[FT・Lex]世界的な農地争奪戦が激化 食料安保狙い

[FT・Lex]世界的な農地争奪戦が激化 食料安保狙い
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB191200Z10C22A7000000/

『トランプ前米大統領は在任中、グリーンランド買収に関心を持っていると伝えられ、注目を集めた。デンマーク自治領のグリーンランドはこれに反発し、自らを売り物ではないと宣言した。だが、国境を越えた土地取引は例外的なものではない。

トランプ前米大統領は在任中にデンマーク領グリーンランドの買収に意欲を示し、反発を招いた=ロイター

食料不安がこの動きを加速している。トルコは、人口を養うために新しい牧草地を探している国のひとつだ。インフレが高騰する中、トルコは実現が危ぶまれているスーダンの土地80万ヘクタールの99年間のリース契約を復活させたいと考えている。

「農地収奪に関する情報サイト」プロジェクトのデータを利用して農地のリースを追跡している非政府組織(NGO)のグレーンによると、2016年までの10年間にこのような取引が500件近く行われた。78カ国の3000万ヘクタール以上の土地が取引対象となり、その多くはアフリカにある。このため、水などの枯渇しつつある資源への圧力が強まる。それでも、難民危機や気候変動、戦争によって悪化した食料の奪い合いは、今後さらに激しさを増すと予想される。

民間企業も土地の争奪戦に参加している。08年に韓国の物流企業、大宇ロジスティクスは、マダガスカルの土地130万ヘクタール(ベルギーの面積のおよそ半分に相当)を99年間、無償で貸与される契約を結んだ。当時同社の幹部は、フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、「食料安全保障のためにトウモロコシを植えたい。食料はこの世界で武器になり得る」と語った。

国境を越えた土地投資への流れ止まらず

この取引は、特に当時のラバルマナナ大統領の失脚の一因になったこともあり、強い反発を受け、いくつかの将来の計画が縮小された。中南米など他の国々との取引は、土地そのものではなく、農地の生産高の確保に基づくものなど、より受け入れられやすい形に再構築された。

だが、物議を醸す取引はまだ続いている。セルビアに大規模な土地を所有するアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国を拠点とするエリート・アグロは、マダガスカルと農地取引の契約を結んだ。米国に拠点があるアフリカン・アグリカルチャー(AAGR)は、セネガルでアルファルファを栽培する壮大な計画を立てており、昨年末にはニジェールの土地を巡る契約を結んだ。

ルーマニア系オーストラリア人の鉱山王フランク・ティミシュ氏が所有するAAGRは、6月末にナスダック上場を申請した。AAGRは、セネガルで学校と食料を提供しており、良いことをしているとみなされているとの立場を強調する。しかし、セネガルの一部の地域社会は反発して土地は自分たちのものだと主張し、返還を要求している。

今後も、地元の住民と新たなグローバル地主との間でさまざまな争いが起こると予想される。それにもかかわらず、土地への投資の流れは止まりそうにない。

(2022年7月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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