ラオス、燃油不足で混乱 頼みの綱はロシアで揺らぐ中立

ラオス、燃油不足で混乱 頼みの綱はロシアで揺らぐ中立
アジアVIEW
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS05E360V00C22A7000000/

『東南アジアの小国ラオスが通貨安と資源高騰で深刻なガソリン不足に陥っている。頼みの綱とするのがウクライナに侵攻中のロシアだ。「友好国」として原油を割安で購入できる可能性を秘めるためだ。もっともラオスの思惑通りに交渉が進めば、かねての中立主義が揺らぐ恐れがあり、代償は小さくない。

6月中旬、首都ビエンチャン市内の給油所。朝からバイクや乗用車が200メートル近い行列をつくっていた。市内のカフェで働くノイさん(20)は「途中で仕事を抜け出さないと給油に間に合わない」と話す。市内の給油所は通常、午後9時ごろまで営業しているが、現在は午後4時ごろには売り切れで、ほぼ全ての給油所が営業を終えるという。

ガソリンのレギュラー価格は6月24日時点で1リットルあたり2万1410キップ(約190円)と、侵攻直後の2月25日時点から4割強上昇した。食料品や生活必需品の値上げにも歯止めがかからず、消費者の懐はかつてなく痛んでいる。

こうした状況を鑑み、ラオス政府はロシアと原油購入に関する交渉を始めると表明した。欧米各国から制裁をうけるなか、ガソリンを割安に購入できるとの算段があり、現地メディアは国際価格よりも7割安くなると報じている。交渉は現在も続いているもようだ。

内陸国のラオスは燃油のほぼ全てを中国やタイ、ベトナムといった近隣国から輸入している。資源高は購入余力の低下に直結する。ガソリンを思うように確保できなくなり、割安に購入できる国を探すことが急務となっていた。

ロイター通信によると、ロシア政府は4月に「友好国に原油をどんな価格帯であれ販売する用意がある」と通常よりも安い燃油提供の可能性を示唆していた。この発言にラオス政府が活路を見いだした格好だ。

ウクライナ侵攻に関する国連の非難決議で棄権したインドは、すでにロシアから格安で原油を購入している。インドと同じく棄権したラオスも同様に友好国のひとつとして他国よりも好条件で原油を確保できると考えているようだ。

ただ好条件の取引には高い代償がつきものだ。ラオスは中国からの投融資で交通網の整備を進めており、対外債務の年間返済額は2022年に10億ドル(約1350億円)を超えると見込まれている。返済不能になれば重要インフラを押さえられる「債務のワナ」に陥る懸念がある。

ロシアも交渉においてラオス側に何かしらの見返りを求める可能性が高い。「どちらの側にもつかない」(トンルン国家主席)とするラオスの伝統的な中立主義は、風前のともしびとなっている。

(バンコク=井上航介)』