海外ヘッジファンド、日銀砲の前に討ち死にか?

海外ヘッジファンド、日銀砲の前に討ち死にか? : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29283078.html

『今回の記事ですが、経済というのは、誰であれ断言できるようなモノでは無いので、傍証からの判断という事になります。なので、必ずしも正しいと言い張るつもりは、微塵もありません。ただし、一つの山は越えて、自信満々に海外ヘッジファンドの勝利を語っていた、経済アナリストも、見方を変えたようです。

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債券は大幅高、長期金利が0.2%割れ-日銀の定例オペは無難通過

債券相場は大幅高。長期金利は0.2%を割り込んでいる。前週末に米長期金利が大幅低下した流れを引き継ぎ買いが優勢だ。日本銀行が先物決済に使われるチーペスト(受け渡し適格最割安)銘柄を含む指し値オペを継続しているのに加え、定例の国債買い入れオペを無難に通過したことも相場の支えとなっている。

SMBC日興証券の奥村任金利ストラテジストは、長期金利の低下について「イールドカーブコントロール(YCC)スペキュレーションで366回債を売った海外勢が買い戻しを迫られ、それにカレント債も引っ張られる状況だ」と指摘。海外金利低下など外部環境も日銀に正常化を迫る状況にはなく、「日銀と市場との攻防は終わった」との見方を示した。この日の定例オペは、無難な結果だったとした。
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今後、敗戦処理として、日本国債で売りを仕掛けた海外ヘッジファンドは、買い戻しを強制的に迫れる事になります。つい、2週間前までは、まるで痙攣でも起きたかのように、薄商いの時を狙って、日本国債が売られていました。売り崩しを狙った仕掛けなのですが、これが瞬時に買い戻されて、0.25%の金利に戻されるという攻防が続いていました。ものすごいのは、その資金です。一回の攻防での日本国債の上下動で、10兆円の資金が飛び交いました。

こうした海外ヘッジファンドの経済攻撃は、過去にも数回あり、日銀が全勝しています。理屈では、通貨発行権を持つ日銀は、いくらでも通貨を発行できるので、勝てるわけが無いのですが、日本の財政が借金依存になっているので、取れる方策が固定されている上に、昨今の日本以外の主要国の政策金利の利上げもあり、恐らくは今回は勝てると踏んでいたものと思われます。実際、かなり厳しい戦いだった事は想像できます。何しろ、あのスイスですから、自国の通貨であるスイス・フランの金利を17年振りに上げたのです。そして、つい先日、EUはゼロ金利政策を捨てて、0.5%の大幅利上げを行いました。

つまり、周りから見れば、「そのうち日本も政策金利の利上げをするはずだ。仕掛けておけば、雪崩のように金融防衛が崩れて、大儲けができる」絶好のカモだったわけです。数ヶ月で10円以上も円安に動いた、昨今の事情は、もちろん、周辺の主要国が政策金利をインフレ対策で上げたという事が大きいですが、実は日本国債に売り圧力をかけていた海外ヘッジファンドの資金も関係しています。日銀は、発行した国債を買取る事で、金利を0.25%以下に固定する指値オペをしているので、売り圧力が高まれば、円を発行して、国債を日銀が買い取るしかないのです。理屈では、無限に買い取れますが、円の価値は希釈される為、その分価値が低下する事になります。

海外ヘッジファンドが国に勝てるはずが無いと思うのは、昨今では当てはまりません。彼らの資金源は、中東の石油王だったり、国が資産運用する資金だったり、国際的な大企業の資金運用部門だったりするので、動かす金も兆単位/社だったりします。もちろん、それだけの大資金を運用しているところは、限られますが、徒党を組んで挑めば、例え国と言えど食いつぶされます。実際、EUが結成される前のイギリスのポンドは、世界三大投資家の一人であるジョージ・ソロス氏のポンド売りの仕掛けによって、「女王陛下の金庫番」と言われていたイングランド銀行を破産させ、当時の貨幣価値で1500億ドルの利益を叩き出しています。イギリスは、通貨の防衛に失敗したのです。

これも、EUによる通貨統合の前で、国民の意志とは別に、ユーロへの通貨統合に参加する気があった当時の政府が、ポンドの価値を保つ為に、通貨防衛に多額の資金を投入して、それが限界に来ていたのが原因です。もちろん、そんな事はイギリス政府は、一言も言っていませんが、虚勢を張っているのが、ソロス氏にバレて、彼単独で2兆円規模のポンド売りを仕掛けられたのです。彼が動いた事で、市場はポンド売り一色になり、ついにイングランド銀行は破産し、ポンドの価値は下落しました。まぁ、結果的に、国民投票で、ポンドはユーロに統合されない事になり、通貨の独立性は保たれたので、まったく無駄な努力をしていた弱みを突かれた形になります。

このように、通貨発行権を持つ国と言えど、財政が極端に歪になると、海外ヘッジファンドの攻撃対象となり、必ず勝てるとは限らないのです。まだ、完全に油断はできませんが、海外ヘッジファンドが、折れた心を持ち直すのは、容易では無いでしょう。』