メキシコで海軍ヘリ墜落 14人死亡、1人負傷

メキシコで海軍ヘリ墜落 14人死亡、1人負傷
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1722B0X10C22A7000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『【ロサンゼルス=共同】メキシコ北西部シナロア州で15日、海軍のヘリコプター「ブラックホーク」が墜落し、搭乗していた14人が死亡、1人が負傷した。シナロア州では同日、海軍と司法当局が米国から身柄引き渡しを求められていた麻薬組織の大物、ラファエル・カロ・キンテロ容疑者の捜索・拘束作戦に当たっていた。海軍などが詳しい状況や原因を調べている。地元メディアなどが伝えた。

海軍などは北部チワワ州との州境近くで潜伏していた容疑者を発見、身柄を拘束した。海軍は現時点でヘリ墜落との関連を示す状況は確認されていないとしている。

容疑者は麻薬組織の元トップで、1985年に米麻薬取締局の捜査官が殺害された事件で服役、2013年に出所した。その後再び麻薬取引や縄張り争いの抗争などに関わっていたとされる。』

ミャンマー総司令官、原発技術でロシアの協力要請か

ミャンマー総司令官、原発技術でロシアの協力要請か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM14EM00U2A710C2000000/

『【ヤンゴン=新田裕一】クーデターで全権を掌握したミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官は16日、1週間のロシア訪問を終えて帰国した。ロシア滞在中は国営原子力企業ロスアトムの幹部らと会談し、原子力発電の導入を視野に協力を要請したとみられる。両国とも欧米の制裁を受けるなか、ミャンマー国軍はロシアとの経済関係の構築を急いでいる。

ミンアウンフライン氏は11日、ロスアトムのリハチョフ社長と会談し、原子力分野での協力について協議した。ロスアトムの発表によると、今回の会談にあわせ、原子力分野の技術者育成などで協力する覚書をミャンマー側と交わした。6月にロシアを訪問したタウンハン電力相もリハチョフ氏と面会し、ミャンマーの電力事情などを説明している。

ロシアとミャンマーは旧軍事政権下の2007年、ロシアが小型の研究用軽水炉を含む核研究施設の建設でミャンマーに協力することで合意した。だが米国などが懸念を表明し、実現しなかった。アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権は、16年に包括的核実験禁止条約を批准するなど、核不拡散を重視する立場を示していた。

21年2月のクーデター以降、ミンアウンフライン氏がロシアを訪問するのは2回目。前回は軍需産業などの視察が中心だったが、今回はそれに加え、大学など科学技術関連の訪問先が目立った。国営宇宙開発企業ロスコスモスの幹部とも会談した。国防省幹部との会合では、軍事関連技術での協力や今後の合同訓練を話し合った。

ロシアはウクライナ侵攻で、ミャンマー国軍は民主派への武力弾圧でそれぞれ欧米の制裁対象となっている。ミャンマーは22年6月、計画・財務相や商業相ら5人の経済閣僚をロシアでの国際会議に派遣した。ロシアとの連携で経済的な孤立の打開を探る。

ただ、ミャンマーとロシアには温度差がある。ミャンマー側は国営紙を通じ「首相」のミンアウンフライン氏のロシア訪問をアピールしたが、ロシア側は「私的訪問」だと説明した。ミンアウンフライン氏に応対したのは国防省で、プーチン大統領との面会は実現しなかった。

7月初旬、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は国際会議に出席するためミャンマー中部の遺跡都市バガンを訪問したが、ミンアウンフライン氏と面会しないまま出国した。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Myanmar-Crisis/Myanmar-seeks-Russian-assistance-in-push-for-nuclear-energy?n_cid=DSBNNAR 』

[FT・Lex]世界的な農地争奪戦が激化 食料安保狙い

[FT・Lex]世界的な農地争奪戦が激化 食料安保狙い
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB191200Z10C22A7000000/

『トランプ前米大統領は在任中、グリーンランド買収に関心を持っていると伝えられ、注目を集めた。デンマーク自治領のグリーンランドはこれに反発し、自らを売り物ではないと宣言した。だが、国境を越えた土地取引は例外的なものではない。

トランプ前米大統領は在任中にデンマーク領グリーンランドの買収に意欲を示し、反発を招いた=ロイター

食料不安がこの動きを加速している。トルコは、人口を養うために新しい牧草地を探している国のひとつだ。インフレが高騰する中、トルコは実現が危ぶまれているスーダンの土地80万ヘクタールの99年間のリース契約を復活させたいと考えている。

「農地収奪に関する情報サイト」プロジェクトのデータを利用して農地のリースを追跡している非政府組織(NGO)のグレーンによると、2016年までの10年間にこのような取引が500件近く行われた。78カ国の3000万ヘクタール以上の土地が取引対象となり、その多くはアフリカにある。このため、水などの枯渇しつつある資源への圧力が強まる。それでも、難民危機や気候変動、戦争によって悪化した食料の奪い合いは、今後さらに激しさを増すと予想される。

民間企業も土地の争奪戦に参加している。08年に韓国の物流企業、大宇ロジスティクスは、マダガスカルの土地130万ヘクタール(ベルギーの面積のおよそ半分に相当)を99年間、無償で貸与される契約を結んだ。当時同社の幹部は、フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、「食料安全保障のためにトウモロコシを植えたい。食料はこの世界で武器になり得る」と語った。

国境を越えた土地投資への流れ止まらず

この取引は、特に当時のラバルマナナ大統領の失脚の一因になったこともあり、強い反発を受け、いくつかの将来の計画が縮小された。中南米など他の国々との取引は、土地そのものではなく、農地の生産高の確保に基づくものなど、より受け入れられやすい形に再構築された。

だが、物議を醸す取引はまだ続いている。セルビアに大規模な土地を所有するアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国を拠点とするエリート・アグロは、マダガスカルと農地取引の契約を結んだ。米国に拠点があるアフリカン・アグリカルチャー(AAGR)は、セネガルでアルファルファを栽培する壮大な計画を立てており、昨年末にはニジェールの土地を巡る契約を結んだ。

ルーマニア系オーストラリア人の鉱山王フランク・ティミシュ氏が所有するAAGRは、6月末にナスダック上場を申請した。AAGRは、セネガルで学校と食料を提供しており、良いことをしているとみなされているとの立場を強調する。しかし、セネガルの一部の地域社会は反発して土地は自分たちのものだと主張し、返還を要求している。

今後も、地元の住民と新たなグローバル地主との間でさまざまな争いが起こると予想される。それにもかかわらず、土地への投資の流れは止まりそうにない。

(2022年7月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

ウクライナ軍、進軍阻止へ反撃 東部ドネツク巡り攻防

ウクライナ軍、進軍阻止へ反撃 東部ドネツク巡り攻防
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR173LZ0X10C22A7000000/

『【ベルリン=南毅郎】ウクライナ軍は17日、東部ドネツク州バフムートへの進軍を試みるロシア軍を反撃により撤退させた。ウクライナメディアが伝えた。ロシアは東部ルガンスク州全域の制圧を宣言しており、隣接するドネツク州でも砲撃を繰り返すなど攻勢を強めている。

ドネツク州との境にあるルガンスク州ビロホリフカ近郊で反撃しているという。ビロホリフカは今年5月、ロシア軍による空爆で学校に避難していた多くの民間人が犠牲になったことで知られる地域。要衝セベロドネツクとも近い激戦地の一つとされる。

ロシア軍によるウクライナへの広範なミサイル攻撃は続いている。北東部の都市ハリコフでは17日にロケット砲が着弾し、ビルなどを破壊。16日から17日にかけては南部ミコライウで大規模なミサイル攻撃があった。ゼレンスキー大統領はロシア軍が破壊した幼稚園や学校、大学などの教育施設は2000カ所を超えると指摘している。

一方、ギリシャ北部カバラ近郊で16日夜、ウクライナの航空会社「メリジアン」が運航する輸送機が墜落した。搭乗していた乗組員8人はウクライナ人で全員の死亡が確認された。操縦士がエンジンのトラブルを訴え、緊急着陸を求めていたという。

ロイター通信によると、輸送機はセルビアからバングラデシュに向かっていた。セルビアのステファノビッチ国防相は、迫撃砲や訓練用の砲弾など計11.5トンを積んでいたと説明している。購入したのはバングラデシュ国防省で、ウクライナでの戦闘とは無関係とみられている。』

欧州ステランティス、広州汽車と合弁解消 ジープ輸入へ

欧州ステランティス、広州汽車と合弁解消 ジープ輸入へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR181VV0Y2A710C2000000/

『【フランクフルト=林英樹】自動車大手の欧州ステランティスは18日、中国国有車大手の広州汽車集団と折半出資する合弁事業から撤退すると発表した。ステランティス側は合弁会社の株式を追加取得し、出資比率を引き上げる方針を明らかにしていたが、「進展しなかったため」としている。今後中国では自社で「ジープ」ブランドなどを輸入して販売する形に切り替える。

両社の合弁会社は2010年3月に設立した。当初は折半出資だったが、22年1月、中国で外資規制が緩和されたため、ステランティスは合弁会社への出資比率を75%に引き上げると明らかにしていた。

ステランティスは「合意した」としていたが、これに対し広州汽車は「株式構成を変える正式な合意には至っていない」との声明を発表。交渉が難航していた。

中国事業の売り上げ不振も合弁解消の決め手になった。合弁会社の21年の販売台数は20年比半減の約2万台で、中国での市場シェアは1%未満にとどまっていた。ステランティスは合弁解消の影響で、22年12月期に2億9700万ユーロ(約420億円)の減損損失を計上する。』

ウクライナ、ロシア軍の弾薬庫集中攻撃か 補給乱れ狙う

ウクライナ、ロシア軍の弾薬庫集中攻撃か 補給乱れ狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR184IR0Y2A710C2000000/

『【パリ=白石透冴】ウクライナ軍は18日、直近24時間で同国南部を占領するロシア軍の拠点3カ所に攻撃を加えたと明らかにした。欧米提供の高精度ミサイルシステムで弾薬庫などを集中的に壊しているとみられ、ロシア軍の補給の乱れを狙っているもようだ。

米CNNが報じた。拠点はいずれも武器、弾薬や装備品などを置いていたとみられる。ウクライナメディアが報じた動画では、砲撃を受けたとみられる拠点が大爆発を起こし、灰色の煙が巻き上がる様子が確認できる。

ウクライナ軍は直近2週間程度にわたり、米国が供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」などでロシア軍の弾薬庫などを立て続けに攻撃している。東部ルガンスク州のガイダイ知事はSNS(交流サイト)で「ロシア軍の砲撃が減っている、保管した場所が破壊されるため、弾薬を車両で運ぶしかなくなっている」と発信し、効果を強調した。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は18日、対ロシア制裁の影響で欧州で物価高が進んでいることに「忍耐」が必要だと語った。「我々の社会の耐久性が試されている。ロシアのプーチン大統領は民主主義がもろいものだと考えており、その通りになるわけにはいかない」などと表明した。仏紙ルモンドが報じた。

欧州ではエネルギーや食料の値上がりが顕著で、各国政府への市民の不満が高まっている。英国ではジョンソン首相が辞意を表明する背景の一つになった。フランスでは6月の国民議会(下院)選挙で与党連合が過半数割れを起こした。

【関連記事】

・米高官、高機動ロケット砲「前線で効果」 ウクライナで
・米、ロケット砲など追加軍事支援 ウクライナに540億円 』

世界の債券価値、半年で2300兆円減 債務依存の成長転機

世界の債券価値、半年で2300兆円減 債務依存の成長転機
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB07B490X00C22A7000000/

