スリランカで経済危機 なぜ大統領が国外脱出?いったい何が?

スリランカで経済危機 なぜ大統領が国外脱出?いったい何が?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/07/14/23764.html

『スリランカで大統領公邸が占拠され、デモ隊が公邸のプールで泳ぎジムでトレーニング。
大規模な抗議デモを受けて、大統領は国外に脱出する事態に。

一体何が起きてるの?
そもそもスリランカってどんな国?

解説します。

スリランカってどこにある?

インドの南、インド洋に浮かぶ島国です。
面積は北海道より少し小さいぐらい、人口はおよそ2200万。

最大都市のコロンボは南西部の沿岸に位置する国の経済の中心地で、首都はコロンボ郊外のスリジャヤワルデネプラ・コッテです。

そもそもスリランカってどんな国?

スリランカの最大都市コロンボ

多民族国家で、人口のおよそ75パーセントを仏教徒中心のシンハラ人が占めています。このほか、ヒンズー教徒が中心のタミル人が15パーセントあまり。イスラム教徒が10パーセント近く、キリスト教徒も7パーセントあまり暮らしています。

仏教寺院などの世界遺産があるほか、イギリスやオランダの植民地だった時もあり、ヨーロッパ風の風情もあります。紅茶や宝石が有名で、観光客にも人気です。

いま何が起きているの?

コロンボのデモ隊(2022年7月13日)

スリランカでは経済危機が深刻化し、ことし3月以降、政権の退陣を求めるデモが繰り返し起きていました。

そして、7月9日には大規模な抗議デモが広がり、最大都市コロンボではデモ隊の一部がゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の公邸を占拠する事態に発展。公邸に入った人たちがプールで泳いだり、ジムでトレーニングをしたり、ベッドに寝転がったりする様子が世界中に配信され、衝撃を与えました。

大統領公邸のプールに入るデモ隊(2022年7月9日)

大統領は事前に公邸を出て不在でしたが、こうした事態を受けて、辞任する意向を議会に伝えたのです。

なぜ経済危機が起きたの?

コロンボの港湾開発(2019年)

スリランカはインフラ整備を進めるため借金を繰り返し、対外債務の残高は2021年末の時点で507億ドル(日本円でおよそ7兆円)に膨らんでいます。

新型コロナウイルスの影響による観光客の激減なども重なり、深刻な外貨不足に陥りました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が高騰する中、外貨不足で輸入が滞り、ガソリンなどの燃料費も高騰。食品や医薬品などの生活必需品の輸入も滞るようになっています。

こうした経済危機の根本的な原因は財政運営や農業政策の失敗、それに汚職にあるとしてラジャパクサ政権に対する不満が高まっていました。

ラジャパクサ政権、何が問題だったの?

ゴタバヤ・ラジャパクサ氏(2022年2月)

国民の間ではラジャパクサ一族が権力を独占しているという批判が出ていました。

ゴタバヤ・ラジャパクサ氏は2019年の選挙で勝利し大統領に就任しましたが、2015年まで2期10年にわたって大統領を務めた兄のマヒンダ・ラジャパクサ氏の元で国防次官を務めていました。兄弟で合わせて10年以上大統領として実権を握り、首相や財務相に親族をあてるなど一族支配を強めてきました。

また、ラジャパクサ政権は兄弟ともに中国に近いとされ、中国企業などによる大規模な開発事業で国の借金を増やす一方、私腹を肥やしてきたという批判にもさらされています。
2017年には中国からの融資を受けて南部ハンバントタに建設した港の運営権がローンの返済が滞ったことを理由に99年間にわたって中国側に譲渡され、いわゆる「債務のわな」の典型例といわれています。 

今後どうなるの?

大統領が辞任すれば、長年、スリランカの政治の要職を占めてきたラジャパクサ一族による支配が終わることを意味します。

ただ、誰が大統領になってもこれだけ政治的、経済的な混乱が広がった国のかじ取りをするのは簡単ではありません。

政府は財政再建策を8月にも発表するとしていますが、当面は海外からの支援に頼らざるを得ないのが実情で、IMF=国際通貨基金との間で資金融資の協議を進めているほか中国やインド、ロシア、それに日本などに支援を求めています。

深刻な燃料不足や50%以上にもなる急激なインフレは今後も悪化する見込みで、仮に新たな政権が誕生しても人々の生活の改善には長い時間がかかるとみられます。』