中国外相、フィリピン大統領と会談 米との接近に警戒

中国外相、フィリピン大統領と会談 米との接近に警戒
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『【北京=羽田野主、マニラ=志賀優一】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は6日、マニラでフィリピンのマルコス大統領と会談した。王氏は早期の訪中を要請したとみられる。中国は南シナ海の領有権問題を抱えるフィリピンとの緊張を緩和し、米国の影響力の排除を狙っている。

王氏は7、8日にインドネシアで開く20カ国・地域(G20)外相会合に先立って、フィリピンを訪問した。

中国外務省によると、王氏はマルコス氏に対して「中国はフィリピン新政権の施政を断固として支持する」と述べた。そのうえで「フィリピン側と農業、インフラ建設、エネルギー開発、人文交流の4つの重点分野での協力を展開したい」と伝えた。

中国はフィリピンとの関係改善を探る。中国が関係を重視するのは南シナ海での影響力を強めるうえで、マルコス氏の動向がカギを握るとみているためだ。

ドゥテルテ前政権は米国と距離を置きつつ、中国に融和的な姿勢をとり続けた。その間に中国は南シナ海の軍事拠点化を進め、中国海警局や民兵も動員して実効支配を強化した。マルコス新政権が米国に接近すれば、中国主導のペースに水を差しかねないとの警戒感がある。

米国もマルコス新政権発足を機にフィリピンを引き寄せようとしている。バイデン大統領はマルコス氏の5月の大統領選圧勝が判明した直後に、中国の習氏に先んじて電話協議した。米国と同盟関係にあるフィリピンはかつて米軍基地があった南シナ海の軍事的要衝で「関係強化の継続」を呼びかけた。

地元メディアはバイデン氏もマルコス氏の訪米を招請したと報じている。ドゥテルテ前大統領は在任期間の6年間で米国を一度も公式訪問しなかった。同国内で米軍の活動を認める「訪問軍地位協定(VFA)」の存続も一時危ぶまれた反省がある。

マルコス氏は6月30日に就任式の演説で「ウクライナの悲劇から大国が誤った教訓を得てしまえば暗い紛争が世界へ広がってしまう」と中国を念頭に置いたとみられる発言をした。5月末にも南シナ海の領有権について「中国に対して断固として(立場を)伝えていく」と話している。

2016年に国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が下した南シナ海での中国の領有権主張を否定する判決についても「領有権主張のため使用する」と主張する。ドゥテルテ氏は同判決を「本当の意味で仲裁というものはない」と評した。マルコス氏は路線変更を印象づけようとしている。』