで1機あたり本体のみ約89億円、補用部品などを含めた場合約99億円としていた。翌2012年6月29日に正式契約が交わされた際には、2016年度に導入する4機については1機当たりの価格が約96億円(交換部品を含め約102億円)と上昇、2012年度予算案においては、有償援助(FMS)調達による4機分が395億円(1機あたり98.75億円)、訓練シミュレーター整備費として205億円が計上された[304]。

2012年5月3日にはアメリカ国防総省が、日本が導入を予定している42機の売却額が計100億ドル(約8千億円)との見通しを発表したが、これには補用部品および15年のサポートが含まれており、機体のみの価格は不明である[305]。同年6月29日に日本政府は、米国防総省と2016年度に導入する4機について、正式契約を交わした。1機当たりの価格は約96億円(補用部品を含め約102億円)である。補用部品の購入を減らすなどしたものの、2012年度予算に計上した89億円(同99億円)と比較して、約7億円(同約3億円)の上昇となった[304]。ただし、上記の通り、価格は今後下がる可能性が出ている。

2013年度からの調達では、国内企業参画を前提にIHIがエンジン、三菱電機がレーダーなどを製造して、三菱重工が国内FACOで機体組立を行うこととなり、3社でのこれらの製造作業に必要な設備投資費などは防衛省側が全額負担しており、13-16年度で計約1716億円を負担している[306]。

2014年12月18日、日米両政府は、F-35の国際整備拠点の一つを日本に置くと正式に発表した[307]。

2016年4月25日にIHS Jane’s 360は、航空自衛隊向け初号機が2016年9月26日にロールアウト予定であると報じた[308][309]。

2016年8月24日、フォートワース工場で生産された航空自衛隊向け初号機「AX-1」が初飛行したことが発表され[310]、また自衛隊機としては初めて、機体の日の丸(国籍マーク)がロービジ(低視認性)迷彩仕様を採用することも、併せて発表された。この初号機は2016年9月23日にロールアウトした[311]。

2012年度予算発注されて完成した4号機「AX-4」までの4機は、ルーク空軍基地にて空自パイロットの訓練プログラムに使用されており、2017年5月18日には2名のパイロットが空自で初めてF-35の訓練課程を修了した。

2017年6月5日、三菱重工の国内FACOで航空自衛隊向け5号機「AX-5」をロールアウト。年内には6号機「AX-6」も完成し、平成29年度中に2機が防衛省に引き渡される予定である。

2017年11月6日、ウィスコンシン州空軍州兵第115戦闘航空団所属のF-16戦闘機2機の護衛を受けた「AX-5」が初めて太平洋の上空を飛行し、メリーランド州パタクセント・リバー海軍航空基地に到着した。本機は今後アメリカ国防総省国防契約管理局の最終検査を経てアリゾナ州ルーク空軍基地に移動し、同基地にある『F-35 Academic Training Center』において空自パイロット養成の訓練プログラムに投入される見込みである[312][313]。2017年9月13日に会計検査院が発表した「次期戦闘機(F-35A)の調達等の実施状況についての報告書[152]」では、FMS調達のため円安に連動して日本円当たりの価格が増加傾向にあり、日本企業が製造に加わったことでさらに価格が上昇し、価格上昇の原因を定量的に把握できていないと指摘されている。また、開発の遅れから調達予定の品目が搭載されなかったり、予定品目と異なるソフトウェアが搭載されていたと指摘。さらに、日本製部品が搭載されているはずの機体の内、平成25年度に発注された機体には日本製部品が供給されていなかったと報告し、防衛相が米政府や国内企業との交渉・調整を適切に行うべきと結んでいる[153]。

2018年1月21日、防衛省が2017年8月31日に公表した『平成30年度概算要求の概要』に基づき、航空自衛隊百里基地に配属されている第7航空団第302飛行隊に予定されているF-35への機種改編と航空自衛隊三沢基地移駐に先立ち、F-35が早ければ1月26日にも三沢基地に配備されることが報じられた。2017年(平成29年)度に1機、2018年(平成30年)度に9機、2019年度~2022年度にかけて6機ずつを三沢基地に配備し、第302飛行隊が改編される見込みである[314][315]。なお、第302飛行隊の三沢基地移駐に伴い、2019年度には三沢基地に配備されている第3航空団第3飛行隊が百里基地に移駐する。また、2020年度には第7航空団第301飛行隊もF-35への機種改編と三沢基地への移駐が行われ、第301飛行隊が改編される予定である[316]。

2018年1月26日、当初の予定通りF-35 1機(AX-6)が午前11時頃、三菱重工業の名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場がある小牧基地から三沢基地に到着、航空自衛隊三沢基地に第3航空団飛行群臨時飛行隊付として配備された。本機体に搭載されているミッションソフトウェアでは機関砲や赤外線ホーミング誘導方式の短距離空対空ミサイルが運用できないため、今後ミッションソフトウェアのアップデートが行われる[317][318]。
三沢基地のF-35A

2018年5月15日、三沢基地にF-35Aが1機が追加配備、5月28日ルーク空軍基地で使用されていた5機がハワイ経由で三沢基地に到着して計7機態勢となった[319]。2018年度中にはもう3機が追加配備され、計10機体制になる[320][321]。
2018年10月8日の中央観閲式の総合予行で展示飛行を披露する航空自衛隊のF-35A

2018年10月8日の中央観閲式の総合予行と同年10月14日の中央観閲式で、三沢基地配備のF-35Aが国内で初の展示飛行を披露している[322]

2018年11月27日、政府が追加でさらに100機購入することを検討していると報じられた[323]。その後の2018年12月13日、F-35を105機購入する方針を固め、[324] 12月18日閣議決定によりF-35Aの取得数を105機多い147機(うち42機はF-35Bとすることが可能)とされた[325]。

第302飛行隊がF-35Aへ改編された2019年3月をもって初期作戦能力を獲得したとされている[221]。

2019年8月16日、防衛省は新たに導入する戦闘機42機の機種を、米ロッキード・マーチン社製のF-35Bに正式決定し、発表した。2018年末、STOVL機の導入方針が掲げられ、F-35Bが有力視されていたが、正式決定はされていなかった[326][327]。

当初は全機を国内FACOで組み立てる予定だったが、量産効果による価格低下が見込めないことから、2018年12月に一旦は2019年度以降の調達機を完成機輸入に切り替えるとしていた[328]。しかし工程の見直しによって単価が下がったため、2019年12月には一転して2019年度以降も国内組み立ての継続を決定した[329][330]。

2020年7月9日、アメリカ国務省は日本が導入する105機(A型63機、B型42機)と関連する装備を約231億ドルで売却すると承認、議会に通知した[331]。

2021年4月、防衛省がF-35Bを宮崎県新富町の航空自衛隊新田原基地に配備する方針で調整を進めていると読売新聞が報じた[332]。今後、地元自治体などとの調整に着手し、2024年からの運用開始を目指す。具体的な運用については、広島県呉市の海上自衛隊呉基地を母港とするいずも型護衛艦2番艦「かが」に搭載しての訓練、山口県岩国市の米軍岩国基地に配備されたF-35Bとの共同訓練、鹿児島県西之表市の馬毛島で建設予定の自衛隊基地での離着陸訓練などを想定しており、新田原基地はこれらの基地と地理的に近いため、配備先として最適と判断された。

