習氏、3期目政権固めへ正念場 北戴河会議で調整へ

習氏、3期目政権固めへ正念場 北戴河会議で調整へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM20B3T0Q2A720C2000000/

『【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は秋の共産党大会での3期目の政権発足に向けて体制固めを進めている。8月から長老らの意見を聞く北戴河会議が始まる見通しで、党の重要人事の調整が山場を迎える。

北戴河会議は例年、8月上旬ごろに北京から東へ約300キロメートル離れた河北省の避暑地に現役の指導部と一線を退いた長老らが集まり、党の重要人事や政策を話し合う場を指す。胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席の時代にいったん廃止されたが、非公式な場として復活しいまも残っているとされる。

21日、現地に向かうと北戴河の高速道路の出口の電光掲示板に「無人機や簡単に燃える危険物の持ち込みは厳禁」との注意書きが表示されていた。地元の警察には「新型コロナウイルス対策」を理由に北戴河入りを拒まれた。昨年は7月23日時点でも北戴河を周遊できただけに、より厳しい警戒態勢が敷かれているのは間違いない。

ある党関係者は「先週から退職した幹部らが集まり始めている」と明かす。党では7月下旬に今年後半の経済政策を話し合う政治局会議が予定されており、その後に習氏らが向かうとの観測がある。

北戴河会議に先立ち、習氏の権威を高めようとする動きが起きている。7月に「中国共産党の百年」が出版された。4冊組で、建国の父、毛沢東の時代が2冊、鄧小平から江沢民(ジアン・ズォーミン)、胡錦濤までの最高指導者3人を1冊、習氏の時代を1冊にまとめた。

執筆を担ったのは党の歴史をつづる「中共中央党史・文献研究院」。書籍からは権威で改革開放を進めた鄧を越え、毛に並ぼうとする習指導部の意図がうかがえる。

香港紙、明報は7月12日に習氏が党大会で「人民の領袖」と呼称されると伝えた。毛が「偉大な領袖」と呼ばれたのにちなんだ称号だ。

記事は習氏が総書記のポストから退いたとしても最大の影響力を保つことができると指摘する中国の政治学者の話も紹介。この学者は習氏の引退は次の次の党大会の2032年以降になるとの見解も示した。

習氏には弱みもある。新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の影響などで中国経済が大幅に失速。若者らの失業率も高止まりしている。

習氏が敷いた「強国路線」は米国との対立を深めた。中国では米国との緊張緩和を求める声は多い。習氏が思い通りに側近を引き上げることができるかは微妙だ。

次の最高指導部の人事では、李強・上海市共産党委員会書記の処遇に関心が集まっている。習氏の腹心で、党大会で最高指導部入りし、李克強(リー・クォーチャン)首相の後継になりうると見込まれていた。上海市のロックダウン(都市封鎖)で市民らの猛反発を招き、不透明感がでている。』