[FT]コンゴ大統領、ルワンダに「武装勢力を支援するな」

[FT]コンゴ大統領、ルワンダに「武装勢力を支援するな」
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『サハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ)で最大の国土を持つコンゴ民主共和国のチセケディ大統領が、隣国ルワンダがコンゴ東部で戦う反政府武装勢力の支援をやめなければ、ルワンダとの戦争が勃発しかねないと警鐘を鳴らした。
コンゴ民主共和国のチセケディ大統領=ロイター

「この可能性は排除できない。ルワンダの挑発が続くようなら、じっと何もしないでいるつもりはない。我々は弱くはない」。鉱物資源に恵まれたコンゴの同大統領は首都キンシャサの執務室で、フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材にこう語った。

チセケディ氏の発言は、同氏によればルワンダの支援を受けている反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」がコンゴ東部で強力な攻撃に出た後のことだ。M23はここ数週間で攻勢を強めている。この紛争では、和平協定の合意から10年近くたった後、昨年末にM23が再び姿を現して以来、17万人が住まいを追われている。米国は国境を越えた攻撃への強い懸念を表明した。

チセケディ氏は「ルワンダが3月23日運動を支援していることに疑いの余地は全くない」と語った。勝利に異議が唱えられた選挙の後、2019年に大統領に就任して以来、まだ数えるほどの海外メディアとのインタビューで、同氏は「我々は平和を求めている」と述べた。「だが、いざとなれば、どこかの段階で我々は行動に出る」。ルワンダ政府はコンゴの内政への関与を否定し、コンゴ領からルワンダへの砲撃があったと主張している。

1990年代終盤にルワンダとウガンダがコンゴに侵攻すると、アフリカ諸国数カ国を巻き込む戦争が相次ぎ勃発し、「アフリカの世界大戦」として知られるようになった。国際救済委員会(IRC)によると、98年から2008年にかけて、コンゴ東部の紛争で約540万人が殺害された。一連の戦争で多数の武装集団が続々と誕生し、それぞれが天然資源を手に入れようとした。

「反政府武装勢力M23の背後にルワンダ軍」

M23は12年の反乱を率いたが、コンゴと国連の部隊に敗れ、13年の和平合意につながった。問題をはらみ不完全な協定の実行を経て、昨年末にM23が再び姿を見せた。

「ルワンダは13年に倒されたM23を隠れみのにしてコンゴで戦っている」。チセケディ氏はこう語り、その証拠としてルワンダ兵がコンゴで捕らえられている事実を挙げた。「M23の直近の出現は、その背後に隠れているルワンダ国防軍のせいだ」

米国のブリンケン国務長官は6月30日、「継続する暴力に対処する努力」について話し合うために、新しい地域軍をコンゴ東部に配備するよう呼びかけているケニアのケニヤッタ大統領に電話した。米国務省は「コンゴとルワンダの間の国境を越えた攻撃の報告について危機感を募らせている」としている。アフリカ連合(AU)も同様の懸念を表明している。

コンゴ政府の了承を得て、ウガンダはすでにコンゴ東部に部隊を派遣した。シンクタンクの国際危機グループ(ICG)は最近のリポートで「コンゴの近隣諸国は何年も、コンゴ人、外国人を問わず、同国東部の民兵組織を代理勢力として使ってきた」と指摘している。
チセケディ氏はインタビューで、ルワンダはコンゴの鉱物資源の莫大な富からも利益を得ようとしていると批判した。同国の資源には、金のほか、電子機器に使われるコルタンの世界最大級の鉱床などがある。

「ルワンダはコンゴに違法な経済的既得権を持つ」とチセケディ氏は語った。「コンゴ東部で秩序が回復されない限り、無法状態と情勢不安が続く限り、ルワンダはそれに便乗する」
米財務省、コンゴの金が密輸されていると指摘

米財務省は3月、「コンゴの金の90%以上が(ルワンダを含む)地域国に密輸」されており、往々にして密輸先で精製され、グローバル市場へ輸出されていると明らかにした。さらに「およそ130の活発な武装集団が存在するコンゴ東部では、金の売買が紛争の大きな原動力になっている」としている。

再選をかけて来年の大統領選に出馬するつもりだと述べたチセケディ氏は、選挙の不正を訴えるカトリック教会と野党からの幅広い批判にもかかわらず、3年前に大統領に就任した。前回選挙の2件の投票データ集計をFTが分析したところ、野党候補ファユル氏が明確な勝者だった。チセケディ氏は不正を否定する。「私が選挙で勝たなかったと言うのは簡単だが、それを立証する必要がある」と強調する。

ルワンダのカガメ大統領は4日、コンゴ軍がルワンダ解放民主軍(FDLR)と「ともに戦っている」と批判した。FDLRの部隊には、ツチ族に対する1994年のルワンダ大虐殺に関与したと非難されているフツ族の戦闘員が含まれる。M23はツチ族が圧倒的多数を占め、FDLRなどのフツ族武装集団からツチ族を守っていると主張している。

チセケディ氏は、これは「説得力のない言い訳だ」とし、コンゴ軍は「数百人」のFDLR戦闘員を拘束し、ルワンダ側に引き渡したと語った。さらに、2つの調停努力が並行して進められていると説明する。一方はアンゴラのロウレンソ大統領が率いる調停で、チセケディ、カガメ両大統領を会談させることを目指すもの。もう一方は東アフリカ共同体(EAC)の下でケニヤッタ氏が率いる調停だ。

「誠意がある限り、希望がある」とチセケディ氏は話す。「もしルワンダがM23を支援したことを認め、なぜあの運動を支持しているのかを説明すれば、それは誠実だ。その時点で我々は話し合いができ、すべてを交渉のテーブルに載せられる」

さらに、もしルワンダがM23を支援していることを認めるのを拒んだら、「それは隠された思惑があるということだ」と付け加えた。

By Andres Schipani

(2022年7月6日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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