ジョンソン英首相が辞任表明 不祥事相次ぎ閣僚離反

ジョンソン英首相が辞任表明 不祥事相次ぎ閣僚離反
与党・保守党は党首選へ ウォレス、スナク、トラス氏ら有力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR154KZ0V10C22A1000000/

『【ロンドン=中島裕介】ジョンソン英首相は7日、「新しいリーダーを選ぶプロセスを始めるべきだとの意見に同意した」と述べ辞任を表明した。首相官邸前で記者団に語った。新型コロナウイルス対策の行動規制下でのパーティー開催問題など政権の不祥事が相次いだことで、閣僚らが大量に離反し続投が困難になっていた。

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ジョンソン氏は後任を選ぶ与党・保守党の党首選の日程が来週に示されると表明した。新党首の選出までは首相の職務を続ける方針も示した。ジョンソン氏は欧州連合(EU)離脱の実現などの実績を挙げ「この政権の功績を誇りに思っている」と語った。「世界最高の仕事を諦める悲しさもわかってほしい」と無念さもにじませた。

後任首相には、ウクライナ危機への対応で評価を高めるウォレス国防相や新型コロナ危機下での経済政策で評価を高めたスナク前財務相、通商政策に精通するトラス外相らが有力視されている。

新型コロナ対策の行動規制の最中に官邸などでパーティーを開いていた問題で、昨年末以降、ジョンソン政権の支持率が急降下した。7月上旬には過去に痴漢行為の苦情があった議員を党幹部に起用したことが発覚。説明が二転三転し強い批判にさらされていた。

5日に財務相と保健相の2人の重要閣僚が辞任すると、その後も副大臣級など与党議員の役職の辞任が相次いだ。7日朝までにさらに複数の閣僚が辞任。合計の辞任者は50人以上に達する異常事態となった。保守党内では6月に続く信任投票の再実施を模索する動きがあり、実現すれば不信任票が過半数に達するとみられていた。

ジョンソン氏はEUとの離脱交渉で英政界が混乱を極めていた2019年7月に、メイ前首相の辞任を受けて就任した。19年末の総選挙で大勝すると、20年1月末にはEU離脱を実現した。ただその後も英領北アイルランドを巡りEUとの摩擦が続いていた。

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慎泰俊
五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
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分析・考察

ボリス・ジョンソン首相は「チャーチル・ファクター」の著者でもあります。「ヒトラーとやりあえるのは彼しかいない」ともいわれたチャーチルは強烈な性格をもつ非常時のリーダーで、戦争が終わった直後に引きずりおろされました。

同様に、ジョンソン首相はブレグジットとパンデミックという非常事態を切り抜けるために国が必要としていた非常時用リーダーだったのだと思います。そして、イギリスが完全にポストコロナに向かうなか彼が辞任に追い込まれるところに、イギリスの民主主義や政治機構の強さを感じます。ウクライナ戦争が拡大して、イギリスがロシアと戦争をすることになったら、また帰ってくるのかもしれませんね。
2022年7月7日 18:26
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説

普通の政治家であれば、致命的となるスキャンダルの数々を乗り越えてきたジョンソン首相だが、ついに命運が尽きた。
平時であればある程度容認された嘘の積み重ねも、国民に厳しい行動制限を求めたコロナ禍を経験し、ロシアによるウクライナ侵攻という正義が試される局面では、許されなくなった。
EUから離れ、世界で存在感を発揮する「グローバルブリテン」戦略を掲げたジョンソン首相にとっては、最大の見せ場での辞任という思いもあるかもしれない。
次期首相には、外交安全保障政策もさることながら、高インフレ下での政策のかじ取り、ブレグジットで傷ついた連合王国内、EUとの関係の修復など、地に足の着いた政権運営を望みたい。
2022年7月7日 18:07
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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説

当時のキャメロン首相がEU離脱の国民投票実施を表明した翌日、2016年2月21日、人気の高い保守党有力議員だったジョンソン氏が「主権を取り戻す」と明言して離脱派の中心人物になったのが、21世紀の英国の歴史の転換点でした。首相として新型コロナやウクライナ危機に直面し、トランプ・バイデンという正反対の米大統領と向き合ってきた首相も、ついに「噓」で失った信頼を取り戻せなくなったということでしょうか。目下の英国の報道ではトラス外相がG20外相会合への出席を切り上げ帰国の途につくとか。一方、ジョンソン氏は秋までは首相を続ける意向とも伝えられ、早期の辞任を求める保守党勢力との衝突がおきそうな雲行きです。
2022年7月7日 18:59 (2022年7月7日 19:04更新)
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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

「ブルータス、おまえもか」を思わせる政権の幕切れでした。内政での混乱は置くとして、外交・安全保障で発揮した指導力を考えると、辞任は残念としかいいようがありません。主要国の首相として初めてウクライナのキーウに乗り込む胆力はあっぱれでした。ウクライナ危機ではドイツやフランスがオロオロしていたのを尻目に、最初から国際秩序を破るロシアの武力侵攻にノーを突きつけたことに敬服します。
英国のTPP加盟申請に向けて舵を切り、太平洋での存在感を示そうとしたことは、日本としても朋あり遠方より来るでした。そして福島産などの農産品の輸入規制を撤廃したのも、ジョンソン氏でした。首相の座を去ることを惜しみます。
2022年7月7日 17:57 (2022年7月7日 19:04更新) 』