2021年5月、防衛省が2025年を目途に、F-35Aを石川県小松市の自衛隊小松基地に配備することを検討していると地方紙(北國新聞)が報じた。現在、小松基地には「日本海側唯一の戦闘機部隊」として、中部航空方面隊第6航空団第303飛行隊・第306飛行隊(どちらも使用戦闘機はF-15J/DJ)が配備されている。このうち、近代化改修が出来ないF-15J/DJをF-35Aに置き換える。だが、防衛省近畿中部防衛局の担当者は、小松基地へのF-35Aの配備計画について「現時点では何も把握していない」と話した[333][334]。

2030年代に退役が始まるF-2の後継機(次期戦闘機)としてロッキード・マーティンではF-22にF-35のアビオニクスを搭載した機体を提案している[335] が、後に「我が国主導の開発の観点から、候補とはなり得ない」「防衛省も政界も、はなからそのラインは選択肢にない」と報じられた[336]。その後、2019年にF-2後継機については日本主導の元新規に国際共同開発を行うことが決定され、2020年に三菱重工業が主契約者に選定されている(なお、ロッキード・マーティンは協力海外企業の主契約社として2020年に一旦選定されたが、2022年に主契約社はBAEシステムズに変更され、ロッキード・マーティンは一部協力に留まることとなった)。
部隊配備

三沢基地:第3航空団 - 第301飛行隊・第302飛行隊

調達実績と保有数
F-35A/B調達数等 予算額
予算計上年度 調達数
(A/B) 本体
(A/B) 関連
(A/B)
平成23年度(2011年) ‐ – 7億円/0円
平成24年度(2012年) 4機/0機 395億円/0円 205億円/0円
平成25年度(2013年) 2機/0機 299億円/0円 1,041億円/0円
平成26年度(2014年) 4機/0機 693億円/0円 934億円/0円
平成27年度(2015年) 6機/0機 1,032億円/0円 358億円/0円
平成28年度(2016年) 6機/0機 1,084億円/0円 307億円/0円
平成29年度(2017年) 6機/0機 880億円/0円 309億円/0円
平成30年度(2018年) 6機/0機 785億円/0円 293億円/0円
平成31年度(2019年) 6機/0機 681億円/0円 407億円/0円
令和2年度(2020年) 3機/6機 281億円/793億円 374億円/235億円
令和3年度(2021年) 4機/2機 391億円/259億円 534億円/62億円
令和4年度(2022年) 8機/4機 768億円/510億円 374億円/205億円
合計 55機/12機 7,008億円/1,562億円 4,769億円/502億円

関連予算には平成24年度のシミュレータ2基分と、25年度以後のFACO及びアジア太平洋整備工場立ち上げ用初度費1,567億円を含む。

2022年(令和4年)3月末時点での航空自衛隊のF-35Aの保有機数は27機[337]。
仕様
F-35 Lightning II[338]
F-35A 通常離着陸型 F-35B 短距離離陸・垂直着陸型 F-35C 艦載型
三面図 F-35A three-view.PNG F-35B three-view.PNG F-35C three-view.PNG
乗員 1名
全長 51.4ft (15.67m) 51.2ft (15.61m) 51.5ft (15.70m)
全幅 35ft (10.67m) 43ft (13.11m)
全高 14.4ft (4.39m) 14.3ft (4.36m) 14.7ft (4.48m)
翼面積 460ft² (42.74m2) 668ft2 (62.06m2)
空虚重量 29,300lbs (13,290kg) 32,300lbs (14,651kg) 34,800lbs (15,785kg)
機内燃料重量 18,250lbs (8,278kg) 13,500lbs (6,123kg) 19,750lbs (8,958kg)
ペイロード 18,000lbs (8,165kg) 15,000lbs (6,804kg) 18,000lbs (8,165kg)
最大離陸重量 約70,000lbs (31,751kg) 約60,000lbs (27,216kg) 約70,000lbs (31,751kg)
エンジン[339] F135-PW-100 F135-PW-600 F135-PW-100
推力[注 9]
F135-PW-100:124.55kN ⇒ 191.27kN
F135-PW-600:120.10kN ⇒ 182.38kN
最大速度[注 10] M1.6、~1,200mph (~1,931km/h)
航続距離[注 11] >1,200n.mile 2,200km以上 >900n.mile 1,667km以上 >1,200n.mile 2,200km以上
戦闘行動半径[注 11][340] >669n.mile (1,239km) >505n.mile (935km) >670n.mile (1,241km)
荷重制限 +9.0G +7.0G +7.5G
兵装
F-35の兵装位置
F-35A,Cの搭載兵器総覧
F-35Bの搭載兵器総覧

固定武装

GAU-22/A 25mm ガトリング砲(A型のみ 180発)×1

空対空ミサイル

AIM-120 AMRAAM
ミーティア[341]
AIM-9X サイドワインダー
IRIS-T[342]
AIM-132 ASRAAM
パイソン 6[343]

空対地ミサイル

AGM-88E AARGM[344]
AGM-65 マーベリック
AGM-88 HARM(対レーダーミサイル)
AGM-154 JSOW
MBDA ブリムストーン/SPEAR 3[345]

空対艦ミサイル

JSM
LRASM[346]

巡航ミサイル

SCALP-EG ストーム・シャドウ
SOM-J(英語版)[347][348]
AGM-158 JASSM[349]

爆弾

Mk82/Mk83/Mk84(通常爆弾)
GBU-10/12/16/24
JAGM
JDAM
スパイス(英語版)[350][351]
GBU-39(小口径爆弾)
GBU-53/B
B61 mod 12[352](核爆弾)

その他

25mm機関砲ポッド(B/C型のみ 220発)
多機能ポッド[353][注 12]

登場作品
詳細は「F-35に関連する作品の一覧」を参照 』

ユーロファイター タイフーン

ユーロファイター タイフーン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC_%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%B3

『ユーロファイター タイフーン(Eurofighter Typhoon)は、NATO加盟国のうちイギリス、ドイツ(計画開始当時は西ドイツ)、イタリア、スペインの4ヶ国が共同開発した戦闘機で、デルタ翼とコックピット前方にカナード(前翼)を備え、カナードデルタ(canard-delta)と呼ばれる形式の機体構成をもつマルチロール機である。』

『開発経緯

背景

1970年代、アメリカ合衆国やヨーロッパの各国空軍はソビエト連邦の新型戦闘機の登場に際し、自国の戦闘機が陳腐化し始めたという認識が生まれた。1977年までにフランスはSEPECAT ジャギュアの代替、西ドイツはF-104の代替、イギリスはジャギュアとホーカー・シドレー ハリアーの代替を検討していた[2]。

イギリス空軍はジャギュアやハリアーより多くの搭載量を持ち、低コストで対空戦闘能力に秀で、かつ、ハリアーのように短距離で離陸が可能な戦闘機を望み、AST(Air Staff Target)396計画を発行した。しかし、あまりに多くの性能を1つの航空機に要求しすぎていると分析されたため、計画は見直された。1972年に対空戦闘能力に絞った戦闘機として仕様書AST 403を発行し、ブリティッシュ・エアロスペースでP.106Bが設計された。西ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブロームは西ドイツ空軍(当時)から出されたTKF-90(Taktisches Kampfflugzeug 1990、戦術戦闘機1990)計画の条件に合う制空戦闘機の開発を行っていた[2]。

