アフリカで原発計画相次ぐ 協力のロシア・中国が影響力

アフリカで原発計画相次ぐ 協力のロシア・中国が影響力
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『【カイロ=久門武史】アフリカ大陸の各国で原子力発電所を建設する計画や構想が相次いでいる。ロシアや中国が協力する例が多い。経済の基盤であるエネルギー供給で大きな役割を果たせばアフリカ諸国に対する両国の影響力が強まるのは確実だ。原発の運転開始後は、兵器転用も可能なプルトニウムを含む核廃棄物の管理や処理が大きな課題となる。
エジプト政府は20日、北部のダバアで同国初の原発を着工したと発表した。建設を担うロシア国営原子力企業ロスアトムのリハチョフ社長は「アスワンハイダム以来、最大の協力プロジェクトになる」と述べ、旧ソ連が支援したナイル川上流の大型ダムを引き合いに出し、エジプトとロシアの関係強化を強く示唆した。

ダバアではロシアで最新鋭とされる加圧水型軽水炉(PWR)を4基建設する。2030年までにフル稼働させ、発電能力は計480万キロワットに達する見通しだ。ロシアが建設費の85%に当たる250億ドル(約3兆5000億円)を融資するとの報道がある。

エジプトとロシアは15年、建設で合意した。エジプトの原子力規制当局は6月末に建設を許可した際「アフリカ大陸で2つ目の原発を建設する歴史的な一歩だ」と強調した。

アフリカで商業運転中の原発は南アフリカ南西部のケープタウンに1カ所あるだけだ。だが、ほかの国でも原発構想が相次いでいる。人口が2億人を超えて大陸で最大のナイジェリアは3月、発電能力400万キロワットの原発建設の入札手続きを始めた。西アフリカのガーナは22年末までに原発の建設予定地を選ぶと報じられた。

いずれも提携先として有力視されるのがロシアだ。ロスアトムの資料によると、同社はナイジェリアと12年、原発建設に向けた協力で合意した。ガーナとも同年、原子力協力で一致した。

ロスアトムは00年代、アフリカ諸国への協力に力を入れ始めた。大陸で2番目に人口が大きなエチオピア、非鉄金属の埋蔵量が多いザンビアとも同様の合意に達した。17年にはモロッコと原子力協力の覚書を交わした。

ロスアトムはアフリカ各国の原発技術者の研修を支援する。ザンビアやルワンダには原子力技術の教育施設を設けると約束した。

中国の国営原子力各社もアフリカ各国の原発計画への参入を目指す。15年、中国広核集団(CGN)がケニアと原発建設に向けた協力で合意した。16年には中国核工業集団(CNNC)がスーダンと同様の合意を交わしている。

それぞれの計画がどこまで具体化しているのか明らかでないが、中国はアフリカを原油の主要な供給源の一つととらえており、かわりに原発を提供しようと考えている可能性がある。

アフリカは人口が急増し、国連は50年に1.7倍の約25億人になるとみる。国際エネルギー機関(IEA)は6月の報告書で、アフリカの電力需要が30年までの10年間だけで75%増えると予測した。電気のない環境で暮らす人がなお6億人いるとも指摘した。電力確保を急ぐ各国にとってロシアや中国の協力は魅力的だ。

ロシアや中国にとっても、地下資源が豊富なアフリカに食い込むうえで、原発での協力は大きな「武器」になる。50カ国を超えるアフリカ諸国を陣営に引き込めば、国連外交では大きな力になる。3月の国連総会の緊急特別会合ではウクライナに侵攻したロシアを非難する決議が採択されたが、賛成したアフリカ諸国は半数にとどまった。

課題は原発で発生する核廃棄物の処理だ。アフリカ諸国の多くは不安定で、イスラム過激派を含め、多くの反政府武装勢力が活動している。核廃棄物の管理を誤れば、こうした勢力に核廃棄物が渡り、「汚い爆弾」の製造につながるかもしれない。

かつての南アフリカやリビアのように、一部のアフリカ諸国が核兵器の開発に乗り出す可能性も否定できない。国際機関による監視が必要になる。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/Russia-and-China-throw-weight-behind-Africa-s-nuclear-power-drive?n_cid=DSBNNAR 』