ウクライナ大統領、演説断られる 南米4カ国の首脳会議

ウクライナ大統領、演説断られる 南米4カ国の首脳会議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2219V0S2A720C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『【サンパウロ=時事】ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が、ブラジルなどが加盟する南米南部共同市場(メルコスル)が21日に開いた首脳会議でのオンライン演説を断られていたことが分かった。同氏は日本を含む外国の議会や国際会議などで、積極的にウクライナ支援と対ロ制裁を訴えている。

ゼレンスキー氏は議長国パラグアイのアブドベニテス大統領と6日に電話会談した際、首脳会議での演説を申し入れた。パラグアイのカノ外務副大臣は20日の記者会見で、演説拒否について「(加盟国の)同意が得られなかった。その旨をウクライナ側に伝えた」と説明した。どの国が反対したかは明かさなかった。

メルコスルはブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイが正式加盟国。ロシアのプーチン大統領との関係を深めるボルソナロ大統領が率いるブラジルのほか、アルゼンチンは対ロ経済制裁に反対の立場を示している。』

北朝鮮、物資不足緩和へ中国に列車再開を要望

北朝鮮、物資不足緩和へ中国に列車再開を要望
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM29AFN0Z20C22A6000000/

『【大連=渡辺伸】深刻な物資不足に直面する北朝鮮が、新型コロナウイルス対策と経済政策の両立を模索している。コロナ前から7割減った対中貿易の回復を狙い、中国に貨物列車の定期運行の再開を求めたほか、農業生産の人員を確保するために都市封鎖も一時緩和した。ただ、新型コロナとみられる発熱者数は増え続けている。

中国東北部の遼寧省丹東市と北朝鮮の新義州を結ぶ列車を巡って「北朝鮮の貿易会社などが中国に運行再開を要望した」。北朝鮮の実情を知る中国の関係者が日本経済新聞に明らかにした。

北朝鮮の対外貿易のうち、中国は9割以上を占める。その中朝貿易の約7割を担うのが丹東と新義州間のルートで、鉄道はその最重要手段だ。

中国で新型コロナが広がった2020年1月下旬、ウイルスの流入を警戒した北朝鮮は列車の定期運行を停止した。北朝鮮の意向を受けて長らく運行は止まっていたが、22年1月に再開。だが4月に再び停止した。中国側の感染拡大が停止の原因になったとみられる。現在のところ「中国政府は北朝鮮からのコロナ流入を警戒し、貿易再開に慎重な姿勢だ」(関係者)といい、再び運行できるかは不明だ。

今回の再開要望の背景には、食糧や物資不足に悩む北朝鮮側の焦りがある。中国税関総署の18日発表によると、22年1~6月の中朝間の輸出入額は3億4137万ドル(約470億円)と、コロナ禍前の19年同期に比べて73%減った。

北朝鮮北部の農村で牛車を使って作業をする人々(2022年2月、中国の遼寧省丹東市から撮影)

最も不足しているのは原油と食糧、外貨だ。中でも食糧価格の上昇は著しい。中国側有識者の分析によると、首都・平壌の市場でコメ1キログラムの販売価格は6月の5100北朝鮮ウォン(約780円)から7月に5800北朝鮮ウォンに上昇した。

慶応義塾大学の礒崎敦仁教授は「北朝鮮は(コロナとの共存をめざす)ウィズコロナを模索している。鉄道による貿易再開なども徐々に進めたいのだろう」と読み解く。「北朝鮮は自給自足の経済をめざしているが、物資不足もあって現実的には難しく、中国との関係を重視せざるをえない」

朝鮮中央通信によると、北朝鮮当局が新型コロナ感染者を初めて公表したのは5月12日だった。中国側の関係者によると、北朝鮮は中国政府の「ゼロコロナ」政策を参考に、都市や農村などに多くの隔離施設を設置し、地域間の移動を厳しく制限した。

北朝鮮では農村の労働人口が足りないため、例年のように都市の工場労働者や学生らを農村に派遣している。当局は食糧確保のため、コメや大豆、トウモロコシ、ジャガイモなどの生産を重視している。そのため今年も「6月には都市と農村間の移動を緩和した」(関係者)。だが、田植えが終わったため、7月に再び移動制限を敷いたという。

朝鮮中央通信によると、コロナ感染者と推計される発熱患者は7月18日時点で、累計477万人にのぼる。1日あたりの新たな発熱患者は数百人で、5月時点の数十万人から急減した。朝鮮中央通信によると、北朝鮮当局は「ウイルスとの闘いに勝つ体制が確かになっている」と自信を示している。

一方、世界保健機関(WHO)の幹部は6月の記者会見で「必要な感染データに接触できず、的確な分析は難しい」としたうえで、北朝鮮の感染状況を「悪化している」と推計した。同国内ではコロナワクチンや治療薬もほぼ普及していないとみられる。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/N-Korea-at-crossroads/Shortage-hit-North-Korea-urges-China-to-restart-freight-rail-lifeline?n_cid=DSBNNAR 』

インドネシア大統領が27日来日 天皇陛下と面会へ

インドネシア大統領が27日来日 天皇陛下と面会へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA212MU0R20C22A7000000/

『松野博一官房長官は21日の記者会見で、インドネシアのジョコ大統領が27日に来日すると発表した。滞在中に天皇、皇后両陛下と面会し、岸田文雄首相と昼食会を含めた首脳会談を予定する。

松野氏は「基本的価値を共有する戦略的パートナーであるインドネシアとの間で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力や2国間関係を一層強化すべく緊密に連携する」と述べた。

インドネシアは20カ国・地域(G20)の議長国を務める。11月に開くG20首脳会議(サミット)に向けて意見を交わす見通しだ。首相は4月にインドネシアを訪れ、ジョコ氏と会談している。』

「戦争」表現は違法、ロシア検察が見解 現地報道

「戦争」表現は違法、ロシア検察が見解 現地報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221HH0S2A720C2000000/

『【リビウ=共同】ロシアの検察庁は、ウクライナ侵攻について「戦争」と表現することは違法との見解を示した。戦争表現は、国家総動員令や外出禁止令など「法的な結果」を伴う場合に使うべきだと判断した。ロシア独立系メディア「メドゥーザ」が21日伝えた。
プーチン政権は侵攻を「特別軍事作戦」と称し、ロシア当局は「戦争」や「侵攻」などの表現を削除するようメディアに要求している。

自身のサイトを3月に遮断されたブロガーが起こした訴訟手続きで、検察側は「戦争という言葉が多く使われていた」と指摘。「不正確な情報を拡散した」と主張した。』

台湾揺れる脱原発路線 大停電で供給不安、建設再開巡り世論二分

台湾揺れる脱原発路線 大停電で供給不安、建設再開巡り世論二分
2020/3/11 6:00
川原田 健雄
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/590971/

『東京電力福島第1原発事故後に始まった台湾の脱原発政策が揺れている。蔡英文政権は2025年までの原発ゼロを目指すが、電力供給への不安などから原発容認の声が拡大。25年までの実現を定めた法律の条文は住民投票の末、削除された。凍結された原発建設の再開を巡っても社会を二分する論争が続いている。

 台北市の約40キロ東。海岸沿いに立つ台湾電力第4原発(新北市貢寮区)は、敷地の門が固く閉ざされていた。近づくと詰め所から警察官が駆け寄ってきた。「入場は許可できない。事前予約も受け付けていない」

 公営の台湾電力は第1~3原発の計6基を保有。1999年に第4原発を着工したが、福島第1原発事故後、台湾では大規模な反原発運動が起きた。世論が原発廃止へ傾く中、14年には当時の国民党政権が、約9割まで工事の進んだ第4原発建設計画を凍結した。

 16年の台湾総統選で、脱原発を掲げた民主進歩党(民進党)の蔡氏が当選し、民進党に政権交代。17年1月には、25年までの全原発停止を定めた改正電気事業法が成立した。

 ところが、17年8月に火力発電所の作業員のミスにより、台湾全土で全世帯の半数に影響が及ぶ大規模停電が発生。電力の安定供給に市民の不安が高まった。脱原発で火力発電の比重が高まり、大気汚染が進むとの見方も広まった。

 18年11月の住民投票では、蔡政権が法律に盛り込んだ「25年までに全原発を停止する」との条文の削除が賛成多数となり、脱原発の法的期限が撤廃された。

 ただ、この結果を受け、蔡政権が脱原発の旗を降ろしたわけではない。第1原発は運転期限の40年を超えて廃止措置に入っており、稼働中の第2、3原発も25年までに順次運転期限を迎える。このまま第4原発の建設を再開しなければ、25年には事実上、脱原発が実現することになる。

 これに対し、原発推進団体は第4原発の建設再開の是非を問う住民投票を提起。来年8月の実施が決まった。投票の行方について、環境保護団体「緑色公民行動連盟」の崔〓欣事務局長は「現状では五分五分。台湾では福島の事故の記憶が薄れ、遠く感じる人が増えた」と話す。13年に台北であった脱原発デモには22万人が集まったが、昨年は1万人の参加にとどまったという。

 ただ、18年の住民投票では、福島などの日本産食品に対する輸入規制は「継続賛成」が多数となり、原発への拒否感が残っていることをうかがわせた。台湾の総発電量に占める原発の割合は約1割と低く、崔さんは「再生可能エネルギーを活用すれば安定した電力供給はできる」と訴える。

 仮に第4原発の建設再開が決まっても、実際に稼働するには追加安全対策が欠かせず、地域住民の声も無視できない。新北市に住むタクシー運転手の40代男性は「建設工事が止まって地元経済は落ち込んだけど、やっぱり原発は危険だと思う。自分の故郷にはいらない」と話した。 (台湾北部で川原田健雄)