EAP

それぞれ独自の開発が進んでいた状況であったが、1979年にイギリスと西ドイツの間で共同開発の協定が結ばれた。引き続きイギリス側はブリティッシュ・エアロスペース、ドイツ側はメッサーシュミット・ベルコウ・ブロームが設計を担当した。この計画は当初ECF(European Collaborative Fighter)と名付けられ、後にECA(European Combat Aircraft)とプログラム名は変更された[3]。両国とも冷戦の軍事支出による予算の制約があったことから、他国の参加が求められ、フランスとの協議によりダッソーを基幹に参加が決まった[2]。

フランスは開発費用の拠出に消極的であったことが1980年の政府間協議において問題化した。西ドイツのTKF-90やイギリスのP.106Bは1981年までに開発が中止された。ブリティッシュ・エアロスペースは独自に輸出向けとしてP.106Bを基にP.110を設計したが、顧客は現れなかった。しかし、TKF-90とP.110のコンセプトを取り入れたパナヴィア トーネードのモックアップが1982年にファーンボロー国際航空ショーにおいて公開された。その後、フランスが後のダッソー ラファールとなるACX(Avion de Combat Expérimental)の開発を開始したため、イギリスはEAP(Experimental Aircraft Program)の開発を開始し、EAPの開発費援助を受けるため1983年5月にイタリアのアエリタリアと契約した[2]。

共同開発計画

1983年にイギリス、フランス、西ドイツ、イタリアに加えてスペインの5ヶ国でEAPを基にした設計に合意がなされ、詳細の協議が始まった。しかし、イギリスとスペインがマルチロール機を希望していたのに対し、西ドイツとイタリアは制空戦闘機を希望していた。これらの設計にはSTOL性能や視界外射程(BVR)戦闘能力も含まれ、F/EFA(Future European Fighter Aircraft)と称した。1985年8月の会議で議論は行き詰まり、F/EFAとは別にイギリス、ドイツ、イタリアの3ヶ国で新たなEFA(European Fighter Aircraft)プログラムが立ち上げられた[3]。

1986年6月にスペインがEFAへ参加し、イギリスと西ドイツにそれぞれ33%、イタリア21%、スペイン13%の作業分担が合意された[3]。生産は1992年開始を目指した。計画は1987年9月に正式な仕様が発行された。フランスは艦上機としての能力を備えることとパワープラントに自国産のスネクマ M88を採用することを最後まで妥協せず、1985年7月に共同開発計画から脱退した[2][注 1]。

1986年に計画を管理するユーロファイター社とパワープラントのEJ200の開発を管理するユーロジェット・ターボ社が設立され、EAPの成果を認めたユーロファイター社は1987年以降の試験に資金を提供する事を決定した。運用開始時期は当初計画の1990年代前半から1997年に延びたものの開発はこのまま順調に進むと思われた。

東西統一で、東ドイツ地域のインフラ整備に多額の資金が必要となったことにより、1992年にドイツが開発コスト問題から計画の脱退を示唆、この動きに対し、複数の代替案が検討されたが、代替案のすべてが今まで以上のコストがかかるか、仮想敵機であるMiG-29やSu-27に能力面で劣るものばかりであった。同年年末に開発参加国の国防相会議が開催され従来の計画を維持することを確認した。方針維持の要因として、これまでに投入された資金が無駄になること、外国製戦闘機の導入を行っても大幅なコストの削減ができないこと、参加国の航空機産業からの圧力があった。

ドイツ空軍のEF-2000(複座型)

計画の推進が確認された後に、政治的な理由から想定運用開始時期を遅らせ2000年からの運用としたため、機体名称の変更が行われた。名称はEFAからEF(Eurofighter)-2000に変更され、1998年には輸出市場向け名称として名付けられたタイフーン(Typhoon)が愛称となった。

ただしこの愛称は、第二次世界大戦においてドイツ空爆に活躍したイギリス空軍の戦闘爆撃機『ホーカー タイフーン』を想起させることから、ドイツでは採用されておらず、単にユーロファイターと呼ばれている。なおBAEシステムズの日本語公式ウェブサイトでは、ユーロファイター・タイフーンと表記されている。

メーカーと名称[2] イギリスの旗 イギリス BAe(33%)
後継:BAEシステムズ 単座型:タイフーン F.2(ブロック2/2B)/FGR.4(ブロック5以降)
複座型:タイフーン T.1(ブロック1/2/2B)/T.3(ブロック5以降)
ドイツの旗 ドイツ MBB(33%)
後継:EADS-ドイツ ユーロファイター EF-2000
イタリアの旗 イタリア アエリタリア(21%)
後継:アレーニア EF-2000
スペインの旗 スペイン CASA(13%) 単座型:C.16
複座型:CE.16

イタリアとドイツの単座型と複座型は機体ごとのナンバーで識別している。2002年夏から量産が開始された。アフターバーナーなしで超音速飛行を可能としており、機体構成などが他の4.5世代型のヨーロッパ製戦闘機と共通する点が多い。

関連報道

2004年5月24日付のロンドン・イブニング・スタンダードに飛行制限問題が掲載され、コンピューター及びディスプレイの問題で悪天候時の高機動運動が危険であると報じられた。

2008年8月20日付イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズは、「イギリス国防省が発注したユーロファイターの一部が財政難で購入が難しい、しかしキャンセルすると膨大な違約金が発生するため、日本を始め、サウジアラビア、インドなど数ヶ国に購入を打診している」と報じた。しかし、BAEシステムズは2008年国際航空宇宙展で「(日本とは)ライセンス生産を前提とした提案活動を行っており、同紙の報道は誤りである」と強調した。また、この時、ブラックボックスも設けないことを明らかにしていた。さらに会場で配られた資料によれば、三菱重工業・三菱電機・IHIとのあいだでライセンス生産に向けた話し合いが行われていると明記されていた。

2011年10月10日付の産経新聞において、技術開示や、日本国内でのライセンス生産の容認、日本国産兵装の搭載が可能であるなど、日本に最も好条件であり、防衛産業維持、リスク分散の面からもユーロファイターを選定するべきという趣旨の記事が掲載された。

2014年10月1日、ドイツ国防省が後部胴体に欠陥[注 2]が見つかったため、納入の見合わせおよび同型機の年間飛行時間を現行の3,000時間から1,500時間に減らす決定をしたことが報じられた[4]。

機体

Eurofighter Typhoon FIA 2012.jpg

クロースカップルド・デルタ翼はデジタル・コンピュータに常時制御されていて、操縦者の命令に従い安全な飛行姿勢が維持できる範囲内で最適化され、超音速飛行時だけでなく低速時でも安定性が確保される。ただし、カナード翼はコクピット前方下面に設けられているため、パイロットの下方視界を著しく妨げる。よって地上では下方視界確保のため前傾状態にすることが多い。一般にライバルとされている、ラファールやグリペンのカナード翼がコックピット後方に設けられている点で、対照的である。このため空力的には通常の無尾翼デルタ翼と変わらず、最大仰角はF-16以下に留まっている。

操縦者は耐Gスーツと加圧呼吸装置で長時間9Gに耐えられる。これにより急激な速度変化や旋回が可能となった。人体と機体が耐えられる限界は9Gである。なお、従来機ではこの荷重に数秒しか耐えられない。

