[FT]農家はニンニクで頭金 不振の中国不動産、窮余の策

[FT]農家はニンニクで頭金 不振の中国不動産、窮余の策
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB062CA0W2A700C2000000/

 ※ 大麦、小麦の穀類とか、ニンニクとかだったら、ある程度は「保存が効く」だろう…。

 ※ しかし、スイカとか、どうなんだ…。

 ※ こうして見ると、「貨幣」とは、いかに重宝なものかが分かるな…。

 ※ ましてや、現代社会においては、「電子データ」化が可能だしな…。

 ※ まあ、それも、「電力」「ネットワーク」あってこそ、の話しだが…。

 ※ KDDIの「大規模ネットワーク障害」の記憶も、生生(なまなま)しい…。

『ニンニクは中国では8000年前からその価値が知られており、現在でも中国料理や伝統医療に欠かせない食材だ。とはいえ、この刺激的な味のする球根が不動産の取引に使われることはめったにない。

中国でニンニクは食品や医薬品の原材料に使われるが、他の農作物とともに住宅の頭金として受け入れる不動産開発業者が出てきた=ロイター

だが中国の一部地域ではここ数週間、農家がニンニクやスイカ、小麦や大麦を頭金の代わりにして新築のアパートを購入することを受け入れる不動産開発業者が現れ始めた。

開発業者が食品と不動産の物々交換に乗り出したのは、不動産業界が新型コロナウイルスや中央政府の政策、経済の減速によって急激に落ち込む中で企業がますます必死になっていることの表れだ。

これまでは地方当局も不動産開発業者も、今後10年間で1億人に上ると予想されていた都市部への移住者を当てにしていた。

そうした不動産市場の見通しがすでに暗くなっていたところへ、広範囲で実施されたロックダウン(都市封鎖)の影響が追い打ちをかけた。特に、貧しい農村地帯に近い小規模な都市で悪化が顕著だ。

野村の中国首席エコノミスト、陸挺氏は「新型コロナが3年目に入った今、多くの人が疲弊し、失業や不完全就業に置かれる中で貯蓄が底を突き、支出を減らさざるを得なくなっている」と指摘した。

住宅ローン金利引き下げも奏功せず

過去半年の動きをみると、中国人民銀行(中央銀行)は融資規制を緩和したり住宅ローン金利を引き下げたりした。一方、中国財務省は固定資産税に相当する不動産税の試験導入を先送りした。

また、建物の解体に応じた世帯向けに将来の住宅購入を補助する制度も始まっている。主な対象は人口300万人以下の三級都市や300万〜1500万人の二級都市だ。

2軒目の住宅購入に対する規制が緩和された地域もある。中国政府が設定する「レッドライン(越えてはならない一線)」の1つを、これまで慎重に守ってきた当局が最近になって踏み越えた形だ。

これらのてこ入れ策にもかかわらず、相対的に貧しい国民の多くは不動産を購入しようとしていない。消極的なのは河南省のニンニク農家や三級都市の市民に限らず、一般的により裕福な二級都市にも広がっている。

野村が分析した中国の不動産統計によると、比較的大規模で裕福な都市のなかには過去数週間で新築住宅購入件数が増加に転じたところもある。一方、三級都市では一段と落ち込み、前年同期に比べて約4割減少した。

中国東部の安徽省の省都・合肥市でさえ、不動産仲介の我愛我家が数カ月にわたる販売減少の末に同市からの撤退を決め、地元のフランチャイズ店が抗議活動を行ったと中国メディアの財新が報じた。

V字回復の予測はずれる

1200万の人口を擁する中国中部の河南省の省都・鄭州市では、住宅価格が記録的な低水準まで下落しているにもかかわらず市場の動きは鈍いままだと、ある不動産仲介業者がフィナンシャル・タイムズ(FT)に明かした。

地元メディアの報道によると、そうした状況に対応するため、中国共産党の地域支部の中にはどれだけの住民に住宅を買わせることができるかをKPI(重要業績評価指標)として導入したところもある。

経済専門家の多くは、数億人が3〜5月に実施されたロックダウンから解放されれば、政府のてこ入れ策や規制緩和と相まって需要が「V字回復」すると予測していた。

だが、香港の調査会社ガベカル・リサーチの中国金融システム専門家シャオシ・ジャン氏は「2020年のロックダウン後の急回復に比べてはるかに弱い回復の軌道となることがほぼ確実だ」と述べた。

住宅ローンの貸付額は22年1〜3月期に過去最低ペースに落ち込み、4〜6月期は「さらに悪化する見込み」である上、家計向けの中長期融資も通常レベルを大幅に下回ったとジャン氏は最近のリポートで記している。

「より強い新型コロナ規制の『ニューノーマル』や、ロックダウンが再び実施されるかどうか不透明な状況が続くことによって、家計は今後の見通しに確信が持てなくなっている」と同氏は説明する。

政府による投機一掃の方針も影響

野村の陸氏は住宅購入費の補助制度について「完璧なプランのように聞こえる」が、開発業者や地方政府が苦労していることを考えると「成功する確率は非常に低い」と語った。
陸氏は「住宅購入補助制度には中銀からの資金援助がない。資金を欠くことで、補助制度はまるで外部からのエネルギー供給がなくても永遠に動くというが現実には存在しない永久機関のようなものになる可能性が高い」との見方を示した。

「家計は新築住宅について、建設の遅れや開発業者の資金繰り難のせいで完成しないリスクが高いと考えているのかもしれない」(同氏)

不動産市場を浮上させる取り組みは、習近平(シー・ジンピン)国家主席が負債にまみれた不動産投機の一掃を目指して2年前から始めた政策路線にも足を引っ張られている。

習氏は不動産市場を、世界2位の経済大国に金融システムリスクをもたらすだけでなく不平等を拡大させる要因だととらえている。

ここ数カ月、「家は住むために建てるもので、投機対象ではない」という習氏のキャッチフレーズは中国の指導層や国営メディアによって繰り返し発信されている。

習氏の方針に逆らうように、中国南西部の四川省の開発業者は先週、地元の生産者向けにスイカと新築アパートを交換する2週間のキャンペーンを開始した。損失の可能性を考慮して、購入者1人につきスイカ5トンまでの上限が設定されている。

By Edward White

(2022年7月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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