※〓は「りっしんべん」に「素」』

世界の原子力発電所(2021年)

世界の原子力発電所(2021年) プロット
2022.03.19 2021.03.15
https://www.mitsumatado.com/zen/npp-world-plot/

『目 次

1、世界の原子力発電所
    国別内訳
2、所感』

『世界の原子力発電所

 2011年の東日本大震災から10年。
 日本の原子力発電所をプロットしていたら、世界の原子力発電所のデータがあった。

 使用したデータは、GeoNuclearData(github.com/cristianst85/GeoNuclearData) 0.17.5(2021年2月)。

 原子炉783基のうちStatus(現状)がOperational(運転中)、Shutdown(停止)のデータのみプロットしてみた。

 1ヶ所の発電所に原子炉が2基3基、最大で8基の所(カナダ ブルース)もあるので、発電所ごとにまとめて「運転中」の原子炉のみCapacity(出力、容量)を合計した。

 「出力」の単位はメガワット MW(電気出力メガワット MWe)。
 1MW=1000kW、1000MW=100万kW。

 「運転中」 186ヶ所(マゼンタ色の円) + 「停止」 89ヶ所(緑色の円) = 計275ヶ所のプロット。

世界の原子力発電所(2021年) プロット   →

 「運転中」であっても日本の原子力発電所は、2011年の大震災以降、東日本では[再]稼動していない。[再]稼動しているのは西日本の一部のみ。

 下図は日本とその周域。

 円の半径は10km。いくつか重なっている発電所がある。

 発電所の和名は追加した。ほとんどが地名(一部人名)。馴染みのない地名が多いが、たいていの場合、比較的近い所に大都市圏がある。

 極北(チュクチ)にもあるが、小型の原子炉。うちロシアの「アカデミック・ロモノソフ」は水上原子力発電所。カムチャッカのビリュチンスクになっていたが、もっと北のペベクに運ばれた、ということなので修正した。
国別内訳

 GeoNuclearDataのデータの元は、主に世界原子力協会 WNAと国際原子力機関 IAEA。
 WNAのReactor Database(www.world-nuclear.org/information-library/facts-and-figures/reactor-database.aspx)にいろいろ書いてある(英語だけど)。

 「運転中」の原子力発電所 33ヶ国 186ヶ所 443基 約400ギガワット GW。
  ※ 400GW=40万MW=4億kW
 1基あたり1000MW(100万kW)超の大型原子炉から300MW(30万kW)未満の小型原子炉まで様々。

 アメリカ 56ヶ所 94基 91GW(90972MW)
 ダントツ1位だが少し減っている。

 フランス 18ヶ所 56基 61040MW
 こちらも原発大国。

 チャイナ 15ヶ所 50基 47441MW
 まだまだ増える見込み。

 日本 15ヶ所 33基 31682MW
  ※ グロス値は3323万5000kW(33235MW)
 ただし、大震災以降、再稼動した発電所は、高浜、大飯、伊方、玄海、川内の5ヶ所 9基 913万kW(9130MW)。
日本の原子力発電所(2021年) プロット
前回のプロットのうち日本の原子力発電所について半径10km、30km、50kmの同心円でプロットしてみた。全て廃炉になった発電所は福島第一原子力発電所、もんじゅ(福井県敦賀市)のみプロット(緑色の円)。帰還困難区域の一部(飯舘村)は……
http://www.mitsumatado.com

 ロシア 11ヶ所 38基 28537MW

 インド 7ヶ所 23基 7110MW

 カンコク 6ヶ所 24基 22261MW

 ドイツ 6ヶ所 6基 7597MW

 イギリス 7ヶ所 15基 9867MW
  ※ 2022年時点で5ヶ所に減っている

 スペイン 5ヶ所 7基 6542MW

 発電所4ヶ所
  ウクライナ 15基 13095MW
  カナダ 19基 13489MW

 発電所3ヶ所
  スウェーデン 6基、スイス 4基

 発電所2ヶ所
  タイワン 4基、パキスタン 5基、ベルギー 7基、フィンランド 4基、チェコ 6基、スロバキア 4基、アルゼンチン 3基

 発電所1ヶ所
  イラン 1基、アルメニア 1基、オランダ 1基、ハンガリー 4基、ルーマニア 2基、ブルガリア 2基、スロベニア 1基、南アフリカ 2基、メキシコ 2基、ブラジル 2基

  近年初稼動
   U.A.E. 1基、ベラルーシ 1基

 かつて稼動していたが現在0
  カザフスタン、イタリア、リトアニア、プエルト・リコ

 将来新たに稼動予定
  バングラデシュ、トルコ

 その他
  フィリピン 1980年代に完成したが未稼動
  ベトナム 計画中止

 追)2022年もプロットしてみた
Leafletでマーカークラスターを使う - 世界の原子力発電所(2022年) プロット
オンライン地図上にマーカーをいっぱいプロットした時、密集箇所をまとめて表示してくれるマーカークラスターを使ってみた。クラスター分析、クラスター感染、クラスター爆弾のクラスター Cluster。距離の近い集団(グループ)
http://www.mitsumatado.com
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所感

 世界は、
 面積の小さな国と大きな国
 海洋の島国と内陸の国
 エネルギー資源の少ない国と多い国
 災害の多い国と比較的少ない国
 まあまあ民主的な国と独裁的な国
 大事故を起こした国と起こしていない国
と様々。

 いたずらに比較するのも良くないが、環太平洋の地震多発地帯で、原発のある国は日本、タイワン、アメリカ。
 アメリカ西海岸は1ヶ所運転中だが(ディアブロ・キャニオン)、2025年までに停止予定。
 タイワンも2025年までに全廃予定。
 日本は……。

 近頃よく耳にする「脱炭素」。あまりいい言葉じゃない。
 人口が多いチャイナ、インドでは今後も原発が増えていくようだ。

 「脱炭素」で原発だらけになるのか---。

 チャイナも大地震の頻度が多くないだけで、全く起こらないわけではない。
 もしもチャイナや朝鮮半島で大事故が起これば日本にも影響が及ぶ。

 原子炉をより安全性の高いものへ更新していくという道もある。
 今後、世界では新しいタイプの小型原子炉(小型モジュラー原子炉 SMR)が増えていく見込み。

 だが、日本ではもはや「原子力はクリーン」ではないし、なかなか理解は得られないだろう。』

アフリカで原発計画相次ぐ 協力のロシア・中国が影響力

アフリカで原発計画相次ぐ 協力のロシア・中国が影響力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20DGY0Q2A720C2000000/

『【カイロ=久門武史】アフリカ大陸の各国で原子力発電所を建設する計画や構想が相次いでいる。ロシアや中国が協力する例が多い。経済の基盤であるエネルギー供給で大きな役割を果たせばアフリカ諸国に対する両国の影響力が強まるのは確実だ。原発の運転開始後は、兵器転用も可能なプルトニウムを含む核廃棄物の管理や処理が大きな課題となる。
エジプト政府は20日、北部のダバアで同国初の原発を着工したと発表した。建設を担うロシア国営原子力企業ロスアトムのリハチョフ社長は「アスワンハイダム以来、最大の協力プロジェクトになる」と述べ、旧ソ連が支援したナイル川上流の大型ダムを引き合いに出し、エジプトとロシアの関係強化を強く示唆した。

ダバアではロシアで最新鋭とされる加圧水型軽水炉(PWR)を4基建設する。2030年までにフル稼働させ、発電能力は計480万キロワットに達する見通しだ。ロシアが建設費の85%に当たる250億ドル(約3兆5000億円)を融資するとの報道がある。

エジプトとロシアは15年、建設で合意した。エジプトの原子力規制当局は6月末に建設を許可した際「アフリカ大陸で2つ目の原発を建設する歴史的な一歩だ」と強調した。

アフリカで商業運転中の原発は南アフリカ南西部のケープタウンに1カ所あるだけだ。だが、ほかの国でも原発構想が相次いでいる。人口が2億人を超えて大陸で最大のナイジェリアは3月、発電能力400万キロワットの原発建設の入札手続きを始めた。西アフリカのガーナは22年末までに原発の建設予定地を選ぶと報じられた。

いずれも提携先として有力視されるのがロシアだ。ロスアトムの資料によると、同社はナイジェリアと12年、原発建設に向けた協力で合意した。ガーナとも同年、原子力協力で一致した。

ロスアトムは00年代、アフリカ諸国への協力に力を入れ始めた。大陸で2番目に人口が大きなエチオピア、非鉄金属の埋蔵量が多いザンビアとも同様の合意に達した。17年にはモロッコと原子力協力の覚書を交わした。

ロスアトムはアフリカ各国の原発技術者の研修を支援する。ザンビアやルワンダには原子力技術の教育施設を設けると約束した。

中国の国営原子力各社もアフリカ各国の原発計画への参入を目指す。15年、中国広核集団(CGN)がケニアと原発建設に向けた協力で合意した。16年には中国核工業集団(CNNC)がスーダンと同様の合意を交わしている。

それぞれの計画がどこまで具体化しているのか明らかでないが、中国はアフリカを原油の主要な供給源の一つととらえており、かわりに原発を提供しようと考えている可能性がある。

アフリカは人口が急増し、国連は50年に1.7倍の約25億人になるとみる。国際エネルギー機関(IEA)は6月の報告書で、アフリカの電力需要が30年までの10年間だけで75%増えると予測した。電気のない環境で暮らす人がなお6億人いるとも指摘した。電力確保を急ぐ各国にとってロシアや中国の協力は魅力的だ。