小型・大出力・高推力重量比・低燃費といった特色を併せ持つ優秀なユーロジェット EJ200を装備していることもあり、F-22同様、アフターバーナーを使用しなくても超音速飛行が可能でありスーパークルーズ性能を備える。空虚重量でマッハ1.5、全備重量でマッハ1.3を発揮できる。

特徴

電子機器
キャプターEを搭載したデモンストレーター機
レーダー
詳細は「CAPTOR (レーダー)」を参照

トランシェ1・2が搭載するレーダーのCAPTOR(キャプター)は、ユーロレーダー社製の多モードパルス・ドップラー・レーダー(メカニカルスキャン方式)[5]。アンテナ直径約70cm[5]。チャンネル数:3チャンネル[6]。戦闘機レベルの大きさの目標については約160km、大型目標では約320kmの探知能力があり、同時に20個の目標の追跡ができるという[7][8]。

トランシェ3では、フロントエンドを改良したアクティブフェーズドアレイレーダー方式のキャプターEが搭載される予定であるが、導入国間に意見の相違がある為、当初計画の約45%に当るトランシェ3Aにおける搭載は見送られる見通し[9]。デモンストレーション用のキャプターEは2007年5月より飛行試験を開始しており、探索距離など、巡航ミサイルのような小型目標やステルス性のある目標を探知する能力に資する性能向上を目指すといわれる[6]。しかし、開発用レーダーの飛行試験は予定より2年遅れた2016年7月に開始され実用化は遅れており[10]、量産品はクウェート向けの機体から本格的に装備が始まる予定。

なお、CAPTORは旧称をECR90、キャプターEは別名をCAESAR(カエサル、シーザー)と言う[6][11]。
DASS

防御支援サブシステム(DASS; Defensive Aids Subsystem)は以下の各機器により構成される[11]。

DAC 防御支援コンピューター
RWR レーダー警戒受信機[7]
ESM 電子戦支援装置
LWR レーザー警戒受信機
MAW ミサイル接近警戒器
チャフ・フレアディスペンサー
ジャミング発生装置
曳航式デコイ

各種システムを統合化する防御支援コンピュータ(DAC)は、機体の全周をカバーする各センサーにより探知した脅威の内容を判断し、自動的に最も適切な方法で対処するようになっている[11]。

タイフーンの自己防御システムは、キャノピー下の両側と主翼後縁付け根のレーザー警戒装置、主翼前縁付け根と垂直安定板内のミサイル接近警報装置、主翼両端の筒の中にECM装置とESM装置を備え、イギリス向けの機体は右側筒の標準のECM装置を外して曳航式デコイ2基を内蔵するECM装置に変更している。

PIRATE(赤外線捜索追跡装置)

PIRATE

PIRATE(IRST)は、探知走査中にも追跡機能を持つ。さらに空中と地表上の両目標への対処能力を有し、航法用にも前方監視赤外線画像を利用でき[11]、情報は操縦席のヘッドアップディスプレイや多機能表示装置、ヘルメット装着式表示装置などの、いずれにも表示させる事ができる[12]。ユーロファーストが開発したこの装置は、戦闘機サイズの目標が発する赤外線を145kmの距離で探知でき、複数目標の同時処理も可能[13]。

MIDSデータ・リンク端末

詳細は「多機能情報伝達システム」を参照

ユーロファイター タイフーンは、多機能情報伝達システム(MIDS)のMIDS-LVT(1)端末を搭載しており、北大西洋条約機構の新しい標準的戦術データ・リンクであるリンク 16(TADIL J)のネットワークに参加することができる。リンク 16は、海軍用のリンク 11と空軍用のリンク 4を統合する新しい規格であり、航空自衛隊やアメリカ軍の作戦機、早期警戒管制機、地上レーダーサイトに加えて、イージス艦・航空母艦やパトリオット地対空ミサイル部隊など他軍種の部隊との情報共有をも実現するもので、その情報を元に効率的な統合作戦行動を可能とする[7][14]。データリンク情報はコックピット内にある3基のMFD(多機能ディスプレイ)に表示される[7]。

一部のメディアではタイフーンが欧州製であるため、アメリカ軍との共同作戦が難しいといった報道があるが、アメリカ軍との連携に問題は発生していない[7]。

VTAS

VTASとは、HOTAS概念が導入された、各種スイッチ類が付いたスロットルレバーと操縦桿、そしてDVIと呼ばれる直接音声入力装置によって構成され、パイロットの作業効率を上げる為の装置である[11]。

DVIは音声で以下のシステムの操作を行える[11]。

各種データ入力
多機能ディスプレイのモード切替
無線や航法装置の周波数切り替え
目標選択
僚機への目標割り当て

HMSS(ヘルメット装着式シンボリックシステム)
HMSS

JHMCSに該当するもので、ヘルメット自体に多くのセンサーが付けられ、パイロットは機体の各種センサー、電子機器類が取得した情報を融合してラスタースキャン型バイザーに投影して見ることが可能で[15]、オフボアサイト照準能力の他、夜間飛行の際にPIRATEの映像を映し出せる。両脇には夜間飛行用の暗視スコープを搭載可能。炭素繊維複合材が使用されており重量が2kg以下と軽く、パイロットへの負担が少ない。2010年7月より、各国空軍に納入され始めた[12]。ストライカーの別名でも呼ばれる。

2014年7月18日、ストライカーIIが公開された。ストライカー IIは完全にデジタル化されており、光学・慣性技術によって優れたトラッキング機能を持つ。ヘルメットには暗視装置(解像度1600×1200、フレームレート60Hz)が内蔵されており別途装着していた暗視スコープを不要とすることでパイロットの首への負担を軽減し快適性を高めている。映像の調整は自動化されて日光の変化にシームレスに対応できるようになったほか、デジタルズーム機能などが新たに追加された[16][17]。ストライカーIIには開発が中止されたF-35の代替ヘルメットの技術が生かされているとされている[18]。

飛行操縦システム関連

ケアフリーハンドリング機能

パイロットがどのような操作を行っても飛行状態が異常にならないように自動的に操縦システムが制御するもので、失速、オーバーG、スピン、デバーチャーなどを防ぐ効果がある[11]。

混乱時回復機能

自機の飛行状態を把握できない混乱(空間識失調など)に陥った場合でも、ボタン1つで自動的に300ノットの速度を維持したまま機体姿勢を水平に保ち、安定させるなどパイロットの安全をサポートする[11]。

能力

BAEシステムズ社のマーケティング資料では、本機がアメリカ製の最新戦闘機F-22には空戦能力の点では劣ると認めた上で、F-22とF-35の両機それぞれの得意分野である空中戦闘能力と対地攻撃能力の両方を1機種でカバーできる、フォース・ミックスの観点でも優れた戦闘機として各国軍への宣伝を行なっている。また、タイフーンは、対空対地両方の装備をした上で作戦中に、敵航空戦力の迎撃を受けた場合でもその状態のまま反撃を行うことが可能としている。これは、航空作戦時に敵の航空機による攻撃を受けた場合には、爆装を放棄し自機の迎撃を行うしかない既存機よりも大きなメリットであるとしている(これをBAEシステムズ社では、マルチロールと区別する意味でスイングロールと呼んでいる)[19]。