『世界の債券価値が急減している。今年1~6月の減少額は17兆ドル(約2300兆円)と、6カ月の期間では遡れる1990年以降で最大となった。各国の金融引き締めで債券利回りが急上昇し、利回りと反対に動く価格は急落した。債券市場が収縮し、債務に依存してきた世界経済が曲がり角に差し掛かっている。下落が続けば、国債を多く持つ金融機関の経営リスクも高まる。

一定の時価総額のある債券を組み込む米ブルームバーグ世界債券総合指数は2022年1~6月に12%下落と、リーマン危機時の08年5~10月(6%下落)などを上回った。国際決済銀行(BIS)が集計する債券残高から推計すると21年末に142兆ドル程度だった債券価値は6月末に125兆ドル程度に減少した。

米バンク・オブ・アメリカによると、国債に限れば1865年以降で最大の下落ペースだ。債券を保有する金融機関や運用会社に広く損失が発生し、投資意欲が大幅に低下している。銀行は利上げに伴って融資する金利を上げているものの、保有債券で損失処理を迫られ運用で苦戦している。

国債では財政に懸念を抱える南欧諸国の国債利回りが上昇している。イタリア政府が6月末に発行した10年債の落札利回りは3.47%と8年ぶりの高水準となった。「エネルギーや食料高で家計を支援するための財政出動圧力が高まり、南欧や新興国の財政が行き詰まるリスクが意識されている」(みずほリサーチ&テクノロジーズの太田智之チーフエコノミスト)

社債では、格付けの低い企業に高い「上乗せ金利」が求められるようになった。オンラインカジノの英888ホールディングスが買収資金のために発行した社債では、引き受けた投資銀行が11%超と高い利回りを提示しても投資家の需要は鈍かった。米ブルームバーグ通信によると、22年1~6月に世界で70件以上の社債発行の案件が延期や中止になった。21年年間の37件の2倍近い。

新興国では金融システムへの不安がくすぶる。新興国政府は国債の買い手として自国の銀行に依存する傾向が強く、自国国債の価格が下落すると銀行の自己資本が減少する「破滅のループ」(国際通貨基金=IMF)が警戒されている。IMFの分析では、銀行の総資産に占める国債の比率は21年に17.2%と、2010~14年の12.7%から上昇している。新興国の銀行の信用格付けは引き下げが相次ぐ。

1998年のロシアや2001~02年のアルゼンチンでは、自己資本が目減りした銀行が貸し渋り、景気に悪影響をもたらした経緯がある。

欧州では新型コロナウイルス対応で発行した国債を銀行が保有し、イタリアでは銀行資産に占める自国国債の比率が12%程度と19年の10%程度から高まった。欧州中央銀行(ECB)は「パンデミックで国債と銀行の関係への不安が再び高まった」と指摘している。

国際金融協会(IIF)によると新興国を含めた世界の債務残高は300兆ドルを突破し、この20年あまりで約3.5倍になった。同期間の国内総生産(GDP)の伸び(約2.5倍)を上回る。

世界の債券利回りが平均1%上昇すれば、借り換えなどを通じ長期には1.25兆ドルの利払い負担の増加となる。低金利の環境下で債務に頼って成長を底上げしてきたが、その前提は揺らいでいる。

(大西康平)

【関連記事】

・[FT]南欧の国債利回り上昇 ECB引き締め転換の副作用
・[FT・Lex]新興国が窮地に、金利上昇で強まる債務圧力
・米低格付け債・レバローンに売り圧力 信用リスクを意識 』

アゼルバイジャン人

アゼルバイジャン人
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E4%BA%BA

『アゼルバイジャン人(アゼルバイジャンじん、Azərbaycanlılar)もしくはアゼリー人は、アゼルバイジャン共和国とイラン北西部を中心として、その周辺地域であるジョージアやアルメニア、イラク北部、トルコ、ロシア連邦内のダゲスタン共和国などに居住しているテュルク系民族である。トルクメン人やトルコ人と親近関係にある民族であり、「アゼルバイジャン・トルコ人」と呼ばれることもある。

なお、イラン国内の人口に占めるアゼルバイジャン人の割合は25%にのぼり、アゼルバイジャン共和国内のアゼルバイジャン人人口をはるかに上回る。人種は元来はモンゴロイドであったが、イランやイラク、アルメニアなどに居住する大半は歴史的な経緯からコーカソイドとの混血を重ねて、現在ではトルコ人同様にコーカソイドに分類されている。

歴史

アゼルバイジャン人の分布(水色)。アゼルバイジャン共和国からイラン北西部にかけて広範囲に居住していることがわかる

11世紀以降中央アジアから移住してきた外来のテュルク系民族と土着のペルシャ人(イラン人)、クルド人、アルメニア人、カフカス系諸民族やロシア人などと混血したことによって形成され、さらに14世紀から15世紀にかけてモンゴル帝国およびティムール朝支配の下、言語的・文化的にテュルク化の影響を多く受けて形成された民族集団である。

分布

クルド人と同様に、中東地域において複数の地域にまたがり居住しており、特にイラン国内では、アゼルバイジャン人がペルシャ人に次ぐ多数派(25%)を形成していることから、これまでにこれらの地域に居住するアゼルバイジャン人主導の統一国家を樹立する試みが幾度となく行われてきた[4]。しかしながら、現在のところイラン国内におけるアゼルバイジャン人の独立運動は沈静化し、アゼルバイジャン人の主導する国家は唯一アゼルバイジャン共和国のみとなっている。なお、アゼルバイジャン共和国では、ナゴルノ・カラバフの領有権をめぐり、隣国アルメニアと激しく対立している。

言語

アゼルバイジャン語はトルクメン語やトルコ語に極めて近く、テュルク諸語の南西語群(オグズ語群)に属する。トルクメン語とトルコ語とは同一言語の変種と見做されることも多く、互いの意思疎通は容易である。

アゼルバイジャン語の表記方法については、アゼルバイジャン共和国では専らラテン文字表記が使用されているが、イラン国内のアゼルバイジャン人はアラビア文字を使用していることや、アゼルバイジャン共和国では長らく旧ソビエト連邦の一共和国としてロシア語の影響(主に学術用語等からの語彙の借用)を受けてきた結果、両者の間には若干の差異が発生している。

宗教

アゼルバイジャン人の多くはイスラム教シーア派(十二イマーム派)を信仰するが、これは16世紀に現在のイランおよびアゼルバイジャンを中心とした地域を支配したサファヴィー朝の影響によるもので、ペルシア人において十二イマーム派が多数であるのと同様の歴史的経緯による。アゼルバイジャン共和国では、トルコと同様に長らく世俗主義が推し進められた結果、世俗化が国民生活レベルまで浸透しており、毎日の祈りやラマダンをはじめとしたイスラム教の戒律は比較的ゆるやかで、飲酒や女性の服装も自由な傾向にある。
遺伝子

アゼルバイジャン人のY染色体は、ある調査では、ハプログループJが31%、ハプログループGが18%、ハプログループR1bが11%などとなっており[5]、言語系統が異なる隣接する諸民族と大差ない。

著名なアゼルバイジャン人

世界的に著名な作曲家を多く輩出してきた。また、格闘技をはじめとするスポーツも盛んである。イランにおいては、政府要人にアゼルバイジャン系の者が少なくない。

ヘイダル・アリエフ(アゼルバイジャン共和国の第3代大統領)
イルハム・アリエフ(アゼルバイジャン共和国の第4代大統領)
ムスリム・マゴマエフ(歌手)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ奏者)
ウゼイル・ハジベヨフ(作曲家)
カラ・カラーエフ(作曲家)
アリエフ・マックモド(格闘家)
アリ・ダエイ(サッカー選手)
ファラ・パフラヴィー(パフラヴィー朝第2代皇帝モハンマド・レザー・パフラヴィーの妻。なお、初代皇帝レザー・シャーの妻もアゼルバイジャン系。)
アリー・ハーメネイー(イランの第2代最高指導者)
ミール・ホセイン・ムーサヴィー(イラン元首相) 』

EU、アゼルバイジャンからガス輸入倍増へ 覚書を締結

EU、アゼルバイジャンからガス輸入倍増へ 覚書を締結
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR183GF0Y2A710C2000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】欧州連合(EU)は18日、アゼルバイジャンからのガス輸入量を2027年までに年200億立方メートルと倍増させることで同国と合意した。供給が細るロシア産への依存を減らすため供給源の多様化を急ぐ。

フォンデアライエン欧州委員長がアゼルバイジャンの首都バクーを訪れ、アリエフ大統領と覚書を結んだ。フォンデアライエン氏は共同記者会見で「EUはロシアから、より信頼できるパートナーに切り替えることを決めた。アゼルバイジャンをそのひとつとして頼れることを喜ばしく思う」と述べた。

両者は年100億立方メートルのパイプライン容量を数年内に200億立方メートルに拡大することで合意した。アゼルバイジャンはカスピ海に油田・ガス田を有するエネルギー輸出国で、20年からはトルコを経由したパイプラインで欧州にガスを供給している。

EUは21年にロシアから全体の4割にあたる1550億立方メートルの天然ガスを輸入していたが、ロシアはウクライナ侵攻を巡る対ロ制裁への報復措置としてEU加盟国への供給を大幅に削減している。

EUや加盟国はロシアがガス輸出を完全に止める事態も念頭に、アゼルバイジャンのほかカタール、西アフリカ、エジプト、米国などから天然ガスや液化天然ガス(LNG)の輸入を増やそうと調整を急いでいる。』

中国が米国債保有を削減、12年ぶり1兆ドル割れ

中国が米国債保有を削減、12年ぶり1兆ドル割れ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN190180Z10C22A7000000/

 ※ 金利の上下と、債券価格の関係、「いろはのい」だが、もう一度確認しておこう…。
 ※ 「国債の金利の先高が予想される」場合、「債券(国債)の価格」は、「下がる」ことが予想される。

 ※ 例えば、「金利2%の国債」を保有している場合、「金利2%」の債権としては、市場で売れない。すぐに「金利3%の国債」が発行されるハズで、少し待って、そっちを購入する方が「お得」なので…。

 ※ そういう場合、「金利2%」の国債の保有者は、「現在の市場価格」よりも、「お安い価格で」売り払う他は無い…。

 ※ そういうことで、「金利先高予想」の場合、債券価格は「下がる」と予想される…。

 ※ 中国も、保有している米国債を「減少して」、米国債の「新規発行(金利の高いもの)」に備えていると、思われる…。

『【ニューヨーク=斉藤雄太】米財務省が18日発表した国際資本統計によると、中国の5月末の米国債保有額は前月比226億ドル(約3.1兆円)減の9807億ドルだった。6カ月連続で減少し、12年ぶりに1兆ドルの大台を割り込んだ。高インフレの米国で国債利回りに上昇(価格は下落)圧力がかかるなか、保有を減らす動きが続いた。米国のロシアへの制裁措置を踏まえ、ドル建て資産の圧縮を進めている可能性もある。

国・地域別の米国債保有で世界2位の中国は直近6カ月間で1000億ドル(9%)減らした。海外全体の保有額は5月末で7兆4215億ドルと336億ドル減り、3カ月連続減になった。世界最大の米国債保有国である日本も1兆2128億ドルと56億ドル減らし、直近3カ月では934億ドル減になった。