ロシアや中国にとっても、地下資源が豊富なアフリカに食い込むうえで、原発での協力は大きな「武器」になる。50カ国を超えるアフリカ諸国を陣営に引き込めば、国連外交では大きな力になる。3月の国連総会の緊急特別会合ではウクライナに侵攻したロシアを非難する決議が採択されたが、賛成したアフリカ諸国は半数にとどまった。

課題は原発で発生する核廃棄物の処理だ。アフリカ諸国の多くは不安定で、イスラム過激派を含め、多くの反政府武装勢力が活動している。核廃棄物の管理を誤れば、こうした勢力に核廃棄物が渡り、「汚い爆弾」の製造につながるかもしれない。

かつての南アフリカやリビアのように、一部のアフリカ諸国が核兵器の開発に乗り出す可能性も否定できない。国際機関による監視が必要になる。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/Russia-and-China-throw-weight-behind-Africa-s-nuclear-power-drive?n_cid=DSBNNAR 』

メタ主導の仮想通貨「ディエム」、米銀に資産売却へ 米紙報道

メタ主導の仮想通貨「ディエム」、米銀に資産売却へ 米紙報道
https://www.asahi.com/articles/ASQ1X2TJ8Q1XUHBI002.html

 ※ 鳴り物入りだったリブラ(その後、ディエムと改称した)も、この通りの体たらくだ…。

『2022年1月28日 9時02分

フェイスブック(FB)を傘下に持つメタが構想を主導する暗号資産(仮想通貨)「ディエム」をめぐり、発行を目指す団体が米銀に資産を売却することが明らかになった。米ウォールストリート・ジャーナル紙など複数の米メディアが報じた。メタの仮想通貨構想は何度も縮小を迫られてきたが、事実上の撤退となる可能性がある。

 報道によると、ディエムの発行を目指す「ディエム協会」が、カリフォルニアに本拠を置く銀行「シルバーゲートキャピタル」に資産を2億ドル(約230億円)で売却するという。メタは昨年、シルバーゲートと提携し、同銀がドルに連動する仮想通貨「ディエム・ドル」を発行すると発表していた。米ブルームバーグによると、米金融当局の反対が根強く、発行が困難になったという。ディエム協会は取材に「コメントしない」としている。

 メタは2019年、複数の主要通貨のバスケットに連動する単一の仮想通貨「リブラ」構想を発表。だが、巨大IT企業がかかわる仮想通貨が主要通貨である米ドルなどを脅かすとの懸念や、マネーロンダリングに悪用されるリスクなどから、主要国の政府や中央銀行が猛反発していた。

 リブラの発行を目指していたスイスの団体「リブラ協会」は20年、名称を「ディエム」に変更し、ドルなどの個別の通貨に連動する仮想通貨などを発行する形に計画を縮小していた。

 米国発のリブラ構想の後退を横目に、中国政府はデジタル通貨の導入を急いでいる。中国は19年から「デジタル人民元」の実証実験を主要都市で実施しており、年内の導入を目指しているとされる。これまでデジタル通貨に慎重な姿勢を示してきた米連邦準備制度理事会(FRB)は今月、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関する報告書を初公表しており、導入の検討を本格化させる。(サンフランシスコ=五十嵐大介)』

デジタル通貨で中国足踏み 開発着手8年、なお実験続く

デジタル通貨で中国足踏み 開発着手8年、なお実験続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0513Y0V00C22A5000000/

 ※ 通貨の基本は、「価値」の尺度、運搬、保存、さらには創造だ。

 ※ これが、「デジタル通貨」ということになれば、ハッキング、大規模電力・ネットワーク障害、プライバシーの問題も抱え込むことになる…。

 ※ どこの国の中銀も、「研究」は怠りなくやってるだろうが、「導入」となれば、二の足を踏んで、お互いの顔色を窺っているだけだろう…。

『中国人民銀行(中央銀行)が発行するデジタル人民元が実験の場を広げている。今春から試験地域を23へと倍増させ、日常の買い物や公共料金の支払いなど市民がお試しで使える機会を広げる。ただ開発着手から8年、最初の実証実験から1年半余りがたっても正式発行への道のりは見えない。課題を探ると「スマートフォン決済先進国」の悩みも透けて見える。

「近所の飲食店でデジタル人民元を使えたよ。今までのスマホ決済と変わらないね」。福建省の省都、福州市で食品メーカーを経営する林さんはこう話す。

人民銀は3月末に開いた会議で、デジタル人民元の実験都市の拡大を決めた。同市のほか、天津市や重慶市、浙江省杭州市が選ばれた。

人民銀は2014年、中銀発行のデジタル通貨(CBDC)を研究する組織を立ち上げた。20年10月の広東省深圳市を皮切りに各地で市民が参加する実証実験を重ね、21年末までに単純計算で総人口の2割に達する延べ2億6100万人がアプリ上で個人用の財布をつくった。人民銀関係者は「決済情報の処理速度など、課題は解決してきた」と胸を張る。

ただ「北京五輪後にも」との見方もあった正式発行に向けたスケジュールは見えてこない。

福州市の林さんが語ったように、既存のアプリ決済との違いを実感できないことが一因だ。にせ札被害が多かった中国では、スマホ決済が浸透してきた。ウィーチャットペイ(微信支付)やアリペイ(支付宝)などが、小売決済の8割超を占めるとの試算もある。

デジタル人民元の強みはある。一つは決済手数料の軽減だ。民間のスマホ決済とは異なり、デジタル人民元の支払いでは小売店側に手数料はかからない。決済機器には近距離無線通信規格「NFC」を使った支払い機能があり、通信が途絶する災害時でもスマホと決済機器を接触させれば支払いが終わる。

問題はこれらの魅力が、慣れ親しんだスマホ決済から切り替えるほど大きくないことだ。人民銀も3月末の会議で、便利さや革新性を目立たせることを課題に挙げた。

デジタル人民元は、米国と対峙する中国の国家戦略に欠かせないツールの一つとされる。欧米はウクライナに侵攻したロシアに対し、ドルやユーロの決済網からの排除を経済制裁の柱にした。中国が経済安全保障を意識するなら、海外との資金規制を緩めてデジタル人民元を決済通貨として普及させるなど、人民元の国際化はより重要になる。

習近平(シー・ジンピン)指導部は、秋の共産党大会を控えて経済社会の安定に重きを置く。新たなデジタル決済で混乱を招くことは避けるはずで、国務院(政府)関係者は「主要国に先駆けて研究してきた中国が焦る必要はない」と話す。

国家戦略の成否は、民間に勝る使い勝手の良さやお得感を生み出せるかにかかっている。(北京=川手伊織)

日本、導入時期を明示せず

日本でも日銀がCBDCの実証実験を進めている。一部の新興国は正式導入に踏み切っており、デジタル通貨に詳しい麗沢大の中島真志教授は「日本でも、実現は10年後といった悠長な議論ではないはず」と話す。

日銀は2020年にCBDCの検討を始めた。3段階に分けて進めており、今年3月には発行や送金など通貨としての基本的な機能の検討を終えた。その後、保有額の制限や取引回数、取引額などを検証する第2段階に入っている。

CBDCは紙幣や硬貨の発行コストをなくせるほか、犯罪につながる取引の履歴を追いやすいといったメリットがある。一方で取引記録が中央銀行に管理されることはプライバシーの侵害につながると懸念がある。ネット通信がない環境でも決済できるか、銀行を中心とした既存の金融システムを崩さないかなど論点は極めて多い。

カンボジアやバハマは20年に実用化のテストを終え、正式導入に踏み切った。欧州は26年の導入に向けて検討しており、米国は22年に意見公募を実施した。日銀は発行時期を未定としおり、中島氏は「日本の検討は遅くはないが、導入を前提とする欧州と比べると今後は差が出る可能性がある」と話す。(丸山大介)

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・フィリピン・ベトナムがデジタル通貨の発行検討
・中銀デジタル通貨発行の動き加速 日銀も実証実験に着手
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

中国で人民元デジタル化の実験が足踏みになっているのは、技術の問題ではない。とりわけ、既存のスマホ決済と競合するため、利用者からすれば、すでに慣れているスマホ決済をやめて、デジタル人民元に乗り換えていく蓋然性はほとんどない。どんなに優れた技術を発明しても、最終的にそれを利用するかどうかは市場が決める
2022年7月22日 8:36 』

スリランカ再建、新大統領に中国債務「2割」の壁

スリランカ再建、新大統領に中国債務「2割」の壁
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD214K80R20C22A7000000/

『1948年の独立以来、最悪の経済危機に見舞われているスリランカの新大統領にラニル・ウィクラマシンハ首相が選出された。通算で6度も首相を務めてきたベテラン政治家が、焦点である国際通貨基金(IMF)からの支援を取り付けるには、実質的な最大債権者である中国との債務軽減交渉がハードルとなる。

【関連記事】スリランカ、ウィクラマシンハ氏が大統領就任

経済失政で5月に当時のマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任した後、ウィクラマシンハ氏は約2年半ぶりに首相職へ復帰した。7月半ば、マヒンダ氏の弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が国外脱出して辞任すると、後任に名乗りをあげた。
再反乱のリスク消えず

首相復帰後は財務相を兼ね、IMFとの折衝に当たっており、協議の継続性は保たれる。ただ、前大統領の公邸に乱入した反政府デモ隊は「ラジャパクサ一族の支配の延命に手を貸した」としてウィクラマシンハ氏の辞任も求めてきた。
反政府デモ隊はラジャパクサ大統領の公邸になだれ込み、占拠した(7月9日)=ロイター