低翼機であるが、双発機ながら空気取込口が胴体直下にあることもあって、主翼下のグランドクリアランスが広い。翼端を除いて13ものハードポイントがあり、大推力に裏打ちされた7.5トンの兵装搭載容量を持つため、攻撃機としての能力が高い。一方で、スイス空軍による評価試験では対地攻撃能力はラファールに及ばないと評価されている[20]。

トランシェ1ブロック5からはPIRATE(受動式赤外線探知装置)を装備し、胴体下にイスラエルのラファエル社製、ライトニングIII目標指示ポッドを搭載できる。

機動性

また、空対空ミサイルを6発装備した状態で超音速巡航飛行が可能[5]とされ、空対空装備時にマッハ0.9からマッハ1.5へアフターバーナーを使用し加速する場合、所要時間はF-35の2/3で済み、マッハ1.5における維持旋回率はF-35の二倍とされる[7]。空対空装備時における推力重量比は1.13[7]。

イングランド北西部において2005年に行われた共同訓練中に、タイフーン複座機に2機のF-15Eが襲いかかったものの、ドッグファイトでタイフーンに撃退されたという説がある[7]。

イギリス防衛評価研究所(DERA)の試算をもとに、改良型Su-27(Su-27M相当)と撃墜/被撃墜を比較するとタイフーンは3から4.5対1の割合で有利である[21]。

ステルス性

前方からのRCS低減のみを配慮したと言われる機体は、電波吸収材の多用により、トーネードに比べレーダー反射断面積(RCS)が4分の1以下に減少した[5]。BAESの評価では正面からのRCSの値は最新型F/A-18E/Fやラファールよりも小さく、ステルス機に次ぐという評価もある[22]。最近の報道では機体のRCSは一般的な中小型戦闘機の20%、もしくはそれを下回る数値である1m2以下だと推定されている[7]。また、2010年時点の情報によれば、0.05-0.1m2とも言われている[23]。

相互運用性(インターオペラビリティ)

イギリス空軍のユーロファイター タイフーンFGR4は、2008年5-6月にネバダ州ネリス空軍基地で行われた共同演習「グリーンフラッグウエスト」に参加し、アメリカ空軍やアメリカ陸軍地上部隊との共同作戦をこなしていることから、BAEシステムズ社は、タイフーンのアメリカ軍兵器システムとの相互運用性について問題はないとしている[5]。

また、2011年2月2日には、在日イギリス大使館におけるユーロファイター説明会において、デイビッド・ウォレン駐日イギリス大使は、「ユーロファイターはアメリカ軍との定期的な合同演習で完全な相互運用性が実証されている」と述べ、同機がアメリカ軍との相互運用性で問題が無いことをイギリス政府として公式に認めている[24]。

作戦能力

制空

小型の機体に出力の大きなエンジンを備え、高速での格闘戦闘でも有利な性能を備える[5]。制空仕様の場合には中/長距離空対空ミサイルを6発、短距離空対空ミサイルを2発、外部燃料タンク3つを同時に搭載できる[5]。

対地

トランシェ1ブロック5よりレーザー誘導爆弾の運用能力が付加され、トランシェ2ブロック15から巡航ミサイルや対装甲ミサイル、超音速で爆撃可能な各種爆弾の運用を可能にする計画がある[11]。

対艦

BAEシステムズが日本への売り込みを図った際、空対艦ミサイルを最大6発搭載できるだけでなく、外部燃料タンクと各種ミサイルを同時に積載できる為、遠距離の海上脅威に対する任務遂行中に航空脅威に遭遇しても対応可能であるなど、日本が重点を置く対艦任務の性能を強調していた[25]。

生産

開発国向けの量産機数合計620機は3段階に分けて生産され、各段階に向けたスパイラル方式での近代化が行なわれる。それぞれの段階はトランシェ(Tranche:フランス語で”区分”の意)と呼ばれ、1から3までの各トランシェ内でもその初期型から後期型までの仕様の違いに応じてブロック数で表される。トランシェは発注段階の区分であり、仕様の違いではない[5]。

従ってトランシェ数のみによって機体の能力を決め付けるのは必ずしも妥当ではない。また、ブロックについても改修をすることにより、その後のブロックと同等の能力を得ることが可能で、例としてイギリス空軍が取得したトランシェ1 ブロック2/2Bは、その後の改修により、ブロック5と同様の能力を付与され攻撃、偵察も可能な多目的機となっている[5]。

各国の導入機数[26] トランシェ オーストリア ドイツの旗 ドイツ イタリアの旗 イタリア クウェートの旗 クウェート オマーンの旗 オマーン サウジアラビアの旗 サウジアラビア スペインの旗 スペイン イギリスの旗 イギリス カタールの旗 カタール 合計
トランシェ1 15 33 28 0 0 0 19 53 0 148
トランシェ2 0 79 47 0 0 48 34 67 0 275
トランシェ3A 0 31 21 28 12 24 20 40 24 200
トランシェ4 0 38 0 0 0 0 0 0 0 38
合計 15 181 96 28 12 72 73 160 24 661

トランシェ1 (Tranche 1)

ブロック1
最初の量産仕様機で、メインコンピューターのソフトウェアはPSPI。DASSは搭載されていない。複座型しか製造されておらず、初期の乗員訓練と防空訓練のみに使用。飛行試験用5機と量産機31機。

ブロック2
防空能力を高めた完全な初期作戦能力を持った機体で、ソフトウェアをPSPI2に変更。一部簡略化されたDASSを搭載。また、キャプターレーダー、IFF、MIDS、についてある程度のセンサー融合がなされた。更に自動操縦装置、マイクロ波着陸装置、直接音声入力装置の簡易版を搭載。47機を生産。

ブロック2B
ブロック2と同じだがケアフリーシステムを追加。38機を生産。

ブロック5
完全作戦能力を持った機体。GBU-16などのペイブウェイIIや1,000lb通常爆弾の携帯が可能になった他、BK-27の空対地使用が解禁され、DASS、直接音声入力装置、センサー融合共に完全な能力を得た。また、PIRATEを追加した(独向け機体を除く)21機を生産。
ブロック5A[11]
ブロック5に準じたオーストリア向け、下記4ヶ国分から調達した15機。

2005年3月迄の総生産機数148機。
トランシェ2 (Tranche 2)

ブロック8/8A/8B
能力向上と旧式化した部分を取り除いた新しいミッションコンピューターを導入するもの。初期のソフトウェアはブロック5と同じだが8A/8Bではバージョンアップしている。
ブロック10
ペイブウェイIII、JDAMなどが携帯でき、スイングロール(空対空と空対地任務を同時にする事)が可能になった。また、GPS、IFF、MIDSの能力が強化された。

ブロック15
ストームシャドウ・KEPD 350巡航ミサイルなど、空対地能力を更に向上させ、最大離陸重量を引き上げた。スイングロール能力も向上。

2005年12月17日に開発参加4ヶ国合計で236機の導入契約を締結。これに加えトランシェ1でオーストリアの分を各国で計15機調達が減った分トランシェ2が15機増産される。 また、イギリスは自国の調達分のうち24機をサウジアラビアに譲っている。

トランシェ3 (Tranche 3)

対地攻撃能力を完全実装したタイプで、開発参加4ヶ国合計で236機を調達する予定であった。2009年7月の会議において、3Aと3Bの二種に分けて調達することが決定した[7]。この決定と同時に合計112機のトランシェ3Aの調達を確定させたが、残りの3Bのオーダーについては各国における防衛費削減を原因として不確定さが増している。イギリスは3Bの調達を予定しておらず[27]、さらに、調達を急いでいたサウジアラビアへ自国のトランシェ2の調達枠24機分を譲り、その代替として既に注文を確定させたトランシェ3A 40機のうち24機をあてるとしている[28]。