背景には米金利の先高観が強まったことがある。止まらぬインフレを受け、米連邦準備理事会(FRB)は3月に始めた利上げのピッチを上げている。米国債の保有を減らす量的引き締めも急ぐ考えを示し、6月に開始した。米長期金利の指標になる10年物国債利回りは昨年末の1.5%程度から5月に一時3%を突破。金利の急上昇で保有する国債に損失が生じることを警戒する海外投資家が持ち高を減らしている。

中国の保有削減は、ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁が影響しているとの見方もある。米国はロシアの抱える外貨準備を凍結するなど、ドルの利用を封じる措置を取った。外貨準備の多くを米国債で運用する中国からすると、米中の緊張関係が高まった際に同様の制裁を受けるリスクがある。中国は貿易摩擦が強まったトランプ前政権時代から米国債保有を徐々に減らしてきたが、足元で削減を加速している。

【関連記事】

・米インフレ加速 FRB、迫られる利上げ幅見極め
・中国、制裁に身構え 人民銀元委員「外準凍結は想定外」

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

外貨準備をどう運用するかについては、3つのチェックポイントがある。日本の財務省HPには「外国為替資金特別会計が保有する外貨資産は安全性及び流動性に最大限留意した運用を行うこととし、この制約の範囲内で可能な限り収益性を追求するものとしています」とあり、これが普通の考え方だろう。「安全性」「流動性」が十分確保できる範囲内で「収益性」を追求するということ。FRBの利上げにより短期金利が上昇してヘッジコストがかさむ中、米国債よりもやや高い利回りが享受できる債券へ運用先をシフトするなど、中国当局が収益性で工夫している可能性はある。その一方、将来の対米関係を考慮しつつドル以外にシフトすることも考えられる。
2022年7月19日 8:12
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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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分析・考察

中国にとってウクライナ戦争は学習の機会。その一つが、アメリカや西側諸国の対露制裁メニューだ。そのメニューの一つ一つが自分に向けられた場合のことを想定し、事前に対応できるものは対応する。米国債の保有については、ある意味で抑止力になると言われたこともあるが、ウクライナ戦争に際してドル建ての資産は「有事」に際してはむしろ制裁対象になって運用できなくなることがわかったので、漸次保有を減じていくということだろう。無論、経済的合理性に基づいているということも言えるだろうが、中国、とりわけ政治や党の「国益」は経済的合理性に限定されず、総合的な判断に因る。米国債減少も「有事」を想定した総合的判断に因るのだろう
2022年7月19日 7:18
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

中国のこれまでの外貨準備の仕方を見ると、地政学的な問題に対する備えや対処というよりは、経済的な合理性から判断しているように思われる。ただ、米ドル資産を抱えすぎていることがリスクになっているという認識はあるだろうし、将来的にドルの国際的な優位性が劣れば、米ドルを保有する意味は下がってくるだろう。今回はロシアのウクライナ侵攻への反応というよりは、総体的なリスクの管理としてのドル資産の圧縮と、ドル覇権の終わりの可能性を見通しての判断なのではないかと思われる。
2022年7月19日 9:22
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

こういう問題について単純な結論に飛躍するのは禁物である。まず、経済学的に考えれば、中国政府が発表している外貨準備が減っていないことから、人民銀行が保有する外貨準備の中身が調整されている可能性が高い。急速なドル高を踏まえ、ドル建て資産を少しユーロなどに振り向けたほうが短期的に合理的と思われる。そして、外貨準備を一定額保有する本来の目的は国際貿易の対外支払いリスクをヘッジするためであり、一般的に輸入の6か月分は一つの目安。そして、米国債の増減をウクライナ戦争と関連付けるのは少々論理的に飛躍している感じがする。3兆ドルもの外貨準備を保有する人民銀行が安定性と収益性を重視するのは当然と思われる
2022年7月19日 7:54 』

台湾、戒厳令解除から35年 今なお残る社会の「分断」

台湾、戒厳令解除から35年 今なお残る社会の「分断」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1577J0V10C22A7000000/

『【台北=中村裕】1987年まで38年間続いた台湾の戒厳令が解除されて15日で35年を迎えた。中国から台湾に逃れ、49年に全土に戒厳令を敷いた国民党が、台湾にもともと住む「本省人」などの言論の自由を奪い、逮捕・投獄し、台湾社会は分断された。台湾は変わったのか。35年たった今も分断はなお続き、社会に暗い影を落とす。

前総統で、親中国路線を敷く最大野党・国民党の馬英九氏は6月29日、台湾南東部、本島から33キロメートルの距離にある離島の「緑島」を訪れた。向かった先は戒厳令下で政治犯の扱いを受け、多数の人が収容された監獄「緑洲山荘」跡地だった。

私的な訪問ながら、記者が「戒厳令解除から35年たち、今何を思いますか?」と問うと、馬氏は言葉を選びながら、こう応えた。

「今は台湾も(民主化され)開放的になった。過去とも向き合い、そこから学ぶことができるようになった。それは良いことだと思う」。言葉には、台湾が背負ったものの重さが詰まっていた。

多数の政治犯扱いされた人々が次々に投獄された「緑洲山荘」(6月28日、台湾南東部の離島、台東県・緑島)

国民党とともに中国から台湾に渡った「外省人」である馬氏はかつて、戒厳令を仕切った蔣経国元総統(蔣介石氏の息子)の秘書を務め、何度も緑島を訪れていた。「省籍矛盾」といわれる外省人と本省人の対立。現在の台湾社会を形づくった原点ともいえる傷痕が、周囲を海で囲まれた「監獄島」の緑島には今も息づく。

戒厳令が本格的に始まった50年。国民党の独裁政権に「政治犯」とみなされた本省人などが、次々と逮捕された。「毎晩、拷問される人の泣き叫ぶ声が聞こえ、多くの死刑宣告も聞き、本当に恐ろしい日々だった」。自らも10年の懲役刑を受けた蔡焜霖さん(91)はそう当時を振り返る。蔡さんは翌51年、第1陣として1000人の若者らとともに、この緑島に船で送られ、投獄された。

国民党が「いつかは中国大陸を取り戻す」と台湾から機会をうかがい、自由な言論を封じた末に、世界最長ともいわれ38年間にも及んだ戒厳令。だが数万人、数十万人ともいわれる犠牲者を出した悲劇の全貌は解明されず、台湾社会は今に至る。

「監獄島」と呼ばれた緑島は、台湾南東部に浮かぶ人口3000人ほどの小さな島。1950年代、一般市民が政治犯扱いされ次々に送り込まれた(6月28日)

被害者の多くは、世間からの誤解や誹謗(ひぼう)中傷を恐れ、口をつぐんだ。国民党は過去の究明は、自らの追及になると避けてきた。「台湾民主化の父」と呼ばれた李登輝・元総統でさえ、99年に緑島を訪れ、台湾トップの立場として初めて過去の過ちを謝罪するのがやっとだった。

加害者さえ特定されず、遺恨を残したままの台湾の社会には今も根深い分断が続く。外省人が主に支持する国民党と、本省人の支持者が多い蔡英文(ツァイ・インウェン)総統率いる民主進歩党(民進党)の対立は激しいままだ。中国関係を巡っては真っ向から対立し、内政や社会のそこかしこで分断を生み、推進力を奪うことも少なくない。

「過去を直視してこそ、未来を創造できる」。蔡総統が新法を成立させてまで、戒厳令下の本省人などへの弾圧「白色テロ」の真相究明を決めたのは、2017年末のことだ。

その関係委員会による最終結果が5月27日、公表された。だが4年間を費やした調査内容は真相究明には程遠く、被害人数が2万人強だったなどの報告にとどまった。責任の追及はあいまいなまま、台湾社会の注目も浴びることなく、同委員会は今夏、静かに解散した。
元投獄者「言論を奪われたかつての台湾、今の香港に」

政治犯として台湾の緑島に投獄された蔡焜霖氏(91)。当時の恐ろしさを語った(7月1日、台北市内の自宅で)
蔡焜霖さんは現在91歳。台湾の戒厳令下の1950年に政治犯として突然、当局に逮捕され、台湾南東部の離島、緑島の監獄に送られた。87年の戒厳令解除から30年後の2017年の追悼式典では政治犯の犠牲者代表として演説を行った。
――なぜ逮捕されたのですか。
「高校の時に、反政府組織に入っていたというあらぬ疑いをかけられた。役場勤めの19歳の時に突然、警察に拘束され、10年の懲役刑を受けた」
――当時の状況は。
「当局による白色テロの嵐が始まり、街は非常に緊迫していた。私は米軍の揚陸艦に1000人ほどの人たちと(北部の)基隆港から乗せられた。手錠をはめられたままどこに行くのかも分からず、台湾海峡か太平洋に捨てられ溺死するのかとおびえた」
――行き着いた先の緑島での生活は。
「獄中は地獄だったが、みんなは団結していた。午前は思想教育で共産党の批判、共産主義の残虐性などを学び、午後は過酷な労働が続いた」
1950年に政治犯として逮捕され、緑島の監獄に送られた当時の蔡焜霖さんはまだ19歳だった(6月28日、台東県・緑島)
――戒厳令解除から35年経ち、今の思いは。
「戒厳令の解除は蔣経国元総統のおかげだという人がいるがデタラメだ。人民が一生懸命に街頭で戦い、自由を勝ち取ったのだ。戒厳令の加害者は誰であるのかをはっきりさせ、35年経っても責任は追及しなければならない」
――今の台湾はどのように映っていますか。
「2016年に蔡総統が就任し、台湾はようやく本当の民主化へと進み、正義が進展した。蔡総統のおかげで今や台湾も『世界の孤児』ではなくなった。戒厳令解除から35年間の台湾人の努力が、蔡政権の過去5年間に詰まっている」
――台湾の若者には何を伝えたいですか。
「歴史を正しく理解してほしい。きょうの香港があすの台湾だという人がいるが、それは歴史を知らない。言論の自由を奪われ、台湾でかつて起きた残虐なことが今、香港で起きようとしている。歴史を繰り返さないためにも台湾の若者には、台湾で過去に起きたことへの責任を追及し、正義への転換を成功させてほしい」
(聞き手は台北=中村裕)』

〔地政学(その6)〕

【人事部長の教養100冊】「歴史入門」F.ブローデル
https://jinjibuchou.com/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E5%85%A5%E9%96%80

 ※ この人のことは、知らんかった…。

 ※ 地政学関係の文献、読んでて、出てきたんで、ちょっと調べた…。

 ※ 地政学の学者というよりも、「歴史学者」として有名な人らしい…。

『「歴史入門」
フェルナン・ブローデル

目次

基本情報
どんな本?
著者が伝えたいこと
著者
こんな人におすすめ
書評
要約・あらすじ
学びのポイント

基本情報

初版   1995年(日本)
※原書は1985年発行「資本主義のダイナミズム」
出版社  中央公論新社等
難易度  ★★☆☆☆
オススメ度★★★☆☆
ページ数 193ページ
所要時間 2時間00分
どんな本?

