中国 経済減速で「懐の豊かさの保証」にかげり 中産階級が突きつける「ノー」に対応を迫られる政権

中国 経済減速で「懐の豊かさの保証」にかげり 中産階級が突きつける「ノー」に対応を迫られる政権 – 孤帆の遠影碧空に尽き
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『【4-6月期の実質GDPは、前年同期比0.4%増 中国経済の基盤は依然として不安定】
中国経済が厳しい「ゼロコロナ政策」の制約のもとで減速を強いられていること、一方で膨大な労働市場への新規参入者を抱えて「就職氷河期」の状況になっていることは、6月26日ブログ“中国 ゼロコロナの就職氷河期 1076万人の高等教育機関卒業生が労働市場へ”で取り上げました。

中国経済の急減速は、中国の国家統計局が7月15日、2022年4月から6月までのGDPの伸び率が、前年同期で0.4%増だったと発表したことでも明らかになっています。

0.4%という数字は日本などに比べれば厳しい条件下で健闘していると言えますが、成長を前提にした中国社会を安定的に支えていくものとしては非常に低い数字です。

****中国経済、プラス成長維持も苦境変わらず****

中国国家統計局が15日発表した2022年4-6月期(第2四半期)の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比0.4%増となった。伸びはこの2年間で最低だが、春に新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う厳格なロックダウン(都市封鎖)を実施したことを踏まえると、この成長率は事実ならば素晴らしい成果だ。

しかし、中国経済の基盤は依然として不安定に映る。中国政府は緩慢なペースの景気回復を軌道に乗せるためにも、特に住宅セクターへの大幅な梃入れが不可欠だ。

中国の6月の経済指標では、輸出と軽工業の回復をはじめとする明るい兆しも確認された。(中略)

さらに、地方政府が23年分のインフラ債(専項債)の前倒し発行を計画していると報じられた。これが実現すれば、中国の目前に突きつけられた「財政の崖」の回避につながるかもしれない。

今春のインフラ投資の回復を支えたのは、こうした地方債の大量発行だった。中国の純国債発行額は6月だけで1兆6000億元(約33兆円)増加し、月間ベースの増加幅は過去最高の20%近くに達した。

それにもかかわらず、中国経済全体は依然として問題を抱えており、22年通年の公式目標である5.5%前後の成長率を達成するのに必要な体力を持ち合わせていない。国債発行を除けば、信用の伸びは依然として低調だ。特に景気刺激策を講じた20年と15年の水準と照らすと非常に弱い。

中国経済にとって重要な不動産セクターは6月に回復の兆しを見せたが、現在は低迷へと逆戻りしている。大中都市30都市の不動産販売(床面積ベース)は6月下旬までに1日あたり100万平方メートル以上へと回復したものの、現在ではその3分の1以下に落ち込んでいる。

6月の不動産投資は前年同月比9.4%減となった。ソーシャルメディアでは、住宅購入者がまだ引き渡しが行われていないマンションの住宅ローンの支払いを拒否する動きが広がっている。こうした動きは不動産開発業者だけでなく、銀行にも新たな打撃となる恐れがある。

中国政府は、不動産開発業者に対して新たに大規模な支援に乗り出す必要がある。昨年、政府は不動産セクターを厳しく取り締まったことから、今となって支援を行うのは政治的に難しいかもしれないが、必要な措置だ。支援を実施しなければ、神経質になった金融機関が不動産開発業者に貸し渋り、開発業者はマンションの引き渡しにさらに苦労するという悪循環に陥ってしまい、住宅購入者の信頼をさらに損なう恐れがある。

地方都市の不動産価格は21年9月以降、下落を続けている。これは15年後半以来の最長の下落局面だ。当時、中国では不動産・重工業セクターが債務危機に見舞われ、金融システムが崩壊の瀬戸際に追いつめられていた。

6月の小売売上高は前年比3.1%増と緩やかな回復を示した。ただ、新型コロナの新規感染者は全国で再び増加に転じている。それでも新規感染者は1日あたり約500人前後と、ピーク時に上海市で記録された1日2万人を超える水準を大きく下回る。

