[FT]ロシア、戦時経済体制に移行へ 長期戦見据え

[FT]ロシア、戦時経済体制に移行へ 長期戦見据え
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『ロシアは経済を一段と強固な戦時体制に移行させるため、民間企業や労働者に対する政府の管理を強化する方針だ。ウクライナの支配を巡る戦争で長期戦に備えていることがうかがえる。
法案は軍の協力企業に対するロシア政府の権限を強めている(同国のヘリコプター工場で働く従業員)=ロイター

ロシア議会下院で審議している法案の添付文書によると、提出された法案は特に軍を支援し、「武器や軍装備品を修理する必要性の短期的な高まり」に対応する狙いがあるという。

この措置は、ウクライナ侵攻後に迅速な勝利を収めるというロシアの計画が失敗し、紛争が東部ドンバス地方を中心とした消耗戦に発展したことを受けたものだ。また、制裁がロシア経済に大きな打撃を与えると予想されることにも対応している。

ボリソフ副首相は「ロシアは強大な制裁圧力の下、これまで4カ月にわたって特別軍事作戦を展開している」と述べた。
国防契約の履行義務付けが可能に

5日に行われた下院での法案審議中、ボリソフ氏は「ロシアの軍産複合体にかかる負担は著しく増大している」と指摘した。「武器や弾薬の供給を確実にするためには、軍産複合体と防衛産業の協力企業での業務を最適化する必要がある」という。

すでに下院で第2読会(3段階審議の2番目)を通過した1つ目の法案は、政府が企業に国防契約の履行を義務付けることを可能にし、国防省などに契約条件を変更する権限を与えるものだ。例えば、当局は工場に対して生産を軍需品向けに切り替えるよう強制したり、企業が特定の製品やサービスをどの程度供給するかを管理したりできるようになる。

ただ、この措置はすでに防衛部門のサプライヤーリストに掲載されている企業が主な対象だとボリソフ氏は説明した。「この法案は、軍のニーズのために民間の中小企業を強制的に事業転換させることは規定していない」という。

2つ目の法案は連邦労働法を改正し、政府に労働力の管理を強化する権限を与えるものだ。当局は「所定の労働時間を超えて夜間や週末、休日に勤務する条件や年次有給休暇の規定」を含め、「個々の組織において労使関係の法的条件を定める」ことが認められるという。

これには、国と契約する防衛企業で専門職の人材が不足していることに対応する狙いがあるとボリソフ氏は述べた。時間外労働を強いられた従業員には残業代が支払われる。
制裁の影響拡大を想定

これらの法案は上院も通過しなければならず、その後プーチン大統領の署名を経て成立する。法案の添付文書によると、この新しい措置は制裁下で「ことのほか」重要になるという。

ロシア経済に対する制裁の影響は、これまでのところ石油とガスの輸出価格の上昇によって軽減されており、ロシア政府には経済や軍の支援に振り向けられる多額の収入がもたらされている。

しかし、ウクライナの同盟国がロシア産エネルギーからの脱却を急ぐ一方、プーチン氏が国民に対する経済的支援策を発表していることから、制裁の影響は拡大することが予想される。

国際金融協会(IIF)の副首席エコノミスト、エリナ・リバコワ氏は、ロシアは「最悪の事態に備えている」とみる。「まもなくそうした収入はすべてなくなる可能性もある」

ロシア紙ベドモスチによると、財務省は輸送インフラや科学技術開発プロジェクトの予算など一部の分野において、今後3年間で1兆6000億ルーブル(約3兆3000億円)の支出削減を提案した。また、社会福祉の支出を大幅に拡大し、来年だけで9360億ルーブル増の3兆4000億ルーブルに引き上げることも計画しているという。

同紙は匿名の財務省報道官の発言を引用し、この変更は全般的に、最も重要な分野に支出を集中させるための連邦予算の「バランス調整」だと報じている。

By Polina Ivanova

(2022年7月7日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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