歴史を史実の羅列ではなく、3つの時間軸(地理的(長期)、社会的(中期)、個人的(短期))と3つの階層(日常生活、市場経済、資本主義)で捉え、歴史学に変革をもたらしたブローデルの入門書。

著者が伝えたいこと

歴史は、瞬く間に過ぎていく個人史及び出来事史という「短期」、ゆっくりとリズムを刻む社会史である「中期」、最も深層において、ほとんど動くことのない自然や環境、構造という「長期」があり、特に「長期」を重視すべきだ。

例えば産業革命も、それ単体で見るのではなく、その下層部にある日常の経済生活や市場経済、周辺部にある奴隷制や農奴制等の在り方など、産業革命に至る長期的流れと合わせて把握すべきである。

著者

フェルナン・ブローデル(1902 ? 1985)

ブローデル

フランスの「アナール学派*」を代表する歴史学者。 20世紀の最も重要な歴史学者の1人に数えられる。代表作は『物質文明・経済・資本主義』。

パリ大学卒業後,9年間アルジェリアのリセで教え,地中海地方に興味をいだいた。その後ブラジルのサンパウロ大学を経て,パリの実務高等研究学校の教授となる。

第2次世界大戦ではドイツ軍の捕虜となり,約5年間ドイツの収容所で暮した。その間,記憶から書上げた博士論文をもとにして著わした『フェリペ2世時代の地中海と地中海社会』 が代表作となった。 84年にはアカデミー・フランセーズの会員に選ばれている。

アナール学派・・・政治、外交、戦争中心だったそれまでの歴史学を批判し、気候や地形、農業、技術、交通、通信、社会グループ、精神構造なども含めた経済学・統計学・人類学・言語学等を横断する社会史の視点を尊重した一派。アナールは「年報」の意で、彼らが発刊した雑誌名から名付けられた。

こんな人におすすめ

歴史を俯瞰的に眺めてみたい人、アナール学派に関心のある人

書評

日本語版のタイトルは『歴史入門』だが、原題は『資本主義のダイナミズム』。歴史学というより、社会学や経済史に近い。

それほど難しいことは書いていないのでスラスラ読める。しかし、ブローデルの自著である『物質文明・経済・資本主義』を講演用に要約した内容となっているので、「ああ、資本主義の歴史を時系列でではなくて、構造的に把握しようとしているのだな」と大括りで理解できれば十分だろう。

歴史入門 (F・ブローデル)

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要約・あらすじ

第一章 物質生活と経済生活の再考

■歴史の根底には、人間の無意識の習慣・行動がある。例えばヨーロッパは地理的に小麦が適しており、家畜と結びついて肉食となって体格を増した。アメリカ大陸はトウモロコシを選んで余剰労働力で公共工事を促進した。

■ヨーロッパの市場経済は、14世紀のペスト流行からの回復期以降に発展した。15世紀には各地に市ができ、16世紀にはアントワープ等の国際的大市ができ、17~18世紀にはアムステルダムやロンドンが国際金融センターとして機能するようになる。

■ヨーロッパの経済は、取引所や信用形式といった道具と制度によって、他地域より発展していた。日本やマレー半島、イスラム世界もほぼ同様だが、自給自足的経済を続けた中国は大きく出遅れていた。

第2章 市場経済と資本主義

■人々が村で自給自足的に生活している段階を「物質生活(=日常生活)」と呼ぶなら、次の段階はそれらを交換することにより発生する「市場経済」である。

■小売業や卸売業といった市場経済の基礎部分は、取引が透明で、競争原理が働く。しかしその上に乗る資本の動きは、船主であれ保険業者であれ銀行家であれ、少数の者に握られていて、一般市民からは見えにくい。

■封建体制では、土地という富の源泉が次世代にも相続される、安定した秩序を保っていた。そして資本主義でも、商取引・高利貸し・遠隔地交易・行政上の役職等を通じ、何世代かにわたってゆっくりと領主階層の富がブルジョアに移転していった。

■しかし、この傾向が見られるのはヨーロッパと日本くらいである。例えば中国は国家が土地を所有して徴税し、経済を監視・統制していた。商人と官吏との腐敗はあったが、大きな力を持つには至らなかった。イスラム世界でも、土地は世襲ではなく、領主が死ねば、その土地と全財産はスルタンなり皇帝なりに戻された。

■つまり、資本主義の発展と繁栄には、社会秩序の安定性と、国家による経済への中立性という社会的条件が必要なのである。

第3章 世界時間

■歴史的に世界には「経済圏」が存在してきた。ローマ時代のローマとアレクサンドリア、14世紀のヴェネチアとジェノヴァ、18世紀のアムステルダムとロンドン、欧州外ではロシア、トルコ帝国、インド、マレー半島、中国などである。

■これらの「経済圏」が資本主義の母体となった。経済圏は常に経済力の強いところへ移動していく。ヨーロッパで経済圏が地中海から北海へ移動したのは、宗教の差でも、商才の差でもなく、単に北海近辺の商人が自分たちの粗悪品にヴェネチアの商標を付けて売りさばくような争いの結果に過ぎない。

■同時に、そのような経済圏の周辺には、奴隷制、農奴制といった前近代的な制度も併存していた。奴隷的労働が無ければ、資本主義は成り立たない。奴隷制→農奴制→資本主義と順番に出現してきたわけではない。

■イギリスで産業革命が起きたのは偶然ではない。まずその底辺には「日常生活」があった。技術革新の多くは職人が生んだものであるし、産業家も多くは下層階級だった。次に力強い生産と交換のプロセス、つまり市場経済があった。加えて、市場の拡大や労働力の確保等の条件が揃っていたのである。

学びのポイント

地理的時間軸(長期)

ヨーロッパが選択した小麦は、定期的に大地を休ませることを必要とし、家畜の飼育も必要とした。この結果ヨーロッパでは常に農業と家畜が結びつき、肉食の傾向を帯びることになった。

一方、米の栽培には動物の入り込む余地はなく、米作地域では肉食は少ない。トウモロコシは生産性が高く、アメリカ大陸の農民への強制労働を可能にした。(要約)

ブローデルが、歴史を見る上で必要とした3つの時間軸の一つ「地理的時間軸」に関する例示。直接的にではないにせよ、地域に拠る主食の違いが、その後の歴史に大きな影響を与えている可能性があるという内容。これは普通、歴史の教科書には書かれない。

最近ではアメリカの地理学者であり医学者ジャレド・ダイヤモンドが、著書『銃・病原菌・鉄』でこの点に着目し、民族や集団による権力の集中度合いや技術の差は、固有の遺伝的優位性によるものではなく、主に環境の差異に起因していると主張した。

マックス・ヴェーバーへの批判

歴史的に、キリスト教会は利付き貸出について反対の姿勢を貫いてきた。

マックス・ヴェーバーは、こうした資本主義に対する疑念は宗教改革によって初めて解消され、それが北ヨーロッパ諸国における資本主義の躍進に繋がったとするが、それはいささか短絡的であり、誤っている。

北ヨーロッパ諸国はただ、それ以前に、長きにわたって反映し続けてきた地中海沿岸の資本主義を引き継いだだけなのである。北ヨーロッパは、技術の面でも商業の面でも新しいものを生み出さなかった。

アムステルダムはヴェネチアを模倣し、ロンドンはアムステルダムを模倣し、NYはロンドンを模倣した。それは世界経済の重心が移動しただけであり、地中海から北海への中心の移動も、新興地域による旧勢力への勝利を意味するだけである。

ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において、概ね以下のように主張した。

・プロテスタントにおいては「人間が救われるか救われないかは予め決まっている」という予定説を採る。

注)なお、カトリックは「○○すれば天国に行ける」という因果説を採る。もともとプロテスタントは、ローマ教皇レオ10世が「この贖宥状(免罪符)を買えば天国に行ける」と資金集めしたことに対抗する勢力だった。

・自分が救われるかどうか分からないという状況は、人間に恐怖と緊張状態を強いる。よってプロテスタントでは、神から与えられた職業(=天職)に励むことで救済を確信する証を得ることを奨励された。

・また、天職に励んだ結果としての蓄財も、安くて良質な商品やサービスを人々に提供したという「隣人愛」の実践の結果として肯定された。

・この「禁欲的な労働」と「利潤追求の正当性」が資本主義の発展に寄与した。

・カトリック圏である南ヨーロッパ諸国では、日が昇ると働き始め、仲間とおしゃべりなどをしながら適当に働き、昼には長い昼食時間をとり、午後には昼寝や間食の時間をとり、日が沈むと仕事を終える。実質的な労働時間は短く、おおらかで人間的ではあるが、生産性の低く資本主義には馴染まない。

一方、ブローデルは「いやいや、単に経済の覇権が地中海から北海方面に移動しただけでしょ」と主張する。

どちらが正しいかは難しいところだが、カトリック教徒が多かったヴェネチアやジェノヴァでもそれなりに経済が発展していたことを考慮すると、「利潤追求に対する後ろめたさが和らいだ」というヴェーバーの主張はあまり正しくないのかもしれない。

しかし、「禁欲的な労働」という側面では、南欧諸国の人々が北欧諸国に比べると、おおらかで若干怠惰な面があるのは事実だろう。事実、EUのお荷物と言われている国々には地中海沿岸国が多い。ユーロ圏で財政状況がとりわけ厳しいポルトガル(Portugal)、イタリア(Italy)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)の4カ国は、その頭文字を取ってPIGSと呼ばれている。

もっとも、これも宗教的な違いではなく、単なる気候の差なのかもしれない。温かい地域の人々は、気候も安定しているため、それほど苦労せずに穀物を育て、食料を確保できる。しかし、寒冷な地域の人々は、痩せた土地で冷害にも苛まれながら、様々な工夫を凝らして生活を成り立たせている。そして自然と勤勉になる。

世界に視点を広げてみても、主に熱帯である赤道~北緯・南緯30度くらいまでは、いわゆる先進国は見当たらない。気候が人々の気質に影響を与える一つの要因である、よい例ではないだろうか。

OECD加盟国

歴史入門 (F・ブローデル)

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〔地政学(その5)〕

地政学の基礎用語まとめ(ハートランド、リムランド、グレートゲーム 等)
https://hotnews8.net/society/world/geopolitics

『地政学の基礎用語まとめ(ハートランド、リムランド、グレートゲーム 等) – GHQが日本に禁じた学問とは?

「なぜウクライナ危機は発生したのか?」

「アメリカが日本に軍事基地を置く真の目的は?」

地政学は国家安全保障上、絶対に欠かせない学問。ゆえにGHQは日本人による地政学の研究を禁止。日本の第一人者たちは公職追放され、関連書籍は焚書された。

日本政府もメディアも国民に説明しない(できない?)地政学上の背景を知ることは、我が国の国益に資する。

日本のエリートが軍事学・地政学に通じていないことは大問題なのだ。
目次

地政学とは?
ハートランド理論 - ランドパワー
リムランド
ワールドシー理論 - シーパワー
マージナルシー
シーレーンとチョークポイント
大陸 vs 海洋の攻防史
英露「グレートゲーム」
英国流 バランス・オブ・パワー
地政学の歴史 - 帝国主義とグローバリズム
日本で地政学は禁止

地政学の基礎用語まとめ(ハートランド、リムランド、グレートゲーム 等) – GHQが日本に禁じた学問とは?
地政学とは?

