米ゴールドマンなど大幅減益 企業の資金調達ブーム失速

米ゴールドマンなど大幅減益 企業の資金調達ブーム失速
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN191120Z10C22A7000000/

『【ニューヨーク=斉藤雄太】米大手銀行の2022年4~6月期決算で、ゴールドマン・サックスなどが大幅減益となった。ゴールドマンで主力の投資銀行ビジネスの収益が各行ともおおむね半減した。ブームとなっていた企業の新規株式公開(IPO)や株式・社債の発行が、歴史的なペースで進む利上げの影響で失速したためだ。当面は厳しい収益環境が続きそうで、各行とも「守り」の姿勢を強めている。

金融情報サービス、リフィニティブによると、1~6月の米国でのIPOは43億ドル(約5900億円)で前年同期比95%減となった。企業の資金調達の環境は劇的に悪化しており、それが各行の収益の柱である投資銀行ビジネスを揺るがしている。

18日に4~6月期決算を発表したゴールドマンでは、売上高に相当する純営業収益が前年同期比23%減となった。特に投資銀行部門が41%減で、全体を押し下げた。純利益も29億2700万ドルと47%減った。

昨年まで特別買収目的会社「SPAC」を通じた上場ブームに沸いた株式の引受業務は約9割の減収になった。M&A(合併・買収)が停滞し、助言による手数料も減った。相場変動が大きくなるなか、債券や為替、商品などのトレーディング業務が好調でグローバルマーケッツ部門は32%の増収だったが、補いきれなかった。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は18日の決算説明会で、低調なIPO市場について「バリュエーション(投資価値判断)に関する人々の期待がリセットされる過程にある」と指摘した。未公開の新興企業に高い価格が付きにくくなり、回復までは一定の時間がかかるとの見通しを示した。

商業銀行業務が中核の米銀最大手JPモルガン・チェースも、投資銀の手数料収入は54%減と苦戦を強いられた。21年通期では純営業収益に占める同手数料の割合が11%近くに達したが、22年4~6月期は5%強に落ち込んだ。

商業銀行ビジネスは金利上昇で預貸利ざやが広がり、融資需要の回復も重なるという追い風が吹いている。JPモルガンの純金利収入は19%増え、業績を下支えする要因になった。

一方、先行きの景気悪化を意識し、将来の回収不能リスクに備える貸倒引当金などの与信費用は11億ドルを計上した。前年同期は22億ドルの戻し入れが発生し利益を押し上げていたが、その反動が大きくなった。

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは「(米景気は落ち込みが小さい)ソフトランディングから(より深刻な)ハードランディングまで様々な結果があり得る」と述べた。ダイモン氏は自身がたとえた「ハリケーン」の到来に引き続き備えている。

ゴールドマンとJPモルガンに加え、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーの6行が18日までに4~6月期決算を発表し、純利益がそろって前年同期を3~5割ほど下回った。全行が2桁減益になるのは1~3月期に続いて2期連続だ。21年12月期通期ではJPモルガン、バンカメ、ゴールドマン、モルガン・スタンレーが最高益だったが、業績の頭打ち感が鮮明になった。

「今後2年間で米国の景気後退が起こる可能性はあるが、急な落ち込みになる可能性は極めて低い」。シティのジェーン・フレーザーCEOはこう話す。景気の落ち込みが想定通りに緩やかにとどまるか、より急速な悪化で与信費用の積み増しを迫られるかが22年下期の米銀業績を大きく左右する。

各行は厳しい収益環境が続くことを見据えて「守り」の姿勢もみせる。モルガン・スタンレーは優先順位の低い事業の先送りなどで経費を抑制する。JPモルガンやシティは自社株買いを当面停止すると表明した。』