少なくとも中国政府の公式発表によると、1-6月期のGDPは前年同期比でかろうじてプラス成長を達成した。だが、22年以降の見通しはかなり暗い。大型の景気刺激策を講じても、通年で1桁台前半の成長が関の山だ。

新型コロナのオミクロン変異株の大流行が発生した場合や、政策当局が不動産セクターを取り巻く逆境を好転させることができない場合、もはや中国政府は為す術がないだろう。【7月16日 WSJ】
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【不動産市場低迷で業績悪化の地方銀行が預金者への支払い停止】

景気の悪化で目立つのは上記記事にもあるように不動産市場の低迷。昨年は不動産大手「恒大集団」の経営危機が表面化しましたが、状況は改善していません。

それにともなって、社会不安が拡大しています。
河南省鄭州では、不動産企業に貸し付けた資金が焦げ付いたことから金融機関の資金が枯渇し、一般の預金者への支払いができなくなり、預金者が1000人規模(3000人との報道も)で金融機関に抗議。地元当局とみられる白シャツの集団に排除され、多数の負傷者が出る混乱も起きました。

事態の収拾を急ぐ地方当局は、小口預金者について銀行に代わり顧客に預金を払い戻すと発表するなどしています。

****中国の預金8000億円“凍結”問題、抗議活動が一層激しく 国も座視できない状況に?****

中国の地方銀行で8000億円の預金が引き出せなくなった問題。預金者ら1000人規模のデモが発生し、地元警察が力づくで排除するなど、抗議活動が一層激しくなっている。

事件は今どのような状況なのか。その大規模な抗議活動を取材したANN中国総局の李志善記者に聞く。

Q.現地の抗議活動の様子は?

10日の抗議活動は早朝4、5時からと早い時間からだった。そもそも抗議活動は河南省・鄭州市で、地元政府の銀行監督当局庁舎の前で何度か行われてきたが、今はそこにつながる道が封鎖されて近づけないようになっている。車はもちろん入れないし、歩いて行こうとしても制止される。

どうやって声をあげようかということで考えたのが、誰も予想できない時間と場所で抗議をするということだったようだ。今回の場所が中国人民銀行の河南省の支店で、ここは地方銀行の上級機関にあたる。ちょっとでも声が上に届いてほしいということで、その上級機関の前で抗議することになった。

中国の公務員がよく使うスローガンで「為人民服務」、つまり人民のために奉仕するという言葉がある。今回、現場で起きていたことはこれと真逆だったと言えると思う。被害者である預金者を強制的に排除したり、預金者に抗議活動に参加するなと電話をかける圧力をかけている。取材した預金者の「私たちは被害者であって、権利を守りたいだけだ」という言葉に尽き、それに耳を傾けるべきだと思う。

Q.行政の対応は?

11日夜にニュースが入ってきた。小口の5万元、日本円で100万円以下の預金について、地元政府が肩代わりするかたちで先に預金を返還すると発表した。それは1つ進展だと言えるが、一方で大口の預金者については追って対応を発表するとしていて、まだまだ安心できない。

このように地元政府は何もしていないわけではなく、警察当局とも連携をしながら事態の全容解明に動いている。

事件のスキームとして、投資会社が傘下の銀行を操って預金を集めていたが、それ以外にも複雑な状況があり、捜査に非常に時間がかかっている。多数の預金者がいることや個別のケースがあって、お金の行き先を調べたり、資金の凍結や差し押さえたりと徐々にやっている。

実は、この銀行は農村や農民、中小企業を助けるとうたっていたことから、地元政府は何度も模範的な金融機関として表彰していた。そのため、監督責任を追及する声があがっていて、地元政府としては事を荒げたくないということで封殺するように動いている。

地元警察は関係する容疑者を逮捕したと何度か発表していて、少しずつ進展はしていると思う。(中略)

Q.今後この事件が収束する見通しは?