地政学(Geopolitics)とは「19世紀 欧米列強が、帝国主義を展開する上で発展した 軍事戦略の学問」。

地理的条件が国家の政治・経済・軍事に与える影響を研究する。
ハートランド理論 – ランドパワー

地政学まとめ-ハートランド他
ランドパワー ユーラシア大陸にある大陸国家

  • ロシア、ドイツ、中国
    提唱者 英国のハルフォード・マッキンダー卿
    特徴 道路、鉄道を利用した輸送能力が高い
    強い陸軍、徴兵制
    農業が社会基盤
    主張 ハートランドを制するものは、世界を制する

ハートランド

地政学-冬のハートランド

ほぼ現在のロシアの位置に相当。
世界最大である アフロ・ユーラシア大陸(世界島)の最奥部にあり、南側は巨大な山脈と広大な砂漠、北側の海岸線は凍結するため 制圧はほぼ不可能。
広大な領土ゆえに食糧の自給自足が可能。

かつては欧州を支配したナポレオン、ヒトラーですら撤退した難攻不落エリア。

現在では、莫大な天然資源を保有していることも判明。21世紀でも 欧州のエネルギー供給源であり、マッキンダー卿の時代よりも存在感が増している。

東欧制圧がポイント

地政学-マッキンダーの法則

マッキンダーは、21世紀のウクライナ危機にも通じる有名な格言を残していた。

東欧を制するものはハートランドを制し、
ハートランドを制するものは世界島を制し、
世界島を制するものは世界を制する。

ハルフォード・マッキンダー

南のハートランド

あまり注目されないが、サハラ砂漠以南のアフリカ大陸南方を「南のハートランド」と見ることもできる。居住は困難だが、豊富な天然資源に恵まれている。

金本位制による世界覇権のため、大英帝国は 南アフリカ共和国の金鉱脈とダイアモンドを強奪。海の要衝、希望峰も抑えた。

地政学-南北ハートランドとアラビア半島
アラビア半島 – 南北ハートランドの交差点

南北のハートランドを連結するのがアラビア半島。マッキンダーがその重要性を指摘したのは、石油資源の発見よりも早い。つまり、アラビア半島は石油がなくとも重要な拠点。
特にアラビア半島の付け根イスラエルは、地中海にも面しており、東西南北、アジア・欧州を結ぶ世界の中心ともいえる要衝。ゆえに戦争が絶えない。

マッキンダー地政学『ハートランド』 – ウクライナ危機、NATO東方拡大の正体とは?ウクライナ危機2022はなぜ起こったのか? この問いに対する答えの一つが、マッキンダー地政学「ハートランド理論」

リムランド

地政学-リムランド
位置 ハートランドの外円部
(欧州~中東~インド~東アジア)。
日本、台湾、朝鮮半島、インドシナ半島
特徴 温暖で雨量も多く、農業が発展
経済活動に適し、人口も多い

極寒地域であるハートランドが進出したり、大陸に進出するシーパワーが上陸することで衝突も起こりやすい地域。第二次世界大戦は リムランド争奪戦だったとの見方もある。

リムランドを制するものは ハートランドを制し
ハートランドを制するものは 世界の命運を制する。

スパイクマン

リムランドとその周辺の別称
危機の弧 マッキンダー
不安定の弧 米国防総省
自由と繁栄の弧 第一次安倍内閣の価値観外交
(麻生外相)
バッファゾーン

緩衝地帯。大国同士が直接衝突することを防ぐ役割を果たしている地域や国。代理戦争が発生しやすい。

朝鮮半島 日本、中国、ロシア
バルカン半島
(ユーゴスラビア) NATO諸国、ロシア
東欧
(ウクライナ) NATO諸国、ロシア
シャッターゾーン

社会的な分断要因があり、政治的に不安定な地域。分断要因とは、民族、言語、宗教など。
位置 バルカン半島、中東など
特徴 大国から分断を利用した干渉を受けやすい
紛争が頻発

ワールドシー理論 – シーパワー

地政学-ワールドシー
シーパワー 国境の多くが海に面する海洋国家

  • 日本、英国、米国
    提唱者 米国の海軍士官アルフレッド・マハン
    特徴 長い海岸線と良湾
    強い造船業と海軍、志願制
    植民地が多い
    主張 ワールドシーを制するものが、世界を制する

米国がハートランドを直接制することは不可能。ゆえにマハンがハートランド周辺のリムランド、マージナルシー(後述)を制することで、世界支配できる方法を考案。

海洋国家は海外へ進出しやすいので、世界中で植民地を獲得し帝国を構築。

ワールドシー

太平洋と大西洋という大きな海洋。

ワールドシーにおける世界の物流、軍事行動を支配すれば、世界を制覇できる。現時点ではアメリカの影響力が強い。
マージナルシー

地政学-マージナルシー

大陸外側の弧状列島、半島、群島に囲まれた海域。つまり、リムランドを囲む海。まさに日本を取り囲む海域。

中曽根総理は日本列島を「不沈空母」と称した。

ベーリング海
オホーツク海
日本海
東シナ海
南シナ海

マージナルシーを支配することは、リムランドの支配に繋がる。そして リムランドを支配するものは、ハートランドを制する。

在日米軍基地の意味

米軍がマージナルシー周辺部である横須賀、沖縄に重要拠点を築いているのは、ワールドシーを支配しておくため。日本防衛が真意とは限らない。

シーレーンとチョークポイント

海洋国家が制海権を持つためには シーレーンの安全確保と、そのためのチョークポイント支配が必須。

シーレーン

自国の貿易を守る安全な海上交通路のこと。

7つの海をくまなく支配するのは膨大なコスト。海上交通路シーレーンを確保することが、すなわち海洋の支配を意味する。

地政学-シーレーンとチョークポイント
日本のシーレーン

日本がシーレーンを安全確保できない場合、石油エネルギーの99.7%が不足。国家の生死に直結する。

台湾、尖閣諸島、沖縄の防衛を絶対に譲歩してはならないし、自衛隊がソマリア沖、アデン湾を防衛する理由だ。

チョークポイント

地政学-チョークポイント

シーレーンを確保するための要衝となる海峡や運河。低コストの防衛で莫大な効果を望め、通航料も徴収できる。

世界規模では約10ヶ所前後存在し、その多くで英米の影響力が強い。

マラッカ海峡
ホルムズ海峡
スエズ運河
パナマ運河

大陸 vs 海洋の攻防史

地政学-ランドパワー、シーパワーの比較

歴史的にランドパワーとシーパワーは衝突を繰り返してきた。
10?15世紀 ランドパワー優位
物流は陸路中心
15?19世紀 シーパワー優位
大航海時代
スペイン無敵艦隊。大英帝国
19?20世紀 ランドパワー優位
鉄道網の発達
ドイツ、ロシア台頭
20世紀後半 シーパワー優位
戦勝国アメリカと その同盟国日本が台頭

リムランド、マージナルシーでの激突

守りに強く、攻めに弱いのがハートランド。ロシアは極寒ゆえに守備は鉄壁だが、不凍港を求め南下政策も実施。
シーパワーは海上交通の安定のため、ユーラシア大陸周辺の良港・良湾を獲得、維持したい。

ここで両者が衝突するのがリムランドであり、マージナルシー。世界規模の軍事衝突は多くがこのエリア。二次に渡る世界大戦も発生。

地政学-リムランド・マージナルシー、陸vs海
1950年~ 朝鮮戦争
1955年~ ベトナム戦争
1991年~ 湾岸戦争
2001年~ アフガニスタン戦争
2003年~ イラク戦争
「ランドパワーとシーパワーは両立できない」

ローマ帝国(ランドパワー)海洋進出で国力低下
大日本帝国(シーパワー)大陸進出で国力低下

尖閣諸島や沖縄、南シナ海という第一列島線への進出を狙う中国。地政学上のセオリーでは、中国の一帯一路という野望は挫折することがわかっている。
ディープステートの野望『新世界秩序』とは? – 1%による99%支配計画コロナパンデミックによるショックドクトリンでグレートリセットが懸念される中、新世界秩序(New World Order)計画が
英露「グレートゲーム」

19世紀以降の海洋国家イギリスと、大陸国家ロシアの覇権争いはグレートゲームと称される。両者はチェス盤で陣取り合戦をするかのように、クリミア、アフガニスタンを奪い合った。

地政学-英露グレートゲーム
日露戦争はグレートゲームの代理戦争

日露戦争は、東アジアにおける英国の補完戦力として扱われた日本が、結果として英国のために戦ったグレートゲームの一環。
ウクライナ危機もグレートゲーム

冷戦とそれ以降のグレートゲームは、米国が英国を引き継ぎ継続。2022年のウクライナ危機もグレートゲームの文脈で理解できる。

今日に継続するグレートゲームについては後日、別稿で言及する。

英国流 バランス・オブ・パワー

勢力均衡戦略。特定国家が突出して強力にならず、勢力を均衡させて国際秩序を守るメカニズム。

かつての大英帝国のお家芸であり、冷戦以降もアメリカがその伝統を継承。

地政学-バランス・オブ・パワー
「サクッとわかる教養地政学」より
英国流バランス・オブ・パワー

地政学-英国流バランス・オブ・パワー

大陸国家ドイツやロシアが発展すると、フランスをそそのかしたり、独露両者を対決させたりするなどの外交術で力を発揮。漁夫の利を得て来た。
ディープステートの戦略①『両建て作戦』 – ネオコンも共産主義もDeepStateが産みの親?ディープステートの手口①『両建て作戦』について解説。左右に武器を販売。なんと東西冷戦ですら彼らの茶番

地政学の歴史 – 帝国主義とグローバリズム

地政学(Geopolitics)は、1899年 スウェーデンの政治学者ルドルフ・チェーレンが初めて用いた用語。

国破れて山河あり
杜甫

世界の地理は基本的に時代を超えて同じ条件であり、それを前提に各国の戦略は練られている。ゆえに、地政学は現実的な学問だ。

戦争の原因がイデオロギーなどの建前よりも、領土や資源の獲得という本音を 地政学は隠さない。

帝国主義 = グローバリズム

19世紀産業革命で欧州列強が手にしたパワー。列強は帝国主義による植民地政策を促進。海洋国家である大英帝国が全盛期を迎える一方、大陸国家であるドイツ、ロシアも勢力を拡大。

帝国主義という体裁をしたグローバリズムが、欧州列強のパワーバランスを揺るがしていた。

ディープステートの戦略②『国際協調主義』 – 外圧で国家を上から支配?国連、EU、WTO、IMFなどの国際機関は、平和を装いながら 世界中の国家主権を剥奪してきた。その目的は世界統一市場による新世界秩序。民主主義選挙を経ないでこっそり各国を支配するその手口とは?