ブロック20 [11][7]
ESM/ECM機能の強化、DASSの探知距離延伸などを予定[29]。

ブロック25[10]
サウジアラビア向けの24機。

ブロック30[10]
オマーン向け。

ユーロファイター2020

ユーロファイター2020とは、ユーロファイター・ワールド2011年2月号で掲載されたコンセプトであり次のような改良が盛り込まれている[30]。

主翼前端にLERXを追加。
EJ200の推力増強と推力偏向ノズルの導入。
CFTへの対応。
新型ターゲティングポッド・偵察ポッドの運用能力。
新しいヘルメット装着シンボロリックシステム(HMSS)や新型オートパイロットによるパイロットへの負荷軽減。
DASSシステムの強化(レーザー警報装置やパッシブ・ミサイル警報装置の強化)。
新型ミサイル・誘導爆弾への対応。

トランシェ4 (Tranche 4)

ドイツ空軍がトランシェ1の代替機として調達するモデル。トランシェ3Aをベースにアップデートを行ったものとされる。2020年11月11日単座30機、複座8機で計38機の調達契約を締結した[31]。

アップグレード

配備後に施されたアップグレードには、以下のようなものがある[32]。

フェーズ1強化A (P1Ea)
ライトニングIII照準ポッド、IRIS-Tの運用能力、機関砲の対地掃射能力の付与、HMSSへの対応、MIDSの機能拡張など。
フェーズ1強化B (P1Eb)
イギリス空軍で実施。ペイブウェイIVを6発携行できるようにするなど対地攻撃能力の強化、GPSの改良、対妨害機能の向上、戦術表示の改善など。
フェーズ2強化A (P2Ea)
DASSの機能強化、初期のストーム・シャドウの統合化。
フェーズ2強化B (P2Eb)
ミーティアの統合を行うための機能強化。
フェーズ3強化A (P3Ea)
イギリス空軍で実施。ブリムストーンやストーム・シャドウの完全な統合化。
フェーズ3強化B (P3Eb)
クウェート向けの機体に実装[33]。
空力改修キット(AMK)
胴体へのストレーキの追加と主翼前縁付け根延長により、主翼の揚力を25%、飛行最大迎え角を45%、横転率を100%増加させる計画。

配備

タイフーンの競合はF-35、F/A-18E/F、Su-27などの高価格な高性能機であるが、F-16、ミラージュ2000、ラファール、グリペンなどのローコストの軽量戦闘機とも比較されている。価格は、F-16よりは高く、F/A-18E/FやF-15Eよりは安い価格が示されているとされる[5]が、情報は少ない。2005年にサウジアラビアが当時のレートで約1兆2,000億円で約72機(諸説有)購入したことから、当時の価格は1機100億円以上であったと憶測されている。インドMMRCA商戦においてのラファールのライセンス生産提案価格が約189億にあたり、タイフーンはその22%増と発表されているために一機約230億で提案されていたものと思われる。また2015年のクウェート販売価格は、一機あたり3億2,100万ドル(約350億円)となっている。

ハードウェアが旧型のため、トランシェ2以降へのアップグレードが難しく余剰となったトランシェ1仕様機を再整備することで、ローコスト機を利用する国にも積極的に提案されている。

運用国
運用国(青)

イギリスの旗 イギリス(イギリス空軍)
イギリス空軍のタイフーン FGR4

160機を導入する予定。
トーネード ADVとジャギュアの後継として検討されたが、ジャギュアについては軍縮により後継を配備せずに退役することとなった。最初の機体は2003年に評価試験飛行隊として再編成された第17飛行隊(英語版)に配備された。翌年には第29飛行隊(英語版)が実用機転換部隊として再編成され、2006年には最初の実戦部隊として第3飛行隊(英語版)が再編成されて同年中にQRA任務を開始している。2009年にはフォークランド諸島防衛を担う第1435飛行班(英語版)にも配備されている。
2018年にはトランシェ1の複座型16機を分解して部品とすることで8億ポンドの予算を節約する決定を行った[34]。2021年3月22日、国防省はイギリス軍の長期計画をまとめた「Defence in a Competitive Age」を発表し、その中で全てのトランシェ1を2025年までに退役させ、残りのタイフーンをアップグレードすることが述べられている。2021年12月14日、シリア南部で武装勢力「ISIL」と戦っている連合軍に脅威をもたらしたとして、連合軍のアル・タンフ基地の上空で「小型の敵対ドローン」をASRAAMミサイルを用い撃墜した[35]。

イタリアの旗 イタリア(イタリア空軍)
イタリア空軍のタイフーン

防空戦闘部隊に96機を配備。
2020年10月23日に納入を完了した[36]。

スペインの旗 スペイン(スペイン空軍)
スペイン空軍のタイフーン C.16

ミラージュF1の後継として2003年から導入。
73機が導入され、2019年12月に完納された[37]。2022年6月23日、F/A-18の後継として20機の追加調達契約を結んだことが発表された[38]。

ドイツの旗 ドイツ(ドイツ空軍)
ドイツ空軍のタイフーン

1997年10月、F-4F ファントムIIとトーネードの後継として180機が計画された。計画生産率は年間15機であった。最終的に発注機数は143機まで削減されている。最初の7機は2004年に第73戦闘航空団"シュタインホフ"に引き渡された。その後2006年にはドナウ川沿いのバイエルン州ノイブルクの第74戦闘航空団に配備された。ドイツ空軍は2019年の段階で140機を保有しているが、稼働率が低すぎて任務に就いているのはわずか4機と報じられている[39]。2019年12月17日にトランシェ3A仕様21+53が引き渡され、143機が完納されたが、トランシェ1 32機の代替に最新仕様の38機を追加購入する構想がある[37]。
2019年6月24日、ミューリッツ湖上空で訓練飛行中だった第73戦闘航空団のEF-2000 2機が空中で接触して墜落した。2機ともパイロットは脱出したが、生還したのは1名のみだった[39]。

オーストリア(オーストリア空軍)
オーストリア空軍のタイフーン

当初24機の導入が決まっていたが、2002年の洪水により計画を2007年まで凍結し導入機数も結局15機に削減された。また、スウェーデンがサーブ・グリペンの不採用の報復として、同国が運用していたサーブ・ドラケンのメンテナンス費用を正規価格に変更したため(オーストリアは以前グリペンの導入を約束し、スウェーデンから中古のドラケンを受領していた)、オーストリア側は対抗策としてスイスからリースしたF-5Eと入れ替える形でドラケンを退役させた。
引き渡しは2007年から始まり、2009年に完了した。パイロットの訓練はドイツで行われるため、複座型は導入していない。オーストリア空軍のタイフーンは運用コストの高さが指摘されており、2020年7月6日には費用捻出のためにサーブ 105Ö 12機を退役させることが発表された。またより安価な戦闘機に更新しタイフーンを売却することも検討されており、インドネシアが興味を持っているという[40]。
なお、2017年にはタイフーン導入に関する不正疑惑が浮上したが、エアバスは疑惑を否定し捜査に協力、検察当局に資料を提出している[41]。