大統領は本来は有権者の直接投票で決めるが、今回は任期途中で空席となったため、国会が選んだ。新大統領が足元の民意を反映しているとは言い切れない。

最大都市コロンボの6月の消費者物価指数は前年から55%上昇し、燃料、医薬品、食料などの生活必需品にも事欠く。国民の再反乱を防ぐ意味でも、IMFとの交渉は時間との勝負だ。5月からデフォルト(債務不履行)状態にあり、緊急融資の前提として対外債務の再編を求められている。

中国との交渉で最大の問題は不透明な融資状況だ。

スリランカ財務省の公表数字では、昨年4月末の対外債務(351億ドル=約4.9兆円)のうち対中国は10%にすぎない。が、それは政府間融資に限られるとの指摘がある。

「借金棒引き」恐れる中国

実態を知るうえでスリランカの経済学者2人が6月にまとめた報告書が参考になる。財務省への情報公開請求を踏まえ、国有銀行からの商業融資も含めて推計したところ、対中国は昨年末で20%を占めた。小口に分散する国際ソブリン債(36%)を除けば、アジア開発銀行(15%)や世界銀行(10%)、日本(9%)を上回る最大の債権者だ。

にもかかわらず、中国は少額の人道支援に応じただけで、スリランカが求める25億ドルのつなぎ融資や信用枠供与にすら冷淡だ。国際危機グループのスリランカ担当上級コンサルタント、アラン・キーナン氏は「借金棒引きの前例をつくりたくないのだろう」とみる。
深刻な燃料不足を受けて、給油所は国軍兵士が警備にあたる(コロンボ)=ロイター

経済協力開発機構(OECD)に未加盟の中国は、対外援助の情報をほとんど公開せず、債務再編で共同歩調をとった経験もない。「中国が応じなければ、我々が債権を放棄しても、中国への返済に回るだけ」と日本の援助関係者は話す。

親中のラジャパクサ兄弟と違い、インドや欧米に近いとされるウィクラマシンハ氏は、強硬な相手から譲歩を引き出す手腕を問われる。

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多様な観点からニュースを考える

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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ひとこと解説

今年2022年は、米国金利上昇、中国の景況感低迷に加え、ロシアによるウクライナ侵攻により、新興国の問題が大きくなっていた。実際、5月にスリランカがデフォルトした後も騒がしい。たとえばエジプトはIMFからの資金の取り付けが8月末までに決まりそうで、そうなるとデフォルトは回避できる見込みだが、相変わらず薄氷を踏むが如くではあるし、トルコなどの金利上昇も凄まじく、ともすればこれらが政治リスクに転嫁しかねない勢いでもある。また資金提供者としての中国の存在が返済スケジュールを複雑にしていることもスリランカだけではない。スリランカを含めた新興国リスクはまだ観察が必要だ。
2022年7月22日 14:05 』

ジェット気流

ジェット気流
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%97%E6%B5%81

『ジェット気流(ジェットきりゅう、英語: jet stream)とは、対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ。

気流の流れを軸とすると、軸の中心に近いほど風速が速く、どこでも平均的な普通の風とは異なるのが特徴。成層圏などにも存在するが、単に「ジェット気流」という場合は対流圏偏西風のものを指す。

極を中心に特に上空8 – 13km付近で風速が最大となる。主要なものとして北緯40度付近の寒帯ジェット気流と北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流がある。長さ数千km、厚さ数km、幅100km程度で、特に冬季には寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が合流する日本付近とアメリカ大陸東部では風速は30m/sぐらいで中には100m/s近くに達することもあるが、夏期はその半分程度の風速に弱まる。

航空機が、西から東へ向かう場合はジェット気流に乗ることで燃料と所要時間を大幅に短縮することができ、逆の場合はこの気流を回避する必要があることから、最短距離である大圏コースから大きく外れたルートをとる場合もあり、季節によってジェット気流が吹く場所が変わる関係で時期によって所要時間が異なることが多い[1]。 』

『発見の歴史

風船爆弾

1883年のクラカタウの噴火を観測していた人々は、一年あまり噴火の影響を追跡し、記録していた。彼らは、「赤道上空の噴煙の流れ」として、ジェット気流の存在を記録していた[2][3]。

1920年代には、日本の高層気象台長大石和三郎は、欧米諸国がその存在に気づく以前に、ジェット気流の存在を発見した[4]。富士山の付近から測風気球を飛ばすことで上層の風を調査したものであった[5]。しかし、エスペラントで発表したため、外ではこの論文は注目を集めなかった。

1933年、アメリカのパイロットであるウィリー・ポストが世界一周の際にジェット気流に遭遇した。1935年には、 高度10000 mを越える上空の大陸間飛行を何度か行い、ジェット気流に乗ると対気速度に対して対地速度が大幅に上回る事実が確かめられた[6]。しかし、その後まもなく事故死したため詳細を発表しないまま終わった。

1939年、ドイツの気象学者H. Seilkopfがこの気流を発見し”Strahlstrom”(ドイツ語でジェット気流)と名付けた[7]。

第二次世界大戦中になって、ドイツ軍が緒戦でヨーロッパ諸国を空爆したときにジェット気流に遭遇したこと、アメリカ軍の航空機が日本に向かう際に強い向かい風にあったことなど(B-29がスロットルを全開にしても「後ろへ飛んだ」という話すらある[8])、その存在が頻繁に確認され、欧米諸国でもジェット気流の存在が広く知られるようになった。しかし、学術調査が行われることはなかった。

第二次世界大戦中に唯一学術研究を行っていた日本は、ジェット気流を使用した初の兵器「風船爆弾」を開発し、1944年11月から翌年にかけて約9000個の爆弾をアメリカとカナダ、アラスカに飛来させ、アメリカの民間人に死傷者を出した。1945年2月には、日本陸軍の一〇〇式司令部偵察機が、北京 – 東京間を3時間15分で飛行する速度記録を残した。

寒帯ジェット気流

寒帯ジェット気流(左)と亜熱帯ジェット気流(右)の断面図。緑色の濃い部分ほど風速が大きい。大気循環との位置関係を示す。

寒帯ジェット気流(Jp, Jet polar)は中緯度付近に発生するジェット気流で、寒帯前線面に形成される場合、寒帯前線ジェット気流と呼ばれる。傾圧不安定波に対応し、250から300hPa付近の上層で明瞭に見られ、冬に強く、夏には弱まる。

冬は傾圧不安定波に伴う温帯低気圧の移動や発達などに強く関連している。軸の南側の地上に前線ができることが多い。Jp単独での平均流速は、夏20 – 30m/sくらい、冬50m/sくらいである。

夏の北アメリカ大陸上空、冬の北アメリカ東方沖上空、冬の日本上空では亜熱帯ジェット気流と合流して流速が増す。

亜熱帯ジェット気流

亜熱帯ジェット気流(Js, Jet subtropical)は亜熱帯地方に形成され、北緯30度程度をほぼ定常的に吹く西風。200hPa付近に見られ、冬に顕著。

対流圏上層では前線が形成されるが、地上には現れない。大気大循環で言う、赤道のハドレー循環と中緯度のフェレル循環の境界をなす。ハドレー循環の角運動量が収束することと、Js自身の傾圧不安定波による水平渦度の混合によって発生すると考えられている。

Js単独での平均流速は、夏20 – 40m/sくらい、冬40 – 50m/sくらいである。

その他のジェット気流
極夜ジェット気流
極渦も参照

成層圏では冬半球の60度付近を中心とした高緯度、中間圏では夏半球の中緯度に発生する強い西風。同時期、夏半球の成層圏60度付近では強い東風となる。季節が逆になると南北半球で正反対の風向となる。南半球では正円形、北半球では形が崩れて蛇行している。

偏東風ジェット気流

赤道偏東風ジェット気流。貿易風の最も強い部分で、夏を中心に対流圏界面(上空13 – 17km付近)くらいに出現する。東南アジアの赤道付近では夏至と冬至を中心とする時期に強まり、半年の周期で強弱を繰り返す。この地域のモンスーンに影響している。西アフリカのギニア湾岸でも晩夏に650hPa付近で同様のジェット気流が確認されており、この地域のモンスーンや大西洋のハリケーンの発生に影響している。

下層ジェット気流

対流圏下層に出現するジェット気流。

梅雨前線の南側の700 – 900hPa付近の下層に出現する小規模なジェット気流。湿舌を誘発し、この北側の200kmくらいまでは集中豪雨になりやすい。

また、北半球の夏季、アフリカ東部からアラビア海にかけての地域でも発生する。ソマリア東方海上で最も速度が速いことから、ソマリジェット(Somali Jet)と呼ばれている。地上 – 700hPa付近に見られ、900hPaで最大となる。東アフリカの山岳地帯がこの生成に関与していると考えられている。アラビア海中央部の東経70度以東、インド – 東南アジア – 東アジアと連なるモンスーン地帯に雲と水蒸気を供給している。』

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB220PN0S2A720C2000000/

『7月に入って猛烈な熱波が欧米や中国を襲い、火災を起こし物流の混乱を招いている。その熱波には共通項が1つある。「ウエーブナンバー5」と呼ばれるジェット気流(偏西風)の特殊な形状である。

19日、酷暑のローマで涼を求める人々=ロイター

中緯度地域では、ジェット気流という風速の大きい気流が天候を左右している。ジェット気流の変化が熱波の頻発と(同じ場所での)停滞をもたらしているのかどうか、科学者は解明を急いでいる。

「ジェット気流は天候を決める主要因になっている」と言うのは、英レディング大学で大気科学を専門とするポール・ウィリアムズ教授だ。「ジェット気流はコンベヤーベルトのようなもので、次々と嵐をもたらしている」

ジェット気流が大きく蛇行してU字型の流れになれば、熱波をもたらすこともある。この現象はギリシャ文字のオメガ(ω)に似ていることから「オメガブロック」と呼ばれている。

