米国が世界を股にかけてクーデターを実行してきたことをボルトンが認めた

米国が世界を股にかけてクーデターを実行してきたことをボルトンが認めた – 《櫻井ジャーナル》:楽天ブログ
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『 ​ジョン・ボルトンは7月12日、CNNの番組でアメリカが外国でクーデターを実行してきたことを認めた​。ホスト役のジェイク・タッパーから2021年1月のホワイトハウスでの抗議活動について質問され、それに対する答えの中でのことだ。

 ボルトンはロナルド・レーガン大統領から共和党政権でホワイトハウスの中枢で活動、ドナルド・トランプの下では国家安全保障補佐官を務めた人物。つまり当事者としての発言だけに、注目されている。

 クーデター計画の例としてボルトンはベネズエラのケースを挙げている。彼が国家安全保障補佐官を務めていた2019年4月、ベネズエラではクーデターが試みられている。クーデター政権の大統領としてアメリカ政府が用意したのはフアン・グアイド。カラカスの大学を卒業した2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学、14年の反政府行動では指導者のひとりとして参加している。

 アメリカ政府が目論んだクーデターは定番の「カラー革命」方式。その中心グループは2003年にセルビアで設立されたCANVAS、その組織を設立した「オトポール(抵抗)!」から手ほどきを受けていた。訓練のため、アメリカの支配層は2005年に配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。

 オトポール!は1998年、スロボダン・ミロシェビッチの体制を倒す目的で作られた。これらにはアメリカのNED(ナショナル民主主義基金)、IRI(国際共和研究所)、USAID(米国国際開発局)などから、つまりCIAから資金が提供されている。

 ベネズエラでカラー革命が失敗した後に一部の部隊が軍事蜂起、ラ・カルロタ空軍基地の外で銃撃戦があったのだが、これも失敗に終わった。事前にクーデターを持ちかけられた軍人や政府高官の相当数が提案に同意、成功すると見通したようだが、そうした軍人や政府高官の多くの同意は嘘で、アメリカ側をトラップにかけたという話も流れていた。アメリカ側でこのクーデター計画を指揮していたのはエリオット・エイブラムズだとされている。

 アメリカがベネズエラの体制転覆工作を始めたのはウゴ・チャベスが大統領に就任して間もないころで、​2002年にはクーデターを試みた​。そのクーデターを背後で指揮していたのは1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、1981年から85年までのホンジュラス駐在大使、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてはイラク大使を務めたジョン・ネグロポンテ、そしてイラン・コントラ事件に登場したエイブラムズだ。ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画された。

 エイブラムズが中米でCIAの秘密工作に参加した1980年代、ニカラグアではCIAが操っていた反革命ゲリラ「コントラ」が活動、エル・サルバドルでは「汚い戦争」が展開されていた。いずれも少なからぬ市民が殺されている。

 2002年と06年のクーデターに失敗した後、07年にアメリカは「2007年世代」を創設、09年には挑発的な反政府運動を行った。こうしたベネズエラの反政府組織に対し、NEDやUSAIDは毎年4000万ドルから5000万ドルを提供する。ベネズエラでのクーデター工作をアメリカの支配層は継続中だ。

 第2次世界大戦後、アメリカの支配層は目障りな体制を転覆させてきたが、最初のターゲットはイタリアだ。本ブログでは繰り返し書いてきたように、西ヨーロッパでドイツ軍と戦ったのは事実上、レジスタンスだけ。その中心がコミュニストだったことからフランスやイタリアではコミュニストが強く、1948年の総選挙でコミュニストが勝利することをアメリカは懸念した。

 そこでジョージ・ケナンはコミュニストを非合法化するべきだと主張し(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2008)、イタリアの選挙結果がアメリカ側の思惑どおりにいかなければフォッジア油田をアメリカ軍が直接占領するとも言っていた。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)

 この選挙工作を指揮していたのはCIAのジェームズ・アングルトンだが、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)のジェイ・ラブストーンとアービング・ブラウンも協力している。労働組合とはこのようなものだ。どこかの国だけの問題ではない。

 ラブストーンはアメリカ共産党の元幹部で、ブラウンは戦時情報機関OSS出身。工作資金は労働組合ルートからイタリアの社会党へ流れ込んでいく。そしてコミュニスト排除の動きが始まった。(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2008)

 その後、イタリアではNATOの秘密部隊が配下のファシストを利用、1960年代から80年代にかけ、極左を装った爆弾テロを繰り返して治安システムの強化を国民に受け入れさせ、左翼を弱体化させている。

 一方、CIAは1953年にイランでムハマド・モサデク政権を、54年にはグアテマラのヤコボ・アルベンス・グスマン政権を、73年にはチリのサルバドール・アジェンデ政権をそれぞれクーデターで倒している。勿論、アメリカの体制転覆工作は枚挙にいとまがなく、これらは氷山の一角に過ぎない。2014年にはウクライナでもクーデターを成功させた。』