アフガンで宗教少数派へテロ インドはシーク教徒にビザ

アフガンで宗教少数派へテロ インドはシーク教徒にビザ
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『イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンで、同国の宗教少数派を狙ったテロが相次いでいる。6月には首都カブールでシーク教徒の礼拝施設が武装集団の襲撃を受け、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。シーク教徒が比較的多い近隣のインドは緊急ビザ(査証)を発給し、少なくとも11人の同教徒が特別便でカブールを離れた。

攻撃を実行したのはアフガンのIS系勢力であるISホラサン州だ。2021年8月にタリバンがカブールを掌握してからシーク教徒がテロリストの攻撃を受けたのは初めて。カブールでは4月以降、主にイスラム教シーア派、同教の神秘主義スーフィー派へのテロが相次ぎ、計数百人の市民が殺害されていた。

ISはアフガンで多数派のイスラム教スンニ派を主体とする組織だが、タリバンは宗教少数派の安全を保証すると表明している。だが、少数派は、タリバンの治安維持能力への疑念を強めている。

カブール警察の報道官は「武装した反乱勢力」が6月18日朝、礼拝施設に入る前に手りゅう弾を投げ込んだとツイートした。タリバンの治安部隊と戦闘になり、数時間後に武装メンバーは全員、死亡した。2人のシーク教徒、複数の治安部隊メンバーも命を落とした。

シーク教徒側は、身の安全が保証されていないと考えるようになった。カブールに近いガズニ州出身のシーク教徒(42)は「6月の攻撃で、私たちは脅かされていると感じた」と話した。

アフガンにおけるシーク教徒へのテロはこれが初めてではない。20年3月にもカブールでシーク教徒の礼拝施設が襲撃され、少なくとも25人が死亡した。その際にもISが犯行を認めた。
テロリストに襲われたカブールのシーク教徒の礼拝施設で泣き叫ぶ女性(2020年3月)=ロイター

インドで宗教多数派のヒンズー教徒もアフガンでは少数派で、シーク教徒と同じく迫害を受けてきた。多くがアフガンの国外に逃れてきた。

アフガンの主要メディア、トロニュースの調べでは、シーク教徒とヒンズー教徒の人口は1980年代に計20万人を超えた。だが90年代、前回のタリバン政権の際に計約1万5000人に減った。米国務省の報告書によると、21年末時点では計150人にすぎない。

タリバン暫定政権の内務省報道官は、日本経済新聞に対し「私たちはヒンズー教徒の同胞に対し、国内にとどまるよう常に求めてきた。信教の自由を侵害するものはない」と主張した。

タリバンはISと対立している。アフガンでテロが相次げば、タリバンによる同国の統治が揺らぎ、ISには都合のよい環境になる。

ISは傘下の通信社のウェブサイトで公表した6月の犯行声明で、インド政府高官の一人がイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した疑いがあるため「シーク教とヒンズー教の寺院」が攻撃を受けたと指摘した。

アフガンに残るヒンズー教徒やシーク教徒の多くは襲撃を恐れ、礼拝施設を避けて海外への移住を希望している。6月のテロ後、インド内務省は21年9月の申請に基づき、アフガンのヒンズー教徒とシーク教徒の計100人以上に緊急ビザを発給した。

(寄稿 ニューデリー=カニカ・グプタ)
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