ロシア産原油、中印の輸入最高に G20分断深まる

ロシア産原油、中印の輸入最高に G20分断深まる
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『20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が15日、インドネシアで始まる。ウクライナに侵攻を続けるロシアに対して米欧日が制裁を強める一方、中国やインドはロシア産原油の輸入量が過去最高水準に膨らむ。ウクライナ危機下の資源高や食料高など国際協調が必要な課題を前に、当事国のロシアを含むG20は分断が鮮明。対立が先鋭化する恐れさえある。

ロシアが2月にウクライナ侵攻して以来、西側の主要国は経済制裁で圧力をかけている。主要7カ国(G7)はロシア産原油の輸入を原則禁止した。6月のG7サミットでは世界的な物価高に歯止めをかけるために石油価格の上限制の導入を目指すと表明し、金の輸入停止でも合意した。

相次ぐ制裁の強化はロシアの外貨調達手段を断ち、戦費調達を防ぐ狙いがある。穴として指摘されるのが、中国やインドの動きだ。

インド商工省の貿易統計によると、ロシアからの原油輸入量は4月に日量39万バレルとなった。21年平均の9万バレルから増え、全体に占める比率も2%から8%に高まった。輸入額は12.8億ドル(約1766億円)と前年同月の5倍超になった。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が調査会社ケプラーなどの推計を基に、インドの輸入量は足元でも拡大していると分析する。5月は65万バレル、6月は100万バレルに近づいて過去最高の水準になったとみられる。

インドは地理的に近いイラクやサウジアラビアなど中東を中心に輸入の有期契約が7~8割を占める。スポットでの調達を全量ロシア産に切り替えれば「日量150万バレルまで増やせるとの見方もある」(JOGMECの竹原美佳調査部長)という。

ロシアから原油を陸路でも調達できる中国の輸入量も伸びている。5月は198万バレルと前年比55%増え、これまでで最も多くなったもようだ。全体に占めるロシア産の比率は2割近くになる。中国税関総署の5月の貿易統計によると、サウジアラビア産を抜いてトップの輸入先になった。

国際エネルギー機関(IEA)によると、5月のロシアの原油・石油製品の輸出量は米国・英国向けが21年平均と比べて日量60万バレル、日本を含むアジアの先進国向けが40万バレル減った。一方でインドが80万バレル、中国が40万バレル、トルコが10万バレル増えた。

原油価格は中東産が上昇する一方、世界的に買い手の減ったロシア産は割安に買える。インドで精製した石油製品が米欧に流れているとの指摘もある。

G20財務相・中銀総裁会議はロシアの制裁のほか、食料価格の高騰対策、新興国の債務問題など議題が山積する。外相などの閣僚会合でも西側諸国とロシアは非難の応酬を続けてきた。財務相会議も4月の前回会合は共同声明を出せずに終わった。危機対応の国際枠組みは機能不全に陥っている。』