習近平氏、8年ぶり新疆ウイグル訪問 治安安定を誇示

習近平氏、8年ぶり新疆ウイグル訪問 治安安定を誇示
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM154S80V10C22A7000000/

『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は7月中旬に新疆ウイグル自治区を訪問した。習氏が訪れたのは2014年4月以来、約8年ぶり。22年秋に開く共産党幹部の人事を決める党大会を前に、新疆ウイグルの統治が「成功」したと内外に誇示する狙いがある。

15日までに中国国営中央テレビ(CCTV)などが伝えた。

習氏は12日に区都ウルムチで、中国から欧州へ輸送する貨物列車「中欧班列」の運送状況を視察した。習氏は「(自身が掲げる経済圏構想)一帯一路の建設が進むにつれて、新疆はもはや辺境地帯ではなくなっている」と主張。「一つの中枢地帯であり、歴史的意義がある」と強調した。

13日にはウルムチで日本の町内会に相当する社区を訪問。ウイグル族の踊りを見学し「各民族の人々の生活をますます幸福にしなければならない」と指摘した。中国国営の新華社はマスクを外した習氏がウイグル族の子供らに囲まれて町を歩く写真を配信した。

習氏が14年に訪問した際にはウルムチ駅で爆発物を身につけた「自爆テロ」が発生。習氏は「新疆の分裂をたくらむテロ分子との戦いは長期に及ぶ。テロ分子の増長を断固としてたたけ」との指示を出した。

このころから街中のあらゆる場所に監視カメラを設置し、徹底して統制を強めた。ウイグル族の「再教育施設」への強制収容も報じられ、米欧は人権弾圧だとみて批判を強めた。中国と米欧の関係悪化の一因になった。

習氏がこのタイミングで改めて訪問したのは、党大会に向けて新疆ウイグルの治安の安定を誇示するためだ。習指導部は「新疆でイスラム教の中国化の方向を堅持せよ」とたびたび号令をかけてきた。習氏が2期目の17年以降で訪れていない地方は31の省・直轄市・自治区の中で新疆ウイグルだけだった。

習指導部は米欧の非難を意識して、最近は新疆ウイグルの経済成長路線を打ち出すようになっている。21年12月には強権を振るったとされる陳全国・新疆ウイグル自治区党委員会書記を経済通とみられている馬興瑞・広東省長に交代させた。陳氏を今年6月に閑職に追いやり、米欧との緊張緩和の糸口を探ろうとしている。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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別の視点

習近平がテコ入れをすることでウイグル地域における「対テロ」を名目とした強権的な統治が緩み、より包摂的な政策になっていくのか(少なくとも人事上はそう見える)、それともこれまでと同様、表では温和な顔をしつつ、裏では厳しい対処で迫るのか。ゼロコロナ政策とそれに伴う経済成長の落ち込みで苦しい状況にある習近平が、欧米向けのアピールとして新疆ウイグルの問題をどう取り扱おうとするのか。いろいろと興味は尽きない。
2022年7月17日 13:23 』