ソフトバンクGミスラ副社長、独自ファンド設立へ

ソフトバンクGミスラ副社長、独自ファンド設立へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07ELJ0X00C22A7000000/

『【ロンドン=佐竹実】ソフトバンクグループ(SBG)傘下の投資ファンド「ビジョン・ファンド(SVF)」を統括するラジーブ・ミスラ氏が、自らのファンドを設立することが7日、分かった。SBG副社長という肩書は変わらないが、SVFの陣頭指揮からは外れる。投資先の株価下落に直面する中、孫正義会長兼社長の右腕であるミスラ氏の関与が薄まることの影響が注目される。

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孫社長がSVFの社員あてにメールを出したのは7日午前(日本時間同日夜)だった。「ラジーブが新しい外部のマルチアセット投資ファンドの設立と運営の機会を得たことを伝えたい」。ミスラ氏のファンドは「SVFよりも投資対象がはるかに幅広く、テックや金融など彼の独自のスキルを生かすことができる」と説明した。

ミスラ氏はSBG副社長として残るほか、SVF1号ファンドの運営会社の最高経営責任者(CEO)にはとどまる。現在投資活動をしているSVF2のバイスチェアマンに退き、孫社長がSVF2を率いる。2号ファンドから実質的に身を引くことで、自らのファンドとの利益相反の指摘をかわす狙いがあるとみられる。

孫社長はメールの中で、ミスラ氏がSBGに残ることを強調した。「私たちにとって重要なことは、ラジーブが引き続きSVF1の運営会社のCEOとしてリードし、ソフトバンクファミリーの不可欠な一員であることだ」とした。

10兆円という異例の規模で注目を集めたSVFは、ミスラ氏なしでは語れない。同氏がドイツ銀行時代に培ったサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東の投資家とのコネクションを、孫社長の目利き力と合わせるという発想からスタートしている。ミスラ氏は、孫社長の後継候補と取り沙汰されることもある。

孫社長と二人三脚で巨大ファンドを立ち上げた投資戦略の要が抜ければ、影響は計り知れない。さらにもう1人の副社長であったマルセロ・クラウレ氏が1月に退任したばかりとあって、SBG側はミスラ氏を慰留したとみられる。

孫社長とミスラ氏の互いの信頼は厚く、関係は良好なままとされる。クラウレ氏やかつてのニケシュ・アローラ氏のように、後継候補といわれながらも関係がこじれるなどしてSBGを去ったケースとは違う。とはいえ、今回のミスラ氏の〝独立〟は、カリスマ経営者である孫社長の後継選びの難しさを改めて示したともいえる。

SVFを巡る環境は厳しさを増している。米金利上昇やロシアのウクライナ侵攻などで世界的に成長株が下落し、SBGの2022年3月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が1兆7080億円の赤字に陥った。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、2号ファンドの投資先である後払い決済サービスのクラーナ(スウェーデン)の企業価値は21年の456億ドル(約6兆2000億円)から65億ドルと7分の1近くに激減した。

この状況でミスラ氏が投資業務に実質的に関与しなくなることの影響が今後の注目点だ。孫社長は社員あてのメールで「我々は急速に変化する厳しい経済環境に直面している。投資は減速し、新規投資のハードルも高くなっているが、人工知能(AI)革命に対する私たちの信念は強いままだ」と強調した。守りの局面が当面は続くとみられる中、孫社長の目指すAI革命は正念場を迎えている。

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ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
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分析・考察

ソフトバンクは優秀な外国人エクゼクティブを数多く雇ってきましたが、どんどん辞めていっています。結局のところ、孫正義氏は自分なりに経営を運び、独立的な考え方を持ったり反論したりする人は不要ということになるのでしょうか?ソフトバンクはあまりに独特なケースなので他の日系企業に教訓があるのかどうかは分かりませんが、少なくとも外国人エクゼクティブ管理の反面教師になるのではないかと思います。
2022年7月8日 8:21 』