現在では世界で5つの大きなオメガブロックが生じ、世界各地で熱波が同時発生している。このいわゆるウエーブナンバー5現象は数週間続くこともあり、熱波に見舞われた地域では長期間にわたって高温が持続する。

中国では9億人以上が熱波を経験し、7月に入って70を超える測候所で観測史上最高気温を更新した。米国では、テキサス州とオクラホマ州で日中の最高気温を更新し、20州以上が高温警報や高温注意報を発令している。

世界5カ所での熱波の同時発生 出所:Met Office/FT

英国も今週、史上最高の40.3度を記録した。フランスやスペインでは異常な高気温が数週間続き各地で過去最高を記録、山火事も発生している。

英気象庁の首席科学者ステファン・ベルチャー氏は「大気ではよくみられるのだが、すべてがつながっている。1つの地域で発生した極端な事象は、別の場所で生じた極端な事象と関連づけられる」と言う。「気象庁では、このウエーブナンバー5現象がどのくらい続くのか予報士が細心の注意を払って観測している」

ベルチャー氏は欧州に襲来している熱波の発生要因は3つあるという。ジェット気流のウエーブナンバー5現象、世界的な平均気温の上昇、そして土壌の乾燥だ。特に地中海周辺諸国では高気温が長引いたことで、土壌がカラカラに乾いている。

オランダ・アムステルダム自由大学の気象学者ディム・クモウ氏は、夏のジェット気流の流れにはウエーブナンバー5とウエーブナンバー7という2つの重要なパターンがあり、発生すれば1カ所に長期間停滞しがちだと指摘する。「そうした気流の流れが停滞し持続すれば、熱波が同時に複数箇所で発生することが多い」

ジェット気流が地球温暖化によって具体的にどう変わっているのか、それは将来の気候パターンにどう影響するのかという疑問に答えを出そうとする研究が広がっている。世界の平均気温は産業革命以前に比べて、人間活動の影響ですでに約1.1度上昇している。

北大西洋上空のジェット気流 出所: Noaa/NWS/ Met Office/ESA/FT

ジェット気流そのものは長い間に動きを変え、夏には動きが鈍化するようだ。そのためにオメガブロック現象が発生しやすくなっている可能性がある。

米ウッドウェル気候研究センターの大気科学者ジェニファー・フランシス氏は、北極圏の急激な温暖化がジェット気流の鈍化の原因ではないかと分析する。

フランシス氏は「夏は全般的に風が減る」と言う。「そもそもジェット気流が発生するというのは、北に冷気があり、南に暖気があるために気温差が生じて(ジェット気流の発生条件となる)」

北極圏は他の地域より格段に速く温暖化が進んでいるため、そうした気団間の温度差が今は小さくなっている。

ジェット気流の動きにはまだ解明されていない部分もある。「ジェット気流」の著書があるオックスフォード大学の大気物理学者ティム・ウーリングス教授は、「大西洋上空では、夏にジェット気流が南下してきたが、気候変動の影響で北上すると予測されていた」と説明する。

英国に高温をもたらした要因 出所: Met Office/BBC Weather/ Netweather/FT

英国は最近、熱波に見舞われたが、それは他の欧州各国が経験したことを「ほんの少し味見したにすぎない」と同氏は言う。「本当の酷暑を経験しているのはスペインやフランスだ」

英国では18日から19日の2日間にわたって異常な高気温が続き、その後やや落ち着いたが、スペインとフランスでは高温が数週間続いている。

気候モデルでは、世界の平均気温が上昇するのに伴い熱波の温度はが年々高くなると予測されている。しかし、地球温暖化がジェット気流の流れにどのような影響を与えているかを研究者が正確に突き止めるには何年もかかりそうだ。

ウィリアムズ氏は「きわめて長期にわたる観測記録が必要だ。何らかの変化を確実に検知するまでには数十年分、あるいは数世紀分の記録すら必要になるかもしれない」と話す。

By Leslie Hook

(2022年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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ロシア側死者1万5000人 米CIA「重大な損失」

ロシア側死者1万5000人 米CIA「重大な損失」
「プーチン氏、病気である証拠はない」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21DCX0R20C22A7000000/

『【ワシントン=共同】米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は20日、ウクライナ侵攻でロシア側の死者が約1万5千人に上り、負傷者も約4万5千人に達するとの推計を明らかにした。「重大な損失だ」と指摘し、より人的被害が少ない長距離砲などを使った戦闘に軸足を移したとの見方を示した。米シンクタンク、アスペン研究所のイベントで語った。

バーンズ氏はウクライナ側の死傷者も多数に上るが、ロシア側よりやや少ないとみられると述べた。健康不安が取り沙汰されるロシアのプーチン大統領については、病気であることを示す証拠は得ていないとし「われわれが知る限り、健康すぎる」と冗談めかして語った。

ロシア軍の死者を巡り、ウォレス英国防相は4月25日時点で約1万5千人と推計した。ロシア国防省は3月25日に1351人と発表したが以降は更新せず、被害の矮小(わいしょう)化が指摘される。一方、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は6月、自国の被害について「前線で毎日100~200人の兵士が死亡している」と語った。』

バイデン大統領がコロナ陽性 軽症、隔離で執務

バイデン大統領がコロナ陽性 軽症、隔離で執務
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21DLZ0R20C22A7000000/

『【ワシントン=中村亮】米ホワイトハウスは21日の声明で、バイデン大統領が新型コロナウイルスの検査で陽性になったと発表した。症状について「とても軽度」と指摘し、重症化を防ぐ飲み薬の服用を始めた。当面は隔離しながら執務を続ける。

ホワイトハウスによると、バイデン氏は21日午前の検査で陽性になった。19日の検査では陰性だった。米ファイザーの飲み薬「パクスロビド」を使っている。バイデン氏は2回の追加接種(ブースター接種)を含めて新型コロナのワクチンを接種済みだ。

ホワイトハウスのアシシュ・ジャー新型コロナ対策調整官は21日の記者会見で、バイデン氏は鼻水やからせきの症状があると明らかにした。20日夜には倦怠(けんたい)感があり、よく眠れなかったという。バイデン氏は20日、東部マサチューセッツ州で遊説していた。

79歳のバイデン氏は米国の大統領として史上最高齢だ。ジャー氏はバイデン氏が高齢であることを問われて「ワクチンから得る免疫力や治療を踏まえると深刻な病気のリスクは著しく下がる」と説いたが、健康を不安視する声が高まる可能性がある。

バイデン氏はツイッターに20秒ほどの動画を投稿し「問い合わせや心配をしてくれて本当にありがとう」と強調。「体調は良くて多くの仕事を終わらせた。執務を続けていく」と言及した。「大丈夫だろう」とも話した。

バイデン氏は21日午前、ホワイトハウスのスタッフと電話でやりとりした。内部の会議には電話とオンライン形式で参加する予定だという。検査で陰性になれば、対面での執務を再開する計画だ。

米国のトランプ前大統領は2020年10月に新型コロナに感染し、首都ワシントン郊外の米軍医療施設に入院した。
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

別の視点

バイデン大統領は、2020年の大統領選挙中には、マスクをして、公の露出も控えてコロナ感染を避けるような態度から、その高齢のリスクをライバル陣営から喧伝されてきました。2024年の大統領選挙を控える政治家という側面もあるバイデン大統領が、今回、コロナ感染を公表しましたが、あまり政治的な反響は大きくないような気がします。アメリカ社会はコロナ感染はそれほど深刻なものではない、という「ウィズコロナ」で動いておりますので、日本人が考えるほど、深刻に受け止められていないと思います。「ウィズコロナ」に踏み切れない日本の感覚で、アメリカの政治を判断すべきではないと思います。
2022年7月22日 9:22 』

[FT]米国は「危うい新興国」へ 法の支配揺らぎ分断加速

[FT]米国は「危うい新興国」へ 法の支配揺らぎ分断加速
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB200VM0Q2A720C2000000/

『トランプ氏が2016年の米大統領選に当選した時、米国はいずれいくつかの国に分裂していくと予測した同僚らを筆者は一笑に付していた。だが、今はもう笑えない。

イラスト Matt Kenyon/Financial Times

米連邦最高裁が6月以降出した複数の判決は、米国でこの数年、広がった分断をさらに深めている。それはトランプ大統領の誕生と同政権への反動として生じた米急進左派の高まりだけが原因ではない。分断は08年の世界金融危機から始まった。

米の分断化と弱体化進める最高裁判決

当時の共和党政権であれ民主党政権であれ、同危機に対し取った政策は米国の諸制度への国民の信頼を失墜させた。それら政策は家計より銀行の救済を優先し、大規模な法人税減税の実施などを含む。その結果、米ギャラップ社の世論調査では今や米国の諸制度に対する米国民の信頼度は調査開始以来最低の水準に落ち込んでいる。

とりわけ中絶の権利を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェード判決」を覆した6月24日の判決と、連邦政府機関である米環境保護局(EPA)が全国レベルで規制できる権限を制限した同30日の判決は、米国をさらに弱体化させ、その分裂を深めるだろう。

これらの最高裁判決を最大限に拡大解釈すると、米連邦政府は国民だけでなく投資家に対しても重大な影響を与える基本的事項について、全米で統一された法の支配を保障できなくなることを意味する。

具体的には企業への規制や情報開示の基準、労働や環境、消費者の保護に関する規制、ひいてはどんな資産は取引可能かといったことも含まれる。
影響は連邦政府機関EPAにとどまらない