見通しは難しい。ただ、中央政府に対してもなんとかしてくれという声もあがっていて、国が乗り出してくるのか、地元政府がなんとかするのか。国としても座視できない状況になってきているので、そこのバランスになってくると思う。【7月13日 ABEMA TIMES】
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【「独裁的体制とよりよい取引をするため、賢い抗議者は公式に承認されたやり方で不満を表現する」】

この問題は、地方当局が預金者の抗議行動を封じ込めるためにコロナ対策で使用される「健康コード」アプリを恣意的に使ったということでも大きな問題となりました。

中国共産党のもとで厳しい社会統制が敷かれる中国での抗議活動というのは、日本などとはやや異なる様相もあるようです。

抗議する側はやみくもに抗議を行っている訳でなく、“不安定化を恐れる中国共産党と、トラブルの表面化を嫌う地元当局の双方の立場に付け入ること”を狙った“意識的なロビー活動”との指摘も。

****独裁政権のパワーバランスを完全に理解した、中国農村デモ「勝利の方程式」****

<中国・河南省の農村向け銀行で、預金が一方的に凍結される騒ぎが発生。ただし抗議者は計算ずくの行動と主張で、中央政府を刺激せず目的の一部を達成した>

実りのない結果に見えた。河南省の省都・鄭州で7月10日、市民約3000人による大規模な抗議活動が発生。私服組と制服組が交じる警官隊と衝突した末に、制圧された──。しかし、参加者は少なくとも目的の一部を達成した。

市民が抗議の座り込みを行ったのは、中央銀行・中国人民銀行の鄭州支店前だ。河南省の農村向け銀行4行、および近隣の安徽省の銀行1行で今年4月から、計数十万件の口座の預金が引き出せなくなっているスキャンダルをめぐって、捜査と補償を訴えた。

中国のソーシャルメディアでは、警察の暴力を捉えた動画が拡散し、抗議活動を支持する声が上がった。「マフィア! マフィア!」と叫ぶ抗議者の非難の対象は、問題の銀行だけではない。複数の地元当局者が共謀して預金を奪ったと、彼らは主張している。

鄭州では6月、抗議を計画する預金者の移動を制限しようと、新型コロナウイルス対策の一環として中国でダウンロードが義務付けられている「健康コード」アプリを、地元政府幹部らが不正操作した事件も発覚。一般市民の憤慨や国営メディアによる批判を招き、幹部らは処分された。

今回のような抗議活動は中国では一般的かつ明確な目的がある。単なる怒りの表明ではなく、当座の目標達成を追求する意識的なロビー活動だ。

この手の集団行動を効果的に行うカギは、不安定化を恐れる中国共産党と、トラブルの表面化(そうなれば、上層部に調査されることになりかねない)を嫌う地元当局の双方の立場に付け入ること。抗議活動の発生件数は業績評価の指標の1つでもあるため、当局者は未然に防ぎたがる。

こうした集団行動戦略は、要求内容が鉱山労働者への未払い賃金の支給であれ、固定資産税の引き下げであれ、一定の成功を収めることが多い。それは抗議活動への対応として、アメとムチの兼用が常套手段だからだ。

圧倒的な治安機構を背景とする強大な力でデモを鎮圧した後、通常はカネを提供することで、問題の少なくとも一部を解決する。

地方の金融機関で同様の問題が続く見通し

定石どおり、鄭州での座り込みの翌日、河南省当局は預金額5万人民元未満の顧客を対象に、補償計画を公告した。預金額5万元以上の顧客には追って補償を行うという。問題の銀行を乗っ取ったという「犯罪組織」関係者の逮捕も発表された。

同様の問題は、近い将来に再び起こりそうだ。中国ではこの10年間、地方部住民への融資サービスの拡大を図り、政府が農村向け銀行の奨励策を実施。その数は今や、およそ4000行に上る。

だが、多くの農村向け銀行は資本不足で不良債権に悩まされ、合併を求める声にさらされている。中国のほぼ全ての金融機関と同じく、建設・不動産市場に過剰投資してきたが、これらの市場は国内各地で急速に収縮している。

農村向け銀行は地元当局の汚職のツールにもなり得る。さらに、地方政府の歳入は先細りしている。補償の担い手は明確でなく、政府内で対立を招く可能性が高い。

今回の抗議活動の原因は不透明な補償プロセスだ。中国は2015年に預金保険制度を導入したが、これまで発動した例はない。

その一方、中国政府はいくつかの金融機関を救済している。モラルハザードよりも不安定化を懸念する政府は、いざというときには公的救済措置を取ると、中国の投資家は信じて疑わない。

