長期金利操作、放棄で混乱 オーストラリアの総括に驚き

 ※ 『豪中銀はYCCが資金調達コストを削減したと評価する一方、「出口では市場の混乱をもたらし、中銀の評判に打撃を与えた」と指摘。インフレなどを踏まえると「早期の終了が適切だった」と振り返り「再び採用する可能性は低い」と言い切った。ある日銀関係者は「想像以上に手厳しい総括だった」と驚きを隠さない。』…。

 ※ ということで、日銀の6年に及ぶ「YCC」の「異常性」「孤立性」が際立った形だな…。

 ※ しかし、各国置かれている立場・状況は、それぞれに異なる…。資源大国の豪州と、製造加工立国の日本では、金利政策も異なって当然だ…。

 ※ 他国を真似ていても、しょうがない…。

 ※ 日本国の国益が最大になるように、舵取りしていって欲しいところだ…。

長期金利操作、放棄で混乱 オーストラリアの総括に驚き
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0666W0W2A700C2000000/

『オーストラリア準備銀行(中央銀行)が公表した金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)の総括に日銀が注目している。豪中銀は3年物国債の利回りを抑えるYCCを続けていたが、物価上昇の加速で撤廃に追い込まれた。出口での混乱が「中銀の評判に打撃を与えた」との反省を日銀は「他山の石」にできるか。

豪中銀は新型コロナウイルス禍で低迷した経済を下支えするため、2020年3月に政策金利を0.25%に引き下げ、3年物国債の利回りを政策金利と同じ水準に抑える目標を導入した。同年11月には過去最低となる0.1%への利下げと同時に3年金利の目標も0.1%に引き下げ、操作目標を達成するために国債を積極的に買い入れた。

21年に入ると世界経済が回復するとの見方から3年金利に上昇圧力がかかった。豪中銀は追加の国債購入に加えて投機的な空売りを防ぐため、投資家が豪中銀から国債を借りる手数料を引き上げ、ロウ総裁もYCCに対するコミットメントを強調した。その結果、3年物国債の利回りは再び0.1%近くの水準に落ち着いた。

だが、こうした姿勢も物価上昇の加速で揺らいだ。21年10月に発表された7~9月のコアインフレ率が2%を上回ると、早期の利上げ観測が強まり金利が急騰。豪中銀が翌日に国債購入を見送ると金利上昇はさらに加速し、3年物国債の利回りは一時0.7%を上回った。豪中銀は金利上昇を追認する形で11月にYCCを放棄した。

豪中銀はYCCが資金調達コストを削減したと評価する一方、「出口では市場の混乱をもたらし、中銀の評判に打撃を与えた」と指摘。インフレなどを踏まえると「早期の終了が適切だった」と振り返り「再び採用する可能性は低い」と言い切った。ある日銀関係者は「想像以上に手厳しい総括だった」と驚きを隠さない。

日本でも同じ事態が起きた。日銀は長期金利の上限を0.25%程度に抑えるYCCを続けているが、消費者物価の上昇率が2%を上回るなか、日銀もYCCの修正に動くのではないかとの見方が浮上。海外投資家を中心に国債の売りが強まり、6月の金融政策決定会合の結果発表前には長期金利が0.265%を付ける場面もあった。

日銀はコストプッシュの物価上昇は持続しないとみて早期の緩和修正を否定する。6月には16兆円を超える国債購入で応戦し、金利上昇を抑える強い意思を示した。少しでも隙を見せれば金利上昇が止まらなくなるのは豪中銀の経験から明らかであり「同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない」(関係者)との思いがある。

日銀内には「会合前後に市場が動くのはYCCに限った話ではない」との声もあるが、YCCは事前に利上げを示唆すると国債が一気に売られるため、日銀が政策修正を突然決めるとの思惑が出やすい。関係者は「利上げは適切でないとのメッセージを発信し続けるしかない」と言うが、市場の疑心暗鬼を払拭するのは難しい。

YCC導入からもうすぐ6年になり、日銀は発行済み国債の半分を保有するに至った。最近では金利上昇を抑えるために債券先物の受け渡しに使われる国債を日銀が買い占め、先物と現物の連動性が失われるといったゆがみも目立つ。YCCが予想外に長期化したことによる市場機能の深刻な低下に焦りを覚える幹部もいる。

ある関係者は「日本のYCCの出口は秩序立ったものにしなければならない」と緊張感をにじませるものの、具体的な手法を問うと「出口の議論は時期尚早」と歯切れが悪い。豪中銀の教訓を生かすには賃金と物価がともに上昇する好循環を達成する必要があるが、出口への道筋はなかなか見えてこないのが現実だ。

(前田尚歩)
多様な観点からニュースを考える

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察

最後の「豪中銀の教訓を生かすには賃金と物価がともに上昇する好循環を達成する必要がある」のはその通りですが、日本は長期デフレを放置したことにより流動性の罠に陥ってしまっていますので、中々金融政策だけでは難しいでしょう。
こうした長期停滞の処方箋は、少なくとも海外の主流派経済学者のコンセンサスとしては、金融政策と財政政策の連携となっています。
ただ、いくら財政政策をでアクセルをふかしても、金融政策が拙速な出口によりブレーキを踏めば本末転倒となるでしょう。
このように、デフレを回避している通常の国とデフレを長期間放置してしまった異常な国では、求められる対応も異なってくると思います。
2022年7月8日 8:28 』