サウジアラビアの旗 サウジアラビア(サウジアラビア空軍)
サウジアラビア空軍のタイフーン
2010年、マルタ上空

2005年12月下旬に導入が決定したと報じられた。ヨーロッパ諸国以外では初の受注となる。導入機数は72機で、内48機はサウジアラビア国内で組み立てられる予定であったが、交渉の結果国内組み立ては実現しなかった。引き渡しは2009年から開始されている。
代替されるのは空軍のトーネード ADVもしくはF-5E/Fと言われている。同国に関連する汚職事件[注 3]に関し、イギリス側の司法当局が捜査を行っていたが、両国の信頼関係を損なう恐れとまとまった商談が破棄される恐れがあるとして捜査を中止したことに際し、まとまった商談はタイフーンの輸出に関する事柄だったのではと一部で言われている。
2017年9月13日、イエメン上空で任務飛行中のタイフーンが墜落して、パイロットは死亡した[42]。

オマーンの旗 オマーン

2008年に中古のトランシェ1を24機購入する予備契約を交わしたが、F-16の追加発注によりご破算になったという見方をする報道があった[43]。しかし2012年12月21日に新造機12機の採用を決定した[44]。2017年より引き渡し開始。

採用決定・納入待ちの国家

クウェートの旗 クウェート

F/A-18C/Dの更新用として検討され[45]、2015年5月にはF/A-18E/Fが28機発注された[46]と報じられていたが、同年9月11日に一転してトランシェ3 28機(単座型22機、複座型6機)の採用を決定した[47]。クウェート空軍のタイフーンはキャプターEスキャンレーダー搭載のP3Eb相当の機体で、2019年12月23日に初飛行した[37]。2021年12月7日に2機が納入された。[48]

カタールの旗 カタール

インドへ売却する予定のミラージュ2000-5の後継として24-36機を導入する予定でF-35、F/A-18E/F、F-15E、ラファールと共に候補に挙がったが[49]、この時は2015年4月30日にラファール24機の採用が発表された[50]。2017年9月17日、英国政府は、カタールが24機のユーロファイターを調達する意向表明書に署名したと発表した[51]。

検討中の国家

リビアの旗 リビア

2012年7月、内戦に伴い崩壊した空軍を再建するべくラファールとともに購入する計画を発表した[45]。

ペルーの旗 ペルー

2013年にスペイン空軍から中古のトランシェ1 18機の譲渡を提案された[52]。

バーレーンの旗 バーレーン[45]
インドネシアの旗 インドネシア

2020年にオーストリア空軍のトランシェ1 15機の購入に向けて、インドネシアの国防大臣がオーストリアの国防大臣に公式協議を提案した[40]。

過去に検討された国家

アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦

2012年に検討したが[45]、翌年に断念[53] 。

カナダの旗 カナダ

エアバス・ディフェンス&スペースがカナダ空軍のCF-18の後継機に提案していたが、NORADのセキュリティ要求にかかる費用が高すぎ、カナダ空軍の要求仕様の見直しから、2019年8月30日にエアバスがコンペティションから降りることが発表された[54]。

スイスの旗 スイス

ラファール、JAS39グリペンと共にF-5Eの後継機候補となっていたが、グリペンEを22機導入することを発表した[55]。しかし2014年5月18日に行われた国民投票により導入のための国債発行が否決されてしまい[56]、導入するかどうかは現時点では不明。

チェコ

2014年末にリース期限が切れるグリペンの後継機として提案されており、イタリア、ドイツ、スペイン、イギリス各空軍の中古機を新品の30-40%引きで提供できるとしていた[57]が、最終的にグリペンのリースが継続されることになった。

デンマーク

F-16の更新用として提案されていたが、2016年5月11日にF-35A 27機の調達を決定した[58]。

ギリシャの旗 ギリシャ

比較的早い段階から購入の意思表明を行っていたが、アテネオリンピック後に導入計画が白紙化され、2005年に導入コストの問題からアメリカ製F-16C/D Block 52の追加購入が決定された。

インドの旗 インド

インド空軍が購入を予定している126機の多目的戦闘機(MMRCA)の最終候補としてラファールとタイフーンが残っていた。ラファールが独占交渉に入ったと報道され、その後フランス国防相もこれを認めた[59]。

日本の旗 日本
詳細は「F-X (航空自衛隊)#第4次F-X」を参照

航空自衛隊の老朽化したF-4EJ改戦闘機の更新計画として進められていた第4次次期戦闘機F-Xの候補の1つとしてタイフーンの導入が検討され、当機の日本への売り込みは英国のBAEシステムズ社が主に担当し、イタリアのアレニア・アエロナウティカ社もその支援に当っていた[60]。しかし、最終的に日本はF-35A 42機の導入を決定した。
第4次F-Xに対するBAEシステムズ社の意気込みは大きく、アビオニクスをはじめとする日本独自の電子機器類の搭載や誘導弾などへの対応と、ライセンス生産までも認めるなど、競合機と比べてかなり柔軟な売り込み姿勢[61]をとり、副社長その他の幹部、テストパイロットなどが幾度も来日して会見や日本政府など関係各方面への働きかけを行っていた。
BAEシステムズ社は、日本におけるタイフーンのメリットを、価格水準と取得性の高さ、機体性能の高さ、日本におけるライセンス生産と機体組み立てにおける日本航空機産業の関与、参加の保証、などを以って積極的にアピールしており[62]、2007年5月31日には三菱重工業とユーロファイターの生産ライセンス供与について交渉したことを発表している[63]。
F-35に敗退した後も、BAEシステムズでは2030年代に退役が始まるF-2の後継機として、タイフーンをベースとした機体の共同開発を提案していた[64]が、2020年予算において新規開発とする事が決定し事実上共同開発は廃案となった。

大韓民国の旗 韓国

F-15Kやラファール、Su-35とともにF-4Dの更新用として提案されたが、最終的に韓国空軍は政治的な問題からF-15Kを40機採用した。不採用の要因として、韓国の選定当時はまだ開発段階で、対地攻撃能力実証が間に合わなかったのが原因といわれている。同じくF-4D後継機の第2次FXでは、F-15K選定時の不透明な経緯からボーイング以外の入札が行われなかったため、F-15Kの21機追加と言う形に終わっている。
F-4E後継機の第3次FXの60機でも、F-15SE、F-35Aと並んでRFPに応じた[65]。
2013年8月16日に最終入札が行われ、F-35Aは予算不足のため選定から脱落し、8月18日、ユーロファイターは書類不備のため脱落したと発表された[66]。9月24日、防衛事業庁はF-15SE採用を否決して、入札を白紙からやり直す事を発表した[67]。11月23日、入札条件にステルス機能と電子戦能力を追加したため、F-35Aのみを検討対象とすることを事実上決定、40機導入する予定[68]。

ノルウェー

1990年代末にF-5A/Bの後継、既存のF-16AM/BMの損耗補充用としてF-16C/Dと共に購入を検討し、製造コンソーシアムへの参画についても問い合わせを行っていたが、空軍の規模が縮小され不要となったため実現せず、F-16AM/BMの後継機として選定したF-35Aに一本化された。

