強権ウズベク、かすむ「IT立国」 デモ鎮圧へネット遮断

強権ウズベク、かすむ「IT立国」 デモ鎮圧へネット遮断
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB11AIO0R10C22A7000000/

『ウズベキスタンはIT(情報技術)を経済の柱に育てる方針だ。優遇税制や特別ビザ(査証)の導入で、米欧の制裁を受けるロシアから関連企業や技術者を受け入れてきた。だが、7月上旬に起こった憲法改正に反対するデモはインターネットを遮断して鎮圧。国内法に違反するとの理由で一部のSNS(交流サイト)は利用できない。強権統治が「IT立国」の夢をかすませている。

ウズベクは中央アジアの内陸国で、旧ソ連の一部だった。2月にロシアがウクライナ侵攻を始めるとまもなく、首都タシケントの経済特区「ITパーク」向けに外国人技術者や家族の移住支援プログラムを打ち出し、これまでに3000人以上が利用した。ロシアやベラルーシでは制裁の影響で事業を停止したIT企業が多く、技術者は国外を目指した。その一部がウズベクに流入した。

ウズベクは4月、IT人材や家族に3年間の居住許可などを与える特別ビザ制度を創設した。移転してきたIT企業に対する優遇税制も整備した。

6月には米シリコンバレーに政府の視察団を派遣。グーグル、アップル、メタといった米国のIT大手を訪問し、ソフトウエア開発などでウズベクの拠点を活用するよう求めた。

冷や水を浴びせたのが改憲反対デモだ。

ウズベク西部のカラカルパクスタン自治共和国で1日、共和国が将来独立する可能性を排除する条項を含む改憲に反対する住民らのデモが発生。ミルジヨエフ大統領の権限強化につながる任期延長案も記されていた。治安部隊との衝突でデモ参加者など多数が死傷、拘束された。ネットは遮断され、報道も制限された。

ミルジヨエフ氏は2日に自治共和国を訪れ、将来の独立を否定する条項の撤回を表明した。3日には共和国に1カ月間の非常事態宣言を発令し、事態収拾を急いだ。

ウズベキスタン西部のカラカルパクスタン自治共和国で、住民と対面するミルジヨエフ大統領(3日)=ロイター

デモの背景には生活が困窮する住民の不満もある。新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ侵攻で、ウズベク市民がロシアやカザフスタンへ働きに出る機会はおしなべて減った。世界的な食料価格の上昇も及ぶ。今回のデモと当局の対応は、ウズベクに対する投資家の警戒を強めた。

ウズベクではツイッター、TikTok(ティックトック)をはじめとするいくつかのSNSを利用できない。利用者の個人情報の国内保管を義務付けた2021年の法律に違反しているためだと当局は説明する。仮想私設網(VPN)を経由しないと接続できない。

ロンドンに拠点を置くリスク管理会社のアナリストは「ウズベクはIT人材の受け皿になろうとしてきたが、報道の自由への弾圧やSNSへの規制が(企業や技術者が進出するうえでの)懸念材料になっている」と指摘する。

(寄稿 アルマトイ=ポール・バートレット)

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/Unrest-overshadows-dream-of-IT-powered-new-Uzbekistan/?n_cid=DSBNNAR 』