上海交通大学上海高級金融学院の朱寧(チュー・ニン)教授いわく、これは「保証付きバブル」のパターンだ。不動産を含めて、通常経済では補償されないはずの金融活動はどれも、政府が補償してくれるという暗黙の了解が中国にはある。市場が下落傾向になると、街頭では抗議活動が始まる。

今回の事件では、被害口座が預金保険制度の対象になるのか不明なままだ。少なくとも一部は普通預金ではなく、制度の対象外である高金利の資産運用商品だった。預金者本人が、この事実を知らされていたかも明らかではない。

銀行側はオンライン融資と結び付いた高リスクのスキームを用い、補償責任の範囲外で預金を集めていたとみられる。預金件数の多くは、バランスシートに記載されることもなかったようだ。

中国のオンライン融資では、詐欺や不正会計が珍しくない。18年には、ピア・トゥ・ピア(個人同士)の融資システムなどをめぐって事件が相次ぎ、厳しい取り締まりが行われた。破綻企業の顧客は政府の補償を期待して抗議活動を行い、限定的ながら成果を得た。

許容範囲の「線引き」は突然変わる

資産運用商品は多くの場合、特に金融知識が乏しい層(または、最終的に政府がリスクを負担してくれると信じる人々)向けに、通常の銀行口座や有力機関のお墨付き商品であるかのように装って販売される。銀行が資金流出を防ぐために店舗を閉鎖したり、オンラインサービスの一部を停止し、顧客が口座にアクセスできなくなることもある。

中国の金融部門が不動産危機とゼロコロナ政策による経済減速に見舞われるなか、抗議活動は増えるだろう。だがそれは、あくまでも一定の枠内での行動を意味する。「独裁的体制とよりよい取引をするため、賢い抗議者は公式に承認されたやり方で不満を表現する」と、中国専門家のエリザベス・ペリーは指摘する。

今回、抗議者は中央政府に権力を行使するよう求めた。中央政府そのものに疑問を呈していたら、より過酷に弾圧されただろう。

もちろん、言動の許容基準は突然変化することもある。18年、オンライン詐欺の被害者が補償を求め、メッセンジャーアプリの微信(ウェイシン)を使って北京でデモを計画したが、開始前に解散させられた。北京が首都であることと、グループチャットが統制対象であることが作用した。

越えてはいけない一線を見極めるのは難しい。【7月20日 Newsweek】
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【建設中断マンション購入者がローン返済を拒否 中産階級が中国政府に「ノー」を突きつける】

金融機関の問題だけでなく、不動産不況によって建設が中断するマンションが相次ぎ、購入者がローン返済を拒否するという混乱も拡散しています。

中国では、まだマンションが建設される前から契約が行われ、ローンの支払いが始まります。ですから、建設が中断してしまっても、契約上はローンを払い続けなければいけません。

****マンション工事中断相次ぎ…購入者“ローン返済拒否”中国****

ゼロコロナ政策の影響などで経済が減速している中国で、マンションの工事中断が相次ぎ、購入者がローン返済を拒否する騒動が各地でおきています。

中国では、不動産会社の資金繰りが悪化しマンションの工事が中断する問題が相次いでいます。
こうした中、工事の再開や早く部屋を引き渡すよう求める購入者らが開発会社に対しローンの返済拒否を通告する動きが広がっています。

中国メディアによりますと、北京市内のこのマンションも工事が遅れていて購入者から「引き渡し期限をすぎればローンの支払いを中止する」と通告されました。

こうした物件は、中国全土で少なくとも100件以上に上っているということで、金融当局も対策を指示するなど神経をとがらせています。【7月20日 日テレNEWS】
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共産党一党支配と言うと、厳しい強権的な抑制・弾圧の側面がイメージされますが(実際にそういう面が多々ありますが)、それだけでなく、日本・欧米のように選挙などを通して民主的に人々の不満を政権につなげていく政治システムがないだけに(日本のシステムがうまく機能しているかは別問題です)共産党政権は国民の不満が爆発しないように敏感にならざるを得ないという側面もあります。

