米国人不当拘束で制裁、米大統領令 中国など渡航警告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19DBD0Z10C22A7000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は19日、海外で米国人を不当に拘束しているテロ組織や犯罪集団などに制裁を科すことを可能にする大統領令に署名した。不当拘束リスクのある国を示す新たな指標も導入し、ロシアや中国、北朝鮮など6カ国への渡航を警告した。
バイデン氏は大統領令で「人質、不当に拘束されている米国民を帰国させる取り組みを強化する」と強調。不当な拘束が米国の安全保障や外交政策、経済に脅威を与えていると非難した。米政府高官によると、関与した人物らが米国内に保有する資産を凍結し、査証(ビザ)の発給も禁じる。
大統領令は2007年に米連邦捜査局(FBI)のロバート・レビンソン捜査官がイランで消息を絶ったのを受けて制定した法律に基づく措置。テロ組織や外国政府による人質行為や不当な拘束に対し「代償を科すことで対抗、抑止する」とも訴えた。同盟国や友好国の政府・機関と協力すると記した。
米ジェームズ・フォーリー遺産財団によると、中国や北朝鮮、ロシアなど20カ国ほどで60人以上の米国人が不当に拘束されている。ロシア当局は2月、大麻オイルを所持していた疑いで米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手を逮捕した。
米国務省はグライナー選手へのロシア当局の対応を「不当な拘束」だとして釈放するよう要求している。米国内ではバイデン政権に批判が出ており、今回の大統領令につながった可能性がある。
国務省は19日、国外の渡航情報に関して外国政府が不当に拘束するリスクを示す指標を導入した。新たに設ける「D」を適用した国で米国民が拘束される危険性を明確にし、渡航の自重を促す狙いがある。
中ロなどに加え、ミャンマー、イラン、ベネズエラも対象にした。指標には非国家勢力による誘拐のリスクがある「K」などがある。』