EPAはもちろん、さらに重要な組織と思える米証券取引委員会(SEC)などの連邦政府機関が規制している内容を考えれば、この判決の深刻さがわかる。今後はこうした連邦機関が定める規制の合法性とその運用の仕方を巡って、全米の各州ごとに一から議論をし直すという事態になりかねないからだ。

しかも、これらの判決は米国が通常の状況にあるとは思えない中で下った。つまり、銃乱射事件が相次ぎ(にもかかわらず連邦最高裁は6月23日、短銃を隠して携帯することに一定の規制を設けているのは違憲だという信じがたい判決を出した)、インフレが猛威を振るい、テレビでは連日、21年1月6日の連邦議会襲撃事件に関する下院特別委員会の公聴会が中継されている。この中継を見れば、米国では武器を使った暴動が起こり得るし、実際に起きる国だというのを小学生でも理解できる。

これらの状況は、一部の投資家が今、議論している以上の大きな問題を提起している。米国は政治的リスクおよび不安定さという点では、先進国というより新興国の様相を呈し始めているのではないかという見方だ。

米調査会社ジオクワントの創設者で共同経営者のマーク・ローゼンバーグ氏は、13年1月以降、米国やほかの国・地域の政治的リスクを様々な測定基準から日々分析してきた。同社がこのほど顧客に送った書簡の中で同氏は、米国が抱える政治的リスクはその独立記念日である7月4日に新たな高みに達したと伝えた。統治リスクや社会的リスク、治安面のリスクなど政治的リスクをはじき出す要素の指標が上昇したためだ。

米の政治リスクは今やメキシコのレベル

米国の政治的リスクは世界各国に比べ依然として相対的には低い(ローゼンバーグ氏の分析では127カ国中85位だ)。だが先進国としては飛び抜けて高く、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では、今やトルコやコロンビア、メキシコ、イスラエルにほぼ並ぶ高さだ。

さらに憂慮すべきは主要な指標の悪化だ。社会や政府の不安定さ、政治を巡って暴力が発生するリスク、さらには民主主義を脅かすリスクなどだが、米国の場合、これらの数値の推移と変動ぶりからすると、先進国というより途上国のようにみえる。米国が「自由世界のリーダー」であるはずなことを考えれば、いかに憂慮すべき事態かがわかる。

ローゼンバーグ氏はこの現象を米政治の「EM(新興国)化」と呼び、EM化をこう定義する。「政治的対立がより不安定な状況をもたらしており、公共の諸制度が弱体化し、法による支配を明確にする、あるいは執行するのが困難となり、社会の分断が進み、主要な政治日程を巡って政治的、経済的な不確実性が高まる状態を言う」

「EM化」はトランプ政権で顕著になったが、バイデン政権以降も党派対立が深まり、さらに進んだ。ローゼンバーグ氏は「米国が抱える社会的リスクと公共制度が抱えるリスクのレベルは、もはや世界最古の民主主義国家というより新興国並みだ」と指摘する。

もちろん、すべての新興国が無秩序だったり暴動寸前の状態にあったりするわけではない。中国やインド、台湾、ポーランド、ギリシャ、フィリピンなど多くの国・地域ではリスクを示す数値は過去10年で改善した。加えて米国は政治的リスクが高まる一方で、規模が大きく奥が深い資本市場と巨大な力を持つ消費者市場を持つおかげで経済はその影響をほとんど受けてこなかった。ドルは強く、米経済はこの数年、多くの先進国より好調さを維持してきた。
米経済繁栄とドルの地位維持には「法の支配」堅持が不可欠

だが長期にわたる米経済の繁栄と、準備通貨としてのドルの揺るぎない地位の維持には信頼が必要だ。その信頼は法の支配を堅持することで築かれる。

連邦最高裁による最近の過激な判決は、それ自体が政治的分断を示しているし、今後は米国のどこにいても法律が同じように適用されるとは限らないことも明確にした。つまり、ある人にどう法的枠組みが適用されるのかは、その人がどういう人物で、どこに住んでいるかによって異なることになる。

民主党が強い東西両海岸に面したいくつかの州と中央部に位置する一部の州で企業への規制や社会問題、税制、労働基準、環境問題などを統制する枠組みが残りの州と大きく異なるとなれば、どんな事態になるか。我々はそれを早晩知ることになるだろう。

米国では州の連邦からの独立は冗談として語られてきた。テキサス州の独立を求める「テキジット(Texasとexitの造語)」やオレゴン州など米北西部の諸州が独立共和国を建国する構想「カスケーディア」は、実現をほぼ見込めない運動のいわば代名詞だった。武力闘争はどこか外国で起きるものとされてきた。だが、もはやそうではない。銃を持つか否かにかかわらず、米国は自らとの戦争を始めてしまったのだ。

By Rana Foroohar

(2022年7月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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ラナ・フォルーハー

Rana Foroohar 米国生まれ。米ニューズウィーク、米タイムを経て2017年3月にFTに移る。米IT(情報技術)企業の事業を通じ蓄積した利用者のデータを駆使した事業モデルの在り方に早くから警鐘を鳴らしてきたことで知られる。米外交問題評議会の生涯会員。

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米下院議長「独裁者なれ合い」 プーチン氏イラン訪問で

米下院議長「独裁者なれ合い」 プーチン氏イラン訪問で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21DO70R20C22A7000000/

『【ワシントン=赤木俊介】ペロシ米下院議長は21日の記者会見でロシアのプーチン大統領のイラン訪問について「独裁者同士のなれ合いだ」と批判した。ペロシ氏は「中国とロシアがイランに核技術を提供していることは周知の事実だ」と断じ、中国にも矛先を向けた。

ペロシ氏が近く台湾訪問を計画しているとの一部報道については、安全上の理由を挙げて明言することを避けた。そのうえで「米軍は私の乗る飛行機が撃ち落とされる心配をしているようだ」と冗談を交えてけむに巻いた。

ロシアがウクライナへの攻撃を強めていることをめぐり、「プーチン氏は多くの子供を傷つけ殺害することでウクライナ国民の士気を下げようとしている」と厳しく非難した。

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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN21DO70R20C22A7000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

ウクライナ穀物輸出トルコ高官 “再開に向けた署名式 22日に”

ウクライナ穀物輸出トルコ高官 “再開に向けた署名式 22日に”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220722/k10013730711000.html

『ロシア軍による封鎖でウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐり、トルコの高官は、ロシア、ウクライナの代表団と国連が参加して、輸出再開に向けた署名式が22日にイスタンブールで行われることを明らかにし、世界的に食料価格が高騰するなか事態の打開につながるのか注目されます。
ロシア軍による封鎖でウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題をめぐって、両国がトルコと国連を交えて行っている協議は、大詰めを迎えているとみられ、トルコのカルン大統領首席顧問は「穀物輸出の署名式は22日、イスタンブールで開催される」とツイッターで明らかにしました。

これについてウクライナのゼレンスキー大統領は、21日に公開したビデオメッセージで「あす、海上封鎖についてトルコからのよいニュースを期待する」と述べ、協議の成果に期待を示しました。

ただ、国連の副報道官は会見で「状況はやや流動的なため、いつ、どのような署名が行われるのかは現段階では言えない」と述べるにとどめているほか、ロシア外務省のルデンコ次官はロシア産の農産物の輸出制限の解除が必要だと主張していて世界的に食料価格が高騰する中、事態の打開につながるのか、注目されます。

こうした中、ロシア軍は、掌握を目指す東部ドネツク州やハルキウ州で攻撃を続けています。

ウクライナの非常事態庁によりますと、21日、ドネツク州のクラマトルシクで現地の学校が砲撃を受け1人が死亡、2人ががれきの下に取り残されているということです。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は21日、「ロシア軍は地上攻撃に成功しておらず、スロビャンシクなどを掌握することなく失速を迎える」という分析を発表し、ロシア軍の進軍が鈍っているという見方も出ています。

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ウクライナ侵攻に見るロシアと未承認国家の関係の変化: 南オセチアでは親ロ派「大統領」が敗北

ウクライナ侵攻に見るロシアと未承認国家の関係の変化: 南オセチアでは親ロ派「大統領」が敗北
https://www.nippon.com/ja/in-depth/a08106/

『 ロシアのウクライナ侵攻で注目を集めたドネツクやルハンシク、沿ドニエストル(モルドヴァ)といった旧ソ連の非承認国家。これまでロシアが影響圏形成のために利用してきたが、その相互関係に変化の兆しが見えてきた。

紛争が生みだした未承認国家

旧ソ連地域では多くの戦争・紛争が発生してきたが、それらの中には「凍結された紛争(Frozen Conflict)」ないし「長期に及ぶ紛争(Prolonged ConflictないしProtract Conflict)」となり、「未承認国家(Unrecognized States)」を生み出してきた。未承認国家は、簡単に言えば、「ある主権国家からの独立を宣言し、国家の体裁を整え、国家を自称しているが、国際的に国家承認を受けていない」エンティティ(政治的な構成体)である。現在、もっとも説得力を持つ未承認国家の定義は、ニーナ・カスパーセンによる以下5項目から成るものだといえよう。

1、未承認国家は、権利を主張する少なくとも3分の2の領土・主要な都市と鍵となる地域を含む領域を維持しつつ、事実上の独立を達成している。
2、指導部はさらなる国家制度の樹立と自らの正統性の立証を目指す。
3、そのエンティティは公式に独立を宣言している、ないし、例えば独立を問う住民投票、独自通貨の採用、明らかに分離した国家であることを示すような同様の行為を通じて、独立に対する明確な熱望を表明している。
4、そのエンティティは国際的な承認を得ていないか、せいぜいその保護国・その他のあまり重要でない数カ国の承認を受けているに過ぎない。
5、少なくとも2年間存続し続けている。