****中国政府は大慌て 都市部「中産階級」の不満はなぜ爆発したのか****
(中略)

中国政府は従来、こうした抗議デモ(河南省鄭州市で7月10日、地方政府や金融機関に3000人規模の預金者が抗議行動を行った事件)が発生しないように厳しく抑え込んできたが、最近、厳格すぎるコロナ対策への不満や景気減速による経済難などが災いして、各地で抗議活動が起きている。当局はこうした動きの広がりに神経を尖らせているが、気になるのは抗議者たちの要求の内容だ。

預金凍結に反対してデモ行進や集会を粛々と実施していたところに白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が襲いかかったことから、中国人民銀行鄭州支店前に集結した預金者たちは「暴力で預金者に対応する省政府に抵抗する。人権と法治を要求する」「預金がなければ人権もない」とのメッセージを発するようになったのだ。

「中国人は豊かになっても民主主義や人権に対する意識は低いままだ」と揶揄されてきたが、「虎の子」である自らの財産が奪われるとなれば、話は違う。

10年以上前の中国では地方政府が暴力を振るって農民から土地を収奪する事件が相次いでいたが、習近平政権誕生以降はこのような暴力沙汰は鳴りを潜めていた。

だが、あろうことか、都市部の中産階級に対してかつてのような暴力事件が起きてしまった。農民とは異なり、中産階級の影響力は大きいため、中国政府は早速事態の収拾に乗り出した。

中国の複数の金融機関で預金が引き出せなくなった問題に関し、中国政府は11日、預金者向けの救済策を発表した。その内容は「15日からまず5万元(約100万円)以下の預金を対象に支払いを始め、5万元超も順次肩代わりをする」というものだ。

社会不安につながる動きを未然に防ごうとする中国政府の真剣さのあらわれだが、頭が痛いのは救済に当たる役割を押しつけられた地方政府の財政が「火の車」だということだ。

中産階級の「ノー」

米S&Pグローバルは「今年末までに中国の地方政府の3割に破綻リスクが生じる」との試算を公表した。不動産市場の低迷で土地使用権売却収入が落ち込み、インフラ債などの利払い費が膨らんでいるからだ。

新型コロナ対策に必要な財政負担も重くのしかかっており、預金者の救済が中央政府の思惑通り進む保証はないと言わざるを得ない。

中国政府にはさらなる難題が待ち構えている。

中国の不動産危機は昨年秋の恒大集団の経営難に端を発しているが、その後も苦境に陥る不動産大手が後を絶たないことから、建設工事が止まった未完成住宅の購入者が住宅ローンの返済を拒否するという動きが広がっている。

中国では新築マンションの竣工前に購入契約を済ませることが多い。入居前から住宅ローンの返済が始まることが通例となっているが、ローンを払っているのに住宅が完成する前に不動産企業が倒産したら元も子もない。

権利意識に目覚めた中産階級は物件引き渡しの遅れに抗議するため、住宅ローンの返済拒否という自衛手段に出ているわけだが、返済拒否が広がれば銀行の貸出残高の2割を占める住宅ローンが不良債権化してしまう。

中国の民間調査会社によれば、工事の停止で引き渡しが遅れているマンションに関連する住宅ローンは2兆元(約41兆円)に上る。

金融不安への警戒を強める中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は14日「金融機関にリスク対応を徹底させる」と発表した。さらに18日、未開発物件の完成を後押しするため金融機関に対し不動産開発企業への融資を促したが、事態が改善するかどうかはわからない。「支払い拒否」が金融危機の引き金になるとの危惧が強まっている。

「支払い拒否」という現象は、中産階級が中国政府に「ノー」を突きつけているあらわれでもある。「懐の豊かさ」を保障することができなくなれば、中国政府の正統性を揺るがす由々しき事態にもなりかねない。

ウクライナ危機で「漁夫の利」を得たとされる中国だが、足元の基盤は思いのほか脆弱なのではないだろうか。【7月26日 藤和彦氏 デイリー新潮】
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中国共産党政権と国民の間には、国家が「懐の豊かさ」を保証してくれるなら、一定の自由の制限にも甘んじるという一種の暗黙の契約があるともみなすことができます。

その暗黙の契約の大前提は“「懐の豊かさ」を保障すること”ですが、経済の減速・低迷でその前提が崩れると、抑圧されてきた不満が社会の歪からあちこちで噴き出すことにもなりかねません。

“前年同期で0.4%増”では足りません。』