地政学の誕生

こうした背景で地政学の原型が発展。

地政学開祖の一人とされるハルフォード・マッキンダー卿は、英国の覇権が維持されるための道を真剣に考えた。

その結論こそ「ハートランドの支配が世界覇権を決すること」であり、ゆえに英国がソ連を封じる必要性を主張した。

地政学とグローバリズム

こうして振り返ると、地政学の誕生は帝国主義と関係している。帝国主義の最終形態は世界制覇。つまり世界統一政府であり、それはすなわちグローバリズム。

海洋国家 英国のマッキンダー卿が、大陸のハートランド理論を主張したことは興味深い。大英帝国には大陸を牛耳り、世界を覇権する野心があることを示唆している。

別稿で解説する予定だが、英国の世界覇権志向を継承したのが、21世紀の米国である。

英米に潜むグローバリズム

本稿でまとめた地政学は主に英米流の地政学だが、英米の根底にグローバリズムが潜んでいることを感じたのではないだろうか。

極論を言えば、各国が自給自足すれば世界は平和であるはず。帝国主義は植民地から資源・資産を奪う思想だ。

英米の地政学は世界制覇を前提としている。

日本で地政学は禁止

日本地図

敗戦国である日本とドイツにおいて、地政学がタブーとなった理由はなんだろうか。

ドイツ地政学は封印

ドイツの地理学者カール・ハウスホーファーの理論は 日本やナチスにも影響を与えた。

ドイツがソ連や日本との同盟
輸入に依存しない国家経済の自給自足
生存圏*

ハウスホーファーの主張は連合国(英米)にとって不都合なものばかり。これでは日独露がそれぞれ発展してしまうし、ユーラシア同盟を結成されてしまえば手がつけられない。
ハウスホーファーはナチスを正当化したとの理由で批判を受け、戦後まもなく自殺。以後、ドイツにおいて地政学はタブー扱い。

*生存圏 – 国家が生存するために必要な政治的支配が及ぶ領土。人口増加に伴い資源が必要になれば、その生存圏を拡張するのは国家の権利であるとも主張した。

日本の取るべき進路

彼を知り己を知れば百戦殆うからず
孫子

GHQは日本での地政学を禁じ、焚書までした。GHQは日本国民が地政学の意味を理解することを非常に恐れたのである。それはGHQ、在日米軍の正体を知られることでもあったからだ。

21世紀の日本人は 今こそ地政学を再発見すべき時だ。日本は地政学上、世界覇権の趨勢を決する要衝なのだから。

そして地政学を学ぶことは、日本のアイデンティティを深化させてくれるはずだ。

マッキンダー地政学『ハートランド』 – ウクライナ危機、NATO東方拡大の正体とは?ウクライナ危機2022はなぜ起こったのか? この問いに対する答えの一つが、マッキンダー地政学「ハートランド理論」
東欧カラー革命(色の革命)手法と事例まとめ – ソロスとCIAが政権転覆!2020アメリカ大統領選が当初から予想された通り、不正選挙疑惑で泥沼化。「東欧カラー革命」「アラブの春」がディープステート
戦争ビジネス①金融編 – 「死の銀行家」が戦争を扇動・拡大・長期化!? 戦争はなぜ起こるか?戦争はなぜ起こるのか?中央銀行、通貨発行権、金融ビジネスというタブーから迫ると国際金融資本がネオコン
ディープステートとは? トランプ演説による「世界とアメリカを牛耳る裏の支配者」について世界とアメリカの裏の支配者ディープステートとは? 左派ユダヤのグローバリストがFRB、中央銀行を操作する本物の錬金術とは?ケネディ、リンカーン暗殺の理由とは? トランプ大統領の
この記事のまとめ
地政学の基礎用語まとめ(ハートランド、リムランド、グレートゲーム 等) – GHQが日本に禁じた学問とは?

地政学とは「19世紀 欧米列強が、帝国主義を展開する上で発展した 軍事戦略の学問」
ランドパワー理論「ハートランドを制するものが、世界を制する」
シーパワー理論「ワールドシーを制するものが、世界を制する」
世界規模衝突の多くがリムランド、マージナルシーで発生する
帝国主義=グローバリズム
日本はGHQに禁じられた地政学を学び直す必要がある

※ この記事は「世界の深層シリーズ」の一部です。世界の深層 – グローバリズム、ディープステート、文化マルクス主義(リベラリズム)・共産主義 』

〔地政学(その4)〕

危機管理に効く「地政学」のススメ(後編)
https://spectee.co.jp/report/geopolitics_for_crisis_management_2/

『 前編では、地政学という学問についてや、基本的な概念や考え方をご紹介しました。後編では、それらを現在の国際問題にあてはめて考察してみることにします。
米中対立を読み解く

現在の国際情勢において、最大のトピックは「米中対立」ではないでしょうか。

中国はもともと世界第3位の広大な土地を持つランドパワーでしたが、近年では大幅な経済成長を成し遂げて国外に力を向ける余裕が生まれたことから、空母を建造するなど海洋進出(シーパワー化)を急速に進めています。これは世界最大のシーパワーである米国にとっては看過できないことで、地政学的なすみ分けができなくなっていることが基本的な構図と言えます。

前編で「シーパワーは、港を含む海上交通路や経済拠点のネットワークを持つ」と説明しましたが、それがわかるのが尖閣諸島の問題です。日本政府は歴史的にも、国際法上も明確に尖閣諸島は日本の領土であり、領有権の問題は存在しないというスタンスですが、なぜ近年になって急に中国はその領有権を強く主張し始めたのでしょうか。それは、中国がシーパワーとしての「拠点」を海上に得て、日本海や東シナ海を制覇するための足掛かりを持ちたいというのがその背景です。

その他にも、南シナ海での人工島の建設、スリランカなどでの港の建設、ジブチへの基地配備など、地政学的な観点から戦略的に「リムランド」に楔を打ち込んでいることがわかります。また、習近平政権が掲げる「一帯一路」は、陸と海の両方で中国とユーラシア大陸の国々を結んで貿易を促進する構想ですが、まさにこれまでのランドパワーに加えて、シーパワーを得ようという意図がそこから明確にうかがえます。

こうした中国の動きに対抗するのが、米国のインド太平洋戦略やその中心概念である「クアッド(日米豪印4か国の枠組み)」で、民主的国家が結束して中国をけん制しようとしています。また、日本も独自に「自由で開かれたインド太平洋」戦略を打ち出していますが、いずれも、インド洋・太平洋に張り出してシーパワー化する中国をハートランドに押しとどめることを狙ったものです。

人類の歴史を振り返ってみると、ランドパワーとシーパワーが両立した例はありません。ローマ帝国は広大な領土と道路など物流網を誇り、ランドパワーとして栄華を極めましたが、海洋進出とともに衰退しました。シーパワーの日本も、太平洋戦争では海の支配に加えてユーラシア大陸への進出を試み、第二次世界大戦での敗戦により失敗に終わりました。ランドパワーとシーパワーを同時に手に入れようとする中国の覇権的な動きがどう帰着するのか、こうした地政学の枠組みから見ることが有効だと考えられます。

地政学の視点からロシアを見る

もうひとつの例として、ロシアという国とその動きを、地理的な条件をもとに見てみましょう。

ロシアの国土面積は17,098平方キロメートル。2位のカナダの9,985平方キロメートルを大きく引き離して世界で最大の国です。しかし、ロシアの地理を立体的に見てみると、ウラル山脈が南北に国土を分断しており人の往来を制限していることから、その東西で様相が全く異なります。ウラル山脈より東はウラル・シベリア・極東の3つの地域に分けられますが、人口は少なく、開発は進んでいません。一方、欧州に近いウラル山脈より西のエリアは、面積としては全体の24%にすぎませんが、人口の実に74%が集中しており、首都のモスクワやサンクトペテルブルクといった都市もこちらに位置します。

また、国土の北側は、近年地球温暖化で変わりつつあるものの、大変寒冷な地域で、冬も含めて年中利用できる不凍港は少なく、自由に海に出ていける環境ではありません。そして西側には欧州やアメリカなどのNATO勢力が控えています。こうして見てみると、広大な土地を持ち、広く海に面したロシアが、実は様々な地理的な条件による制約を抱えていることがわかります。

ロシアは2014年、ウクライナのクリミア半島を強引に併合し、世界に衝撃を与えました。地政学的にその背景を読み解いてみましょう。一つ目の理由としてロシアは、NATO勢力との間のバッファゾーンに位置するウクライナに対する影響力を何としてでも保持したかったということがあります。二つ目の理由としては、クリミア半島にある良港「セヴァストポリ港」を支配することで、黒海を通って地中海に出ていくルートを確保したかったという背景があります。前述したようにロシアの北側は寒冷で自由に海にで出ていく事が難しいために、この「黒海ルート」を保持することはロシアにとって死活問題となるのです。

地政学はひとつの考え方、フレームワークであり、国際情勢の詳細を全て説明できるものではありません。しかし地政学の観点に立って地図を眺めてみると、また異なる様相が見えてくることも事実です。企業の危機管理担当としても、例えば海外への進出候補地を決める、サプライチェーンを設計する、赴任者や出張者の安全を考えるといった際に、地政学的な知識や観点は大きな味方になるのではないでしょうか。

(SN)
October 13, 2021
参考情報

Prisoners of Geography
http://www.amazon.co.jp/dp/1783962437
メールマガジン 』

〔地政学(その3)〕

〔地政学(その3)〕

危機管理に効く「地政学」のススメ(前編)
2021.10.06
https://spectee.co.jp/report/geopolitics_for_crisis_management_1/

『地政学とは

地政学とは、地理的な条件が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響をマクロの視点から研究する学問分野です。英国の地理学者であったハルフォード・マッキンダー(1861年~1914年)や米国の海軍将校であったアルフレッド・セイヤー・マハン(1840年~1914年)などによって理論化された近現代の地政学はその後、ナチスドイツや旧日本軍の領土拡張を正当化する論理の一つとして使われたことから、負のイメージを負いました。また第二次世界大戦後は、資本主義vs共産主義という「イデオロギーの対立」が先鋭化したこともあり、地理に重点を置く地政学は下火の時期が続きました。しかし昨今、書店では地政学をタイトルに冠する本が多く見られ、再び脚光を浴びるようになっています。

なぜ脚光を浴びているのでしょうか。それは、グローバル化が進展し、複雑にからみあってかつ流動的な世の中を読み解くにあたり、1万7000年の人類の歴史を通じて大きく変わっていない地理を軸に考えることの有用性が認められたからだと考えられます。後述するように、現在起きている国際間の対立などは地政学の理論によって、シンプルに整理することが可能です。

地政学的リスクとは、特定の地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりや変化が、地理的な位置関係によって、国際政治や経済に及ぼす影響とその要因を指します。具体的にどのような事象を含まれるかの定義は様々にありますが、下記は世界経済フォーラムがGlobal Risks Reportという報告書の中で挙げた項目となります。

地政学は、歴史学、地理学、政治学、軍事学、文化学など様々な見地から研究を行うために広範にわたる知識が不可欠となる学際的な学問ですが、その基本的な考え方に触れるだけでも、国際情勢やそこから生まれるリスクや危機というものを考察する助けになると思われます。ここでは基本的な考え方である「ランドパワーとシーパワー」、「ハートランドとリムランド」という概念と、拠点の重要性及びチョークポイントについてご紹介します。

基本的な考え方①:ランドパワーとシーパワー

「ランドパワー」とは、陸上における経済拠点や交通網などを支配・防衛するための軍事力・輸送力を含む総合的な能力を持つ勢力で、ユーラシア大陸にある大陸国家、具体的にはロシア、中国、ドイツなどが該当します。一方で「シーパワー」とは、港を含む海上交通路や経済拠点のネットワークを持ち、それにより海洋を支配・利用するための総合能力を持つ海洋国家で、具体的な例としてはアメリカ、イギリス、日本などが挙げられます。

歴史を振り返ってみると、ランドパワーの国が領土を拡張しようとふるまい、これに対して自分の領域を守ろうとするシーパワーの国が港や基地を整備して権益を守ろうとする、ということを繰り返してきました。そのせめぎあいが歴史を作ってきたと言うことができます。陸路での物流が中心だった時代から、15~19世紀は大航海時代を迎え、スペインやイギリスが世界中の海を制覇したシーパワーの時代でした。19世紀から20世紀前半にかけては鉄道網や道路網などの建設で陸上輸送能力が急激に発達し、ドイツやロシアといったランドパワーの国が台頭、2つの世界大戦を経験しました。そして20世紀後半からにかけては、第二次世界大戦の戦勝国のアメリカやその後勃興した日本がシーパワーの国として繁栄を極めました。

