プーチン氏「欧米は既に敗北」 世界秩序の変化強調

プーチン氏「欧米は既に敗北」 世界秩序の変化強調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV080270Y2A700C2000000/

『ロシアのプーチン大統領は7日、ウクライナでの軍事作戦開始により「米国中心の世界秩序は根本的に壊れ、欧米は既に敗北した」と述べ、勝利に自信を示した。モスクワのクレムリンで行われた下院各会派代表らとの会合で語った。

「戦場でロシアに勝ちたければ試してみたらいい」とも述べ、ロシア軍を撤退させてから停戦交渉に応じるとしているウクライナのゼレンスキー政権と、軍事支援する欧米を強くけん制。交渉は拒否しないが「戦闘が長引くほど和平合意は困難になる」と警告した。

また「ロシアが戦争を始めたと言われているが違っている。2014年にウクライナのクーデターを支持した欧米が始めたのだ」と主張。同年の政変で親ロ派政権が倒れた後に独立を主張しウクライナ政府軍と戦ってきた東部ドンバス地域のロシア系住民保護を理由にした侵攻を正当化した。

対ロ制裁を科す欧米を「ロシアという国の存在が必要ないのでテロリストや分離主義者、内部の裏切り者を支援している」と非難。「自由主義に名を借りた全体主義的モデルを世界に押しつけようとしているが、多くの国はそのような世界を望んでいない」と述べた。

軍事作戦の見通しについて「『ウクライナ人の最後の1人まで戦う』と言われているが、ウクライナにとって悲劇だ」と指摘。「われわれはまだウクライナで本腰を入れていない」とも強調して攻撃強化の可能性を示唆した。(共同)

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

プーチン大統領が指摘する米国中心の世界秩序が変化していることは間違ってはいないと思います。ただ、新しい秩序について、彼のビジョンとロシアの責任を発言していないところが、世界の理解を得るために決定的に弱い部分です。プーチン氏が語るように多くの国は「全体主義モデル」は望んでいないと思いますので、彼が世界の支持と共感を得たければ、彼が考える新しい秩序モデルを発信すべきでしょう。それが見えないので、彼の発言は単なる「反米プロパガンダ」による「自己正当化」にしか聞こえません。「反米」に共感する独裁的な指導者は支持するかもしれませんが、それらの国に住む多くの人々はそうではないでしょう。
2022年7月8日 7:55

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慎泰俊
五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
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分析・考察

ロシア圏で働いている人たちの話を聞いていますが、経済制裁は当初の2ヶ月程度は効果があったものの、もうほとんど効果がないようです。あと半年もすれば、ロシアの資源についての新しいサプライチェーン(買い手は西側諸国以外)が完成することでしょう。

そうなるともう戦争は長期化せざるを得ず、途上国を深刻な食糧危機が襲うでしょう。戦争よりもはるかに多くの人が亡くなると思います。
2022年7月8日 9:19
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

プーチン大統領の強気姿勢がここにきて目立つ。ウクライナとこれを支援する米欧が戦場でロシアを倒したいなら「試してみたらいい」という発言は、自信の表れか、それとも一種のブラフなのか。客観的事実として、米欧などによる対ロシア経済制裁はロシアの軍事行動を止めたり、ロシア経済をマヒさせたりするような効果は発揮していない。物的・人的な損害は大きいものの、資源価格上昇によりロシアの戦費は十分確保された状態。ロシアは資源を武器に、ドイツや日本に揺さぶりをかけている。米欧にはウクライナ支援疲れが見えており、英国では対ロ強硬姿勢が際立つジョンソン首相が辞意を表明した。国際政治の世界では、正義が勝つとは限らない。
2022年7月8日 7:42

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

経済制裁を実施して、プーチンを停戦に追い込めていないという意味では、制裁は成功していないといえる。それに対して、ウクライナを攻略できず、たくさんの兵士の命を失ったプーチンロシアは国際社会で孤立してしまい、もっと深刻なダメージを受けている。これからどうなるのか。向こう10年のロシア情勢を展望すれば、国際社会でいっそう孤立し、困難な状況に直面するだろう
2022年7月8日 7:40 』