現在、旧ソ連には、ジョージアのアブハジア、および南オセチア、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ、モルドヴァの沿ドニエストル、そしてウクライナのドネツク、ルハンシクという6つの未承認国家があり、それらをロシアは「近い外国」、すなわち旧ソ連を影響圏に置くために利用してきたという経緯がある。

非合理なドネツク、ルハンシクの国家承認

ロシアにとっては、特に反ロシア的・親欧米的国家の中に未承認国家があることが望ましい。なぜなら、ロシアは旧ソ連の未承認国家のパトロンであるケースが多く(アゼルバイジャン内のナゴルノ・カラバフについては、ロシアは長年あまり影響力を持っていなかったが、2020年のアゼルバイジャンとアルメニアの間のいわゆる第二次ナゴルノ・カラバフ戦争の結果、アゼルバイジャンが勝利し、アルメニアがそれまで統制下においていたナゴルノ・カラバフの4割相当の領域と緩衝地帯をアゼルバイジャンが奪還し、残った同地の6割相当の領域にロシア軍が平和維持を行うようになってからロシアが影響力を持てるようになったが、パトロンにはなっていない)、それらの未承認国家に対してはロシアが影響力を行使し、法的親国の内政・外交にも大きな揺さぶりをかけることができるからである。

法的親国により大きな激震を与えるためには、未承認国家は当然ながら独立していたり、ロシアに併合されてしまったりしてはならず、あくまでも法的親国の中で、法的親国の主権が及ばないエンティティとして存在し続けることに意義があるのだ。しかし、08年のロシア・ジョージア戦争の結果、ロシアはジョージア国内のアブハジアと南オセチアを国家承認し、以後、事実上のロシアへの統合を進めている。この件について筆者は、08年に国際社会のかなり多くの国がセルビア国内のコソボの国家承認をした(中ロは激怒)ことが背景にあり、それに関する欧米への意趣返しであると思っていた。

だが、22年にロシアはさらに非合理的な動きを多々見せた。まず、ロシアはウクライナ東部の未承認国家、ドネツクとルハンシクを2月21日に国家承認したのである。14年のロシアによるクリミア併合に次ぎ、この2州の親ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍との内戦が勃発したが、その停戦のために締結された「ミンスク合意」には、2州に幅広い自治権を保障する内容が盛り込まれている。ミンスク合意が履行されれば、仮にウクライナがNATO加盟を望んだところで、国内のこの2州が反対すれば加盟はほぼ実現不可能だ。つまり、未承認国家である2州をウクライナ国家に存在させたままでロシアの影響下に置き続ける、それが最も安価にウクライナを縛り付けることができる効果的かつ有益な作戦であるはずだった。

しかし、今回ロシアは独立を承認し、さらに全く合理性のない侵攻にまで至った。このことは、ロシアの未承認国家政策の転換を意味するだけでなく、ロシアとその他の未承認国家の関係を変えることにもつながった。以下では、ロシアと未承認国家の関係に生まれた変化を見ていきたい。
ウクライナでの苦戦で進む「ロシア離れ」

まず、今回独立を承認したドネツク、ルハンシク両州の住民は、ロシアの残虐な攻撃により、完全にロシアに背を向けたといえる。ウクライナ全土はもとより、同両州ですら、ロシアの支配下に入ろうとは思わないはずである。脅迫と恐怖によってロシアに併合する可能性はなきにしもあらずだが、永遠に恐怖政治を展開する以外に、同地を確保することはできないはずであり、そこにはポジティブな未来は絶対に描けないのである。

そして、今回のロシアのウクライナ侵攻でロシアが苦戦していることは、旧ソ連諸国のロシア離れを導いたと言ってよい。つまり、旧ソ連諸国が「ロシアはこれほどまでに弱かった」「ロシアはもう恐るべき相手ではない」という認識を持つようになり、ロシアを軽侮するようになったのである。そのため、アゼルバイジャンはロシアの平和維持軍がいるナゴルノ・カラバフに3月に攻め込んだし、ロシアが主導する安全保障条約機構(CSTO)のベラルーシを除く全加盟国がロシアの侵攻を事実上批判した(拙稿「ロシアと「近い外国」― ウクライナ危機で変わる関係性」『三田評論』7月号、2022年7月、30-35ページ)。

そして、ロシア軽視の傾向は、未承認国家の南オセチアでも見られた。南オセチアはロシアに極めて忠実であり、同胞がコーカサス山脈で分断されているロシアに属する北オセチアとの統合(すなわちロシアに吸収されることを意味する)を目指していたはずであるのに、南オセチア兵の約300人がウクライナへの派兵を拒否した。また、5月8日の「大統領選」決選投票では、親ロ派でロシアとの統合を急いでいた現職のアナトリー・ビビロフ大統領が敗北を喫し、アラン・ガグロエフ氏が当選した。このことは、南オセチアの住民がロシアへの統合を急ぐことに反発していること、そして、かつてロシアは未承認国家で不本意な選挙結果が出た場合、すなわち、親ロシア派が当選できなかった場合は、容赦なく介入し、選挙をやり直させたりもしていたのだが、今回、ロシアの動きは皆無であり、そのことからもロシアの余裕のなさが強く感じられる。

モルドヴァEU加盟の動きとロシアの思惑

そして今回のウクライナ危機で注目された未承認国家がモルドヴァの「沿ドニエストル共和国」である。沿ドニエストルはウクライナのオデーサに近接しており、仮にロシアがウクライナ南部の黒海沿岸を全て制圧した場合、その支配地域が沿ドニエストルと繋がって、ウクライナの南方を完全に抑え込めたため、南部戦線の動きと合わせて沿ドニエストルの動向が注目されていた。実は、ウクライナ侵攻開始後の4月などに、沿ドニエストルの「首都」ティラスポリにある治安当局の建物などが連続爆破された。ロシアが行った挑発と見られる一方、ロシアが「偽旗作戦」に利用し、沿ドニエストルからウクライナを攻撃するシナリオなども危惧された。結局は大ごとに至らなかったものの、沿ドニエストルの脅威が侵攻開始後にとても高まったのは事実である。

だが、沿ドニエストルをめぐる緊張は、その法的親国がウクライナとそろって6月23日に欧州連合(EU)加盟候補国になったことで、新たな段階に入ったように思われる。

沿ドニエストル問題は、モルドヴァのEU加盟の足かせになる可能性が高く、ロシアが今後、関与を深める可能性が高いのである。そもそも、ロシアはモルドヴァのEU加盟には10年などの長い年月がかかり、実現しない可能性が高いとすら考えているようだ。

だが、そのようなロシアの思惑とは裏腹に、沿ドニエストルの住民は、モルドヴァがEU加盟候補国になれば、沿ドニエストルをロシアが救ってくれ、ロシアへの統合が進むと考えているという。実際、沿ドニエストルの上層部は2014年のクリミア併合以降、特にロシアへの統合を望むようになったという。

他方、モルドヴァは沿ドニエストル問題が未解決な状態でもEUに加盟でき、沿ドニエストルの住民もEU域内での生活・労働の恩恵にあずかりたいという思いを持つであろうことから、EU加盟国になることが沿ドニエストルの再統合にポジティブな影響をもたらすと信じているようだ。

このようにロシア、沿ドニエストル、モルドヴァはそれぞれが都合の良い解釈をしているが、結果、三者の立場は乖離(かいり)する一方である。

このように、ロシアは自国に都合よく使ってきたはずの未承認国家に対する政策を明らかに転換し、また未承認国家のロシアに対する目も侮蔑に満ちたものになったり、期待に満ちたものになったり、反応は多様であるが、そもそも旧ソ連諸国の対ロ恐怖心がかなり軽減された今、未承認国家の法的本国における意味合いも変わり、ロシアにとっては未承認国家の使い勝手はこれまで通りとはいかなくなるだろう。

バナー写真:ウクライナ南東部マリウポリで、地名標識をロシア語に付け替える作業員=親ロシア派「ドネツク人民共和国」提供、2022年5月5日撮影(AFP=時事)

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廣瀬 陽子HIROSE Yōko経歴・執筆一覧を見る

慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は国際政治、コーカサス地域研究。1972年、東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。著書に『ロシアと中国 反米の戦略』(ちくま新書2018年)、『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』(講談社現代新書、2021年)など。』

「不惑」の意味は年齢のこと?孔子の論語との関係や使い方も解説

「不惑」の意味は年齢のこと?孔子の論語との関係や使い方も解説
https://biz.trans-suite.jp/19048

『「不惑」は日常的によく見聞きする言葉で、年齢を話題にした会話にもしばしば登場します。また、有名な孔子の『論語』とも深い関係があるようです。この記事では「不惑」の意味をはじめ、孔子の『論語』との関係や、熟語の使い方が理解できる例文なども解説しています。

目次 [非表示]

1 「不惑」の意味や由来とは?
    1.1 「不惑」の意味①”心が乱れたりすることがない”
    1.2 「不惑」の意味②”数え年の40歳”
    1.3 「不惑」の由来は孔子の『論語』

2 「不惑」と孔子の論語との関係
    2.1 孔子の教えは「生涯成長すべし」
    2.2 「不惑」以外にもある年齢の異称
    2.3 孔子とは程遠い現代人の「不惑」以降

3 「不惑」の使い方や例文とは?
    3.1 「不惑」は40歳のことを指して使うのが一般的
    3.2 「不惑」を使った例文

4 まとめ

「不惑」の意味や由来とは?