基本的な考え方②:ハートランドとリムランド
ランドパワー/シーパワーという分類は、その国の勢力の性質を表すものですが、領域に関する概念が「ハートランド」と「リムランド」です。

「ハートランド」とは、シーパワーの影響がほとんど皆無であるユーラシアの中央部から北部に広がる領域を指します。現在のロシアと重なるエリアです。このエリアを支配することは巨大なランドパワーを得ることと同義であると考えられていますが、雨が少なく寒冷であり、古くから人口は多くなく、文明が栄えることはあまりありませんでした。一方の「リムランド」とはユーラシア大陸の海岸線に沿ったエリアで、中国東北部から東南アジア、インド半島、アラビア半島を経てヨーロッパ大陸に至る長大なユーラシア沿海領域を指します。この領域は温暖で雨量が多く、農耕の生産性が高く、経済活動が盛んであり、大都市と多くの人口がここに集中しています。

歴史上、厳しい環境のハートランドの国は、豊かなリムランドにたびたび侵攻し、リムランドの国やその外側のシーパワーの国と衝突しています。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などが例となります。リムランドとは、「ハートランドのランドパワー」と、「周辺のシーパワー」がぶつかり合い、国際紛争が起きやすい地域と言うことができます。

基本的な考え方③拠点の重要性とチョークポイント

どの勢力がどこに拠点を構えているのかを俯瞰することも、国際情勢を見る際に大変重要です。「シーパワーは、港を含む海上交通路や経済拠点を維持・防衛する」と前述しましたが、最大のシーパワーであるアメリカ合衆国が、多くの駐留人口を抱える海外拠点を見てみましょう。

これら主要な基地が、前述のリムランド及びその周辺に配置されていることにお気づきのことと思います。米国はランドパワーへの対抗として拠点を築き、その拡大を抑え込もうとしているのです。

また、「チョークポイント」という地政学上で非常に大切な概念がありますが、これについては別稿で説明しているためそちらをご参照ください。

海の物流、危機管理のカギを握る「チョークポイント」・・・スエズ運河での座礁事故を受けて
https://spectee.co.jp/report/suez_chokepoint/

後編ではここまで説明した概念を用いて、現在の国際情勢を読み解きます。

(SN)
October 06, 2021
参考情報

The Global Risks Report 2021 (World Economic Forum)
https://www.weforum.org/reports/the-global-risks-report-2021

メールマガジン

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〔地政学(その2)〕

〔地政学(その2)〕

リムランド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

『リムランド (Rimland) は地政学の用語のひとつ。

概要

「ニコラス・スパイクマン#リムランド理論」も参照

ニコラス・スパイクマンによる造語であり、北西ヨーロッパから中東、インドシナ半島までの東南アジア、中国大陸、ユーラシア大陸東部に至るユーラシアの沿岸地帯を指す。ハルフォード・マッキンダーの主張した内側の三日月地帯を指しており、ハートランドを覆うように三日月地帯を形成しているのが特徴である。

スパイクマンはランドパワーとシーパワーの間に起こる紛争がすべてこの地帯で発生していることから、リムランドこそ最も重要な地政学的地域であると主張した。スパイクマンはアメリカがリムランドに対して、その力を投影させ、ソヴィエト連邦を中心とする他の勢力の浸透を阻止させ、グローバルな勢力均衡を図るよう提言した。また、スパイクマンは「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界の命運を制する。」と述べている。

関連項目
ウィキブックスに地政学/理論/リムランド理論関連の解説書・教科書があります。

地政学
大陸国家
海洋国家
ハートランド
シャッターベルト
不安定の弧

カテゴリ:

地政学海洋国家国際関係論

最終更新 2022年5月6日 (金) 02:04 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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ニコラス・スパイクマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3#%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%90%86%E8%AB%96

『ニコラス・ジョン・スパイクマン(Nicholas J. Spykman, 1893年10月13日 – 1943年6月26日)は、オランダ系アメリカ人の政治学者・地政学者で、イエール大学の国際関係学の教授。49歳でガンによって死去した。

彼の教え子にはまず第一に地理の知識を叩き込ませていたという。地理の知識なしに地政学を理解するのは不可能であるからである。

リムランド理論

ニコラス・スパイクマンはマハンのシーパワー理論やマッキンダーのランドパワー理論を踏まえてエアパワーにも注目しリムランド理論を提唱した。

マッキンダーが「東欧を制するものはハートランドを制し、ハートランドを制するものは世界島を制し、世界島を制するものは世界を制する。」と述べたのに対し、一見広大で資源に恵まれているハートランドが、実はウラル以東では資源が未開発な状態で農業や居住に適していないために、人口が増えにくく工業や産業が発展しにくい点、反対にリムランドは温暖湿潤な気候で人口と産業を支える国々が集中している点にスパイクマンは着目し「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界の運命を制する。」と主張した。

またスパイクマンは、旧世界(南北アメリカ大陸以外の大陸)の紛争はハートランドとリムランド間の紛争、リムランド内での紛争、リムランドとシーパワー間の紛争のようにリムランド一帯に集中している点と、地理的な位置から南北アメリカ大陸がユーラシア大陸だけでなく、アフリカ大陸やオーストラリア大陸に包囲されている点、に気づき旧世界の大西洋沿岸と太平洋沿岸の2つの地域からアメリカの安全を脅かすリムランドを支配する国家あるいはリムランド国家の同盟の出現は脅威だと考え、積極的にその試みを阻止する対外政策の必要性を主張した。

彼はリムランド理論を踏まえて米国の政策に以下の提案を行っている。

ハートランドへの侵入ルートにあたるリムランドの主要な国々とアメリカが同盟を結ぶこと。この侵入ルートをふさぐ強力なリムランド国家(例、ヒトラー・ドイツによるフランスやノルウェー支配/ギリシャやトルコとの同盟)をつくらせないこと。

リムランド諸国間のアメリカ抜きの同盟をバラバラに切断するが、同時に、ハートランドの国にリムランドの国々を支配させないようにする(戦後のNATOや冷戦につながる)。
現代(当時は第二次世界大戦中)の船舶技術において、アメリカをとりまく大西洋も太平洋も「防波堤ではなく、逆に高速道路である」と認識しており、現代の兵器技術においていかなる国のパワーも地球上のいかなる場所であれ「地理的距離とは無関係に投入できる」と見抜いており、アメリカの孤立主義(モンロー主義)の不毛と危険を警告し続けた。

また、この理論に基づけばこれらリムランドに該当する極東の国々つまり中国、朝鮮の間でそれぞれが分裂した状態であることが望ましいということになると指摘する研究者もいる。

名言

「地理とは外交政策において最も基本的なファクターである。何故ならば地理は不変であるからである。」

“Geography is the most fundamental factor in foreign policy because it is the most permanent.” —from The Geography of the Peace.

「地理的条件は変わる事はない。しかし外交政策におけるその意味合いは変化しうる。」

“Geographic facts do not change, but their meaning for foreign policy will.”
著書

The Social Theory of Georg Simmel, (University of Chicago Press, 1925).

山下覺太郎訳『ジムメルの社會學論』(寶文館, 1932年)

America's Strategy in World Politics: the United States and the Balance of Power, (Harcourt, Brace, 1942).

渡邉公太訳『スパイクマン地政学 世界政治と米国の戦略』(芙蓉書房出版, 2017年)
小野圭司訳『米国を巡る地政学と戦略 スパイクマンの勢力均衡論』(芙蓉書房出版, 2021年)

The Geography of the Peace, (Harcourt, Brace, 1944).

奥山真司訳『平和の地政学――アメリカの大戦略の原点』(芙蓉書房出版, 2008年 )』

〔地政学(その1)〕

ハートランド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

『ハートランド(英: Heartland)は、地政学の用語。ハルフォード・マッキンダーが『デモクラシーの理想と現実』の中でユーラシア大陸の中核地域を中軸地帯と呼んだことに始まり、後にハートランドと改められた。

概要
出典:”The Geographical Pivot of History”, Geographical Journal 23, no. 4 (April 1904)

中軸地帯、内側の三日月地帯と外側の三日月地帯

マッキンダーは20世紀初頭の世界情勢をとらえ、これからはランドパワーの時代と唱えた。とりわけ、それまでの歴史が海軍大国(海洋国家)優位の歴史であったのに対し、鉄道の整備などにより大陸国家の移動や物資の輸送などが容易となったことで、ハートランドを支配する勢力による脅威が増しているとし、海洋国家同士の連携を主張した。

マッキンダーは1900年代初頭の世界地図をユーラシア内陸部を

中軸地帯(ハートランド) (Pivot Area)
内側の三日月地帯 (Inner or marginal crescent)
外側の三日月地帯 (Lands of outer or insular crescent)

に分け、「東ヨーロッパを支配するものがハートランドを支配し、ハートランドを支配するものが世界島(ワールド・アイランド)を支配し、世界島を支配するものが世界を支配する」と説き反響を呼んだ。また、マッキンダーはユーラシアに存在する大国群をシーパワー・ランドパワーに分けて、それぞれが対立する関係にあると論じ、大陸国家がヨーロッパを中心として熾烈な戦争を始め、戦線を拡大していくに違いないと予見した(事実ナチス・ドイツとソビエト連邦が熾烈な覇権争いを行った)。

現代への影響

しかしマッキンダーは、当時次第に注目されつつあった空軍力の影響力を重視せず、第一次世界大戦以降、航空機戦力を中心とした戦争が中心となるにつれ、次第にマッキンダーのハートランド論は時代遅れと批判されることとなった。

しかしこうした国際政治の構造や力学に鋭い視点を展開したマッキンダーのハートランド論は時代環境の変化に照らして、さらに地政学の世界で応用的に用いられ、ニコラス・スパイクマンによって主張されたリムランド論や、コリン・グレイなどによってハートランドのモデル化など、後の地政学や軍事戦略におおいに影響を与えたとされる。

カテゴリ:

地政学海洋国家国際関係論ユーラシア

最終更新 2021年6月7日 (月) 09:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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中東はどのように今に至ったのか

中東はどのように今に至ったのか
2018-05-09
https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/how-we-got-here/

『今年4月、アメリカとイギリス、フランスはアサド政権が化学兵器を使用したとしてシリアに対して軍事攻撃を行いました。攻撃は限定的なものに終わり、地域情勢に大きな影響がなかったのはその後の経過のとおりです。しかし、仮にシリア側による報復攻撃があったら、どうなっていたか???偶発的な出来事が大きな戦争につながりかねない、極めて緊迫した局面だったことも事実です。

「中東が注目を集めるのは大きなテロや戦争の時だけ」。そんな風にとらえる人もいるかもしれません。しかし個別のニュースを追うだけでその潮流を理解するのは困難です。

中東はどのようにして今にたどり着いたのか。その混迷を大きな流れの中でどう見たらいいのか。この記事ではそれを読み解いていきます。
目次

※クリックすると各見出しに移動します

独裁体制がもたらした安定
アメリカと石油とイスラエル
「アラブの春」で秩序は崩れた
アサド政権はなぜ踏みとどまった
国境を無視した「建国」
「ポストIS時代」のリスク
「責任者不在」の中東 向かう先は

独裁体制がもたらした安定

まず、現在の中東の姿を見てましょう。「中東」がどの範囲を指すのか。広義では西アジアから北アフリカにかけての広い範囲がこれに当たります。以下の地図では、便宜上、東はイランから、西はチュニジアまでを表記していますが、アフガニスタンやアルジェリア、モロッコなどが含まれることもあります。

