親ロ派地域以外の確保明言 ラブロフ外相、南部2州狙う

親ロ派地域以外の確保明言 ラブロフ外相、南部2州狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20DYW0Q2A720C2000000/

『ロシアのラブロフ外相は20日、欧米が高機動ロケット砲システム「ハイマース」など強力な兵器を供与したことにより、ウクライナでの軍事作戦の「地政学的な課題は変わった」と述べた。ロシア軍の支援を受ける親ロ派が一部を実効支配する東部ドンバス地域2州にとどまらず、隣接するザポロジエ州とヘルソン州の南部2州などの確保も目指していることを明らかにした。

ロシア通信と会見した。将来のロシア編入を見据えた発言とみられ、ウクライナへの兵器供与を続ける欧米をけん制する狙いもある。軍事作戦の主目的をドンバス2州に住むロシア系住民の保護と説明してきたプーチン政権の高官が、この2州以外の最終的支配も目標にしていることを明言したのは初めて。

ラブロフ氏は、欧米が「状況を最大限に深刻化させる狙いで」ハイマースなどを与え続けていると批判。これらの兵器から「わが国や、自らの将来を自分で決めたいと望む人々の地域を守らなければならない」と説明した。

ロシア軍は独立を承認した親ロ派部隊を支援し、既にドンバスのルガンスク州全域を制圧。もう一つのドネツク州も60%程度を支配下に置いた。さらに黒海沿岸のザポロジエ州の一部とヘルソン州のほぼ全域を制圧、親ロ的な「軍民行政府」を一方的に設置しロシア編入を視野に入れた住民投票の準備を進めている。

南部2州はロシアが2014年にウクライナから強制編入したクリミア半島の付け根に当たり、戦略的に重要な地域。

ウクライナのゼレンスキー政権は欧米に長距離攻撃兵器の支援強化を要請。ヘルソン州ではハイマースによる攻撃を活発化させ、占領地奪還を目指している。(共同)

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

ロシア本土からウクライナ東部ドンバス地方、ザポロジエとヘルソンの南部2州を経て、実効支配しているクリミア半島へと、陸上の「回廊」を確保することに、ロシアは大きな意義を見出しているようである。海上輸送に比べ、大型トラックによる陸上輸送は、なにかと便利。今回のラブロフ外相の発言は、ロシアの「特別軍事作戦」の目的拡大ということで報じられているものの、意外感のある拡大ではない。
2022年7月21日 11:48 』