「不惑」の意味①”心が乱れたりすることがない”

「不惑」の意味は、“心が乱れたりすることがない・超然とした悟りの境地”です。「ふわく」と読み、熟語を読み下した「惑わず」がそのまま意味となっています。この世に生きていると、さまざまな煩悩に心を乱されます。欲しいものは手に入らず、人間関係にも疲れ果て、悩みは尽きません。

「不惑」は心が乱れたり悩んだりするようなことがない、超然とした悟りの境地のことですが、凡人がそのような境地に至ることは大変困難です。

「不惑」の意味②”数え年の40歳”

「不惑」のもうひとつの意味は、“数え年で40歳のこと”です。数え年とは、現在の満年齢とは異なる年齢の数え方で、生まれた年を1歳として新年を迎えるごとに1歳年をとるという方法です。つまり数え年では、大晦日に生まれた子供は翌日になると2歳になってしまう計算です。

ちなみに40歳には「不惑」以外にも異称があり、四十路(よそじ)のほか、最近ではアラウンドフォーティを略したアラフォーという言葉も登場しています。「初老(しょろう)」も数え年40歳のことを指した言葉で、長寿祝の最初の年齢です。

また「不惑」と同じように、異称を持つ年齢があります。現在でもよく知られている「還暦」は数え年で61歳、「白寿」は数え年で99歳のことを指していますが、趣のある呼び名です。
「不惑」の由来は孔子の『論語』

「不惑」は、儒家の始祖である孔子(紀元前551年 – 紀元前479年)の『論語』が由来です。『論語』は孔子の言行録のような書物で、孔子の教えがよく理解できる一書であり、現代人にとっても学びの多い必読書となっています。

「不惑」は、『論語』の「為政篇」のなかの「子曰 吾十有五而志乎学 三十而立 四十而不惑 五十而知天命 六十而耳順 七十而従心所欲不踰矩」にあります。

現代語に直すと「子曰く、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う(したがう)。七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず(こえず) 。」です。

「不惑」と孔子の論語との関係

孔子の教えは「生涯成長すべし」

孔子は自身について、「15歳で学問を志して30歳で独立、40歳で迷うことがなくなり、50歳で天から授かった使命に目覚めた。60歳で人の意見を素直に受け入れられるようになり、70歳で自分の思い通りに行動しても人の道から外れることはなくなった」と語っています。

つまり孔子ほどの偉人であっても、人間が完成するまでには長い年月が必要だったということです。

孔子の教えから分かるのは、人間は年齢を重ねならが成長していかなければならず、短期間で完成するようなものではないということと、節目ごとに成長のステップがあり、そのひとつひとつを順に完成させていくことが人間形成への道筋だということです。

「不惑」以外にもある年齢の異称

『論語』の「為政篇」で登場したのは「不惑」の40歳だけではありません。15歳から70歳までの間に6つの区切りを設け、以下のようにそれぞれの年代での努力目標としての目指すべき姿が、年齢をなぞらえる呼称となっています。

15歳:志学(しがく)
30歳:而立(じりつ)
40歳:不惑(ふわく)
50歳:知命(ちめい)
60歳:耳順(じじゅん)
70歳:従心(じゅうしん)

孔子とは程遠い現代人の「不惑」以降

現代でも、高校受験を迎える15歳頃には自分の進路を真剣に考え始めます。また、30歳頃になると社会人として自立できるようになります。

けれども孔子の時代より社会が複雑になったためでしょうか、40歳でも迷いが多く、50歳でも目の前の仕事に追われ天命に気づくゆとりはなく、60歳になっても我が強く、70歳で思い通りに行動して警察のお世話になるというありさまです。

また超高齢社会の到来により寿命は100歳近くまで延びましたが、80歳・90歳・100歳についての孔子の教えはありません。現代人は30歳からの生き方を、もっと真剣に考える必要がありそうです。

「不惑」の使い方や例文とは?

「不惑」は40歳のことを指して使うのが一般的

「不惑」には迷いがないという意味と40歳という意味がありますが、40歳のことを指して使うことが一般的です。ここでは40歳の異称という意味での「不惑」を用いた例文を提示し、熟語の使い方への理解を深めます。

「不惑」を使った例文

「不惑」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

四十路を迎え「不惑」と言われると面映く感じるが、初老と言われると面白くない。
人生50年時代の「不惑」は、まだ折り返し点にも達していない現代とは全く別モノだっただろう。
40歳はまだ迷いが多い年代だからこそ、自戒を込めて「不惑」と呼ぶようになったのかもしれない。
「不惑」に入ってにわかに英語熱が再燃し、TOEICを受験してみることにした。

まとめ

「不惑」の意味のほか、孔子の『論語』との関係や使い方が分かる例文などを解説しました。平均寿命が50歳に満たない頃には、15歳で一人前の大人として扱われていました。一方、現代の15歳はまだ義務教育を終えたばかりで、長い人だとあと10年近くも学生時代が続きます。

社会人としてのスタートが遅くなり寿命も長くなった現在、「不惑」となる年齢はどんどん先送りになりそうです。

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50代がさっぱりわからない

50代がさっぱりわからない
https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20220720/1658305800

『ゆうべ、文章をなにも書かなくなった夢を見た。無気力な、何をすればいいのかわからなくなった未来の自分が、消極的に、もっと本業に取り組むかと呟いているのが物悲しかった。もちろんこんなのは本業に精力的に取り組む人々には当てはまらない、私の文脈内部にしか当てはまらない物悲しさだ。私は人生の半分以上、文章を書きながら生きてきた。だからなにも書かなくなった自分とは、人生の荷物の大事な部分を落としてきた自分のように思える。
 
年を取るということがわからなくて、年を取るということを少しでも知って、うまく立ち回りたくて、不安を軽減させたくて、私は努めてきたつもりだった。だというのに今の私は書くことがわからず、年を取ることもわからなくなっている。精神疾患になっているとは思わないが、いつ頃からか、迷いの季節に突入したな、と思う。
 
思えば30代後半〜40代前半は、自分の立ち位置と立ち回りのうえで便利な時期だった。もう中年だけどまだ若手だし、まだ若手だけどそこそこ世慣れてもいる。その両面を、如意棒のように振り回して社会適応できるのがその頃だった。知識とバイタリティと好奇心のバランスも良かった。
 
ところが40代も後半に入り、そのような社会適応が早くも成立困難になってきた。中年だけど若手、という立ち位置を他人に対して成立させられなくなって、中年オブ中年とでもいうべき新境地が現れてきた。自分を若手のように見せかけても、周囲、とりわけ年下はそのように見てはくれないだろう。社会的加齢は、自分の一存だけで決められるものではない。
 
すると、コミュニケーションも微妙に変わってくる。たとえば、20代の異性と20代のうちに恋愛するには20代のうちでなければならない。わざわざトートロジーめいたことを書くのは、かりに40代が20代の異性と恋愛できたとしても、それは40代が大幅に年下の異性と恋愛するのであって、20代の異性と20代のうちに恋愛するのとは随分ちがっているからだ。
 
世の中には、若い異性を金で殴ってなびかせ、侍らせる中年もいると聞く。そういった行為にも固有の意味はあろうけれども、若かりし日を取り戻せないのだけは間違いない。
 
同じことがオフ会などにも言える。どこかの新しいオフ会に出かけるとなったら、参加時点で私は最年長である可能性が高い。若かった頃と異なった役割を期待されるわけで、立ち回りを変えなければならなくなっている。それ自体、うまくやってのけたとしても、そこから汲み取る経験は以前と同質ではない。
 
そして体力気力集中力の衰え。
自分が書くということへの(しばらく忘れていた)疑問。
好奇心が膨らむより先に首をもたげがちな、「それって以前に見たことあるよね」という先入観。
 
自分は書き続けられるのか?
続けたとして自他に有意味なものをつくり続けられるのか?
 
そうした疑問は数年前からうっすらあったが、2020年代に入って少しずつ高まり、今、自分はわけのわからないゾーンにいる。もともと『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』を書いた時に大事な何かが抜けていった気はしていたのだけど、そこから同じものを再充填できたとは言い切れず、参考文献の山のなかで私は遭難している。
 
じゃあ、書くのをやめてしまえばスッキリした50代を始められるのか? といったらこれもわからない。たぶん無理だろう。より正確には「今はまだ、無理な気がする」。
 
こうして今、アイデンティティの寄る辺がわからない中年になってみると、カネとか、筋肉とか、老年まで持ち越せそうな諸価値に執着したくなる気持ちが少しわかった気がする。でもって案外、そうやってカネや筋肉に執着する人は程度が良いのかもしれない。いやどうだろう? 隣の庭の芝が青く見えるだけかもしれない。カネや筋肉に執着する中年の心境など、わかったようで結局私にはよくわかっていないのだ。
 
「そういう時、ロールモデルの生き方を参考にするのだ」、と人はいうかもしれない。わかっている。私だってできればそうするさ! しかし私の視界内にいた数歳年上の書き手たちは、ほとんど全員、50代になって書くのをやめてしまったか、書く勢いを失ってしまったか、なんだかわけのわからないtwitter論者になってしまった。結局私のエイジングの道は自分自身で切り拓いていくしかなさそうだけど、今は先行きがまったく見えなくて、途方に暮れてしまっている。
 
……で、こういうことをブログにたたきつけるように書く、その身振りも信じて良いのかわからない。
 
インターネットは第一に、願望と思い込みのシミュラークルの鏡地獄なのであって、誰かに何かを伝えるボトルメールとしての機能はもう期待できないように思われるから。この私の戸惑いも、誰かに届くより先に、そういう鏡面が欲しかった人の鏡となり、そういう中年を非難したかった誰かの酒の肴になるばかりなのだろう。しょうもないことだ。そのしょうもない鏡面世界のなかで、こんなこと書いたってなんにもなりやしないんじゃないか。』