中国、資金調達再加速 6月残高1年ぶり伸び率

中国、資金調達再加速 6月残高1年ぶり伸び率
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM119VS0R10C22A7000000/

『【北京=川手伊織】中国で資金調達が再加速しつつある。銀行や市場からの調達総額を示す「社会融資規模」の残高の増加率は6月、1年ぶりの高さとなった。地方政府がインフラ建設の資金を調達するため債券の発行を急いだほか、企業が設備投資などに充てる中長期資金を銀行から借り入れた。

中国人民銀行(中央銀行)が11日発表した。社会融資規模の残高は6月末で334兆元(約6800兆円)と、前年同月末から10.8%増えた。6月の新規調達額は5兆1700億元で、前年同月から4割増えた。

習近平(シー・ジンピン)指導部は悪化した経済を立て直すうえで、インフラ投資をけん引役に据える。意向を踏まえた地方政府がインフラ債などの発行を急いだ。社会融資規模のうち、政府債券の発行による新規調達額は1兆6000億元を超え、遡れる2017年以降で最大となった。

企業の資金需要も回復の兆しが出てきた。銀行が6月、企業に貸し出した中長期資金は前年同月比73%増えた。伸び率は新型コロナウイルス禍で経済活動がほぼ止まった前年の反動で2.6倍に膨らんだ21年2月以来の大きさだ。

人民銀行は5月、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)のうち、期間5年超の金利を引き下げた。6月に入り、上海市のロックダウン(都市封鎖)解除などで経済活動が正常化に向かうなか、金利コストの低下も融資拡大につながった可能性がある。

気がかりなのは家計の資金需要だ。銀行が個人向けに貸し出した中長期資金は6月、前年同月を19%下回った。減少率は5月(76%)より縮まったが、昨年来の減少傾向は止まっていない。

これは住宅ローンの低迷が続いているためだ。習指導部が昨年、バブル抑制を目的に不動産規制を強めてからマンション市場の調整が長期化している。住宅の値上がり期待も弱まり、新規購入を様子見する人がなお多いとみられる。

市中に出回るお金の量を示す6月末の現預金総額(M2)は前年同月末から11.4%増えた。16年11月以来、5年7カ月ぶりの伸びとなった。政府が景気対策で増値税(付加価値税)の還付を進めたため、企業の手元資金が増えたもようだ。』