英与党40人超が役職辞任 閣僚はジョンソン氏に辞任要求

英与党40人超が役職辞任 閣僚はジョンソン氏に辞任要求
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『【ロンドン=中島裕介】相次ぐ不祥事で求心力が急低下するジョンソン英政権で、6日までに副大臣級を含む40人超の与党議員が役職の辞任を表明した。5日の重要閣僚2人の辞任をきっかけに、ジョンソン政権を見限る議員の動きが止まらない状況だ。英BBCは複数の閣僚が6日、ジョンソン首相に会い辞任を求めたもようだと伝えた。

ジョンソン氏の去就を巡る政局は緊迫した情勢だ。

5日にスナク財務相とジャビド保健相がジョンソン氏の政権運営を批判して辞任すると、その直後から副大臣級や政務官級の与党議員の辞任が相次いだ。6日の日中には5人の副大臣級議員が連名でジョンソン氏に辞任を伝えた。英メディアの集計では、6日深夜までに44人の保守党議員が政府や閣僚の補佐の役職を辞任した。

ジョンソン氏は6日の英議会の各委員長らとの会議で、首相を続投する意欲を改めて示した。複数の閣僚らはその後に、ジョンソン氏と面会して辞任を求めたが拒否されたもようだ。BBCによると、ジョンソン氏に近いゴーブ住宅・地域社会相も個別に首相を辞任するよう求めた。ジョンソン氏は6日中にゴーブ氏を更迭した。閣僚のハート・ウェールズ相も辞任を表明した。

ロイター通信によると、与党・保守党で信任投票や党首選を運営する「1922年委員会」が11日の週にジョンソン党首(首相)の2回目の信任投票を実施するか議論する可能性があると報じた。6月に実施した信任投票ではジョンソン氏の続投が認められたものの、「不信任票」が党所属下院議員の4割超に達した。

同党の内規では1年間は信任投票の再実施はできないルールだが、政権の混乱を受けてこれを変更するか検討する。再実施により不信任票が過半数に達し、首相退陣になる可能性がある。

ジョンソン氏の求心力は昨年末以降、新型コロナウイルス対策の外出規制の最中にパーティーを開いた問題で急激に低下した。直近では、男性への痴漢行為で保守党の副幹事長を辞任した議員について、過去の同様の問題行為を把握しながらジョンソン氏が副幹事長に起用した問題も発覚。首相官邸は当初「問題行動を把握していない」とするなど説明が二転三転し、不誠実だとの批判が高まった。

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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貴重な体験談

長年クレジットを見ている間に、リストラを実施しなければならない企業に何度もインタビューをした。その上で、リストラが成功するかどうかの最大の鍵は、すべての社員に至るまで、断行されるリストラの成果を信じ、社長の言うことを聞いてみよう、との意思が徹底されるかどうか、にある(と私は思っている)。実際、外から見て、うまくいかないのではと揶揄されたリストラでも、社長への求心力の高さがある場合には、少なくとも私が見た限り、リストラは100%成功し復活の狼煙をあげた。翻って。政権も同じではないか。社長への求心力なくしてリストラは断行できない。身から出た錆は怖い。トップへの信頼なくして政策は動かない。
2022年7月7日 9:30

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察

「Enough is enough(もうたくさんだ)」。身内の保守党議員から英議会でこう言い渡されたジョンソン首相。これまで何度ものらりくらりと難局をくぐり抜けてきましが、さすがにこれは追い込まれた感があります。コロナ禍でのパーティー開催、痴漢行為の疑いを知りながらの党幹部人事、いずれも一旦は明らかな嘘をついていたわけですから。不信任案成立を経て首相が議会の解散•総選挙に打って出る選択肢もないではないですが、国民の支持を回復する余力はもはや残っていません。
英国のEU離脱、ブレグジットを導いた最大の「立役者」ともいえるジョンソン氏の窮地は、そのまま英国の窮地を示しているように思えます。(再掲)
2022年7月7日 7:53 (2022年7月7日 12:50更新)

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小平龍四郎
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察

英保守党は「ジョンソン首相の事実上の信任投票」と目された6月23日の下院補欠選挙で完敗しています。閣僚辞任や退任要求も、この前後から一段と勢いを増した感があります。1922年委員会の信任投票が実施されたころはまだ、保守党内部に「首相批判で存在感は高めたいけれど、火中のくりを拾って次の首相になろうという人はいない」という雰囲気があったと聞きました。現在はポスト・ジョンソンは見えないながらも、退任要求が不可逆的に加速しています。
世界を見渡せば、米国では中間選挙での民主党苦戦が予想され、バイデン大統領の指導力の揺らぎが伝えられます。米英のリーダーシップの空白は、強権国家の指導者を利するだけです。
2022年7月7日 9:23 (2022年7月7日 9:24更新)』