このうち中東の「ど真ん中」にあるイラクとシリアを中心とした地域ではずっと不安定な情勢が続いてきました。

内戦が続くシリアでは、アサド政権の軍や、民兵組織、外国の軍、反政府勢力、さらに過激派組織と、さまざまな勢力が入り乱れて戦闘が繰り返されてきました。7年を経た現在、アサド政権の優位は揺るぎない情勢となっています。

内戦の過程で、国境はあいまいなものとなりました。イラクとの国境は過激派組織が自由に行き交い、トルコとの国境は、過激派組織に加わるために世界各地からやってきた若者たちにとってシリアへの入り口となる一方、家を追われた人たちにとっては出口となりました。

今の混乱に陥る前、中東は比較的安定していました。その安定をもたらしていたのは、独裁的な政権です。20年、30年と1人の独裁者が君臨したり、絶対的な権力を持った王族が支配したりする国が少なくありませんでした。

こうした国々では国民が常に監視され、反体制派とみなされると理由もなく逮捕され、拷問を受けることさえ珍しくありません。国民を押さえつけることで独裁的な支配が実現し、それによって治安の安定を実現してきたのです。
アメリカと石油とイスラエル

その独裁を許してきたのがアメリカです。アメリカは1930年代にサウジアラビアで石油の利権を獲得してから、この地域で巨額の利益を上げてきました。石油を安定的に確保し、利権を守るためには「中東の安定」は絶対条件となりました。

そしてアメリカが中東で「国益」と位置づけるもう1つの要素が同盟国イスラエルです。アラブ諸国の反対を押し切る形で1948年に建国された「ユダヤ国家」はみずからの存在を守るため、中東でいわば四面楚歌の状態で紛争を繰り返してきました。
嘆きの壁(エルサレム)

こうした中、1979年、アメリカはアラブの「盟主」エジプトに接近し、イスラエルとの間に歴史的な平和条約を仲介しました。アメリカはその後、エジプトの独裁的な政権に対して軍事的な支援を続けています。

かつてこの地を委任統治領としていたイギリスがパレスチナの地を離れて以降、国内にユダヤ人を多く抱えるアメリカにとって、イスラエルの安全保障は一貫した中東政策の柱です。アラブ諸国と敵対するイスラエル、そしてその後ろ盾となるアメリカを軸として、中東情勢は長年推移してきました。

石油の確保とイスラエルの安全。それを守るためにアメリカが欲した安定は、結果として中東の独裁的な体制を維持させたのです。
「アラブの春」で秩序は崩れた

その日、NHK国際部の中東班は現地から発信された画質の粗い動画の信ぴょう性をめぐって議論になっていました。「この顔は本人じゃないか」「これだけでは判断できない」。動画に映っていたのは、砂漠地帯とみられる荒涼とした場所で、複数の男たちにリンチされるリビアの独裁者、カダフィ大佐でした。

2010年の年末に北アフリカのチュニジアで始まり、瞬く間にアラブ諸国に広がった、いわゆる「アラブの春」。独裁を終わらせ、民主化を実現しようという当時の動きはそれまでの「冬」と対比する形でそう呼ばれました。

中東ではほとんどの国で、デモが厳しく規制されていましたが、人々は当局の弾圧を恐れずに街頭に繰り出し、民主化を訴えました。チュニジアとエジプトでは大統領が退陣。40年余りの独裁が続いたリビアでは、内戦に発展したあげく、カダフィ大佐が殺害されました。独裁政権によって維持されていた中東の秩序がもろくも崩れていく様は、中東を取材していた記者たちにとっても、信じがたい展開でした。

絶対的な権力も、変えようと思えば変えられる???「アラブの春」は人々に意識の変化をもたらしましたが、混乱も招きました。
エジプト革命記念日(2012)

エジプトでは独裁政権の崩壊後、独裁体制下で弾圧されてきた宗教組織、ムスリム同胞団が台頭し、選挙で同胞団出身のモルシ大統領が勝利しました。しかし保守的な政策を掲げるモルシ大統領に「アラブの春」を経験したリベラルな若者たちは反発し、相次ぐデモで首都カイロは再び混乱。これに乗じて軍が事実上のクーデターを起こした結果できたのが、現在のシシ政権です。「民主化」に沸いたはずのエジプトは、結局、軍の力を背景にした独裁的な政治体制に逆戻りした形となりました。

アサド政権はなぜ踏みとどまった

「カイロが大阪だとすれば、ダマスカスは京都だ」。ある特派員経験者は口癖のようにそう語ります。「シリアは本当にきれいな国だったんだよ。でもこうなってしまっては…」

エジプトやリビアで「アラブの春」が猛威を振るう中、当初のシリアは落ち着いているように見えました。チュニジアでベン・アリ政権が崩壊し、暫定政権が発足した直後の2011年1月18日、日本を訪れていたシリアの大統領補佐官はNHKの取材に対して次のように答えています。

「チュニジア政府が欧米との関係ばかり強化し、国民を無視してきたのに対し、シリア政府は国民の声に耳を傾けている。同じような問題は起きない」

このインタビューの2か月後、シリア南部のダラアで政治的な自由を求める大規模な抗議活動が起き、治安部隊との衝突で4人が死亡しました。これが今日まで続き、35万人が犠牲になる内戦に発展したのです。

なぜシリアでは独裁政権が倒れなかったのか。その背景には古代から人やモノが行き交い、多様な宗教や民族からなるシリア特有の事情があります。

シリアの宗教・宗派構成

シリアの人口構成を宗教・宗派別に見ると、最も多いのはイスラム教スンニ派で74%余り。続いてシーア派系のアラウィ派で13%余り、キリスト教のさまざまな宗派合わせて10%と続きます。

アサド大統領自身はアラウィ派で、政権の中枢もアラウィ派で占められています。軍や治安機関の上層部にもアラウィ派が登用されていますが、スンニ派やキリスト教徒、それに民族的にアラブ人とは異なるクルド人も取り込んだ支配体制が形成されています。

エジプトやチュニジアでは、独裁的な大統領を支えてきた軍が民衆の声を背景に大統領に退陣を迫り、内戦に発展したリビアでは軍が次々に離反して指導者が孤立し、最終的に政権が崩壊しました。

シリアが同じ道を歩まなかったのは、ほかの宗教・宗派を取り込んで、一蓮托生(いちれんたくしょう)で大統領を支える仕組みを作り上げていたことが挙げられます。

国境を無視した「建国」

抵抗する反政府勢力と、そのせん滅を図るアサド政権という構図を主軸に拡大していったシリアの混乱は、内戦へと発展する過程で一層複雑化していきます。イランや、さまざまな民兵組織がアサド政権を支援するために参戦し、反政府勢力側も離合集散を繰り返しました。2013年8月、シリア情勢について特派員は「内戦の複雑化、泥沼化がエスカレートしていく中、シリアは破綻国家となりかねない危機的な状況」と伝えています。アルカイダ系の過激派が勢いを増していたのは、ちょうどこの頃でした。

その過激派が「イスラミックステート」の樹立を宣言したのは2014年6月。シリアとイラクにまたがる、従来の国境を無視した一方的な「建国」は世界を震かんさせました。

過激思想の拡散で世界からジハーディストを集め、急速に勢力を拡大したISは、シリア内戦にかかわる多くの勢力にとって脅威となりました。シリアやイラクの政府軍、反政府勢力も各地でISとの戦闘を開始。アメリカ主導の有志連合が反政府勢力を支援する形で介入し、ロシアもアサド政権を支援するために参戦しました。

これによってISは徐々に弱体化し、去年7月にイラク最大の拠点モスル、10月にはシリア北部のラッカを失います。「建国」から3年余りでジハーディストたちの理想郷は事実上崩壊しました。

「ポストIS時代」のリスク

ISは中東に何を残したのか。急速な台頭と凋落は、その前後でシリア情勢を劇的に変えました。一時、劣勢にあったアサド政権はロシアの支援で息を吹き返し、反政府勢力に対して圧倒的な優勢に立ちました。

それによって、中東で大きく勢いを増すことになった国があります。イラク、シリア、レバノンと、自国から陸続きの広大な範囲で影響力を確保することになった「シーア派の大国」イランです。

イランの影響力拡大は、中東の長年の火種に油を注ぎました。「スンニ派の盟主」を自任するサウジアラビアとの覇権争いです。イランによる核やミサイルの開発を警戒するサウジアラビアは、アメリカのトランプ大統領をいち早く取り込み、就任後、最初の外遊先とすることに成功。さらに「敵の敵は味方」の論理でイランを最大の敵国とするイスラエルに接近しているとも指摘されています。

そして、ISとの戦いで勢いを増したもう1つの勢力がクルド人です。シリアやイラク、トルコ、イランにまたがる地域におよそ3000万人が暮らし、国を持たない世界最大の民族とされます。ISとの戦いの先鋒に立ち、勢力を拡大したクルド人勢力ですが、ISの掃討後、再びそれぞれの国との間で対立が表面化しています。イラク北部では住民投票を実施し悲願の独立を目指しましたが、イラク政府が送った部隊に抑え込まれ、さらに内紛も重なって失敗に終わりました。自治が始まったシリア北部でも、自国への影響を懸念するトルコ軍が軍事作戦を開始。紛争が拡大する懸念も出ています。

ISの脅威が去り、サウジアラビアとイランの覇権争い、そしてクルド人の悲願という中東の2つのリスクが顕在化したのです。

「責任者不在」の中東 向かう先は

中東で取材をすると、どの国にいても、国民がアメリカの事情にやたらと詳しいことに驚かされます。それはアメリカがいかに積極的に中東に関与してきたかを示しているのかもしれません。

かつて中東では、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争など?その是非はともかく?アメリカが思い切った関与をして秩序を守り、あるいは形づくってきました。しかし、国民に多大な負担を強いたイラクでの教訓から、前のオバマ政権は、積極的な関与を控えました。

トランプ大統領はオバマ政権の中東政策をことごとく批判し、エルサレムをイスラエルの首都と認めました。これまでになくイスラエル寄りの姿勢はパレスチナ側の怒りを買い、中東和平の見通しはつかなくなっています。さらに核開発を制限する見返りに、欧米などが制裁を解除するとしたイラン核合意からの離脱を表明し、先鋭化するイランとの対立は地域の不確実性を一層高めることになりそうです。

トランプ大統領を称える看板(エルサレム)

しかし、一見するとオバマ時代の反対を行くかのようなトランプ政権も、4月にシリアの化学兵器の使用疑惑を受けて行った攻撃のように一時的、局地的な攻撃はしても、戦局を変えるほどの関与をするつもりはないようです。シェール革命で、アメリカが巨大な埋蔵量を持つエネルギー大国となり、中東に依存する必要がなくなった今、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領は多大な負担をしてまでかかわる必要がないと考えているのかもしれません。

アメリカの関与が弱まる中、相対的に中東で影響力が高まっているのはロシアです。シリアをめぐり、トルコやイランとの関係を深めるロシア。一時は、中東和平交渉にも関与する姿勢を見せました。しかしロシアが中東にどう関与しようとしているのかはまだ見えてきません。

「アラブの春」やシリア内戦の混迷を経ていったん壊れかけた中東の秩序は、今後、再構築される段階に向かうとみられます。秩序をいかに自分たちに有利になるように形づくるか。それぞれのプレーヤーの思惑が交錯するとき、そこには常に新たな衝突のリスクが付きまとっています。

#中東概論(4) 』