ポーランドの旗 ポーランド

現在のところポーランドは東側時代のソ連製戦闘機に代えて、F-16C/D Block52アドバンスドを主力迎撃戦闘機としているが、これに加えてさらに強力な主力迎撃戦闘機を導入する計画を立てている。ユーロファイター社はポーランド空軍によるタイフーンの大量購入を見込んで売り込みを開始しており、購入数は50-70機ほどと推測されていた[69][70]。2020年1月31日、MiG-29とSu-22の後継として32機のF-35Aを調達する契約を締結した[71]。

シンガポールの旗 シンガポール

A-4の後継機として提案当初からシンガポール空軍関係者から有力候補として名前を挙げられていたが、開発の遅れが原因で間に合わず候補から脱落した。その後F-15Eをシンガポールの要求に合わせた改修型のF-15SGとラファールが選考対象として残っていたが、F-15SGの採用が決定した。

トルコの旗 トルコ

F-35Aの導入を予定していたものの、国内生産時の分担比率の問題と、当時はF-35A自体が生産されるか流動的となっていたため、万が一の保険としての打診が、トルコから一部の製造企業に対して行われた。だが、タイフーンではF-35Aのステルス性能を代替できないという根本的な問題やアメリカとの結びつきを重視した結果、当初の予定どおりにF-35Aの導入で決定した。

フィンランド

フィンランド空軍が運用するF/A-18C/Dの後継機を選定する『HX Fighter Program』に提案されていたが、2021年12月10日フィンランド国防省公式TwitterでF-35Aを64機購入すると発表された[72]。

仕様・性能
Eurofighter Typhoon line drawing.svg
手前がEJ200エンジン。奥に隠れて見えるのがRB199エンジン。
RB199はかつてタイフーンの試作機に搭載

出典: エンジン、推力重量比以外は後述の一部を除き全て軍事研究[5]を単位変更。
但し、近似値の正確な数値、空虚重量、ヤード・ポンド法単位の数値はDOPPELADLER.COM[73]、Air Force Technology[74]による。

諸元

乗員: 1名または2名
定員: 2名
全長: 15.9m (52ft)
全高: 5.3m (17.4ft)
翼幅: 11.0m(36.1ft)
翼面積: 50m2 (538ft2)
翼型: カナードデルタ翼
空虚重量: 10,995kg (24,240lb)
最大離陸重量: 23,500kg (51,809lb)
動力: ユーロジェット・ターボEJ200 ターボファンエンジン
    ドライ推力: 60kN (6,190kg) × 2
    アフターバーナー使用時推力: 89kN (9,075kg) × 2

性能

最大速度:
    13,700mで水平飛行・アフターバーナー使用時:マッハ2.0(2,120km/h)
    高高度水平飛行・アフターバーナー不使用時:マッハ1.1-1.5
    海面高度で水平飛行・アフターバーナー使用:マッハ1.2
フェリー飛行時航続距離: 3,706km
航続距離: 2,900km
実用上昇限度: 19,800m (64,961ft)
上昇率: 315m/s (1,033ft/s)
最大推力重量比: 1.13(空対空仕様時)[11]
* ブレーキオフから離昇までの所要時間:8秒以内
ブレーキオフから35,000ft(10,675m)、マッハ1.5までの到達時間:2.5分以内
200ノットからマッハ1までの所要時間:30秒
Gリミット:+9G、-3G

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兵装

固定武装

マウザー BK-27 27mm リヴォルヴァーカノン×1門

通常はカバーで蓋がされており、必要な時に外すことになっている。ただし計画参加4ヶ国では射撃訓練などをほとんど実施しておらず、イギリス空軍では取り外すことも検討されている[75]。

空対空ミサイル

IRIS-T
MBDA ミーティア
AIM-9 サイドワインダー
AIM-120 AMRAAM
AIM-132 ASRAAM

空対地ミサイル

AGM-65 マーベリック

空対艦ミサイル

AGM-84 ハープーン(計画)[76]
シーキラー(英語版)(計画)[76]

対レーダーミサイル

ALARM
AGM-88 HARM

巡航ミサイル

SCALP-EG/ストーム・シャドウ
KEPD 350

対戦車ミサイル

ブリムストーン

爆弾

GBU-31 JDAM 誘導爆弾
ペイブウェイ II/III/IV 500ポンド-2,000ポンド誘導爆弾

赤の線はハードポイントで、その中で黄色の縁取りがある3か所は増槽を装備可能。
緑の線はBK-27航空機関砲
展示中の機体

現在3機が退役の上展示されている。
型名    番号    機体写真     国名 所有者 公開状況 保存状態 備考      
S タイフーン DA-1 98-29 (ドイツ空軍) Eurofighter Typhoon S Germany Air Force 98+29 (10563627424).jpg ドイツ ドイツ博物館(シュライスハイム航空館) 公開 静態展示 [1]
T タイフーン DA-2 ZH588 (イギリス空軍) Eurofighter Typhoon DA-2 (21802493191).jpg イギリス イギリス空軍博物館ロンドン館 公開 静態展示 [2]
T タイフーン DA-4 ZH590 (イギリス空軍) Eurofighter Typhoon (T) ‘ZH590’ (24197505331).jpg イギリス ダックスフォード帝国戦争博物館 公開 静態展示 [3]
登場作品
映像作品

ドキュメンタリー『トップ・ギア』(BBC)
イギリス空軍所属の実機が登場。ブガッティ・ヴェイロンとドラッグレース対決を行い、勝利する。
映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
イギリス空軍機として登場。ロンドンに現れたダーク・エルフの宇宙船に対する迎撃機として2機が出撃するシーンが登場する。
ドキュメンタリー・ネット動画『Typhoon FGR4』(on Royal Air Force 公式Infographic(英語))
アニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』
第1話にて登場。コックピットやHMDが実物と忠実に描かれている。モンブランにあるピラーの破壊を試みるが全滅する。

漫画・小説

『ガーリー・エアフォース』
登場メカニックおよびキャラクターの1人として、一種の無人戦闘機「ドーター」としての改造を施した架空の派生型「EF-2000-ANM」が登場する。

ゲーム作品

『エースコンバットシリーズ』

『エースコンバット』
    敵機および自機として「EF-2000」の名称で登場する。
『エースコンバットZERO』
    ベルカ空軍のエース部隊の一つ「ロト隊」の機体として登場するほか、自機としても使用可能。
『エースコンバット6』
    エストバキア空軍が使用。
『エースコンバットAH』
    NATO軍がアメリカ軍と共同でNRFからドバイを防衛するために使用。
『エースコンバット∞』
    傭兵部隊のパイロット、「ボーンアロー2/オメガ」が使用する他、プレイヤーが操作できる。
『エースコンバット7』
    プレイヤーの操縦可能な機体、もしくは敵機として登場する。

『トムクランシーズ H.A.W.X.2』
イギリス空軍の主力戦闘機として登場。
『バトルフィールド2』
EUの戦闘機として登場する。
『エナジーエアフォースシリーズ』
「EF-2000」の名称で登場。『エナジーエアフォース』では味方機として、『OverG』では敵機として登場する。但しどちらも自機としては使用不可。
『エアフォースデルタシリーズ』
初代と『2』では自機または敵機として「EF-2000」の名称で登場。『ブルーウィングナイツ』では「Typhoon」の名称で登場し、主人公の一人であるジョン・ランダルやパイソン隊隊員、EDAF正規軍パイロットが搭乗する。
『サイドワインダーシリーズ』
『2』、『F』、『V』の3作品にて自機または敵機として「EF-2000」の名称で登場。』